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 Drive09. 月影小春、参戦!


  9-A-前

   乱花

    (独白開始)

    お姉ちゃん!
    どこにいるの?
    嘘だよ……そんな……

    私、ひとりはイヤだよ
    お姉ちゃんとずっと一緒にいるんだ

    ずっと……

    (独白終了)

    いっけない
    いつの間にか寝ちゃってた……
    もうこんな時間

    お姉ちゃん
    まだ検査中かな

    何度行っても検査中だって
    追い返されちゃう……

    これって面会シャゼツってやつだよね

    そんなに検査ばっかりするほど
    容態が悪いのかな



   桃
    こんなところにいたのか



   乱花
    九頭竜……
    何か用?



   桃
    少しは落ち着いたか?



   乱花
    落ち着くも何も
    別になんともないし



   桃
    乱花……



   乱花
    それに、お姉ちゃんのことは
    もういいって何度も言ったでしょ

    放っておいてよ
    今は何も考えたくないんだ



   桃
    私に何かできることはないか?



   乱花
    ないよ
    お姉ちゃんが無事ならそれでいい

    それとも九頭竜が
    何とかしてくれるの?
    できないでしょ



   桃
    ……それは



   乱花
    いいよ、別に月影のおかげで
    命に別条はなかったらしいし

    元気になったら
    またお姉ちゃんと一緒に戦うんだ

    お姉ちゃんの……
    パートナーとして

    そしてもう他の誰にも
    お姉ちゃんとドライヴさせない
    絶対に



   桃
    悪かったと思っている
    私がもっと倫花の状態に
    気を配っていれば……

    私のせいだ
    力が及ばなかった



   乱花
    …………



   桃
    私は、倫花に救われたと思っている

    私は倫花を助けたい
    だが何をすればいい?

    これほど自分が無力だと
    感じたことはない



   乱花
    ……だったら

    それだけ分かっていて
    どうしてお姉ちゃんが
    あんなになるまで戦ったの?



   桃
    返す言葉もない



   乱花
    ドライヴを解除するまで
    全く気づかなかったの?



   桃
    気づかなかった
    不安な感覚は一切なかった

    むしろいつもより調子が
    いいとさえ思っていた



   乱花
    どうして?



   桃
    あの時、私と倫花の心は
    確かに一つに重なっていた



   乱花
    な、なんだよそれ
    理由になってないよ



   桃
    倫花が私を思う強い気持ちを感じた
    私も倫花のために戦おうとした

    倫花と一緒に戦いたい
    私の心の中は、それしかなかった



   乱花

    (独白開始)

    お姉ちゃんは
    いつだってそうなんだ

    いつも誰かのために
    がんばって、そして
    にこにこ笑ってた

    お姉ちゃん……

    (独白終了)

     ※ 倫花の資質



   桃
    でも、それは私の勘違いだったんだな



   乱花
    勘違い?



   桃
    私が強くなったんじゃない
    倫花が強かった、それだけだ

    そして私は倫花のパートナーとして
    相応しくなかった



   乱花
    あのさ
    こっちが黙って聞いてると思って
    甘ったれたこと言わないでよね



   桃
    ……なに?



   乱花
    自分が弱いと思うなら
    お姉ちゃんに見合うくらい
    強くなればいい

    九頭竜は弱くなんかないよ
    本当に心が弱いヤツとなんか
    お姉ちゃんは一緒に戦わない

    お姉ちゃんにあんな
    ケガまでさせておいて
    自分は相応しくなかった?

    ふざけんな!
    お姉ちゃんがどんな思いで
    九頭竜と組んだと思ってるの?



   桃
    ……知っている

    私は倫花とドライヴしたんだ
    倫花の気持ちは知っているんだ

    知ってしまったから
    怖くなった



   乱花
    ……なに?



   桃
    戦うことが怖い



   乱花
    九頭竜はここに来る前から
    戦いを知ってたんでしょ?

    その……本物の戦場で



   桃 
    ……ああ

    全ての記憶を鮮明に
    思い出せるわけじゃない

    だが記憶ではない
    想いが心に焼き付いている



   乱花
    一体、何が……?



   桃
    仲間を……
    大切な人を失うこと

    ※ この想いが、桃を他者から遠ざけていた



   乱花
    失う……



   桃
    最初に会った時にいったはずだ
    私以外は……みな死ぬと



   乱花
    九頭竜……



   桃
    自分が死ぬのは怖くない
    順番はいつか回ってくる
    早いか遅いか、それだけだ

    ただ、私が戦うことで
    大切な誰かが傷つくかもと思うと
    胸にあの恐怖が張り付くんだ



   乱花
    お姉ちゃんは大丈夫だよ
    今は面会シャゼツだけど
    命に別条はないって



   桃
    倫花のこともそうだが
    私は、乱花、おまえの事が
    その、気になって



   乱花
    え?



   桃
    疲れてるんじゃないのか?
    倫花が倒れてから
    ずっと寝てないんだろう



   乱花
    別に疲れてないし
    一週間くらい寝なくても
    全然平気だし


    心配なんて大きなお世話だよ



   桃
    そうだろうな
    私のせいで倫花が倒れたんだ
    私の心配など無用かも知れない

    でも私は、その……

    必要だと、思ったんだ



   乱花
    本当に平気だってば
    何なの? 急に

    まるで……お姉ちゃんの
    代わりみたいな顔しちゃってさ



   桃
    そ、そんなつもりじゃない!



