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プロローグ


10代から20代の少女たちの間で、突如として発症し始めた謎の病は、
精神的な高揚を得ると体全体が極めて殺傷能力の
高い武器へと変わってしまうというものだった。

原因はとある特殊なウイルスによるものであり、
現在「A-ウイルス」と「V-ウイルス」の2種類が確認されている。

世界政府によりウイルス感染者の保護を目的とした法案が成立。
秘密裏に5つの人工島を建設し、感染者たちを隔離してしまう。

隔離島のひとつ、
「V-ウイルス」のコントロールに成功した島として有名である人工島ビクニ。
ビクニにある学園に入学すればウイルスに打ち勝てる。
少女たちは、希望を持って学園を目指す。

その中に「V-ウイルス」に感染した姉妹の姿があった。
天真爛漫な優しさの中に強さを秘める神楽坂倫花。
活発で社交的でありながら繊細で姉思いの神楽坂乱花。

彼女たちはまだ知らない。
ウイルスをコントロールできるようになるただ一つの方法。

それは 感染者同士で、戦うこと。

 



 Drive01. 希望の島ビクニ


  1-A-前

   倫花
    やっと着いた!
    ここがビクニかぁ
    へぇ……



   乱花
    病気の療養のために作られた
    島だって聞いてたから、もっと
    寂れた場所を想像してたけど

    想像してたよりも、ずっと大きいね
    建物も立派だし、人もたくさん
    いそうな雰囲気だし

    ちょっとしたリゾート地って感じ?
    遊ぶところってあるのかな?
    ショッピングもしたいかも!



   倫花
    乱花ちゃん?
    私たちは病気を治しに来たんだよ
    遊びに来たんじゃないんだから

    お父さんとお母さんが色んな伝手を
    頼って、評判のいい島へ行けるように
    手配してくれたんだもの

    きちんと病気を治して、早く
    安心させてあげなくちゃ

    乱花ちゃんだって、早くお家に
    帰りたいでしょう?



   乱花
    わかってるってば
    お姉ちゃんの言うことは理解
    できるし、だいたい賛成だよ

    私たちの『コレ』が病気だって
    言うんなら、治さなくちゃって思うしさ



   倫花
    …………



   乱花
    療養だってマジメにやるよ
    私はさ、お姉ちゃんと一緒なら
    それだけでいいんだ



   倫花
    そうだね



   乱花
    で、どうするの?



   倫花
    どうするって、なにが?



   乱花
    私たち、この島にしばらく
    住むんでしょ?



   倫花
    そうね



   乱花
    だったら何かこう、手続きみたい
    なのがあるんじゃないの?



   倫花
    私は何も聞いてないけど



   乱花
    えーっ!!
    じゃあ住むところとかどうするの!?



   倫花
    さあ?
    私、乱花ちゃんが知ってると思ってた



   乱花
    わ、私は何も聞いてないよ!

    あちゃー、困ったな
    どうすればいいんだろ



   倫花
    乱花ちゃんは心配性すぎるのよ
    誰かに聞けば済むことでしょ

    お散歩がてら適当に歩いて
    会った人に聞いてみましょ



   乱花
    そんな行き当たりばっかりで
    大丈夫かなぁ



   倫花
    行き当たりばったりじゃなくて
    ポジティブシンキングって言ってよね



   セキュリティー
    ……オ待チシテオリマシタ



   乱花
    わ、なにこれ!
    ロボット?



   倫花
    ほら、お出迎えの人が来てるじゃない
    私が言った通りだったでしょ



   乱花
    人じゃないと思うけど……
    まあいっか

    で、あんたが案内してくれるの?



   セキュリティー
    ……入島許可証ヲ提示シテクダサイ



   乱花
    お姉ちゃん、入島許可証を見せろって
    言ってるよ



   倫花
    なにそれ?



   乱花
    向こうを出る時に渡されたでしょ
    大事なものだからなくさないようにって
    言われたヤツ



   倫花
    入島……許可証……?
    あ、あれのことかぁ



   乱花
    私が持ってると絶対になくすから
    私の分もお姉ちゃんに預けたよね?



   倫花
    あー、そうだっけ?



   乱花
    まさか……なくしたの?



   倫花
    な、なくしてないよ~
    乱花ちゃんってば、お姉ちゃんを疑うの?
    かなしいなぁ



   乱花
    ご、ごめん
    そんなつもりじゃなかったんだ
    じゃあ許可証を



   倫花
    ……ないの



   乱花
    へっ?
    なくしてないんだよね?



   倫花
    なくしてないけど……
    船の中に置いてきちゃった
    てへっ



   セキュリティー
    入島許可ナキ者ハ排除……排除……!



   乱花
    わわわ、ロボットが集まってくるよ!
    どうするの、お姉ちゃん!



   倫花
    話せば分かってくれないかな?



   セキュリティー
    侵入者ヲ排除セヨ……排除セヨ……



   乱花
    聞く耳持たないみたいだよ



   倫花
    ん~、ここを通してもらえないと
    島の人を探すこともできないね



   乱花
    しょうがない
    ちょっと道を空けてもらおっか

     ※ 入島許可が必要 ⇒ 外敵の侵入を防ぐ(主にAAA)




  1-A-後

   乱花
    これでよしっと

    壊しちゃったロボットは
    ゴミ箱にでも隠しておけばいいよね
    証拠隠滅っと



   倫花
    それじゃ改めて、島の人を
    探しにいきましょう

    ほら、行くわよ
    乱花ちゃん



   乱花
    わわっ、
    待ってよ、お姉ちゃん!




  1-B-前

   乱花
    お、第一島民はっけん!
    同じくらいの歳のコかな



   倫花
    あの人に聞いてみましょ

    あの、すみません
    ちょっといいですか?



   ???
    はい、なんでしょう



   倫花
    私たち、さっきこの島に着いた
    ばかりなんですけど、これから
    どうしていいか分からなくて……



   ???
    ごめんなさい
    私もこの島に来たばかりなんです



   倫花
    そうだったんだ
    もしかして同じ船で着いたのかも知れないね



   ???
    ということは、私たち、同じ境遇の
    お仲間なんでしょうか



   猪名川マナ
    はじめまして
    私、猪名川マナと申します



   倫花
    私は神楽坂倫花
    こっちは妹の乱花です
    よろしくね、マナちゃん



   マナ
    倫花さんと乱花さんですね
    よろしくお願いします



   乱花
    ふぅん、猪名川マナ……さんね
    覚えておくよ



   マナ
    島に来て初めて会ったのが
    あなたたちで安心しました

    私、何も分からなくて不安で



   倫花
    私も、マナちゃんみたいに
    優しそうな子と一緒でほっとしたよ



   乱花
    ほっとするのも安心するの
    勝手だけどさ、状況は変わってないよ

    入島手続きはどうするの?
    私たち、許可証も無くしたし
    寝るところも決まってないんだよ?

    おなかも減ってきたし
    これじゃ病気を治すどころじゃないよ



   理事長
    やっと見つけたわ!



   倫花
    わっ!
    ビックリした!



   マナ
    投射映像……?



   理事長
    ようこそ、ビクニへ
    あなたたちを歓迎します

    私は、この島の管理運営を任されている者よ

    島の人たちは私を理事長先生って呼ぶわ



   乱花
    やっとそれっぽい人に会えた!



   理事長
    神楽坂倫花さんと乱花さん
    それに猪名川マナさんね?



   倫花
    は、はい
    私が神楽坂倫花です
    こっちが妹の乱花で



   マナ
    私が猪名川マナです



   理事長
    それともう一人、同じ船で着いた
    子がいるはずなんだけど……



   乱花
    もう一人?
    そんな人、見かけなかったけど



   倫花
    迷子になってるのかな
    どこにいっちゃったんだろう

    ひゃああああっ!



   乱花
    どうしたの?
    お姉ちゃん!!



   倫花
    だっ、誰かに突然、胸を揉まれっ
    ふにゃあああああ!



   乱花
    誰だか知らないけど、私の許可を
    得ずにお姉ちゃんのおっぱいにさわるなっ!



   ???
    ふん、気配も察知できないのか
    大したことはないな……



   乱花
    大したことあるよ!
    お姉ちゃんは93センチもあるんだからね!



   倫花
    ちょっと、乱花ちゃん!?



   マナ
    まあ、私より大きいんだ……



   ???
    次からは、お前の許可を得てから
    揉めばいいのか?



   乱花
    許可なんてするワケないでしょ!

    お姉ちゃん、下がって!
    こいつ、ぶっ倒してやる!!



   ???
    ほう、死にたいらしい



   理事長
    はーい、そこまで!
    ケンカはダメよ~



   ???
    誰だ? お前は
    何の権限があって私に命令する?



   理事長
    九頭竜桃さんね?



   桃
    そうだけど



   理事長
    私は理事長よ

    この島での全権限は私にあると
    考えてもらっていいわ



   桃
    …………



   理事長
    元気があるのは、とてもいいことだけど

    まずはこの島について
    説明を聞いてからでも
    遅くないんじゃない?

    入島手続きもしない内から
    放り出されたくないでしょう



   桃
    ……ちっ
    神楽坂と言ったな
    勝負はお預けだ



   乱花
    別にいいけど、あとになって
    逃げださないでよね

    お姉ちゃんのおっぱいを
    揉みしだいた報いは、きっちり
    受けてもらうんだから



   桃
    お前はいずれ殺す



   乱花
    ボコボコにしてやる!



   マナ
    お二人とも落ち着いて
    今は理事長先生のお話を聞きましょう



   理事長
    では改めて……こほん
    私はこの島の管理運営を任されています

    本当ならあなたたちのお出迎えも
    したかったんだけど
    何しろデスクワークが忙しくて

    だからモニタ越しでしか会えないの
    ごめんなさいね

    えーっと、みんなはどこまで
    話を聞いて、この島へ来たのかしら



   マナ
    私はV-ウイルスというものに
    感染していて、その治療のために
    この島に送られたと聞いています



   倫花
    あの、私たちも同じです
    でも、それだけしか知りません



   理事長
    では、少し歩きながら
    この島の紹介をしていきましょうか

    ここはビクニ
    V-ウイルス感染者の治療のためだけに
    作られた人工島です

    正確に言えば、そうして作られた
    島々の内のひとつね



   乱花
    他にもV-ウイルスの治療のために
    作られた、こういう島があるんだ



   理事長
    そういうこと
    そして、あなたたちはラッキーだわ



   マナ
    ラッキー?
    どういうことですか?



   理事長
    ここは数ある島の中で
    唯一V-ウイルスのコントロールに
    成功した実績を持つ場所なのよ

    簡単に言えば、この島で一年間
    治療を受ければ、V-ウイルスを
    完治させることができます

     ※ これは嘘だったと後に判明。ウイルス保持者を集める方便であり
       病気を治すことは出来ず、四神の命も永遠ではない。故に後継者を育てる必要があった。
       (永遠に守り続けるとの旨の発言をグンダリはしたが、それは決意の顕われで事実上は不可能。
       島とのリンクによって、およそ半永久的に存在を維持することは可能)




   倫花
    あの、質問してもいいですか?



   理事長
    どうぞ、倫花さん



   倫花
    今の話だとなんだか私たちの
    病気が、普通は治らないみたいに
    聞こえるんですけど……



   理事長
    その認識で間違ってないわ
    V-ウイルスを完全にコントロール
    したという報告はありません



   理事長
    このビクニの外ではね



   倫花
    V-ウイルスって
    そんなに重い病気だったんだ
    全然知らなかった……



   乱花
    お父さんたちが言ってた
    評判がいい島っていうのは
    そういう意味だったのか



   マナ
    倫花さん
    そんなに落ち込まないで

    この島にいれば病気を治して
    もらえるんだもの

    一緒にがんばりましょう
    ねっ?



   倫花
    うん、そうだね……
    ありがとう、マナちゃん



   桃
    私もひとつ聞きたい

    治療とはどういうことだ?
    私はそんな話は聞いていない

    私はここで、戦って強くなれと
    ただそう言われて来た



   理事長
    誰に聞かされたかは知らないけど
    雑な説明ね……困ったものだわ
    ただ間違いでもないのよ



   マナ
    どういうことですか?



   理事長
    猪名川さん
    みんなもよく聞いてね

    V-ウイルスは、強大な力と
    未知の可能性を秘めています

    その力を制御できないせいで
    思いがけない事故を起こしてしまったり
    心身に重篤な影響を及ぼす場合があるわ



   マナ
    思いがけない……
    事故……



   理事長
    そのような過ちはV-ウイルスの
    感染者にとっても、それ以外の者に
    とっても喜ばしいことではありません

    そういった事態を二度と起こさない
    ためにも、V-ウイルスを思いのままに
    コントロールする術を得ること

    そのために、V-ウイルスの力を使って
    お互いに戦い合うことで
    能力を磨いてもらいます

    それがV-ウイルスの治療に繋がるの

    九頭竜さんが言ったことが
    間違いではないというのはそういう意味よ



   桃
    コントロール、か……
    それは言葉通りに解釈してもいいんだな?



   理事長
    ええ
    あらゆる意味で、そのように
    受け取ってもらって構いません



   桃
    ならいい

    お前たちに言っておく
    私の邪魔をするな

    邪魔なようであれば、殺す



   乱花
    それはこっちのセリフよ

    私とお姉ちゃんの楽しい療養ライフを
    邪魔しないでよね

    それにあんたさ
    さっきから殺す殺すって
    物騒なコト言ってるけど



   桃
    冗談だと思っているのか?



   乱花
    お姉ちゃんにかすり傷ひとつでも
    つけたら、ただじゃ済まさないよ



   桃
    …………

     ※ かすかに桃の大切な人を思い出させたのかもしれない



   倫花
    乱花ちゃん
    ケンカはダメだってば



   理事長
    倫花さんの言う通りよ

    あなたたちはこれから
    同じクラスになるんだから
    仲良くしてもらわなくちゃ



   桃
    同じ……クラス?



   理事長
    V-ウイルスの感染者は
    若い人がほとんどなの

    だから、この島には学校が
    あるのよ

    あなたたちは同じクラスで
    治療プログラムを受けて
    もらう予定だったんだけど~



   乱花
    九頭竜って言ったっけ?
    こいつと同じクラスなんてゴメンだわ

    何とか他のクラスにして
    もらえないんですか?



   理事長
    そう言われても困るわ
    あなたたちはVRクラスで
    治療プログラムを組んでいるし



   マナ
    VRクラス?



   理事長
    VR-ウイルス保持者をまとめた
    クラスよ



   マナ
    VR-ウイルス……?
    V-ウイルス、ではなくて?