   乱花
    わ、びっくりした!
    急に大きな声出さないでよ



   桃
    す、すまん

    倫花の代わりだなんて
    そんなつもりはないし
    私に出来るとも思えない

    ただ、私には乱花が
    平気そうには見えなかった



   乱花
    そりゃちょっとは堪えてるけどさ

    でも私は平気だよ
    お姉ちゃんを笑顔で出迎えなくちゃ



   桃
    ……そうか
    そうだな
    ならばよかった



   乱花
    な、なんだよ変な顔して



   桃
    気持ちを言葉にするのは難しいな

    生まれてこの方
    うまく出来た試しがない



   乱花
    別にいいんじゃないの

    心にもないことを
    ペラペラ喋れる人だって
    世の中にはいるよ

    逆に、言葉にしなくても
    気持ちが通じる相手だっているんだし



   桃
    それが私にとっては倫花だったんだ
    そして乱花、今はお前の気持ちも
    少し分かる気がする



   乱花
    や、やめてよね
    そういうクサいの
    苦手なんだよ



   桃
    わ、私だって苦手だ
    たぶん乱花よりもずっと



   乱花
    いーや、私の方が苦手だね



   桃
    私より苦手なヤツが
    この世にいるとは思えない



   乱花
    私の方が――ぷっ
    あははははは



   桃
    な、なんだ?
    どうした乱花
    ついにおかしくなったのか?



   乱花
    何をくっだらない言い争い
    してるんだろって思ったら
    笑っちゃった

    あのね、今はもう平気
    本当だよ



   桃
    今は?
    やっぱり大丈夫じゃなかったのか



   乱花
    うっ



   桃
    そういえば、倫花が倒れた時
    すごく取り乱していたな



   乱花
    う、うるさいな!
    九頭竜だってオロオロしてたじゃん!



   桃
    す、少しだけだ



   乱花
    私だって少しだけだよ

    だから、おあいこでしょ



   桃
    おあいこ……

    ああ、そうだな
    あおいこだ



   乱花

    (独白開始)

    九頭竜も、ずっと気にしてたんだな
    お姉ちゃんのこと

    それから
    私のことも……

    (独白終了)

     ※ 乱花にも変化が訪れる。やはり理事長の思惑通り



   桃
    とにかく
    一人でいる必要がないのに
    一人でいるのは良くない

    授業に顔を出せ
    サボるのは倫花も喜ばないぞ

     ※ まるで当初のマナのよう



   乱花
    うえ~
    マジでお姉ちゃんみたいなこと言うの
    やめてよ

    でも、せっかく九頭竜が
    迎えに来てくれたんだもんね
    行ってみるか



   桃
    じゃあ
    さっさと準備をしろ
    待っているから



   乱花
    うん



   桃
    そうだ乱花



   乱花
    うん?



   桃
    私なら大丈夫だ
    ちゃんと戦える



   乱花
    え、急になんの話?



   桃
    他の連中は、既に次の
    定期戦を見越して準備を始めている



   乱花
    次の定期戦?
    そ、そっか、定期戦だもんね
    一定期間ごとにあるのか



   桃
    さっきは少々喋りすぎてしまったからな

    ついでだ
    全部話しておく



   乱花
    う、うん



   桃
    戦うことに恐怖はある

    だが、その恐怖は信じ合える
    パートナーと戦える喜びと表裏
    一体のものだと思う

    思えば、当たり前の
    ことでしかなかったんだ

    私は――いや私たちは
    ヴァルキリーなのだから

    だから、もし私と組むことに
    なっても心配はいらない



   乱花

    (独白開始)

    そうか……
    今すぐ戦うことになれば
    お姉ちゃんはいないんだ

    (独白終了)

    ありがとう
    私も九頭竜の言う通りだと思う



   桃
    そうか



   乱花
    あ、でもさ……
    一つ、気になることがあるんだけど



   桃
    気になること?



   乱花
    私と九頭竜が組んでも
    お姉ちゃんの時みたいに
    大ケガすることはあるのかな?



   桃
    私と組んだ相手が、か?



   乱花
    そうじゃなくて
    ドライヴの結果ケガしたり、もしかして――



   桃
    死んだり、か



   乱花
    幸い、お姉ちゃんはそこまで
    大事に至らなかったけど

    そりゃあんな派手に力を
    ぶつけ合って戦うんだから
    少しくらいのケガはあるよ

    でも、お姉ちゃんみたいのは
    聞いたことがない

    もしあんなことが頻繁に
    起こりうるなら、治療のために
    戦うのって正しいことなの?



   桃
    考えたこともなかったな

    私たちのVR-ウイルスもそうだが
    V-ウイルスには治療法がない

    治療を受けてウイルスを制御する
    術を身につけなければ
    どのみち助からないんだからな



   乱花
    戦わないって選択肢は
    ありえないのか……



   桃
    もうこんな時間か
    授業が始まるぞ



   乱花
    あ、うん
    今支度するから



   桃
    ああ、待っている



   乱花

    (独白開始)

    治療のために戦う……か
    私にはよく分かんないや

    考え過ぎるのはやめよう

    (独白終了)

   (学園にて)

    うう
    サボり倒したあとだと教室に入りづらいな



   ヴァイオラ
    あら
    ごきげんよう



   乱花
    ヴァイオラ……
    あの、おはよう



   ヴァイオラ
    意外ね
    しばらくは学校へは来ないと思っていたのに



   乱花
    ケガをしたのは私じゃない
    お姉ちゃんだよ



   ヴァイオラ
    そんなことは知っているわ
    見ていたもの

    でも、次の定期戦には
    参加しないかもって思っていたわ



   乱花
    どういう意味?



   ヴァイオラ
    あなた、お姉さんの
    お守りがなくても戦えるの?
    そうは思えないけど



   乱花
    なんだと……



   桃
    姉を慕うことの何が悪い

    あれは異常事態だった
    妹の乱花が取り乱すのも
    おかしなことじゃない

    近くで見ていたと言ったな
    手助けもせず、その場から
    逃げ出すっていうのはどうかと思うがな



   ヴァイオラ
    逃げ出す? この私が?



   桃
    ああ、傷ついた倫花を見て
    怖くなって取り乱したのは
    お前なんじゃないのか?



   ヴァイオラ
    そんなわけないじゃない!



   桃
    ……ふん



   ヴァイオラ
    この私が、あの程度の事で
    恐れをなすわけがないしょう?

    私はエリートよ

    己の未熟さに気づかず
    力を使い果たしてしまうような
    弱者とは違うわ



   乱花
    なんだって?

    弱者って、お姉ちゃんのこと
    言ってるのか?