   理事長
    ああ
    その説明も必要か

    あなたたちはV-ウイルスの中でも
    特殊なウイルスを保持しています

    私たちは、それをVR-ウイルスと
    呼んでいるんだけど

    VR-ウイルスには、それ用に組んだ
    特別な治療プログラムが必要なの

    だから、あななたちに関しては
    別のクラスというわけにはいかないの
    ごめんなさいね、乱花さん



   倫花
    特殊なウイルスって、どういう風に
    特殊なんですか?



   桃
    VR-ウイルスの保持者は
    エクスターとリブレイターの
    両方の能力を同時に持つ

    そんなことも知らずに
    ここまで生き抜いてきたのか



   倫花
    エクスター?
    リブレイター?
    えっと……



   理事長
    エクスターは、肉体を物質化して
    武器――アームへと変貌させる能力

    リブレイターは、アームをドライブ
    する――つまりはその武器を自在に
    扱う能力のこと

    あなたたちは、その両方の能力を
    持っているの



   倫花
    え、それって特別なことだったんですか?



   乱花
    V-ウイルスの保持者は
    みんな同じだと思ってた



   マナ
    じゃあじゃあ、私たちは特別な
    存在ってことなんですか?



   理事長
    そうよ
    だからこのビクニへ移送されたの



   マナ
    すごい! すごいわ!
    私って特別だったんだ!



   理事長
    VR-ウイルスの活性化を抑えるためには
    パートナーもVR-ウイルスの保持者である
    必要があるの



   倫花
    なるほど……
    だからVR-ウイルスの保持者は
    同じクラスにまとめられるんですね



   乱花
    そういうことなら仕方ないか
    九頭竜と一緒のクラスでもガマンするよ



   桃
    パートナーなんていらない
    どうせ私以外はみんな死ぬ



   マナ
    そうならないための治療でしょう
    そんなことを言わずに力を合わせて
    がんばりましょう、ね?



   桃
    一時的になら組んでもいい
    私の目的の邪魔をしないなら



   マナ
    もちろん、それでいいわ
    乱花さんも、いいでしょう?



   乱花
    まあ、そうしなきゃ治療できない
    って言うなら仕方ないよね



   マナ
    よかった!
    じゃあ倫花さんも乱花さんも桃さんも
    今日からお友達ね!



   桃
    友達じゃない
    馴れ慣れしく名を呼ぶな
    それとお尻を触るな



   マナ
    あら、ごめんなさい
    うふふ

     ※ 分かりにくいが、実は出会った時から桃に好意を寄せている。       
       おそらくこのスキンシップは劣情から来るものではなく、精神的な欲求から生じたものと思われる。
       その根拠は、和解時の告白と、桃と他者の絆に度々見せた嫉妬が挙げられる




   倫花
    ほっ、よかった
    話しはまとまったみたい

    それじゃ入島許可証を
    船に忘れてしまったのですが
    入島の手続きをお願いできますか?

    私たち、すぐにでも
    治療を受けたいんです



   理事長
    そう簡単にはいかないんだけどね~



   乱花
    へっ?
    どういうこと?



   理事長
    いくらVR-ウイルス保持者でも
    それをコントロールする素養がない者は
    いらないの

    言い換えれば、治る見込みが
    ない子は、他の島で治療を受けてもらうわ



   倫花
    それは困ります!
    私たち、ちゃんと病気を治して
    家に帰りたいんです!



   理事長
    では入島試験を行います
    まずは倫花さんと乱花さんからよ
    ついてきなさい



   倫花
    は、はい!

   (海岸にて)

    ここで何をするんですか?



   理事長
    難しく考えることはないわ
    いつも通りに能力を使えばいいだけ



   倫花
    能力って言われても、でも……



   乱花
    思いっきり暴れればいいってことでしょ



   倫花
    乱花ちゃんは、いつもそうやって
    簡単そうに言うけど……



   理事長
    相手は全てロボットだから
    手加減の必要はありません



   乱花
    心配なら私がやろっか?



   倫花
    ううん
    今回は私がやる

    私たちの力をしっかり見せて
    ちゃんと治療してもらわなくちゃ
    でしょ?



   理事長
    準備はいい?



   倫花
    いつでも初めて下さい



   理事長
    倫花さんがリブレイター
    乱花さんがエクスターということね

    さて……
    どれほどの可能性を秘めているのかしら

    では、神楽坂乱花、倫花の
    入島試験を開始します!




  1-B-後

   (苦戦した場合 ここから)

   倫花
    ふう……
    終わったみたいね



   乱花
    お姉ちゃん、大丈夫?
    ケガしたんじゃない?



   倫花
    このくらい大丈夫だよ
    乱花ちゃんは心配性なんだから

    でもちょっと疲れちゃったかな
    ふう……

   (苦戦した場合 ここまで)



   (余裕の場合 ここから)

   倫花
    あれっ?
    もう終わり?



   乱花
    みたいだね



   倫花
    試験なんて言うから
    もっと大変なのかと思ってたんだけど

   (余裕の場合 ここまで)




   理事長
    倫花さん、乱花さん
    ふたりともお疲れさまでした

    入島試験は合格よ
    おめでとう



   乱花
    ま、当然ってところだね
    わたしとお姉ちゃんが組めば
    向かうところ敵なしだもん



   倫花
    あの、マナちゃんと桃ちゃんは
    どうなったんですか?



   理事長
    あの二人なら――



   桃
    あの程度が私の実力だと
    思われるのは不本意だ



   マナ
    まあまあ
    試験は合格だったんだから
    よしとしましょうよ



   倫花
    そっちも合格だったんだね
    よかったぁ



   マナ
    二人も合格だったんですね
    ほっとしました



   桃
    二度と私の足を引っ張るような
    真似をするな



   マナ
    ご、ごめんなさい
    あれでも一生懸命がんばったんですけど……



   桃
    ……ちっ



   乱花
    あっちは何だかモメてるみたい
    合格なんだから素直に喜べばいいのにな



   理事長
    では、改めて
    ようこそビクニへ!

    今日からここが
    あなたたちの住む島よ



   倫花
    ここで私たちの新しい生活が
    始まるんですね



   理事長
    その通りよ
    色々な施設があるから
    これから案内するけど

    まずは入島の書類を
    片づけちゃいましょうか
    あれ、面倒なのよね



   小春
    彼女たちの入島手続きなら
    既にこちらで済ませました



   理事長
    あら、月影さん
    助かるわ

    書類とか手続きとか
    つい面倒で後回しにしちゃうのよねえ



   小春
    ビクニの理事長である
    あなたがそんなことでは困るんですけど



   理事長
    まあまあ
    いいじゃないの



   倫花
    あの、理事長先生
    その子は?



   理事長
    ああ、ちょうど良かった
    紹介するわ

    月影小春さん
    あなたたちと同じVRクラスの生徒よ



   小春
    月影小春です
    よろしく



   倫花
    えっと、あの、私は――



   小春
    神楽坂倫花さんでしょう?
    それと妹の乱花さん



   倫花
    わあ、名前、覚えてくれてるんだ
    嬉しいな



   小春
    そちらが九頭竜桃さんと
    猪名川マナさんね



   マナ
    今日からこちらでお世話になる
    猪名川マナと申します
    どうぞよろしくお願いします



   桃
    …………



   倫花

    (独白開始)

    ふわぁ
    キレイなコだなぁ……

    (独白終了)




   小春
    困ったことがあれば
    何でも相談して下さい

    同じ治療プログラムを受ける者同士
    力を合せてがんばりましょう



   倫花
    う、うん!



   理事長
    そう言えば月影さん
    ヴァイオラさんと一緒じゃなかったの?



   小春
    いいえ
    今日は顔を合わせてません
    呼び出しましょうか?



   理事長
    ああ、いいの
    その内どこかで会うでしょう
    この島は、広いようで狭いから

    これから彼女たちを
    案内しようと思うんだけど
    月影さんも一緒にどう?



   小春
    遠慮します
    他にもやらなければならない
    仕事があるので



   倫花
    行っちゃうの?
    ちょっと残念だな



   小春
    私たちはクラスメイトです
    少し経てば顔を付き合わせて
    学ぶことになるわ



   倫花
    それもそうか
    じゃあまた今度ね
    小春ちゃん



   小春
    ええ
    いずれまた



   理事長
    では、ビクニを案内するわ
    ついてきてちょうだい




  1-C-前

   (食堂にて)

   倫花
    わあ、広ーい!
    ここって何の建物なんですか?



   乱花
    すごく美味しそうな匂いがする!
    すっかり忘れてたけど
    おなか減ってたんだった



   理事長
    ここは『拠点』と呼ばれている施設よ



   倫花
    拠点?



   理事長
    色んな設備があるけど
    あなたたちに関係があるのは
    『食堂』かしら

    毎日の食事は、基本的にここで
    摂ることになるから覚えておいてね



   マナ
    あの、飲食に必要な代金って
    どうすればいいんでしょうか
    私、お金持っていなくて



   乱花
    あ、私もそんなに持ってないや



   理事長
    衣食住に必要なものは
    こちらで支給するから心配しなくていいわ

    それ以上のもの――
    例えば嗜好品とか特別な物が欲しい時は
    ポイントを使ってね



   倫花
    ポイント?



   理事長
    正式な呼称はビクニポイントって
    言うんだけど、みんな単にポイントと
    呼ぶわね

    あなたたちには
    治療プログラムの成績によって
    ポイントが与えられます

    そのポイントと交換で
    欲しいものを買えるってわけ

    何か欲しいものがある時は
    すぐそこにある――

    わわっ!?



   越後屋
    まいど!
    越後屋でござーい!



   倫花
    わっ
    びっくりした!
    だ、誰ですか?



   越後屋
    越後屋は越後屋だよ
    えっちゃんって呼んでね

    治療プログラムを受けて
    ポイントが溜まったら越後屋へどうぞ!

    ポイント次第で何でも用意しちゃうから!



   マナ
    つまり購買部みたいな
    お店ということですか?



   越後屋
    そゆこと!

    ビクニには色んなお店があるから
    他のお店でポイントを使っても
    別にいいんだけどね

    島への仕入れの一切合切を
    仕切ってるのは、このえっちゃんだから

    越後屋で買うのが一番安い!
    一番早い! 一番確実ゥ!
    覚えておいてね



   マナ
    は、はあ



   越後屋
    んじゃ、そゆことで~
    回線、返しまっす!



   理事長
    まーた新しいおもちゃを
    仕入れたのね

    回線を乗っ取られないように
    セキュリティを強化しなきゃ

    ま、越後屋さんについては
    今の説明の通りよ



   乱花
    ポイント次第で何でも買えるって
    言ってましたけど、本当ですか?



   理事長
    本当……なんでしょうね
    この島の物流は、すべてあの子が
    仕切ってるから

    あんまりアブナイものは
    注文しないでね



   乱花
    はーい



   満腹丸ちゃん
    理事長せんせ~!



   理事長
    ああ、やっぱりここにいたのね



   満腹丸ちゃん
    ねえねえ、せんせ~
    この子たちって、もしかして
    前に話してた新しい――



   理事長
    ええ、そうよ
    新しいクラスメイト――



   満腹丸ちゃん
    新しいメニューの食材なのだ!?



   倫花
    えっ……
    しょ、食材?



   満腹丸ちゃん
    ふむふむ、どれも脂がのってて
    美味しそうなのだ~

    よし決めたっ!
    この子は丸焼き、こっちは素揚げ
    そんでこれは煮込みにするのだ!



   倫花
    丸焼き!?



   乱花
    素揚げ!?



   マナ
    煮込み!?



   満腹丸ちゃん
    やっはっは~
    どんな味がするのかなっ
    楽しみなのだ~!



   理事長
    あのね、満腹丸さん
    違うの、そうじゃないの
    この子たちは食材じゃないのよ



   満腹丸ちゃん
    じゃあなんなのだ?
    あっ、わかった!
    ごはんを盛る器なのだ!

    にょったいもり~♪
    にょったいもりもり~♪

    で、誰が誰に盛られるのだ?



   乱花
    お、お姉ちゃん
    コイツ、ブン殴ってもいいかな



   倫花
    だ、ダメだよ~
    ここは堪えて、乱花ちゃん



   乱花
    あの理事長先生
    この子は誰なんですか?
    ていうか何なんですか?



   理事長
    この子は満腹丸さん
    あなたたちと同じVRクラスの
    生徒……なんだけど

    説明が難しいのよねぇ
    こういう子だとしか



   満腹丸ちゃん
    ぬ? 生徒?
    じゃあ食べちゃダメなのだ?



   理事長
    食べちゃダメなのよ



   満腹丸
    なぁんだ
    だったら帰った帰った
    帰えるのだ

    新しいメニューの考案と
    今あるメニューの反芻で
    満腹丸ちゃんはお忙しいのだ



   マナ
    なんだか食べることしか
    考えてないみたいですけど



   満腹丸ちゃん
    食べること以外に
    何を考える必要があるのだ?



   マナ
    え? う、うーん
    そう言われてみれば
    確かにそうなのかも……?



   乱花
    んなワケないでしょ
    丸め込まれないでよね



   マナ
    はっ、危ないところでした
    満腹丸さん、恐ろしい子……



   理事長
    そうそう
    これだけは覚えておいて

    この島では、治療プログラムに
    基づく全ての戦闘行為を推奨します

    いついかなる時、いかなる場所で
    誰を相手にバトルに及んでも構いません

    ただ、食堂内での戦闘は御法度よ
    ここは安全地帯、みんなの憩いの場なの

    決まりを破った子には
    重い罰を科さなくちゃならないわ
    気をつけてね



   倫花
    別にケンカをしに来てるんじゃ
    ないんだし大丈夫でしょ



   乱花
    おっと、そう言えば
    ケンカをしに来てるような奴もいたんだっけ……

    って、あれっ?
    九頭竜の姿が見えないけど
    どこ行っちゃったんだろ

    協調性ないなあ
    どうする?
    探しに行く?



   理事長
    こういうのが好きでは
    ないんでしょう

    この島の中にいる限り
    迷子になるってことはないわ
    好きにさせてあげましょう



   乱花
    理事長先生がそう言うなら
    私は別にいいですけど



   理事長
    それじゃ
    次の区画へ行きましょうか

   (教育区画にて)


    ここが教育区画
    あなたたちが学ぶ学園よ



   倫花
    新しい学校かぁ
    わくわくするね
    乱花ちゃん!



   乱花
    勉強からは逃げられないのか
    とほほ



   理事長
    すぐ隣の区画が商業区画よ
    一般の生徒用の居住エリアになっているわ

    あなたたが住む部屋も用意してあります

    基本的に二人ずつ同じ部屋で
    寝起きしてもらうことになります

    これもパートナーと息を合せる
    という、治療プログラムの一環なの

    倫花さんと乱花さん、それから
    猪名川さんと九頭竜さんが同室よ



   マナ
    わたし、あの子と同室なんですか?