   ヴァイオラ
    そ、そうよ
    それ以外に誰が――



   乱花
    ふざけんな!



   桃
    乱花、落ち着け



   乱花
    あんたは相手のために
    自分が倒れるまで力を尽くして戦えるの!?

    いいトコに住んで、格下に
    おだてられるのがエリートって
    ことなら何も言わないけどね



   ヴァイオラ
    なんですって……



   マナ
    はいはい
    空気が悪いですよ~

    ヴァイオラさんも
    そんなに怒ってはいけません

    倫花さんが己の力量を見誤った結果
    あんなふうになってしまったのは
    事実ですけど

    私は倫花さんが弱者だなんて思いません

    だって、すごいじゃないですか

    未熟なリブレイターと組んで
    ゴウザンゼ先生から
    合格を勝ち取ったのですから

    ねえ? 乱花さん?

     ※ 単なる煽りならウイルスの影響が大きく、
       そうでないならヴァイオラを庇ったとも言える。
       5-B-前では死体蹴りうんぬんと言って、嫌われ役を買って出てその場を収めた




   桃
    何が言いたい
    猪名川



   マナ
    ふふっ……

    まあ、合格したところで
    あんな状態になってしまったのでは
    まったく意味がありませんけど



   桃
    抑えろよ、乱花

    ここで騒ぎを起こして
    島をつまみ出されでもしてみろ
    誰が倫花を出迎えるんだ



   乱花
    ……わかってる



   ヴァイオラ
    はあ、たまには庶民の授業でも
    受けてみようかと思ったのだけど
    興が削がれたわ

    帰るわ



   乱花
    帰れ帰れー
    ばーかばーか



   マナ
    あら、いいんですか?
    次の授業は修練場での
    治療プログラムですよ?



   ヴァイオラ
    だから何?
    そんなもの、エリートの私には必要ないわ



   マナ
    そうでしょうか?

    結果倒れたとは言え、倫花さんと
    桃さんは、ゴウザンゼ先生に傷をつけたんです

    これって治療プログラムの成果に
    他なりませんよね?

    庶民の授業などとバカにしていたら
    いくらヴァイオラさんとは言え
    足元をすくわれかねないんじゃ……



   ヴァイオラ
    マナ、あなた、何を言いたいわけ?



   マナ
    いえ、もし良ければ
    治療プログラムでヴァイオラさんに
    お稽古をつけて欲しいなと思いまして

     ※ 人を動かす術を覚え始めたのだろうか



   乱花
    猪名川、何を考えてるわけ?
    ヴァイオラが治療プログラムに
    参加するわけないじゃん



   ヴァイオラ
    ……いいわ



   乱花
    え? 授業に出るの?
    ヴァイオラが? マジで?



   ヴァイオラ
    サボり常習犯のあなたにだけは
    言われたくないんだけど

    行きましょう
    真の強者の在りかたというものを見せてあげるわ



   (修練場にて)

   コンゴウ
    ほう、珍しい顔ぶれであるな



   ヴァイオラ
    ごきげんよう、コンゴウ先生
    修練場をお借りします



   コンゴウ
    何をするつもりだ?



   ヴァイオラ
    ヴァルキリーが4人いるんです
    決まっているでしょう



    乱花
    もったいぶった言い方するね
    要は私が気に食わないから
    ブチのめしてスッキリしようってんでしょ



   ヴァイオラ
    品のない表現だけど
    まあ、その通りよ



   乱花
    話が早くていいね
    こっちもウップンがたまってたところだし



   コンゴウ
    よかろう
    思いの丈は拳に乗せて
    存分にぶつけ合うべし!



   ヴァイオラ
    先ほどた私に言ったわね
    倒れるまでやってみろ、と



   乱花
    言ったよ



   ヴァイオラ
    そこまで私を追い込めるかしら?
    そっちが先に倒れたんじゃ
    笑い話にもならないわ



   乱花
    お姉ちゃんは、どうして
    倒れるまで戦い続けたと思う?

     ※ 乱花の為にも戦ったマナに対して、乱花は自分達のことしか考えていなかった。
       その乱花が知ったような顔をするのは、マナに対して礼を欠いている




   マナ
    己の力量を見誤ったからです



   桃
    猪名川、私と倫花の戦いを見ても
    まだそんなことを言っているのか?



   乱花
    勝ちたかったから
    ううん、勝たせたかったから

    パートナーである九頭竜の思いに
    お姉ちゃんは応えようとした

    今までの二人では出来ないことをやろうとした



   桃
    乱花の言う通りだ
    私たちの思いを乗せた刃は
    ゴウザンゼ先生に届いた

     ※ マナの想いには応えなかった桃が、
       マナの前で聖者のように振る舞うのは無理がある




   マナ
    ……口でなら何とでも
    言えるでしょう



   コンゴウ
    乱花、お前にそれができるのか?
    倫花以外の者と組んで、だ



   乱花
    できるかどうかじゃない
    やります

    お姉ちゃんをバカにしたことを
    後悔させてやるんだ

    ……ううん、それも違うな

    お姉ちゃんは、私に本当の
    ドライヴを見せてくれた

    それがどんなものか
    ヴァイオラと猪名川に教えてあげる



   ヴァイオラ
    戦う前から大きな口を
    叩かない事ね

    負けた時には恥ずかしくて
    悶死するわよ



   コンゴウ
    ヴァイオラの言う通りよ
    これ以上、言葉はいらぬ

    双方位置につけい!
    これより実戦訓練を始める!



   乱花

    (独白開始)

    パートナー
    仲間……

    お姉ちゃん
    私にもできるよね?

    お姉ちゃんと九頭竜みたいに
    お互いの心を重ねることが――

    (独白終了)




  9-A-後

   コンゴウ
    そこまでい!
    勝負あった!



   乱花
    はあ、はあっ
    勝ちだ……!



   マナ
    くっ……
    不覚を取りました

    まさか妹のほうも
    これほどとは……



   ヴァイオラ
    不覚?
    いいえ、敗因はそこではないわ



   マナ
    ヴァイオラさん……?