   桃
    私は、それで問題ない



   倫花
    あっ、桃ちゃん
    どこへ行ってたの?



   桃
    馴れ合いはごめんだ
    ああいうのは虫酸が走る



   理事長
    九頭竜さんは問題ないそうだけど
    猪名川さんの方はどう?



   マナ
    それが決まりというならば従います
    この島に知り合いがいるわけでも
    ありませんし……



   理事長
    なら、部屋割りは決まりね

    部屋の場所はマップに
    マーキングしてあるから
    迷うことはないと思うわ

    今日はゆっくり休んでね
    明日から治療プログラムを開始します



   乱花
    ありがとう
    理事長先生



   理事長
    では、失礼するわ



   倫花
    家を出て施設へ行くことが
    決まった時は、少し不安だったけど……

    思ってたよりも、ずっと
    いいところみたいだね

    さっそくお友達もできたし!



   乱花
    お友達ねー
    ま、私はお姉ちゃんさえいれば何でもいいよ



   倫花
    ここで、私たちの新しい
    生活が始まるんだね……



   乱花
    ま、なんとかなるよ

    今までだって
    私たち二人でなんとかしてきたじゃない

     ※ 二人だけでなんとかしてきた、というのは、V-ウイルスに関して?
       それとも両親は家にいないことが多かった?最後まで語られることは無かった




   倫花
    うん、そうだね

    乱花ちゃん
    一緒にがんばって
    V-ウイルスをやっつけようね



   乱花
    うん!



   理事長
    おはよう、みなさん
    昨日はよく眠れた?



   乱花
    はい、もうぐっすり!



   理事長
    それはよかったわ

    それでは、これより
    治療プログラムを開始します



   倫花
    いよいよだね
    ドキドキするなあ



   乱花
    あれ?
    そう言えば他の人たちは?



   理事長
    月影さんたちは、もう次の
    プログラムに進んでいます

    猪名川さんと九頭竜さんは
    スタート地点が違うからここにはいないの



   倫花
    スタート地点?
    あの~治療プログラムって
    何をするんですか?



   理事長
    あななたち二人には
    ここからスタートして
    修練場を目指してもらいます



   乱花
    それだけ?
    楽勝っぽいね



   理事長
    だといいけどね
    うふふ……



   倫花
    気を引き締めていこう
    乱花ちゃん



   乱花
    オッケー、お姉ちゃん
    私たちの息が合ってるところを見てもらおう



   理事長
    準備はいいようね
    では、本日のプログラムを開始します




  1-C-後

  (苦戦した場合 ここから)

  倫花
   あいたたた……

   負けるかと思った



   乱花
    お姉ちゃんってば
    危なっかしいんだから



   マナ
    息を合わせるという点では
    姉妹である二人に利があった
    ということでしょうね



   桃
    私がリブレイターだったら
    負けはしなかったんだ



   マナ
    そう思うのなら
    次回は勝ちましょう
    ね、桃さん

   (苦戦した場合 ここまで)




   (余裕の場合 ここから)

   乱花
    私たちの勝ちみたいだね



   桃
    くっ
    こんなはずじゃ……



   倫花
    桃ちゃん!
    マナちゃん!
    ケガしなかった?



   マナ
    ありがとう
    私たちなら大丈夫です

    さすがに即席のペアじゃ
    息の合った姉妹には敵わなかったと
    いうところでしょうか



   桃
    ……ふん



   マナ
    悔しいのは私も同じですよ
    でも、今は潔く負けを認めましょう
    ね、桃さん

   (余裕の場合 ここまで)




   理事長
    四人とも、素晴らしい戦いだったわ



   桃
    負けた戦いに意味などない
    ここが戦場だったら、私も
    猪名川も死んでいた

     ※ シナリオの早い段階で伏線が張られている



   理事長
    でも、ここは戦場じゃない
    V-ウイルスの治療のための
    プログラムなのよ

    負け戦にだって大きな意義があるわ



   マナ
    そう言っていただけると
    少しは気も休まります



   理事長
    では、これからあなたたちを
    教える先生を紹介するわね



   倫花
    先生?
    どこにいるんですか?



   理事長
    もういるわよ
    あなたたちの目の前に



   乱花
    へっ?
    そんな人、どこにも――



   ???
    お前たち……



   倫花
    え?
    ねえ、乱花ちゃん
    今何か言った?



   乱花
    ううん、私じゃない
    でも私にも聞こえた!



   倫花
    でも、誰もいないよね……



   ???
    どこを見ているのだ……



   乱花
    わわわわっ
    岩山が動いた!?



   桃
    岩山じゃない
    こいつは……ヴァルキリーだ

     ※ 改造されたヴァルキリーが兵器とされていることを、桃は勘付いている。
       記憶は深く沈んでいても、この事は多少覚えていたのだろう




   ???
    お前たちが新しい候補者か



   乱花
    でっか!
    超でっかい!!
    なんだこれ!?



   倫花
    あなたが私たちの先生……
    なんですか?



   ???
    いかにも



   理事長
    紹介するわ
    コンゴウ先生よ

    彼女は、このビクニを守護する
    四神の一人にして、あなたたちを
    指導する教官でもあります



   コンゴウ
    我がコンゴウだ
    見知りおいてもらおう



   倫花
    四神……
    すごい……
    まるで力の結晶みたい……

     ※ 倫花は鋭い。
       四期生までの生徒と常にドライヴしている四神は、正に力の結晶




   桃
    つまりお前を倒せば
    治療プログラムとやらを完了できるのか?



   マナ
    ちょ、ちょっと桃さん
    先生に対して失礼でしょう?



   コンゴウ
    ガッハッハッハッハ!!
    今年の新入生は威勢がいい者が
    多いようだな

    いずれ、お前たちとも
    拳を交える時が来よう

    だが、今はまだその時ではない
    己の魂と力を磨くのだ



   倫花
    はいっ、コンゴウ先生!
    これからよろしくお願いします!



   乱花
    早く先生と一発やりあってみたいね
    そうなれるようにがんばるよ!



   マナ
    未熟者ですが、せいいっぱい
    勉強させて頂きます



   桃
    私たちを甘く見て
    足元をすくわれないように気をつけるんだな

     ※ ビクニの未来を暗示していると言える



   コンゴウ
    ではプログラムを続けよう
    まずは走り込みからだ
    島の外周を10周してこい



   乱花
    えっ、走り込み?
    なんか地味じゃない?



   コンゴウ
    文句を言うな!
    走れ!!



   倫花
    ひゃわっ!!



   乱花
    ごごごごめんなさい先生!
    走ってきますう!!



   コンゴウ
    ふん
    面白い連中を集めたものだ



   理事長
    ええ、期待の新人ですもの



   コンゴウ
    我の持つ全てを、あの子らに伝えよう
    それしか我にはできぬ
    それしかやり方を知らぬ

    だが、いいのか?



   理事長
    あの子たちは、
    きっと私たちの期待に応えてくれる

    そう信じているわ

     ※ VR-クラスの生徒は、島を守護する為の後継者を育てる目的もある。
       新たな四神と司政官





 Drive02. 一匹狼とエリート


  2-A-前

   (一般区画にて)

   マナ
    桃さん
    どこへ行ったんでしょう……

    桃さーん!
    桃さーん!



   桃
    ここにいる



   マナ
    あっ、桃さん



   桃
    何か用か?



   マナ
    用というわけじゃないんです
    ただ朝起きたら姿が見えなかったものですから

    迷子にでもなったのかもって
    心配になってしまって



   桃
    大きなお世話だ



   マナ
    今日から学校が始まるでしょう
    一緒に登校しませんか?



   桃
    断る



   マナ
    え、えーっと
    私、もしかして桃さんに
    嫌われちゃってます?



   桃
    自意識過剰だな
    お前など、どうでもいい



   マナ
    じっ……そ、そうですか
    どうでもいい、ですか
    あは、あははは……

    私は桃さんと仲良くなりたいです
    同室になったのも何かの縁ですし



   桃
    他人より、自分のことを心配した方が
    いいんじゃないのか?



   マナ
    どういうことですか?



   桃
    これまでの戦い振りを見る
    限りじゃ、一番最初に脱落するのは
    猪名川、おまえだ



   マナ
    それは……



   桃
    脱落するのは勝手だが
    私の足を引っ張るなよ



   マナ
    あっ、桃さん!
    ああ、行っちゃった
    まだ話したいことがあったのに

    どうしてこうなっちゃうのかしら……

    部屋にいても一言も喋ってくれないし
    息が詰まっちゃう

    それにしても、言われてしまいましたね

    他人より自分のことを考えろ
    ですか

    桃さんが言うように、現状で私が
    VR-ウイルスを制御しきれて
    いないというのも事実でしょう

    どうにかして
    脱落だけは免れなくては……

    VR-ウイルスなんて病気にかかった
    おかげで、人生お先真っ暗だと
    思っていたけれど

    どうやら、まだあきらめるには
    早いようですしね



   倫花
    おはよう、マナちゃん



   乱花
    おはよう、猪名川



   マナ
    おはようございます
    倫花さん、乱花さん



   乱花
    こんなところでどうしたの?
    一人でブツブツ喋ってたみたい
    だけど、コントの練習か何か?



   マナ
    コント?
    ち、ちがいます

    桃さんを探していたんです
    見つけたけど逃げられてしまって

    ふう、私、桃さんから
    嫌われてしまったのかも……



   倫花
    ええ~?
    そんなことないよ

    マナちゃん
    優しいしいい人だし



   マナ
    そうでしょうか
    でも桃さんと二人きりだと
    まるっきり会話がなくて



   倫花
    うわぁ
    それって息が詰まりそう



   マナ
    私たちの目的は一致しているわけでしょう?



   倫花
    VR-ウイルスを制御できるように
    なることだよね



   マナ
    その通りです
    目的のために、お互いに協力できれば
    いいんですけど



   倫花
    そうだね
    私も早く病気を治して
    お家に帰りたいなぁ



   マナ
    帰る?



   倫花
    そうだよ
    普通が一番だと思わない?

    普通に学校へ行って
    普通に友達と遊んで

    もしかしたら
    恋もしちゃったりして
    えへへへへ



   マナ
    乱花さんは?
    どう考えているんですか?



   乱花
    私?
    私はお姉ちゃんといられれば
    それでいいよ

    VR-ウイルスがお姉ちゃんを
    守るための力になるなら
    ためらわずに使うし

    お姉ちゃんと一緒にいるのに
    障害になるって言うんなら
    制御でも封印でもするし



   マナ
    ありがとう
    考え方は人それぞれですね



   倫花
    マナちゃんは、病気が治ったら
    どうするつもりなの?



   マナ
    この島にいる間は、一生懸命
    VR-ウイルスを制御する術を学ぶつもりです



   乱花
    島から出たらどうするの?
    ウイルスの力でプロレスラーにでもなる気?



   マナ
    なりません!
    コントとかプロレスとか
    私を一体何だと思ってるんですか



   乱花
    じゃあ、何をするの?



   マナ
    知ってますか?
    V-ウイルスから得られた研究結果は
    色んな分野で役立っているんですよ

    それでも、V-ウイルスにはまだまだ
    謎が多いんです

    自分が感染者であることを生かして
    そういう研究に携わることができたら
    いいなって思っています



   乱花
    はー、猪名川は立派だね
    ちゃんと考えてるんだなー



   マナ
    そんなことはありません

    治療が終わって一般社会に戻った時
    私が誇れるのは、このVR-ウイルスの
    力だけですから……

    ※ マナは孤独?



   倫花
    そろそろ教育区画へ向かわなきゃ
    遅刻しちゃうよ



   マナ
    私は桃さんを探してから行きます



   倫花
    私たちも一緒に探そうか?



   乱花
    うぇ!?
    九頭竜なんて放っておこうよ

    向こうが仲良くしたくないって
    言ってるんだしさあ



   マナ
    そうかも知れませんけど……
    私、もうちょっと探してみます

    私だけで大丈夫ですから
    お二人はお先に行っててください



   倫花
    うん、分かったよ
    じゃあ教室でね



   乱花
    一応、先生には私から
    猪名川が遅れるって伝えとくよ



   マナ
    ありがとう、乱花さん



   乱花
    んじゃ、がんばってね
    行こう、お姉ちゃん



   倫花
    う、うん



   マナ
    さてと、桃さんを探すとしましょうか

    初日から遅刻は印象が悪いですものね

    桃さーん!
    桃さーん!!


   (教室にて)

   倫花
    病気の療養だから
    せめて普通の勉強はしなくて
    済むと思ったのに~



   乱花
    そんなに甘くなかったね



   倫花
    乱花ちゃん
    授業、理解できた?



   乱花
    あんまり自信ない……



   倫花
    じゃあ問題を出してあげる
    V-ウイルスの感染者は、通称
    なんと呼ばれるでしょうか



   乱花
    えっと、あれだよ、あれ



   倫花
    ぶ~っ、時間切れ!
    答えは『ヴァルキリー』でした



   乱花
    それね、それ!
    そうそう、ヴァルキリー!

    ていうかさ、だいたい
    V-ウイルスの歴史なんて
    学ぶ必要があるのかな



   倫花
    私たち自身のことだもん
    ちゃんと知っておきたいよね



   乱花
    うぐぐ
    返す言葉もないよ……



   倫花
    そう言えば、今朝
    マナちゃんがV-ウイルスに
    ついて教えてくれたよね

    マナちゃ~ん!
    よかったら勉強教えてくれない?



   マナ
    ふぇ?
    なんですか?

    ごめんなさい
    お話を聞いていませんでした



   倫花
    どどどうしたの、マナちゃん!
    今にも死にそうな顔して!



   マナ
    ただの貧血です……
    しばらくじっとしてれば良くなりますから



   乱花
    ああ、朝っぱらから九頭竜を
    探して街中を走りまわったんだもんね



   桃
    午後からはVRクラスの
    治療プログラムだ

    今からそんな青い顔していて
    訓練についていけるのか?



   乱花
    ちょっと、九頭竜
    猪名川が、誰のために青い顔を
    してると思ってるの?



   桃
    知らないな



   マナ
    いいんです、乱花さん
    私が勝手にしたことですから



   乱花
    だけど



   桃
    これだけは言っておく
    自己管理ができない者は
    真っ先に死ぬぞ



   乱花
    またそれ?
    そう簡単に死なないっての



   九頭竜
    おまえ
    随分と甘い環境で生きてきたんだな



   乱花
    はあ?



   マナ
    いいんです、乱花さん
    桃さんの言いたいこと私にもわかりますし



   九頭竜
    ……先に修練場へ行っている



   乱花
    何なんだよ、アイツ!
    ムカつくなぁ



   倫花
    なんとか仲良く
    できないかなぁ



   マナ
    いいんです
    これは私と桃さんの間の問題ですもの



   倫花
    違うよ
    私たちの問題だよ



   マナ
    そう……ですね

    取りあえず勉強の方は
    私でよければいくらでも頼って下さい



   乱花
    それは助かるよ~!
    猪名川がいて良かった!


   (修練場にて)

   マナ
    96……
    97……
    はあ、はあっ



   倫花
    98、99……
    わたし、もうダメ……



   乱花
    ひゃくっ!
    コンゴウ先生、終わったよ!



   コンゴウ
    では今の腕立て伏せと腹筋
    そしてスクワットのセットを
    もう200回、繰り返すのだ



   乱花
    今のを200回!?
    全然無理だよぉ~!



   コンゴウ
    無理だと?
    桃は既に基礎トレーニングを
    終えて走り込みに向かったが



   乱花
    無理じゃない!
    やればいいんでしょ!
    負けるもんか!



   マナ
    先生
    質問してもいいですか?



   コンゴウ
    よかろう



   マナ
    V-ウイルスを治療する方法は
    ウイルス保持者同士で戦うしか
    ないと聞きました



   コンゴウ
    その通りである



   マナ
    では、このトレーニングに
    どんな意味があるんですか?

    V-ウイルスの能力を使わなければ
    治療にならないはずです



   コンゴウ
    お前たちは、まず基礎体力を
    つけねばならぬ

    よく聞け

    エクスターとリブレイターが
    戦闘行為に及ぶ際に、共通して
    観測される現象があるのだ

    研究者たちは、それを
    ドライヴと呼んでいる

    つまりドライヴを起こすこと
    こそが、V-ウイルスの力を使うと
    いうことに他ならないわけだが

    ドライヴを維持するには
    体力と精神力を大きく消耗する

    まずは体力がなければ
    治療のための戦いすら
    満足にできぬということだ

     ※ 治療法はまだ見つかっていない。
       四神の体内にヴァルキリーを取り込み、
       ドライヴし続けることで時を止めることが出来る




   マナ
    納得しました
    トレーニングを続けます

    (独白開始)

    それしかないのなら
    やるしかないでしょう……

    (独白終了)



   コンゴウ
    とはいえ
    地味な筋トレばかりでは飽きも来よう

    レクリエーションの要素もなければな



   乱花
    おっ、さすがは先生!
    話が分かる~!



   倫花
    何をするんですか?
    ハンカチ落とし?
    ドッジボール?



   コンゴウ
    ここでレクリエーションと
    言えば実戦と決まっている

    それぞれでペアを組むのだ



   倫花
    それ、昨日もやりましたけど



   コンゴウ
    実戦は、毎日やっても飽きないものだ



   倫花
    それ、コンゴウ先生だけじゃ……



   乱花
    よっし
    今回は私がリブレイターをやろっか



   倫花
    はいはい
    乱花ちゃんに任せるわ



   桃
    ということは
    私と組むのはお前か



   マナ
    ごめんなさい
    また私とペアになってしまって



   桃
    誰でも同じだ
    どうでもいい

    お前は大人しく武器になって
    私に振るわれていればいい



   マナ
    いいえ、今回は私が
    リブレイターをやります

    同じ相手に二度も負けるのは
    自分が無能だと宣伝するようなものですし

    良い機会です
    進んで実力を示してみせなければ



   桃
    ふん
    いいだろう
    好きにしろ



   コンゴウ
    手順は簡単だ
    最後まで生き残れ

    では実戦訓練を開始するッ!




  2-A-後

   コンゴウ
    そこまでッ!



   マナ
    やった!
    勝ちました!



   桃
    ああ、そうだな



   マナ
    私たちの勝ちですよ!



   桃
    分かってる
    大きな声で騒ぐな
    抱きつくな

     ※ やはり好意を寄せているのが感じられる。
       他の者と組んで勝利しても、マナはこういった態度は見せない




   マナ
    桃さん、このあと時間あります?
    二人で祝勝会をしませんか?



   桃
    断る



   マナ
    あ、あのっ、桃さん!



   桃
    なんだ?



   マナ
    これで少しは私の実力を
    認めてくれますか?



   桃
    お前の実力?
    バカバカしい

    私がドライヴしたんだ
    勝って当たり前だろう

    くれぐれも勘違いするな
    お前の力じゃない
    私の力だ



   マナ
    そう……ですか



   桃
    今日の治療プログラムは
    これで終わりだな
    では先に帰る



   マナ
    あっ、桃さん!!

    勝っても当然
    負ければ私のせい

    だったら私は
    どうすればいいのよ!
    もうっ!



   コンゴウ
    修練を積むしかあるまい



   マナ
    それで桃さんからの
    いいえ、みんなからの
    信頼を得られるのでしょうか?



   コンゴウ
    それは分からん
    だが――

    我らヴァルキリーは
    強くなければ生きては行けぬ

    それを努々忘れるな

     ※ AAAの脅威、ウイルスの制御



   マナ
    はい……



   乱花
    お姉ちゃん
    次は何食べよっか?



   倫花
    まだ食べるの!?



   乱花
    当たり前でしょ!
    ヤケ食いだもん!



   倫花
    そんなに悔しいかなぁ
    前回は私たちが勝ったんだし
    別に気にしなくても~



   乱花
    私も勝って当然とは
    思ってなかったよ

    でも負けるとも思ってなかった
    そういう自分の甘さに腹が立つ!

    食べなきゃやってらんないよ!
    アイスクリームにする?
    それともクレープ?



   倫花
    あんまり食べると太るよ?



   乱花
    ぐッ……
    太るのはイヤだな……

    じゃあじゃあお腹ごなしに
    この島を探検しようよ!



   倫花
    それは悪くないかも!
    探検っていうか観光だね

    ここへ来てから
    ゆっくりする時間もなかったもんね



   乱花
    そうと決まったら
    さっそく出掛けようよ

    お姉ちゃんとデートだ!
    ひさしぶりだな~




  2-B-前

   (エリート区画にて)

   倫花
    こうやって歩いてみると
    結構広い島なんだね~

    一日じゃ全然見切れなかった



   乱花
    楽しみが増えていいじゃない



   倫花
    で、私たち、どこへ向かってるの?
    日が暮れる前に帰らないと



   乱花
    えっと、それがね……

    んっと、ええっと
    こっちでいいのかな
    この地図、見にくいなあ



   倫花
    なんだか人気のない通りに
    出ちゃったよ?



   乱花
    ちょっと今話かけないで
    わかんなくなっちゃう



   倫花
    もしかして迷ってる?



   乱花
    違う違う
    迷ってなんかないから

    自分の居る場所がどこか
    ちょっと見失っただけ



   倫花
    そういうのを迷子って
    言うんじゃないの?



   乱花
    いいからお姉ちゃんは黙ってて
    私に任せておけば大丈夫だから



   倫花
    はいはい
    分かりました

    へえ、こんな場所もあるんだ
    なんかオシャレして洗練されてるって
    感じの街並みだね

    私たちが住んでる一般的な区画の賑やかな
    雰囲気もいいけど、こういうのも憧れちゃうなあ



   ヴァイオラ
    あら?
    どうしてあなたたちが
    こんなところにいるわけ?



   倫花
    わっ、すごい派手な衣装!
    それに負けないくらいの
    美人さんだ



   乱花
    ってか誰?
    私たちのこと
    知ってるの?



   ヴァイオラ
    神楽坂倫花と乱花――
    新しくVRクラスに入った
    ザコの内の二人でしょう?



   乱花
    ザコ?
    誰のことを言ってるのかなぁ?
    つうかあんた誰?



   ヴァイオラ
    まあ、いいわ
    自己紹介くらいはしておきましょうか

    私ははヴァイオラ
    VR-クラスのナンバーワンよ
    覚えておきなさい



   倫花
    クラスメイトの人だったんだ!
    ちょうどよかった

    ねえ、ヴァイオラちゃん
    私たち迷子になっちゃって



   ヴァイオラ
    ヴァ、ヴァイオラちゃん?
    あなた、ちょっと馴れ馴れしいんじゃない?



   倫花
    えっ、親しみを込めたつもり
    だったんだけどなぁ



   ヴァイオラ
    はあ、調子が狂うわね
    好きなように呼べばいいわ

    どうせすぐに『様』づけで
    呼びたくなる



   乱花
    まあアレだよ
    そういうのは取り合えず横に置いといてさ



   ヴァイオラ
    なに?



   乱花
    私たち全然迷子じゃないんだけど
    ここがどの辺か教えてくれない?



   ヴァイオラ
    ここはエリート区画よ



   倫花
    エリート区画?



   ヴァイオラ
    優秀な成績を修めた者だけが
    特別に居住を許される区画なの

    広くて快適な部屋はもちろん
    日常の家事をこなすメイド用の
    ロボットも支給されるわ



   乱花
    メイド用ロボット!!
    それって洗濯とか掃除をしてくれるわけ?



   ヴァイオラ
    ええ

    日常の雑事ごときで
    エリートの手を煩わせるべきでは
    ないという考え方なのよ



   乱花
    へえ、うらやましいな
    宿題もメイドロボがやってくれたら
    いいのにね



   ヴァイオラ
    はっ
    そういう発想が底辺そのものだわ

    一騎当千の実力
    容姿端麗な美貌
    頭脳明晰な成績

     ※ “頭痛が痛い”のように、同じ意味を繰り返している


    ここに住むためには
    それらが必要なの
    分かる?



   乱花
    その条件だと、私は
    容姿しかヴァイオラに勝てないね……

    悔しいけど
    それは認めるよ



   ヴァイオラ
    姉が馴れ馴れしければ
    妹は図々しいのね……

    とにかく、あなたたちのような
    ゴミクズ風情が立ち入っていい
    場所ではないのよ

    話が理解できたなら
    さっさと出て行きなさい



   乱花
    ヴァイオラ、あんたこそ
    理解してないんじゃない?

    こっちは、その出て行き方が
    分かんないって言ってるの



   倫花
    やっぱり迷子だったんだね
    乱花ちゃん……



   ヴァイオラ
    なるほど
    理解したわ

    あなたが、私の予想の遥か下方を
    かいくぐるバカだってことをね



   乱花
    あのさ
    念のために聞くけど

    もしかして
    ケンカ売ってんの?



   ヴァイオラ
    私のケンカは安くないわよ
    すくなくともあなたたちの実力では
    買い取れないでしょうね



   倫花
    乱花ちゃん
    ケンカはダメだからね



   乱花

    わかってるよ、お姉ちゃん
    わかってるけど……



   ヴァイオラ
    帰り道なら教えてあげる
    バカにも分かるように丁寧にね



   倫花
    ありがとう
    ヴァイオラちゃん

    ほら、乱花ちゃんも
    お礼を言わなきゃ



   乱花
    ぐぐぐ……
    ありがとうございます!

    この借りは、実戦訓練で
    倍にして叩き返してやる



   ヴァイオラ
    捨て台詞という奴ね
    負け犬にはお似合いよ



   倫花
    ほら、行こう
    遅くなっちゃうよ



   乱花
    お姉ちゃん、引っ張らないで!

    ヴァイオラ!
    覚えておきなさいよ!



   ヴァイオラ
    小春は気にしてたみたいだけど
    正直ガッカリだわ

    やはり私のライバル足り得るのは
    小春だけみたいね

    ま、ザコが何人増えようと
    私は私がやりたいようにやるだけ

    私が一番だってこと
    あの子たちに思い知らせてあげるわ



   (修練場にて)

   マナ
    桃さん、いったいどこへ
    行ってしまったのかしら……

    何をしようと勝手ですけど
    行方不明になられて困るのは
    ルームメイトの私なんです

    せめて居場所くらいは
    教えておいてくれないと



   桃
    991、992……



   マナ
    この声……
    どこから聞こえるのかしら
    ……あっ



   桃
    999、1000っと
    ふう、スクワットは終了だな
    次のメニューは……

    ……!!

    そこに隠れているのは誰だ!!
    ゆっくり出てこい!



   マナ
    あの、私です
    盗み見しようとしたわけじゃなくて……



   桃
    ……おまえか
    私に関わるなと言ったはずだ



   マナ
    ねえ、桃さん
    私たち、一度ちゃんとお話し合う
    必要があると思いませんか?



   桃
    話すことなどない



   乱花
    んがーっ、腹が立つ!
    ムカつく! キレそうだよ!



   倫花
    ねえねえ、乱花ちゃん
    これ、帰り道あってるの?
    また迷子になってない?



   乱花
    ヴァイオラの奴ったら
    エリートだか何だか知らないけど
    こっちのこと見下しちゃってさ

    今に見てなさいよ

    訓練でボッコボコにして
    あのキメキメの髪型を可愛く
    結い直してやるんだから!



   桃
    騒がしい奴が出てきたな



   乱花
    あれっ
    桃ちゃんとマナちゃん!
    こんなところでどうしたの?



   乱花
    もしかして秘密の特訓?
    いいね、そーゆーの好きだな



   マナ
    ちょ、ちょっと二人とも
    今は私と桃さんが話をしている最中で……



   乱花
    そうだ! ねえ二人とも
    せっかくだから、ちょっと手合わせしない?

    身体を動かして発散しないと
    イラついて眠れそうになくてさ



   マナ
    そんな勝手な行為が
    許される訳ないでしょう?
    桃さんからも言って下さい



   桃
    ああ
    私は誰の挑戦も受ける
    かかってこい



   マナ
    ほら、桃さんだって断っ……
    ええ? あの、桃さん?
    そうじゃなくてですね



   理事長
    はいはい
    何かモメてる?



   倫花
    うわっ!
    ビックリした!



   理事長
    そうよ
    みんなの理事長先生よ~
    困った時には私を頼りなさい



   マナ
    あの乱花さんが、いきなり
    対戦を申し込んできたんです

    桃さんも何故か乗り気で
    このままじゃ本当に戦闘になってしまいます

    理事長先生からも二人に言ってやってください



   理事長
    別にいいわよ?



   マナ
    えーー
    い、いいんですか?



   理事長
    この島では治療プログラムに
    基づく全ての戦闘行為を奨励すると
    伝えたはずよ

    要は、治療に役立つデータが
    取れるなら、何をしてもいいわ

    それであなたたちの治療も
    進むなら、一石二鳥じゃない?
    どんどんおやりなさいな



   マナ
    えーっと、その~
    ……ちらっ



   乱花
    さあ、やろうか!
    かかってきなよ!