   ヴァイオラ
    確かに驚くべき成長ね
    これほどまでシンクロできるとは
    思いもしなかったわ

    いいでしょう
    神楽坂倫花が弱者という発言は
    取り下げてあげる



   乱花
    やった!
    ヴァイオラに認めさせた!



   桃
    ヴァイオラ、お前にしては
    素直じゃないか



   ヴァイオラ
    とはいえ脅威と言うほどでもないわ

    せいぜい並ってところね



   乱花
    ヴァイオラから見れば
    あれでも並なのか……



   ヴァイオラ
    さて、次はマナさんね
    正直ガッカリしたわ

    力任せの攻撃はむしろ
    隙が多かったし、反撃の機は
    いくらでもあったでしょうに



   マナ
    そ、そんな
    反撃の機会なんて



   ヴァイオラ
    私ならやれたわ
    マナに見えなかっただけ



   マナ
    うっ……



   ヴァイオラ
    正直、パートナーとしては不十分ね
    少し考えさせてもらうわ

     ※ 自称ナンバーワンなら、もう少し上手くマナを指導することも出来ただろう。
       それに、元よりパートナーを続けるつもりはヴァイオラには無い




   マナ
    なッ……



   ヴァイオラ
    なあに?



   マナ
    な、何もそこまでしなくても
    いいんじゃないですか?

    私とヴァイオラさんが組めば
    この島で安泰に暮らすには
    十分じゃありませんか



   ヴァイオラ
    十分……ですって?
    はっ!

    (独白開始)

    ザコを何人倒そうとも
    少しも私の心は満たされない

    月影小春――

    小春を倒すまでは……

    (独白終了)

     ※ ここからヴァイオラの小春への執着がクローズアップされ、
       単なるライバル意識以上のものだということが分かっていく




  9-B-前

   (教室にて)

   小春
    おはようございます



   乱花
    月影!
    授業に出るなんて珍しいじゃない



   小春
    よかった、もう大丈夫そうですね
    だいぶショックを受けていたので
    少し心配していたんですよ



   乱花
    それ、九頭竜にも
    ヴァイオラにも言われたよ

    恥ずかしいところを見せちゃったな



   小春
    恥ずかしいだなんて
    目の前で家族が倒れたんですもの
    誰だって取り乱します



   乱花
    ありがと、月影
    改めてお礼を言うよ

    お姉ちゃんが大したこと
    なかったのも、月影のおかげだもんね



    小春
    お礼なんて
    当然のことをしたまでです



   乱花
    んで、今日はどうして
    授業に出る気になったの?



   ???
    確かに
    それは私も気になるわ



   小春
    理事長先生!



   理事長
    私の立場でこういうことを
    言うのもアレなんだけど

    筆頭には授業免除の特権を
    与えてるのに、わざわざ受ける
    必要なくないかしら

    私だったら100%出ないけど



   乱花
    うわ、ミもフタもないな、この人



    小春
    はい、私もパートナーを
    決めなければならないので



   マナ
    パっ、パートナー!?



   乱花
    うわっ
    猪名川が湧いて出た!



   小春
    ええ、次の定期戦は
    VR-ウイルスの保有者同士で
    組んでみたいなと思って



   マナ
    そうですよねっ!
    せっかく同じ境遇に生まれたんですもの!

    特に私と月影さんは筆頭と副筆頭

    何かと通じるところも
    あるのではないかと……

     ※ 更なる乗り換えへの意欲が、マナの印象を悪くしていく



   小春
    私は、あなたと通じていると
    思うことはまるでありませんけど



   マナ
    え……っと……



   乱花
    完全にフラれたね



   マナ
    べ、別にそんなこと……
    ないですよね……?



   小春
    私はただ、V-ウイルスの治療
    プログラムに貢献したいだけです

    前回の定期戦では
    本気を出せませんでしたから……



   桃
    つまり、ダイイトク先生と
    引き分けた時は手を抜いていたと?



   小春
    少し違います



   乱花
    月影がパートナーを完全に
    信頼してなかったんじゃない?
    それとも、その逆かも



   小春
    ペアを組んだからには、私は彼女に
    全幅の信頼を寄せていましたし
    彼女もまた私に全てを委ねてくれました

    それでも、心の奥底で四神へ挑む
    ことへの恐怖を拭いきれなかった

    戦いが怖いのは当たり前です
    ですが――



   桃
    相手が月影の能力を受け入れ切ることが
    できなかったということか



   小春
    ドライヴは二人の内のどちらが
    弱くてもダメなのです

    体も、心もね



   乱花
    さすが、五期生筆頭の言葉は
    重みがあるね~

    猪名川、忘れない様にメモしておきなよ



   マナ
    わ、私をバカにしてるんですか!?



   小春

    (独白開始)

    自身が崩壊してまで
    相手への信頼を貫き通す
    倫花さんの心――

    それはヴァルキリーとして
    他の誰も持ち得ない強力な資質となり得る

    もし彼女と私が組めば
    完全なドライヴができるはず

    (独白終了)



   理事長
    月影さん、どうしたの?
    そんなに怖い顔をして



   小春
    な、なんでもありません
    ちょっと倫花さんの事を考えていただけです



   乱花
    今の話で、なんで
    お姉ちゃんが出てくるの?



   小春
    乱花さん



   乱花
    な、なんだよ



   小春
    お姉さんの具合はどうです?



   乱花
    詳しいことはわかんない
    まだ面会シャゼツのままだし



   小春
    そうですか

    倫花さんが次の定期戦に
    出られるのかどうかが
    知りたかったんですが……



   乱花
    ……月影、それってどういうこと?
    お姉ちゃんをどうするつもり?

    さては何か企んでるな?
    お姉ちゃんに手を出したら絶対に許さないぞ!



   桃
    おいやめろ倫花!
    この女は……ヤバい!



   小春
    企みなどない――
    と言えば嘘になりますね



   乱花
    ふざけんな!
    お姉ちゃんは私が守る!