   桃
    次は負けない
    覚悟するんだな



   倫花
    完全に盛り上がっちゃってるね~
    止める理由も見つからないし
    どうする? マナちゃん



   マナ
    もうっ
    仕方ないですね

    戦いが終わったら
    ちゃんとお話してくださいね
    桃さん、約束ですよ?



   乱花
    ムシャクシャしてたし
    ちょうど良かったよ

    身体動かしていっぱい汗かいて
    スッキリさせてもらうよ!




  2-B-後

   (苦戦した場合 ここから)

   乱花

    ふう……
    わたしたちの勝ちだね



   倫花
    乱花ちゃん、大丈夫?
    何度か危ないところがあったけど



   乱花
    もっと修行が必要かな

    強くなって、お姉ちゃんを
    守る力を手に入れなきゃ

   (苦戦した場合 ここまで)



   (余裕の場合 ここから)

   乱花
    しゃあっ!
    完・全・勝・利!



   倫花
    お疲れさま、乱花ちゃん
    絶好調だね



   乱花
    任せといて!
    今なら誰にも負ける気がしないもん!

   (余裕の場合 ここまで)




   マナ
    くうっ
    また負けてしまいました……



   桃
    まあ、こんなものだろう



   マナ
    どうして桃さんは、負けても
    平然としていられるんですか?
    悔しくないんですか?



   桃
    試合には負けた
    でも死んだわけじゃない

    それに今の戦いで、私たちは
    まだまだ強くなれると分かった

    私はその手応えが得られただけで十分だ



   マナ
    ……

     ※ 前と言っている事が違うような……と思っているのだろう。
       先には実戦だったら死んでいた、負けた戦いに意味など無いと言っていた



   乱花
    ていうかさ、猪名川はなんで
    修練場なんかにいたわけ?



   マナ
    え?
    それは……その



   倫花
    桃ちゃんのことが
    放っておけなかったんだよね



   マナ
    そ、そういうわけじゃないんですけど



   乱花
    またまた、謙遜しちゃって~
    九頭竜は、猪名川に感謝しなくちゃだね



   桃
    感謝?
    私が?



   乱花
    そうだよ

    ルームメイトだからって、こんなに
    親身になってくれる人って
    なかなかいないよ



   倫花
    マナちゃんみたいないい人が
    ルームメイトで良かったね~



   マナ
    べ、別に私はいい人というわけじゃ
    なくて、そういうの困るんです
    私はただ――

     ※ いい人扱いに戸惑うマナ、心変わりしたあとでも、奥底では変わらない




   倫花
    とっても優しいし
    お勉強も教えてくれるし



   乱花
    いい匂いがするし
    おっぱいも大きいし



   マナ
    ひゃんっ!

    ちょっと乱花さん!
    どさくさに紛れて、どこを
    触ってるんですか!?



   乱花
    ほら、九頭竜も触っておきなよ
    こんなチャンス、滅多にないよ



   桃
    そうか? では……
    ふむ、なかなか良い大胸筋だな
    前鋸筋も三角筋も悪くない



   マナ
    ちょ、ちょっと桃さんまで!!
    あはっ、あはははは!
    くすぐったい!!



   桃
    褒められているんだ
    素直に受け入れればいい



   マナ
    わ、私がいい人だとか
    そういうのはどうでもいいんです
    それよりも、ちゃんとお話を――

    もうっ!
    みなさん、放してくださいってば!
    てーいっ!!



   乱花
    あっ、猪名川が逃げた!



   マナ
    いずれ、ちゃんとお話を聞いて
    もらいますからね!!



   桃
    いい人扱いされたのが
    余程イヤだったようだな



   乱花
    別にいいじゃんね

    私だったら、周りのみんなに
    いい人って言われたら嬉しいけどね



   桃
    私に取ってはどうでもいいことだ
    次は負けない



   乱花
    行っちゃった
    九頭竜も何を考えてるんだろ
    いまいちわかんないな



   倫花
    複雑なお年頃なのよ
    マナちゃんも、桃ちゃんも

    あの二人に負けないように
    私たちも、がんばって治療に励みましょう



   乱花
    そうだね
    まずは体力をつけて地力を固めなくちゃ

    待ってなさいよ、ヴァイオラ
    すぐに追いついてやるんだから!





 Drive03. 治療プログラム開始


  3-A-前

   (一般区画にて)

   乱花
    ふう、今日もいいお天気だね



   倫花
    どうしたの? 乱花ちゃん
    何だか元気ないみたい



   乱花
    そんなことないよ



   倫花
    もしかしてVR-ウイルスのことで
    悩んでる?



   乱花
    悩んでなんてないよ

    ビクニでの生活にも
    慣れてきたところだし



   倫花
    そっか
    ここに来る前のことを思い出してたんだ……



   乱花
    そんなことないってば
    私はここの生活に満足してる



   倫花
    私だってそうだよ

    お父さんとお母さんが苦労して
    いい島を見つけて送り出してくれたんだもの



   乱花
    はあ? 送り出した?
    追い出したの間違いじゃなくて?

    お姉ちゃんも知ってるでしょ
    あの人たち、私とお姉ちゃんを
    お金で売ったんだ



   倫花
    売ったなんて言い方
    すべきじゃないわ

    確かにお金の受け渡しはあった
    みたいだけど……

    でもそれでも、きっと必要なことだったのよ

    大人の世界のことは
    私たちにはわからないよ

    でもね、乱花ちゃん
    私、これだけは信じてるの

    お父さんとお母さんが
    愛してくれてたから
    私たちはここにいるんだって

    感謝しなくちゃね

     ※お金の受け渡し……確かに疑ってしまうかもしれない。
       今までも二人で何とかしてきた、という言葉も引っ掛かる




   乱花
    ふうん
    お姉ちゃんはそう思ってるんだ

    (独白開始)

    私には、そうは思えないよ

    あの人たちは、私とお姉ちゃんが
    病気になったから捨てたんだ……

    (独白終了)

    ま、どっちでもいいけど

    今この瞬間、この島で
    私はお姉ちゃんと暮らしてる
    それだけは本当のことだもん



   倫花
    それは……うん
    そうだね



   乱花
    今日もがんばって
    治療プログラムを進めようよ



   倫花
    うんっ
    早く病気を治して
    二人でおうちへ帰ろう



   乱花

    (独白開始)

    治療プログラムの成績だけが
    今の私たちの価値を決めるんだ

    もし治療が思うように
    進まなかったら……

    きっと、この島からも
    追い出されちゃうよ

    そうならないためにも
    一生懸命やらなくちゃ

    私たちの生活は誰にも邪魔させない

    私がお姉ちゃんを守るんだ……!!

    (独白終了)

     ※ カオスルートへの布石

    お姉ちゃん、教室まで
    どっちが早く着けるか競争しようよ

    その方がトレーニングにもなるし



   倫花
    う、うん
    いいけど



   乱花
    んじゃ、負けた方が
    ポイントでスウィーツのおごりね!

    よーいどんっ!
    お先ぃ!!



   倫花
    わっ
    乱花ちゃん
    ズルいよ!!

    でも、乱花ちゃんの
    元気が出たみたいでよかった

    さっ
    私も急ごう!



   (教室にて)

   マナ
    あのね、桃さん
    話を聞いて欲しいの



   桃
    話すことなどない
    私の邪魔をするなと言ったはずだ



   マナ
    大事なお話なんです
    5分でも10分でもいいから
    お話をしませんか?



   桃
    強くなること以外に大事な話なんてあるのか?



   マナ
    価値観は違っても
    協力し合うことはできると思うんです



   桃
    10分もあれば学園の外周を
    一周できる



   マナ
    え、ええ
    そうですね



   桃
    だったら、お前と話している
    ヒマなんてないのは分かるな?



   マナ
    えっ……



   桃
    指示があれば誰とでも組む
    それ以外では誰にも頼るつもりはない

    一人で走ってくる



   マナ
    あっ、桃さん!
    ……もう

    どうしたらいいのかしら……



   越後屋
    まいど!
    越後屋でござ~い!



   マナ
    あら、こんなところまで
    出張ですか?

    生憎ですけど
    今はお買い物の用事なんて……



   越後屋
    マナちゃん
    何か困ってるんじゃない?

    困った時の越後屋頼みってね
    ポイント次第で何でも承るよっ



   マナ
    人の弱みにつけ込んで営業ですか
    大した企業ポリシーですね



   越後屋
    そう言われると困っちゃうね
    良かれと思ってやってるんだけど~



   マナ
    では、パートナーを売って
    くださいますか?



   越後屋
    そればっかりはちょっと……
    えっちゃんにもできることと
    できないことがあるし~



   マナ
    だったら、私はどうすれば
    いいんですか?

    桃さんとペアを組んで
    訓練するどころか、まともに
    話も聞いてもらえないんです



   越後屋
    あはは、見てた見てた
    見事なまでのフラレっぷりだったねぇ



   マナ
    笑い事ではありません



   越後屋
    思うままをぶつけ合えば
    時には意見が衝突することもあるっしょ

    若いっていいね~
    うんうん



   マナ
    越後屋さん
    私の話、聞いてます?

    桃さんの気分次第で、私だけ
    ペアを組めないかも知れないんです

    これって、神楽坂姉妹に比べて
    大きなビハインドじゃありませんか?
    不公平でしょう

    あなたや理事長先生から
    何とか言ってもらえません?



   越後屋
    気持ちは分かるんだけど
    えっちゃんも理事長ちゃんも
    中立の立場だからさ

    自由に一人で訓練したいっていう
    桃ちゃんの意向も汲まなくちゃ
    ならないわけ



   マナ
    つまり、何もしてくれない
    ってことですか



   越後屋
    そうは言ってないけどぉ



   乱花
    ゴール!
    一着!
    私の勝ち!



   倫花
    はあ、ふう
    やっと追いついた
    私の負け~



   マナ
    倫花さんも乱花さんも
    遅刻ですよ

    気が緩んでるんじゃありませんか?

     ※ この辺りから、不遇に気色ばむことが増え出す



   乱花
    猪名川、何かイラついてる?



   マナ
    別に



   乱花
    5分遅れたら、5分余分に
    訓練すればいいだけじゃない



   マナ
    はあ……
    いつでも好きな時にペアを
    組める人は、気楽でいいですね



   倫花
    あれ?
    そういえば桃ちゃんは?



   マナ
    一人でランニングへ行ってしまいました



   乱花
    置いてけぼりを食って
    途方に暮れてるわけだ
    で、イライラしてんの?



   マナ
    誰とペアを組めるかは
    私に取っては死活問題なんです



   乱花
    他の連中はどうしたの?

    相部屋だからって九頭竜と
    組まなくちゃいけないって
    決まりでもないわけでしょ

    VRクラスって、私たちだけじゃないんだし



   マナ
    それです!
    乱花さん!

    越後屋さん
    他のクラスメイトはどうしたんですか?

    治療プログラムで姿を見たことが
    ありませんけど



   越後屋
    あ~、あの3人のことか~

    ヴァイオラちゃんは、通常の授業
    なんてバカバカしいって言って
    受けようともしないんだよね

    VR-ウイルスを利用した戦闘に
    おいては、小春ちゃんにも劣らない
    実力者なのは確かなんだけど

    エリート意識が強過ぎて
    他の子と馴染もうとしないのが
    問題って感じかな~



   マナ
    満腹丸さんは?
    どうして授業に出ないんですか?



   越後屋
    あの子もな~
    潜在能力はあるんだよ

    入島試験では、かなりの
    好成績を記録しているし

    ただ、入島してからは
    ず~~~~~っ食べてばっかりで
    授業を受ける気がないみたい



   マナ
    そんなのサボりじゃないんですか!
    そんなことでいいんですか?



   越後屋
    二人とも定期戦ではきちんと
    結果を残しているんだよね

    エリート地区に住むのも
    ずっと食べ続けるのにも
    ポイントが必要なわけでしょ

    彼女たちは
    授業をサボリ倒してるだけで
    やることはやってるワケよ



   倫花
    そんなアバウトな感じで
    VR-ウイルスを治療できるの?



   越後屋
    さあ?
    治す気があるのか、それとも
    ないのかは知らないね~

    ただ満腹丸ちゃんにしても
    ヴァイオラちゃんにしても
    得がたい才能であるのは事実だよ



   マナ
    ビクニとしては、ある程度の勝手を
    許しても手放したくはない存在だと?



   越後屋
    ま、そゆこと
    えっちゃんにとってもお得意様だしねぇ



   倫花
    小春ちゃんは?
    授業をサボったりするような
    印象じゃなかったけど



   越後屋
    小春ちゃんは別だよ
    なにしろ五期生筆頭だもの



   マナ
    五期生――筆頭?



   越後屋
    成績優秀者に与えられる役職だよ

    生徒の数が増えてくると
    どうしても理事長ちゃんの目が
    届かないことってあるんだ

    立場の問題もあったりで
    介入できない厄介なこととかね

    そういう複雑な問題とかを
    生徒の立場から一手に引き受けて
    もらっているわけ

    居住区の治安維持だとか
    生徒間の揉め事の取りなしとか
    ボランティアの取りまとめとか



   乱花
    あの子、そんなにえらい立場だったんだ



   越後屋
    授業に顔を見せないのは
    筆頭としての仕事が忙しくて
    授業の方に手が回らないんだね



   マナ
    筆頭になれば、通常の授業は
    免除されるんですか?



   越後屋
    そうだよ
    理事長ちゃんがお願いして
    筆頭をやってもらってるんだもん

    どっちにしろ小春ちゃんは
    VR-ウイルスの制御でも
    遥か先を行ってるわけだし

    最新の治療プログラムの
    開発にも関わってもらってるくらいだもの

     ※ ウイルスの研究に携わるという点でも、
       小春はマナの目標や超えるべき存在と言える




   マナ
    そんなことまで?



   越後屋
    そうだよ。 だから
    こんな初歩の治療プログラムは
    受ける必要がないんじゃないかな



   マナ
    筆頭になろうと思ったら
    月影さんの成績を超える必要が
    あるわけか……

     ※ 筆頭への意欲が芽生え始めている



   越後屋
    あ、それで思い出した

    理事長ちゃんが小春ちゃんの
    サポートをしてくれる人を探してたみたいだよ

    いわば副筆頭だね



   乱花
    あはは、いくら成績が優秀でも
    満腹丸やヴァイオラにサポートは
    務まりそうにないもんね~



   倫花
    乱花ちゃん
    そんなこと言ったら二人に悪いよ



   越後屋
    いやまぁ
    実際その通りなのさ

    どう? 倫花ちゃん
    副筆頭を目指してみない?
    エリート地区に住めるよ~



   倫花
    う~ん
    みんなのまとめ役とか
    私にはちょっと重荷かなあ



   乱花
    そんな面倒くさい役目なんて
    私もゴメンだな

    自分のことだけで精一杯だもん
    ねぇ、猪名川もそう思うでしょ



   マナ
    そ、そうですね

    (独白開始)

    もし副筆頭になれれば
    治療プログラムの最先端に
    関わることができる……

    他にも色々なアドバンテージが
    ありそうですね……

    (独白終了)



   乱花
    おっと、もうこんな時間か
    授業が始まるよ

    九頭竜のことなんかほっときなよ
    暇な時は、私が訓練に付き合うからさ

    あっ
    お姉ちゃんはダメだよ

    お姉ちゃんと組んでいいのは
    私だけなんだから



   マナ
    ありがとう、乱花さん
    その時はお願いします

    組む相手がいないからと言って
    手をこまねいて何もしない理由には
    なりませんものね……

    (独白開始)

    月影さんも、ヴァイオラさんも
    満腹丸さんですら、私の遥か先を
    行っているのだから……

    今の私にやれることをやらなくちゃ

   (数日経過、一般区画にて)


    あっという間に数日が過ぎた

    あれから桃さんとは一言も
    口を利いていないけれど……

    (独白終了)



   乱花
    猪名川、ごめんね



   マナ
    何がですか?



   乱花
    あんなこと言っておいて
    結局、猪名川の訓練に
    全然付き合えなかったからさ



   マナ
    いいんです
    倫花さんも乱花さんも
    お忙しかったでしょうから

    (独白開始)

    それに……
    最初からアテにはしていませんでしたし

    (独白終了)

     ※ ペアで訓練を行うことすらできないマナは、危機感を強く感じている




   倫花
    毎日乱花ちゃんに連れ回されて
    島の観光やお買い物ばかりしてた
    けど……良かったのかな



   乱花
    ダイジョブだって
    私とお姉ちゃんが組めば無敵だもん



   コンゴウ
    それでは実戦訓練を行う
    自由にペアを組め



   乱花
    私はお姉ちゃんと組む!



   マナ
    となると――



   桃
    私と組むのは猪名川か



   マナ
    今日は私がリブレイターを
    務めさせていただきますね
    いいでしょう?



   桃
    どっちでもいい
    好きにしろ



   コンゴウ
    マナ
    訓練の成果を見せてもらおうか



   マナ
    どうでしょう
    期待にお応えできるといいんですけど



   桃
    ……なんだ?
    随分と余裕がありそうだな



   マナ
    余裕なんてとんでもない
    ただ全力を尽くすのみです



   コンゴウ
    手順はいつもと同じだ
    相手のペアを探し出し
    戦って、勝て



   マナ
    では参りましょうか




  3-A-後

   マナ
    ま、こんなものでしょう

    倫花さん、乱花
    今回は私たちの勝ちと言うことで



   乱花
    負けた……?
    私とお姉ちゃんが組んだのに……



   コンゴウ
    当然だ
    訓練の積み重ねが
    結果として表れただけのこと



   乱花
    訓練の積み重ね?
    どういうこと?



   コンゴウ
    前回の訓練から今日まで
    お前たちが何をしていたかは知らぬ

    だがその間、マナは我の下へ
    通い訓練を重ねた

    短い期間ではあったが
    それが確実にマナの力となったのだ



   桃
    つきまとわれなくなったと思ったら
    そんなことをしていたのか



   乱花
    なにそれ!
    そんなのズルじゃん!



   コンゴウ
    喝!!



   乱花
    ひゃわわっ!



   コンゴウ
    ズルではないっ

    VR-ウイルスを制御するには
    強い精神力と、それを支える強い肉体が必要

    一朝一夕の訓練では肉体に及ぶ
    影響など微々たるものだろう

    では何が勝敗を分けた?



   倫花
    想いの強さ……ですか

     ※ 後に繰り返し語られる、“想いの強さ”こそがヴァルキリーの資質



   コンゴウ
    その通りだ

    お前たちが何のためビクニへ
    来たのか、努々忘れるな



   マナ
    コンゴウ先生の仰る通りです
    精神力がVR-ウイルスを制御する
    その手応えが感じられました

    私はもっと強くなれます

    そして五期生副筆頭の座を
    ゲットすると宣言します!



   倫花・乱花
    ええーっ!!



   乱花
    猪名川ってば
    そんなこと考えてたんだ……



   マナ
    今はまだ無理ですが
    その内に月影さんの背中を捉えて見せましょう



   コンゴウ
    面白くなってきたではないか!
    わっはっはっはっは!




  3-B-前

   (丘の上にて)

   マナ
    …………



   理事長
    なるほど
    あれが猪名川さんに教えた
    勝つための訓練なのね



   コンゴウ
    マナには焦りがあった
    焦りは心に迷いを生む



   理事長
    座禅なんかで迷いが消えるものかしら?

    そんなに簡単な問題では
    ないと思うんだけど……
    どうやって指導したの?



   コンゴウ
    肉体を限界までいじめ抜いてから
    ただひたすら座らせた
    それだけだ



   理事長
    相変わらずスパルタね
    それじゃ雑念を抱いている
    余裕なんてなくなるわけだ



   コンゴウ
    健全な精神は健全な肉体に宿る
    その逆も然りだ

    見ろ、あの清々しい表情を
    マナの精神は今や自然と一体と
    なり、その強さは確固たるものに



   マナ
    ……はっ
    つい寝込んでしまいました



   理事長
    寝てたみたいだけど?



   マナ
    成り上がるために
    利用できるものは全て利用し尽くさなくては

    アホの神楽坂姉妹も
    分からず屋の九頭竜桃も
    他の連中も!

    勝手なことを言って
    いられるのも今の内だけです

    最後に笑うのは
    この猪名川マナ
    ただ一人なのですから!

    ふふふ……
    ふははははははは!!
    あーっはっはっは!

    ※ これはコンゴウの指導ミスとも言える。
      桃に自分を見てもらえず、不遇に遭って闇堕ちしている




   理事長
    あまり清々しくもないわね
    いっそ毒々しいわ



   コンゴウ
    ま、まあ明確な目的が
    あるのはいいことだ

    自分がどうあるべきかを
    マナは知っている
    それで良い



   理事長
    ま、あなたがいいなら
    文句を言うこともないわ


   (修練場にて)

   マナ
    あら、理事長先生
    コンゴウ先生もいらしていたんですね



   理事長
    調子が良さそうね
    いい表情をしているわ



   マナ
    ええ、このビクニで生き残るには
    どうすればいいか分かりましたから

    あとはどんな手段を使ってでも
    それを実現すればいいだけです



   理事長
    実戦訓練のデータを見せてもらいました

    月影さんの背中を捉えると
    いうのも、あながち冗談では
    ないかも知れないわね


   マナ
    冗談を言ったつもりはありません

    優秀な成績を残せば
    副筆頭に取り立てて
    もらえるんですよね?



   理事長
    ええ、その通りよ
    期待しているわ



   マナ
    それを聞いて安心しました
    では用事がありますので
    失礼します



   理事長
    正直、最初に脱落するのは
    猪名川さんだと思ってたんだけど
    面白くなってきたわね



   コンゴウ
    誰が生き残るにしても
    我らヴァルキリーの未来を
    担ってもらわねばならぬ

    我にできる限りのことはしてやりたい

    ※ 後継者の育成



   理事長
    あなたの言う通りだわ
    コンゴウ

    ヴァルキリーの未来、か……



   (食堂にて)

   マナ
    私の実力は証明して見せました
    さあ、専属契約を結びましょう



   桃
    専属契約?
    何の話だ



   マナ
    私の実力は理事長先生も認めています
    ペアを組むのに迷う理由がどこに
    あるというんですか?



   桃
    理由など求めた覚えはない
    私は誰とも組まない
    それだけだ



   マナ
    ちょっ、まっ
    私が誰のために厳しい訓練を
    積んだと思ってるんです?



   桃
    自分のためだろう



   マナ
    そ、それはそうですけど……

    私と組めば有利になると
    そう言っているんです



   桃
    有利?
    何が?



   マナ
    決まってるでしょう
    VR-ウイルスの治療プログラムを
    進めるにあたって有利だと――



   桃
    お前が生き延びたいなら
    訓練でも努力でも勝手にすればいい

    ただ、私に構うな
    私と組めば死ぬ
    有利も不利もない



   マナ
    その時に組む相手がいなくて
    困るのは桃さんなんじゃないんですか?

    ※ 後に現実となる



   桃
    困りはしない
    私が困るのは……くっ

    困るの、は……
    頭が……割れる……

     ※ 大切な人を失うこと



   マナ
    桃さん?
    どうしたんですか?
    だ、大丈夫?



   桃
    あ、私に触るな!
    放っておいてくれ!



   マナ
    っくぅぅぅぅうううう!
    何ですか! あの人は!



   倫花
    桃ちゃん
    ちょっと心配だね

    VR-ウイルスの治療をすすめるには
    誰かと組まなくちゃならないのに

    どうしてパートナーを
    決めたがらないんだろう?



   マナ
    さあ、何を考えてるのか
    サッパリわかりません



   倫花
    桃ちゃん、もしかしたら
    自分でも分かってないんじゃないかな

     ※ 桃は戦いの中で、大切な人を失っているフシがある。
       パートナーを持つこと潜在的に恐れている。倫花は鋭い




   マナ
    自分でも分かってない?
    どういうことですか?



   倫花
    う、ううん
    何だかそんな気がしただけ



   マナ
    そうだ!
    倫花さん、私と組みませんか?



   倫花
    へっ?
    それは別に構わないけど――



   乱花
    ちょっと猪名川!
    馴れ馴れしくお姉ちゃんと話さないでよね

     ※ 乱花の居場所は倫花だけ



   マナ
    な、何ですか?
    いきなり

    馴れ馴れしいって
    別にいつも通りですけど

     ※ パートナーの有無は死活問題



   乱花
    お姉ちゃんと組んでいいのは
    私だけなんだから!

    お姉ちゃんも気をつけなきゃ
    猪名川は私たちの敵なんだよ?



   倫花
    敵ってそんな
    一緒に治療を受ける
    クラスメイトでしょ



   乱花
    そ、それはそうだけどさ
    でも



   倫花
    ねえ、マナちゃん
    それより桃ちゃん具合悪そうだったよね



   マナ
    そうでしたね
    急に顔色が悪くなって……
    どうしたんでしょう



   倫花
    まだ遠くには行ってないよ
    探しに行こう?



   マナ
    そうですね
    今倒れられても困りますし

     ※ あれだけぞんざいにあしらわれてもなお、桃を心配している



   倫花
    私、マナちゃんと一緒に
    桃ちゃんを探してくるから
    じゃあね、乱花ちゃん



   マナ
    私も失礼します
    午後の治療プログラムでまた会いましょう



   乱花
    あ……

    お姉ちゃんは甘いよ
    ちっとも分かってないんだ

    この島で生き残る為には
    他の連中を蹴落とさなくちゃならないのに……

    そうすることでしか
    私たちの存在価値を証明できないのに

    同じ相手に二度も負けて
    いいわけがないんだ

    何にも分かってないよ
    お姉ちゃん……



   満腹丸ちゃん
    らんちゃん、どうしたのだ?
    そんな怖い顔して



   乱花
    満腹丸には関係ないよ



   満腹丸ちゃん
    そりゃそーだ



   乱花
    満腹丸は悩みがなさそうでいいね



   満腹丸ちゃん
    悩みがあるならカツ丼食べるのだ



   乱花
    ……はい?



   満腹丸ちゃん
    イヤなことがあった時は
    美味しい物を食べて忘れるのが一番なのだ

    んで、うれしいことがあったら
    美味しいものを食べてお祝いするのだ



   乱花
    食べてばっかりじゃん



   満腹丸ちゃん
    そうとも言う
    でも、それで何か問題があるのだ?

    食べなきゃ生きて行けないし
    悲しいことも悲しいまんまなのだ

    カツ丼はえらいのだ
    何故なら、いつだって美味しいから!

    で、カツ丼食べるのだ?

     ※ 満腹丸の境遇は、一貫して食への執着に顕われる
     ※ 理事長と越後屋が兵糧攻めにあったことへの前振りとも取れる




   乱花
    ……食べる



   満腹丸ちゃん
    ほいっ
    では、このカツ丼は
    らんちゃんに進呈するのだ

    心配ご無用
    これはまんぷくまるちゃんの
    おごりだよ!

    ゆっくり噛みしめて食べるのだ
    じゃーね!



   乱花
    ……ふう

    満腹丸の言う通りだよね
    落ち込んでる場合じゃないや

    カツ丼でも何でも食べて
    力をつけるんだ

    私がお姉ちゃんを
    守らなくちゃ!

    いただきます!



   (修練場にて)

   コンゴウ
    本日は、この区画で訓練を行う



   乱花
    コンゴウ先生!
    提案があります!!



   コンゴウ
    聞こう



   乱花
    実戦を交えた訓練を提案します!



   倫花
    乱花ちゃん?
    突然どうしたの?



   乱花
    だってVR-ウイルスの治療を進める
    ためには、それしかないんでしょ?

    月影やヴァイオラに追いつくためにも
    できるだけ実戦を積まなくちゃ



   コンゴウ
    その通りだ
    しかし



   乱花
    前回の訓練の結果に
    納得が行かないんです

    あれから私だって一生懸命
    訓練を積みました!

    その結果を示したい
    今すぐにでも!



   コンゴウ
    乱花はそう言っているが
    どうする?



   マナ
    私は構いません
    でも桃さんの体調が……



   桃
    もう体調は問題ない
    それに体調を言い訳にするつもりもない



   乱花
    じゃあ決まりだね
    組み合わせは前回と同じ
    私はお姉ちゃんと組む



   マナ
    では、私は桃さんと組みます
    いいですね?



   桃
    構わない
    リブレイターとエクスターも
    前回と同じか?



   乱花
    そうしてくれると
    ありがたいよ

    (独白開始)

    気合を入れろ!
    神楽坂乱花!

    自分からふっかけたケンカで
    負けるなんて絶対に許されないんだからね!

    ビクニでの暮らしを
    この手で守るんだ……!

    (独白終了)



   コンゴウ
    では実戦訓練を開始するッ!




  3-B-後

   コンゴウ
    勝負あった!
    そこまで!



   (苦戦した場合 ここから)

   乱花
    はあっ。はぁっ
    何とか勝てた
    勝てたけど……

    (独白開始)

    こんな程度じゃダメなんだ

    もっと強く
    もっと圧倒的に
    勝たなくちゃ

    (独白終了)



   マナ
    もう少しで勝てると思ったのに……



   倫花
    いい戦いだったね
    私たち、昨日より強くなってる
    そうでしょう?