   理事長
    あらあら、これは大変ね

    月影さんどういうつもりかは
    知らないけど、乱花さんに
    説明する必要があるんじゃない?



   小春
    ですが、どう説明したら
    分かってもらえるのか……



   理事長
    そんなの簡単よ

    ヴァルキリー同士は
    ドライヴでわかり合えるのよ



   小春
    そうやって煽って
    少しでも私のデータを取りたいと
    いったところなんでしょうけど



   理事長
    ぎくっ



   小春
    断る理由もありません
    乱花さんがそれで納得するのなら



   乱花
    上等だこの野郎!
    ボッコボコにしてやる!



   桃
    ま、待て!



   乱花
    なんだよ九頭竜
    止めたって無駄だよ



   桃
    止めない
    止めないが

    ただ……



   小春

    (独白開始)

    なるほど、人一倍
    鼻が利くタイプなんですね
    戦場で得た感性なのか……

    (独白終了)



   桃
    ここは私にやらせてくれ
    感情に振り回されて勝てる相手じゃないぞ



   乱花
    でも!



   桃
    言うことを聞け、乱花



   乱花
    うっ……



   桃
    リブレイターは私だ
    いいな?



   乱花
    わ、わかったよ



   小春
    では、マナさん
    私と組んでくれますか?



   マナ
    わ、私ですか!?
    は、はいっ!
    よろこんで!



   小春
    では、修練場でお待ちしております

    巻き込んでしまってごめんなさい
    迷惑だったでしょう?



   マナ
    とんでもないです
    筆頭と組めるなんて光栄です



   小春
    できればゆっくりお話をして
    わかり合いたいのですけれど

    言葉を重ねても届かない場合もある
    時間もあまりありません

    ならば、戦うことで伝えましょう
    私たちはヴァルキリーなのですし



   マナ
    何のお話ですか?



   小春
    いずれ分かります


   (修練場にて)

   理事長
    猪名川さんたちが
    所定の位置についたわ

    始めてもいいかしら?



   小春
    ええ、お願いします



   理事長
    それでは――試合開始ッ!




  9-B-後

   小春
    ふたりとも、大丈夫ですか?
    思ったよりも強かったので
    つい



   桃
    つ、強い……



   乱花
    これが五期生筆頭の実力かぁ……
    不思議とあんまり悔しくないや



   桃
    ああ……



   乱花
    私も月影くらい強くなれるんじゃ
    ないかって、そんな気がする



   マナ
    さすがは月影さんです!
    私もパートナーとして
    精一杯やらせて頂きました!

    こ、これから
    よろしくお願いします!



   小春
    あの、マナさんをパートナーに
    選んだわけではないんですが……



   マナ
    えっ!?



   小春
    今のは成り行きで組んだだけです
    あしからず



   マナ
    そ、そんなっ



   小春

    (独白開始)

    私のパートナーはやはり……

    (独白終了)



   ヴァイオラ
    マナはあなたのお眼鏡に
    かなわなかったみたいね



   マナ
    現時点では、ですけれど
    で、何か御用ですか?



   ヴァイオラ
    パートナーを探して
    いるんでしょう?



   小春
    ヴァイオラさんをパートナーに
    選ぶつもりはありません



   ヴァイオラ
    こ、こっちから願い下げよ!

    私の目的は、あなたを倒して
    ナンバーワンになることよ

    私があなたと組んだら
    あなたを倒すことが
    できなくなってしまうでしょう



   小春
    なるほど
    ヴァイオラさんの言う通りですね



   ヴァイオラ
    それを伝えに来たのよ!



   小春
    はい、覚えておきますね
    それでは失礼します



   ヴァイオラ

    (独白開始)

    くっ……
    人バカにして……

    頭を下げて、組んで下さいと
    頼めば考えてあげるのに……

    やはり、叩き潰すしかないのね

    (独白終了)



   理事長
    どの子も元気があって
    ステキだわ

    やっと同じ盤面に
    駒が揃ったというところかしら

    それでは
    私の一番大事な仕事に
    取りかかるとしましょうか

     ※ 守護者の選別





 Drive10. 想いの行く先


  10-A-前

   (教室にて)


   小春
    ふう……やっぱり
    学校に来ても退屈なだけね

    倫花さんの退院を待つべきか……

    でも今回の定期戦には
    間に合わなそうだし



   乱花
    月影、もう帰るの?



   小春
    乱花さん

    ええ、少し街を歩こうかと思って



   乱花
    ま、まさかお姉ちゃんのところに
    行くつもりじゃないでしょうね!



   小春
    倫花さんはまだ
    面会謝絶なんでしょう?



   乱花
    それは、そうだけど……

    でも月影はこないだ
    何か企んでるって言ってたし

    まさか、お姉ちゃんに
    夜這いをかけようと……?



   小春
    夜這い?



   乱花
    そうだよ
    お姉ちゃんが無抵抗なのをいいことに……



   小春
    私が倫花さんに淫らな行為を働くと



   乱花
    なっ……!

    バッカじゃないの!?
    そんなこと言ってないでしょ!
    このエロ筆頭!



   小春
    え、エロ筆頭……
    そんなこと初めて言われました
    ちょっと傷つきますね



   乱花
    私が言いたいのは寝首をかくってこと!



   小春
    ああ、なるほど

    乱花さん
    夜這いという言葉の意味を
    取り違えていませんか?



   乱花
    えっ!?
    どういうこと?



   小春
    はい、夜這いというのは
    私が言った通りの意味です



   乱花
    へ?
    マジ!?



   小春
    マジです



   乱花
    あわわわ! どうしよう!
    私、今までずっと使ってたよ!

    うう、お姉ちゃんったら
    教えてくれてもいいのに……



   小春

    (独白開始)

    ちょっとかわいいな……
    やんちゃな子犬みたい

    (独白終了)



   乱花
    でも、方向性を問わず
    お姉ちゃんに手出しするのは
    許さないんだからねっ!



   小春
    手出し?
    そんなつもりはありません



   乱花
    え、だって企みがあるってのは
    お姉ちゃんをどうにかするって
    事なんじゃないの?

    戦える状態かどうか気になるって



   小春
    ああ、そういえばそんな事も言いましたね



   乱花
    それって、お姉ちゃんが
    戦えない内に、どうにかして
    優位に立とうって魂胆でしょ?



   小春
    考えたこともありませんでした
    なるほど、そういうやり方もあるのか



   乱花
    ふえっ?
    そうなの?



   小春
    人の足を引っ張って強くなれるほど
    ヴァルキリーは甘くありません



   乱花
    そ、そうだったんだ
    疑ってごめん



   小春
    いいえ、こちらこそごめんなさい
    ちゃんとお話していないのに
    不安にさせるようなことを言って

    乱花さんは、倫花さんのことが
    本当に大好きなんですね



   乱花
    そ、そうだけど
    改めて言われると照れるな……



   小春
    うふふ
    桃さんには感謝をしなければいけませんね



   乱花
    感謝?
    九頭竜に?
    なんで?



   小春
    先日の戦いでは
    乱花さんは心に大きな乱れがありました



   乱花
    乱れ?



   小春
    はい。 もし乱花さんが
    リブレイターを務めていたら……

    倫花さんと同じ目に
    遭っていたかもしれません



   乱花
    それってつまり……

    えっと、どういうこと?



   小春
    ケガをしていたかもしれない
    ということです

    私を敵視するあまり
    感情的になっていたのですね



   乱花
    そうか……
    実は九頭竜にも同じ事を言われたんだよね



   小春
    良いお友達をお持ちですね
    羨ましいです



   乱花
    べ、別にあいつとは
    トモダチとかじゃ……



   小春
    うふふ
    では、良きパートナーということで



   乱花
    よ、良きパートナー……



   桃
    何の話だ?



   乱花
    うあわぁッ!?

    気配を消して現れるの
    やめろって言ったでしょ!

    つーか、どこ触ってんの!?



   桃
    乱花のお尻だが



   乱花
    やっ、ちょっ
    揉みしだかないでよ!
    やぁぁぁん!



   桃
    筋肉に異常はない様だ
    安心した



   乱花
    そういうことなら
    先に言ってよね……
    ううう……



   桃
    昨日の戦いでのダメージを
    知りたかったんだが、月影の背後は
    取れなった



   小春
    もちろん、取らせませんとも



   桃
    あまり怒るなよ
    良きパートナーにはスキンシップも必要だろう



   乱花
    なんだ、聞いてたんだ
    やらしーなー



   桃
    やらしくない
    情報収集だ



   小春
    九頭竜さんは、定期戦も
    乱花さんと一緒に?



   桃
    倫花の退院が間に合わなければ
    そうしようと思っている

    ……乱花がよければの話だが



   乱花
    な、なんだよその
    捨てられた子犬みたいな目は!
    やめろ!



   桃
    お前は捨てられた子犬を
    見捨てる様なヤツじゃないよな?



   乱花
    九頭竜、芸風変わってない?
    そういうの、どこで覚えてくるの?



   小春
    朱に交われば赤くなると
    言いますしね



   乱花
    それってどういう意味?



   小春
    さあ?



   桃
    情報収集の成果だ
    私もビクニのやり方に慣れていかねば



   乱花
    と、とにかく九頭竜と組むのは
    お姉ちゃんが戻ってくるまでだからね!



   桃
    そういうわけだ



   小春
    それがいいでしょう
    お似合だと思います

    (独白開始)

    二人とも子犬みたいだし……

    (独白終了)



   乱花
    月影は誰と組むんだ?
    VR-ウイルスの保有者と
    組むつもりなんだろう?



   小春
    私の全力を受け止めきれる
    エクスターは、VR-ウイルスの
    保有者以外に考えられません

    もしそれが叶えば
    ダイイトク先生にも勝てると思います



   理事長
    その言葉、ダイイトク先生に
    聞かせてあげたいわね



   乱花
    わっ理事長!



   桃
    気配がないのは厄介だな
    私も少し驚いた



   乱花
    いきなり現れないでください
    映像だからって!



   理事長
    月影さん、自分に合った
    パートナーを探すといっても
    次の定期戦はそうは行かないわよ



   小春
    どういうことですか?



   理事長
    ふふふふ……
    それは始まってからのお楽しみってことで

    あ、でもどうしてもって
    いうなら、ちょっとだけ教えてあげてもいいけど



   小春
    いえ、いいです



   理事長
    えっ、マル秘情報知りたくないの?



   小春
    ええ、別に



   乱花
    私もいいや
    難しいこと聞いてもわかんないし



   桃
    必要な情報は自分で収集する



   理事長
    ああん、みんな冷たい!



   小春
    私たちだけが事前に情報を得るというのも
    なんだか気が引けます



   理事長
    優等生すぎるのも考えものね~



   小春
    あ、でも定期戦の開催日は知りたいです

    まだ公表されていないようなので



   理事長
    それに関しては、ダイイトク先生に
    聞いてみるといいわ



   小春
    ダイイトク先生に?



   桃
    あ~
    あのオラオラ系のネコみたいな先生か



   理事長
    今回の定期戦は
    彼女が仕切っているの



   小春
    わかりました
    開催日はダイイトク先生に直接聞いてみます



   理事長
    それじゃみんな
    がんばってね~



   乱花
    消えちゃった



   小春
    お二人はどうします?
    私はこのあとダイイトク先生の
    ところに行きますが



   桃
    私も行く
    少しでも定期戦の対策を立てておきたい



   乱花
    私は別にいいかな
    キョーミないし



   桃
    そういえばダイイトク先生は
    普段は中央区画と工場区画を
    統制しているらしい



   乱花
    中央区画?
    それってもしかして



   小春
    倫花さんが入院している
    病院があるところですね



   乱花
    じゃあ、もしかしたら
    先生に聞いたらお姉ちゃんの
    容態がわかるかも!



   小春
    知っていても
    おかしくはないですね



   乱花
    よし、行こう九頭竜!
    ダイイトク先生のところへ!
    今すぐ!