   マナ
    そうですね
    倫花さんの言う通りです

   (苦戦した場合 ここまで)



   (余裕の場合 ここから)

   乱花
    よしッ!
    イメージ通りに戦うことができた!



   マナ
    そんな……
    今回も勝てると思ってたのに



   倫花
    二人とも大丈夫?
    ごめんなさい、乱花ちゃんが
    入れ込み過ぎちゃったみたい

    勝ったのはいいけど
    やりすぎじゃないかな



   乱花
    どうしても負けられない理由があったからね

    VR-ウイルスを制御するのは
    強い精神力、か

    (独白開始)

    お姉ちゃんを守りたいって気持ちを
    ウイルスの制御に向けることができた

    なるほど、こういうことなんだ……

    (独白終了)

    (余裕の場合 ここまで)


   桃
    負けは負けだ
    それ以外の何物でもない



   マナ
    桃さん
    途中で手を抜いたでしょう?
    それくらい分かるんです



   桃
    今回も死なずに済んだ
    他に望むことがあるのか?



   倫花
    も、桃ちゃん……



   乱花
    勝ちは勝ち、か
    確かに九頭竜の言う通りかもね



   コンゴウ
    お互いにいい戦い振りだった
    結果は気にすることもなかろう

    勝ちは誇ればいいし
    負けは悔しがればいい
    明日への糧とせよ

    乱花、ひとつ言っておく
    皆も聞け



   乱花
    何ですか?



   コンゴウ
    我らは誰かを叩き伏せるために
    修行を積んでいるのではない

    ヴァルキリーであるが為に
    強くならんとしているのだ



   乱花
    よく……分かんないな



   コンゴウ
    いずれ分かる
    大事なのは歩みを止めぬこと
    お前たちはまだまだ強くなれる

    そして己がヴァルキリーだと
    いうことを決して忘れるな



   乱花・倫花
    はいっ
    コンゴウ先生!



   マナ
    ですってよ、桃さん



   桃
    ……ふん



   乱花
    はーっ
    ほっとしたら
    おなか空いてきた!



   倫花
    マナちゃんも桃ちゃんも
    一緒にごはん食べに行かない?



   桃
    どうして私が



   倫花
    一緒に食べた方が楽しいし
    美味しいでしょ?



   乱花
    どうせ食べるんだから
    一緒でいいじゃん



   桃
    べ、別に私はおなかなんて――



   マナ
    今日体調が悪かったのは
    もしかして空腹のせいなんじゃ?



   桃
    そっ、そんなことはない
    断じて違う!



   乱花
    はいはい
    敗者は勝者の言うことを聞くもんだよ



   桃
    おい、はなせ!
    自分で歩ける!

     ※ 神楽坂姉妹に、徐々に心を許していくようになる



   乱花
    ってなわけで、みんなで
    食堂へ行こー!



   倫花
    私はオムライスにしようかな~
    桃ちゃんは何にするの?



   桃
    オムライス……とは
    どんな食べ物だ?



   倫花
    えっ!
    桃ちゃん、オムライス
    食べたことないの!?



   桃
    私が生まれた国には
    そんなものはなかった



   乱花
    へえー
    オムライスって全国区的な食べ物だと思ってた

    じゃあカレーは?
    カレーは食べたことある?
    ちょう美味しいんだから!



   マナ
    う~ん、私なら断然
    スパゲティナポリタンを推しますね



   乱花
    よし、それも頼んじゃおう
    今日は私がおごるからさ!
    じゃんじゃん頼んでよ



   桃
    ま、待て
    そんなにたくさん食べきれないだろう



   乱花
    このくらい余裕だけど?
    ねえ、お姉ちゃん



   倫花
    そうだよ
    たくさん食べないと力が出ないよ?



   乱花
    私は何食べようかなぁ



   満腹丸
    お、らんちゃん
    カツ丼食べるのだ?



   乱花
    満腹丸! そっか
    今日勝てたのは、あの時のカツ丼のおかげかも



   満腹丸
    と、言うことは!

   まんぷくまるちゃんは
    鰻丼と親子丼も追加していいのだ?



   乱花
    任せて!
    好きなだけ頼みなよ!



   満腹丸
    おーっ!
    じゃあじゃあカツ丼と鰻丼と親子丼と
    牛丼と天丼と中華丼を注文するのだ!

    そのあとに、豚丼と木の葉丼と
    イクラ丼とウニ丼と、えーっと

    とにかくいただきまーす!
    なのだ!

    もぐもぐもぐ……
    ぷはーっ! 最高なのだ!



   桃
    うわ
    米をまるで飲み物みたいに
    一瞬で……



   満腹丸ちゃん
    お?
    ピーちゃんは食べないのだ?



   桃
    ぴ、ピーちゃん?
    私のことか?



   満腹丸ちゃん
    ピーちゃんは
    ピーちゃんなのだ

    んで、食べないなら
    まんぷくまるちゃんが食べてあげるけど?



   桃
    た、食べないなんて言っていないだろう

    これは私の分だ
    ……ん、うまい



   倫花
    でしょでしょ?
    オムライス、美味しいでしょ?



   マナ
    私と組むにしろ
    他の人と組むにしろ
    空腹は言い訳にはなりませんからね



   桃
    今日、調子が悪かったのは
    別に空腹のせいじゃないと

    おい満腹丸、それは私のだ!
    返せ!!



   乱花
    お姉ちゃんが言った通りだ
    みんなで食べると楽しいね

    ※ これが、“今を生きる”ということ



   倫花
    ここには敵なんていないの
    みんな仲間だもの



   乱花
    お姉ちゃんは甘いなぁ
    でも……

    今日のところはそれでいっか



   倫花
    早く食べないと
    乱花ちゃんの分なくなっちゃうよ



   乱花
    わあ、食べる食べる
    いただきます!





 Drive04. 降臨、ビクニの守護者たち


  4-A-前

   (修練場にて)

   倫花
    えいッ!
    やあっ!



   乱花
    懐ががら空きだよ、お姉ちゃん!
    それっ!



   倫花
    こ、降参!
    参りました!



   乱花
    ふふん
    さすがに格闘で負けるわけにはいかないよ



   倫花
    う~ん
    思ったようにうまく動けないなぁ



   乱花
    お姉ちゃんは刀専門だもんね
    刀を抜くと生き生きするし



   倫花
    うそっ
    私、そんなに変わる?



   乱花
    変わる変わる
    ギャップ萌えって奴だよね



   倫花
    えー、やだな
    ケンカが好きな女の子だと思われちゃう



   乱花
    お姉ちゃん
    もう一本行こうよ



   倫花
    うん
    今度は負けないからね!



   理事長
    はーい、みんな
    ちょっと集まってもらえる?



   倫花
    理事長先生
    こんにちは



   桃
    訓練に何の用だ?
    くだらない用なら理事長と言えども殺すぞ



   マナ
    ちょっ、桃さん!
    理事長先生になんてことを言うんですか!

    今のは冗談!
    冗談ですから!



   桃
    冗談?
    私は冗談など言わない



   理事長
    うんうん
    殺せるものならいつでも殺しに来なさい

     ※ 冗談だけではなく、これまでもグンダリとして返り討ちにしてきた?



   桃
    では、その投射モニタから出てこい



   理事長
    それはちょっとムリねー
    相変わらずデスクワークが忙しくて
    手が離せないの



   桃
    ちっ、卑怯者が
    いつか殺してやる



   乱花
    ねえねえ
    いつでも殺しに来いって
    理事長先生もちょっとズレてるよね



   倫花
    あはははは……
    理事長先生もヴァルキリーらしいから



   理事長
    あなたたち
    ビクニでの生活にはもう慣れたかしら?



   倫花
    はい、すっかり
    皆さん、本当によくしてくださるので



   乱花
    私は食堂が気に入った!
    何を食べても美味しいんだもん



   倫花
    乱花ちゃん
    ビクニに来てから、すこし太ったんじゃない?



   乱花
    食べた分は、ちゃんと訓練で
    消費してるから平気ですぅ

    お姉ちゃんこそ、また
    胸が大きくなったんじゃない?



   倫花
    な、なってないよ!
    なってないと……思う……
    でも最近ブラがきついかも



   乱花
    じゃあさ
    今度、越後屋に下着を買いにいこうよ

    あの店、何でか知らないけど
    下着の品揃えがハンパないよね
    えっちい奴とかあるし



   倫花
    お買い物かあ
    桃ちゃんとマナちゃんも一緒に行かない?



   桃
    興味ないな
    私のことは放っておいてくれ



   マナ
    でも桃さん
    ポイントが結構たまってるんじゃありません?



   九頭竜
    必要があれば使う
    それで問題ないんだろう?



   理事長
    ええ、貯めたポイントの
    使い方は自由よ

    たくさん貯めて
    エリート区画へ引っ越す子もいるわ



   マナ
    そんなことができるんですか!?



   理事長
    ええ、それなりのポイントは
    必要になるけどね



   マナ

    (独白開始)

    エリート……
    素敵な響きですね

    (独白終了)



   理事長
    生活していて不満な点や問題はない?



   マナ
    不満なんてあるわけがありません
    ねえ、桃さん



   桃
    そうだな

    強くなるためなら何でも
    利用させてもらうまでだ



   理事長
    それを聞いて安心したわ



   倫花
    あの、どうしてこんなに
    良くしてくださるんですか?



   理事長
    あななたち、VRクラスの
    生徒には、特別に期待しているからよ



   倫花
    特別に期待、ですか?

    でも私、自分が特別扱い
    される様な優れた生徒だって
    自信も自覚もありません



   コンゴウ
    心配は無用である
    お前たちの能力を引き出すのは
    我らの仕事故



   理事長
    コンゴウ先生をはじめとして
    この島の守護神である四神は
    優れた指導者でもあるのよ

    そうね
    そろそろ他の先生方も
    紹介しておきましょうか



   乱花
    うわあ……

    コンゴウ先生に
    初めて会った時も驚いたけど……

    これがビクニを守護する四神……



   マナ
    私たちの先生……



   コンゴウ
    改めて名乗ろう

    我は四神が一柱、コンゴウ
    お前たちに『力』を伝える任を負っている

    ヴァルキリードライヴとは
    力と力のぶつかり合い!
    その身を鍛え、力を蓄えよ!



   乱花
    おお~
    やっぱりコンゴウ先生はカッコイイね!



   ゴウザンゼ
    はじめまして、お嬢さんたち
    私は四神の一人、ゴウザンゼよ
    あなたたちに『技』を伝えます

    芸術の域に達するまで
    高めた技の応酬こそが
    ヴァルキリードライヴの神髄

    あなたたちに美しい
    戦いというものを教えて差し上げましょう



   マナ
    なんて美しい……
    強さも極めれば一種の美に
    なり得るんですね



   ダイイトク
    ガオオオオオオオォォ!



   倫花
    ひゃんっ!!



   ダイイトク
    四神が一柱
    ダイイトクとはオレのことだ
    ガキども、よろしくな

    オレが教えるのは『心』だ
    戦いに必要なのはハートの強さよ

    オレがみっちり叩きこんでやる
    楽しみにしてろよ、ガキとも



   桃
    心……
    私には分からない概念だ
    しかし四神の強さは本物

    その強さ
    必ず手に入れてみせる



   グンダリ
    ごきげんよう、皆さん
    私が四神の長、グンダリです

    共に修行に励み
    一日も早くVR-ウイルスを治療しましょう



   倫花
    この先生、強い……!!
    他の四神の先生とは別格だ
    私にもそれがわかる……

    ※ 乱花もだが、やはり倫花は鋭い



   乱花
    ……見られるだけで
    背筋が凍りつきそう

    世の中にはこんなに
    強い猛者がいるのか……



   理事長
    治療プログラムの進度に伴って
    それぞれの先生に師事して修行を
    行ってもらいます



   ダイイトク
    なに、難しく考えるこたぁねえ
    スゴロクだと思えばいい

    強くなった分だけコマを進めて
    四神それぞれの管理エリアまで
    辿り着けば相手をしてやる



   ゴウザンゼ
    一年間の修行を経て
    グンダリさんに挑戦できるようになること

    これがあなたたちの当面の
    目標だと思ってくださいね



   理事長
    コンゴウ先生から合格点を
    もらえたら、次はゴウザンゼ先生に
    ついて修行ができるわ



   乱花
    月影とヴァイオラは
    どこまで進んでるんですか?
    ついでに満腹丸も



   理事長
    ヴァイオラさんと満腹丸さんは
    現在ゴウザンゼ先生に訓練を
    見てもらっています



   マナ
    コンゴウ先生からは
    合格点を頂いた……
    ということですか



   コンゴウ
    いかにもである



   理事長
    月影さんはその先
    ダイイトク先生の指導を受けています



   マナ
    二段階も先に?
    入島が遅れたとは言え、私たちは
    そんなに遅れているんですか



   ダイイトク
    なに、小春は比較対象にならんぜ
    ありゃあビクニ始まって以来の天才だ
    いちいち比べてたら気がもたねぇよ



   ゴウザンゼ
    溢れる才気に、真面目な性格
    しかも可愛らしいのですから
    教え甲斐がある生徒ですわ



   マナ
    お言葉ですが、先生方は
    月影さんを買いかぶり過ぎでは?



   ダイイトク
    何が言いたい?



   マナ
    彼女がダイイトク先生まで
    辿り着いているというのなら
    私にだって余裕です

    明日にでも追いついてみせましょう

    五期生の筆頭に相応しいのは
    月影さんではなく、この私なんですから



   倫花
    ま、マナちゃん!
    言い過ぎだよ!



   コンゴウ
    ガハハハハハハハハハ!!
    ヴァルキリーたる者、そうで
    なくてはいかんのである!

    その言葉が偽りでないのなら
    明日とは言わず、今日追いついてみせろ



   マナ
    今日?
    どういうことですか?



   コンゴウ
    我と拳を交えよ
    お前がどれくらい成長したか見せてもらおう



   マナ
    力を認めて頂ければ
    ゴウザンゼ先生にも挑戦を?



   コンゴウ
    ああ
    ゴウザンゼにも勝てば
    ダイイトクへの挑戦もだ

    よかろう?
    グンダリよ



   グンダリ
    ……いいでしょう
    ただし合否の判定に一切の異論は認めません



   マナ
    それで構いません



   グンダリ
    四神に勝てとは言いません
    あなたのヴァルキリーとしての
    覚悟をお見せなさい



   コンゴウ
    我らはエリート区画にある
    塔のてっぺんで待つ

    準備ができたらいつでも来い



   ダイイトク
    余興と思えば悪くねえ
    楽しみにしてるぜ、嬢ちゃん



   ゴウザンゼ
    では、のちほど……



   倫花
    あのっ、グンダリ先生!
    一つだけ聞いてもいいですか?



   グンダリ
    なんでしょう



   倫花
    グンダリ先生は、私たちに
    何を教えてくれるんですか?



   グンダリ
    私は……
    『ヴァルキリーにとって一番大事なこと』
    を伝えましょう

     ※ ヴァルキリーは、ヴァルキリーの為に生きる、ということ



   倫花
    私たちにとって
    一番大事なこと……?
    それって



   グンダリ
    それが知りたければ
    治療プログラムを進め
    私のところまで辿り着くことです

    では、また会いましょう



   桃
    あれが四神か……

    あの連中を全員倒せば
    この島で一番強くなったということか



   理事長
    その解釈で間違いないわ



   倫花
    な、なんだか大変なことになっちゃったね



   理事長
    先生方も、基本的には
    戦うのが大好きだから

    根っからのヴァルキリーなのねぇ



   倫花
    本当にやるの?
    マナちゃん



   マナ
    やる気に決まっているでしょう
    二階級特進のチャンスですよ

    いえ、事と次第によっては
    筆頭の座も手に入れられるかも!

    やらない理由はないでしょう?
    負けたってペナルティがあるわけ
    ではないんですし



   乱花
    そりゃそっか
    猪名川、頭いいね~



   マナ
    ではさっそくエリート区画へ
    向かいましょう

    面白くなってきましたね
    うふ、うふふふ……

    (エリート区画にて)


    ふう
    いよいよ私の野望の実現に向けて
    第一歩を踏み出す時が来ましたね



   乱花
    ヤボーだかムダ毛ボーボーだか
    知らないけどさ



   マナ
    な、何を突然言い出すんですか
    私はつるっつるです!



   乱花
    一人で行くつもり?
    パートナーはどうするの?



   マナ
    はっ
    まるで考えていませんでした

    では倫花さん
    パートナーをお願いします



   倫花
    い、イヤだよ!
    私、まだ先生たちに挑戦できるほど
    強くないもん



   マナ
    仕方ありませんね
    では、乱花さん――



   乱花
    私は組まないけど?



   マナ
    な、なんでですか?



   乱花
    私、まだまだコンゴウ先生に
    教わりたいことがいっぱいあるし
    焦らなくてもいいかなって

    それにお姉ちゃんを置いて
    一人だけ治療プログラムを
    進めても意味ないもん



   マナ
    そうですか

    パートナーがいないのでは
    満足に戦うことができません

    では今回のお話はなかったということで



   桃
    私を無視するな
    殺すぞ



   マナ
    はあ
    いたんですね、桃さん



   桃
    私が組んでやる



   マナ
    ええ、うん、そうですね
    倫花さん、満腹丸さんを
    呼んできて頂けますか?



   倫花
    えっ
    でもどこにいるかわからないよ



   桃
    私が組んでやると言ってるんだ



   マナ
    わ、私にだってパートナーを
    選ぶ権利はあるでしょう?



   桃
    そんなものはない
    行くぞ、猪名川



   マナ
    くぅぅ
    こうなったら開き直るしかありませんね

    行きますよ、桃さん
    目指すは二階級特進です!

     ※ マナの都合はお構いなしの桃、
       それでもマナは嬉しかったのかもしれない




  4-A-後

   (塔にて)

   マナ
    今の一撃は手応えがありました
    やったの!?



   コンゴウ
    まだまだ甘い!!



   マナ
    きゃあっ!!



   桃
    くっ……



   マナ
    あいたたた……
    勝ったと思いましたのに……



   コンゴウ
    その判断が甘いのである
    相手を倒しても、尚油断するな

    常在戦場――
    己は常に戦場に在ると覚悟せよ

    死んだ後では、負けの言い訳もできぬ

    ※ AAAの侵攻にも備え、寝ている間もドライヴしている四神は、正に常在戦場



   マナ
    これでもまだ
    私の矢はコンゴウ先生に届かないのか……



   理事長
    猪名川さん
    合格点に届かなかったとは言え
    見事な戦い振りだったわ



   マナ
    え……?



   コンゴウ
    ウム
    短期間でここまで成長するとは
    師として我も鼻が高いのである



   理事長
    これならば副筆頭の役職を
    任せられるかも知れないわね



   マナ
    理事長先生!
    本当ですか?



   理事長
    少なくとも私は
    その資格はあると思っているわ

    もちろん定期戦や
    他の要素も参考にしなければ
    決定はできないけれどね



   コンゴウ
    更に訓練を積み、再び戦えば
    合格の的にも届こう



   マナ
    あ、ありがとうございます
    次に挑戦できるのがいつになるか
    わかりませんけれど……



   コンゴウ
    強くなりたいのであろう?
    この島で高い地位を得て
    誰よりも優位に立ちたいのだな



   マナ
    それは……
    不純だと言われるかも知れませんが
    私はそうしなければ――

     ※ 居場所を求める気持ち



   コンゴウ
    それで良い



   マナ
    えっ?



   コンゴウ
    それが己にとって正しいのだと
    心から信じておれば良いのである



   理事長
    その心の強さこそが
    猪名川さんの長所でしょう



   コンゴウ
    正しいと信じるからこそ
    お前は人一倍の修練を積み
    ここまで来たのではないか



   マナ
    ……はい



   コンゴウ
    なれば、それがお前の往く道である



   マナ
    はい、先生!!



   コンゴウ
    一方で――



   桃
    四神の強さ
    しかと見せてもらった



   コンゴウ
    惜しいのである
    力はあれど心が伴わねば強さとは言えぬ

     ※ おそらく、桃は大切な人を失ったことで心を無くした。それ故に強さを求めた



   桃
    言っている意味が
    分からないな



   コンゴウ
    で、あろうな……



   桃
    いずれ倒す
    遠くない内にだ



   コンゴウ
    己がヴァルキリーである
    ということを忘れるな



   桃
    ……ふん



   コンゴウ
    まことに惜しいのである



    理事長
    もう少し様子を見ましょう
    まだ判断を下すのは早いわ



   コンゴウ
    ウム……

      ※ 島の命運を任せるに足る精神的資質は、桃には見出せない様子




  4-B-前

   倫花
    マナちゃん、大丈夫?
    ケガはない?



   マナ
    ええ、コンゴウ先生に
    手加減して頂きましたから



   倫花
    すごい戦いだったから
    心配しちゃったよ



   マナ
    いくらすごい戦いでも
    合格点に達しなければ意味がありません



   倫花
    マナちゃん、そんな言い方



   乱花
    そうだよ!
    コンゴウ先生も褒めてたでしょ
    次にやれば合格できるって



   マナ
    もちろん、次は必ず合格して見せます
    明日にでも再挑戦するつもりですから



   乱花
    あれ、落ち込んでるかと思ったら
    そうでもないみたい



   倫花
    そうだよ、マナちゃん
    一緒にがんばって訓練して
    またコンゴウ先生に挑戦しよう



   桃
    自分の力を見誤らないことだ
    でないと、猪名川の様な目に遭うぞ



   マナ
    まるでコンゴウ先生と戦って
    損をしたみたいな言い方をするんですね



   桃
    だが負けは負けだ
    意味のない戦いだった



   乱花
    負けた戦いに意味がない?
    九頭竜、それ本気で言ってるの?



   桃
    本気だとも



   乱花
    何言ってんの?
    超アツかったじゃん!

    見てる方も手に汗握るって言うか
    猪名川もコンゴウ先生もがんばれ!
    って胸がドキドキしたよ

    きっと、猪名川は今の戦いで
    またひとつ強くなった



   マナ
    乱花さん……!



   乱花
    九頭竜は一緒にドライヴして
    何も感じなかったの?
    そんなわけないよね



   桃
    …………



   乱花
    あんな戦いを見せられちゃったら
    コーフンして夜寝られないかも!

    私もあんな戦いしてみたい!



   コンゴウ
    ならばしてみるか?



   乱花
    えっ?



   コンゴウ
    遠慮する必要はないのである
    今ここで胸を貸そうぞ



   乱花
    あっ、いやあんな戦いを
    してみたいって言ったのは
    将来的な話であって~

    今すぐって話じゃないんです
    あの、夜もちゃんと早く寝るし



   コンゴウ
    本心か?



   乱花
    本心かって、あの~、その~



   倫花
    乱花ちゃん



   乱花
    お姉ちゃん!
    違うよ、違うの



   乱花
    だってお姉ちゃんは
    まだコンゴウ先生と戦うつもりないんだもんね

    訓練ならともかく
    私はこういう大事な戦いで
    お姉ちゃんと組む気ないし……

    いや本当はやりたいけど

    怪我させたくないし

    だからお姉ちゃんがやらないって言うなら
    全然やりたくないし



   倫花
    やろうよ、乱花ちゃん!



   乱花
    へっ?



   倫花
    実は私も、マナちゃんたちの
    がんばりを見ている内に
    胸がぎゅって熱くなっちゃって

    自分はまだまだって
    自分で思い込んでたら
    ずっと辿り着かないよね

    それを教えてもらった気がするの



   コンゴウ
    ウム、よく言った倫花
    その通りである



   乱花
    それじゃあお姉ちゃん
    コンゴウ先生と戦ってもいいの?



   倫花
    うん!



   乱花
    私と一緒に組んで
    戦ってくれるの?



   倫花
    もちろんだよ
    私も乱花ちゃんと一緒に
    コンゴウ先生に挑んでみたいの

    まだ戦いたくないって言ったり
    やっぱり戦いたいって言ったり
    ワガママでごめんね、乱花ちゃん



   乱花
    そんなことない!
    そんなことないよ
    お姉ちゃん!!

    (独白開始)

    お姉ちゃんはきっと
    私がコンゴウ先生と戦いたいって
    言ったから、申し出てくれたんだ

    ワガママなのは私の方だよ
    ありがとう、お姉ちゃん

    (独白終了)

    やばっ
    ワクワクしすぎて鼻血でそう……



   倫花
    乱花ちゃん!?
    戦う前から大丈夫!?



   乱花
    ヘ、ヘーキヘーキ



   マナ
    言っておきますがハンパな強さではありません
    浮かれすぎないことです



   乱花
    分かってる
    思いっきりやるだけだよ



   コンゴウ
    やるのか?
    やらぬのか?



   乱花
    やります!
    お願いします、コンゴウ先生!



   倫花
    がんばろうね!



   乱花
    何が何でも合格点を
    勝ち取ってみせるよ

    お姉ちゃんのために!



   コンゴウ
    前置きはいらぬ
    はじめるぞ!



   乱花
    思いっきり行くよ!
    お姉ちゃん!!




  4-B-後

   (苦戦した場合 ここから)

   乱花
    やれることは全部やった――

    ドライヴを保つのだって
    これ以上はもう……



   コンゴウ
    よくここまで成長した
    見事な力を見せてもらったのである



   乱花
    じゃあ、先生!



   コンゴウ
    合格である!

   (苦戦した場合 ここまで)



   (余裕の場合 ここから)

   乱花
    どうだっ!
    コンゴウ先生!!



   コンゴウ
    見事な力である!!
    神楽坂乱花、合格を与えるのである!



   乱花
    よっしゃあ!!

   (余裕の場合 ここまで)




   倫花
    乱花ちゃん、やったね!!



   乱花
    自分の力を全部出し切れた……
    お姉ちゃんのおかげだよ



   理事長
    おめでとう、ふたりとも
    このままゴウザンゼ先生にも挑戦してみる?



   乱花
    ムリムリ、絶対ムリ!!
    もう足腰立たないです

    今やっても先生に対して
    失礼なだけだと思うから



   理事長
    賢明な判断ね



   コンゴウ
    接近戦で我に伍するとは
    驚いたのである

    才能のなせる業か
    それともパートナーへの想いの強さなのか……



   乱花
    でも、コンゴウ先生の鎧に
    キズひとつつけられませんでした

    割とイイのが何発か入ったと
    思ったんだけどな~



   コンゴウ
    気にするな
    我はビクニを守るためこの身を要塞としたのだ

    例えば――そう
    戦車の砲撃くらいでは欠けもせぬのである

     ※ サイバネ手術と、ドライヴによる外部装甲



   乱花
    うは、マジで?



   コンゴウ
    マジである



   理事長
    それよりも格闘でコンゴウ先生に
    直接触れられるヴァルキリーが
    この世に何人いるか――



   乱花
    それって褒めてます?
    褒めてますよね?

    お姉ちゃん!
    私、褒められちゃった!



   倫花
    調子に乗らないの
    でも、がんばったね乱花ちゃん



   コンゴウ
    なるほど、理事長が五期生に
    期待を掛けるのも理解できるのである

     ※ 特にカオスルートでは、小春に司政官の座を。
       オーダールートでは、神のリーダーとしてキリンに




   倫花
    あの、これで乱花ちゃんと私は
    ゴウザンゼ先生の訓練を受ける
    ことができるんですよね



   理事長
    治療プログラムの進行上そうなるわ



   倫花
    マナちゃんと桃ちゃんも一緒に
    訓練を受けられるようにしてもらえませんか?



   マナ
    どういうことですか?



   倫花
    私たちの力が、マナちゃんや
    桃ちゃんとそれほどの差があるとは思えません

    それに、私たち強くなれたのは
    みんなで一緒に訓練を積んだからです



   理事長
    全員同時に治療プログラムを
    進めた方が効率がいい、ということね……



   倫花
    その通りです
    だから理事長お願いします!



   理事長
    VRクラスは人数も少ないことだし
    ドライヴしての実戦訓練のことを考えれば
    確かに効率的か……

    猪名川さんは、それでいいかしら?



   マナ
    構いません
    明日にでもコンゴウ先生と再戦して
    合格を頂くつもりですし



   理事長
    九頭竜さんは?



   桃
    治療プログラムになど興味はない

    だが、強くなるために
    利用できるものは全て利用させてもらおう



   理事長
    OKってことね?



   桃
    礼は言わないぞ
    神楽坂倫花



   倫花
    うん
    一緒に修行して欲しいって
    頼んでるのは私の方だもん



   桃
    …………



   理事長
    では、あなたたちの
    治療プログラムを一段階進めます



   コンゴウ
    もちろん我との修行も
    これで終わりではない

    修練の道は果てなく遠いのである



   乱花
    はいっ
    コンゴウ先生!



   マナ
    これからも厳しいご指導を
    お願いいたします



   桃
    ……ふん



   倫花
    みんな一緒にがんばろうね!



   コンゴウ
    ガッハッハッハッハ!
    頼もしい限りである



   理事長
    次の定期戦が楽しみね

    本当に楽しみだわ……
    うふふふ





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