   桃
    お、おい待て!
    そんなに走ると転ぶぞ!



   小春
    うふふ
    元気ですね

    おっと、私も二人を追いかけなくちゃ

    こんにちは
    ダイイトク先生



   (中央区画にて)

   ダイイトク
    おお、来たな
    月影小春

    定期戦の予定を聞きに来たんだろう
    明日の朝だ



   小春
    それはまた急ですね



   ダイイトク
    今日の授業が終わったら
    抜き打ちで知らせてサプライズする
    つもりだったんだがな

    さっきも違うガキどもが
    開催日を聞きに来やがった

    慌ててごまかしたんだが
    オレが知ってるはずだと言って
    引き下がりやしねえ

    どういうことだ?



   小春
    理事長が言いふらしているんです
    なんだかとても御機嫌みたいで



   ダイイトク
    理事長か、しょうがねぇな
    理由はなんとなく分かるが



   小春
    何か良い事でもあったんでしょうか?

     ※ 理事長は、自分の描いた通りに計画が進行していくことに
       ほくそえんでいたのだろう




   ダイイトク
    さあな
    そのうち本人がべらべら喋るだろうよ

    ついでだ、最後まで聞いていけ
    明日から始まる定期戦では
    変則マッチをしてもらう



   小春
    変則マッチ?



   ダイイトク
    ああ、一戦ごとに
    こちらが指定する特定の
    パートナーと組んでもらう



   小春
    ということは、自分で
    パートナーを選べない?



   ダイイトク
    そういうことだな



   小春

    (独白開始)

    なんてタイミングの悪い……

    (独白終了)



   ダイイトク
    お、どうした?
    オレを倒すのに秘策でも用意してたのか?



   小春
    いいえ、別に
    問題ありません



   ダイイトク
    ハハハ、言うじゃねえか



   小春
    誰と組むことになっても
    次こそは必ずダイイトク先生を倒してみせます



   ダイイトク
    楽しみに待ってるぜ

    定期戦のフィールドは
    オレの管轄である工場区画だ

    ちょっとしたアトラクションだぜ
    オレの自信作だ

    パートナーは試合開始の
    直前に理事長から告げられる
    なかなか興奮するだろう?



   小春
    分かりました
    ありがとうございます
    ダイイトク先生



   ダイイトク
    おう、がんばれよ
    期待してるぜ



   小春

    (独白開始)

    勝手に決められるといっても
    VRクラスの誰かと組むことは
    間違いないのよね

    誰と組んでもいいように
    しっかりとシュミレーションしておかなくては

    (独白終了)



   (城の前にて)

   乱花
    おはよ、月影
    定期戦日和の天気だね



   小春
    ええ、お互いがんばりましょう

    それにしても、ここで
    パートナーの発表があるって聞いたんですけど



   乱花
    誰もいないね



   理事長
    待たせたわね!



   小春
    おはようございます
    理事長先生



   理事長
    昨晩はよく眠れたかしら?



   小春
    ええ、いつもと変わりなく

    それより
    私のパートナーは誰なんですか?



   理事長
    うふ、すぐ近くにいるわ
    感じない?



   小春
    すぐ近く……

    (独白開始)

    何か歪んだ力を感じる……

    (独白終了)

     ※ ウイルスの影響か、ヴァイオラとのドライヴが悪い方に働いたか



   マナ
    月影さん!
    探しましたよ!



   小春
    マナさん
    あなただったの……



   マナ
    そうです!
    私、月影さんのパートナーに選ばれたんです



   理事長
    というわけで月影さんの
    最初のパートナーは猪名川さんよ



   マナ
    よろしくお願いします



   小春
    こちらこそよろしくね
    マナさん



   理事長
    二人の対戦相手だけど
    一戦目は乱花さんと満腹丸さんよ



   乱花
    でも満腹丸がいないけど
    遅刻かな?



   理事長
    彼女はすでにスタート地点にいるわ
    ほら彼女、迷子になりがちでしょう
    食べ物で釣って誘導しておいたの



   乱花
    わわっ
    じゃあ遅刻は私の方じゃん!
    急いで行ってきます!



   理事長
    置いてきた食べ物が尽きない内に
    よろしくね~!

    乱花さんが満腹丸さんと
    合流し次第、試合を始めます



   マナ
    いつでもどうぞ
    私は準備万端です



   理事長
    がんばってね!
    面白い試合になることを期待してるわ



   小春

    (独白開始)

    面白い試合、か……

    乱花さん、今日はどんな
    戦いを見せてくれるのかしら

    パートナーとの相性は
    あまりよくなさそうだけど

    (独白終了)

     ※ マナのことは眼中に無い。満腹丸も



   マナ
    月影さん?
    もうすぐ試合が始まります



   小春
    ごめんなさい
    少し考え事をしていて



   マナ
    筆頭の月影さんでも
    緊張したりするんですね



   小春
    ええ、少しはね



   マナ
    力を合わせて
    あのアホアホコンビを
    さくっとやっつけましょう!



   小春
    そう簡単にいけばいいんですけれど



   マナ
    心配ありません
    月影さんの実力なら
    ぽぽいのぽーい、です



   小春

    (独白開始)

    パートナーの強さよりも
    相性が大事なんですけどね

    相手とのシンクロ次第によっては
    危ないかも……

    (独白終了)



   理事長
    向こうの準備が整ったわ
    では、始めるわよ



   マナ
    私たちの息の合い具合を
    皆さんに見てもらいましょう!



   理事長
    試合開始!




  10-A-後

   乱花
    だーっ
    また負けた!!

    さっきのはいい感じに
    決まったと思ったのに



   満腹丸ちゃん
    しゃどうむーんちゃん超つよいよぉ



   乱花
    ていうか、なんで
    しゃどうむーんちゃんなの?



   満腹丸ちゃん
    月がムーンで
    影がシャドウだから
    しゃどうむーんちゃんなのだ



   乱花
    月影、それでいいの?



   小春
    ま、まあ満腹丸ちゃんさんが
    気に入ってるようですし



   乱花
    満腹丸……ちゃんさん……
    なんかすっごい次元の歪みを感じる



   マナ
    敗戦直後におしゃべりとは
    ずいぶんと余裕がおありですね



   乱花
    月影に負けるのはいいけど
    猪名川に負けたと思うと
    もやもやするなぁ



   マナ
    負け惜しみとしてはユニークですね
    悔しいの? 悔しいの?



   乱花
    悔しいって言うか
    ウザいんですけど

    何とかしてよ、月影~



   小春
    それにしても、先日にも増して
    見事な戦いぶりでしたね、乱花さん

     ※ またもマナは無視される



   マナ
    え、月影さん……?



   小春
    正直、あれほど押し返される
    とは思っていませんでした

    確実に強くなっています



   乱花
    ホント?
    私強くなってる!?



   月影
    ええ、本当です
    何かあったんですか?



   乱花
    あのね、ちょっと前までは
    病気を治しながらこの島で
    暮らせればいいやって思ってた

    この島じゃなくても
    病気を治して元の暮らしに
    戻ればいいって考えてた



   小春
    今は違う?



   乱花
    うん

    もう二度と、お姉ちゃんに
    あんなケガをさせたくない
    私が、させない

    だから私は強くなって
    お姉ちゃんを守るんだ

    誰よりも強くなる
    そのために戦う



   マナ
    いいお話の最中
    申し訳ありませんが――

    誰よりも強く?

    それはちょっと
    難しいと思いますけど



   乱花
    なにが難しいのさ



   マナ
    月影さんやヴァイオラさんに
    勝てるわけがありませんもの



   乱花
    勝つよ
    絶対に勝ってやる



   小春
    ……そうですか

    乱花さん、ひとつだけ
    覚えておいて欲しいの



   乱花
    なに?



   小春
    誰よりも強くなるという事は
    倫花さんよりも強くなるという事です



   乱花
    お姉ちゃんよりも強く……?
    それ、どういう意味?



   小春
    さあ、乱花さんにとって
    どういう意味があるのか……

    それは乱花さんにしか
    わかりません



   乱花
    なにそれ
    全然わかんないんだけど



   小春
    今はそれでいいでしょう
    では、また次の戦いで会いましょうね



   マナ
    あ、待って下さい!
    月影さん!



   乱花
    行っちゃった……
    そうか、次の試合もあるんだもんね

    って満腹丸もいないし!
    いつの間に?

    まあいっか
    私、次は誰と組むのかな?




  10-B-前

   (中央区画にて)


   ヴァイオラ
    ザマはないわね



   乱花
    うるさいな
    ケンカを売りに来たわけ?



   ヴァイオラ
    ええ、そうよ

    と言いたいところだけど
    パートナーにケンカを売っても
    しょうがないでしょ



   乱花
    パートナー?



   ヴァイオラ
    理事長から聞いていないの?

    二戦目は私と乱花のペアよ



   乱花
    あ、相手は?



   ???
    ふむ、昨日とはハリが違う……



   乱花
    うああぁっ!?

    九頭竜、毎回毎回
    うしろから現れてヘンなとこ触んないでよ!



   桃
    ヴァイオラも月影も
    背後を取らせてくれないので面白くない



   ヴァイオラ
    当たり前よ
    定期戦はルール無用

    敵に背後を取らせるなんて
    愚の骨頂だわ



   乱花
    えっ、ってことは次は
    九頭竜と戦うの?



   桃
    そういうことだ



   乱花
    九頭竜は誰と組むの?



   ヴァイオラ
    小春よ



   乱花
    また月影!?
    うそぉ!?



   桃
    一戦ごとにペアの入れ替えと
    なると、そういうこともあるだろう



   ヴァイオラ
    小春は?



   乱花
    さっき、猪名川と一緒に
    あっちに行ったけど



   ヴァイオラ
    急いで追いかければ見つかるかしら



   乱花
    ペアの九頭竜はともかく
    なんでヴァイオラが月影に用事があるわけ?



   ヴァイオラ
    こっそり背後に忍び寄って
    毒矢でも吹きかけてやろうかと思って



   乱花
    やめなよ
    戦いってのは正々堂々とやるものでしょ



   桃
    マジメだな、乱花
    戦場では真っ先に死ぬタイプだ



   乱花
    ここは戦場じゃないからね
    ヴァルキリーとして強くなるには
    それなりの意識を持たないと



   ヴァイオラ
    へえ、アホの乱花にしては
    マトモな事を言うじゃない



   乱花
    アホ言うな!

    そんな卑怯なマネをしなくても
    そこそこ戦えると思うんだ



   ヴァイオラ
    小春相手に?
    あなたが?
    寝言は寝てから言いなさい



   乱花
    でも月影も褒めてくれたよ
    強くなったって



   ヴァイオラ

    (独白開始)

    小春が褒めた……?
    あなたのことを?

    (独白終了)



   乱花
    もっと強くなれるって言ってくれた
    誰よりも強くってね



   ヴァイオラ

    (独白開始)

    誰よりも強く、ですって?
    私は眼中にないと言うこと?

    ナンバー2である私を認めず
    なぜこんな小娘に……!

    行きましょう。 今度こそ
    ハッキリさせて見せるわ
    私と小春、どちらが強いかを

    (独白終了)



   桃
    意気込んでいるところ悪いが
    リブレイターは私だ



   ヴァイオラ
    構わないわ
    小春ごと倒せるのならなんだっていい



   桃
    そろそろ時間か
    私は行く
    月影と合流しなければ



   乱花
    あとでね
    九頭竜



   ヴァイオラ
    小春と二連戦なんて
    可哀想だけど、泣き言は聞かないわ



   乱花
    頼まれたって言うもんか



   ヴァイオラ
    それと、小春や桃と
    仲良しごっこをするのは勝手だけど

    負けた時のいい訳には
    ならないからそのつもりで

    ヴァルキリードライヴは
    遊びじゃないのよ



   乱花
    全力を尽くすよ
    それが月影や九頭竜に対する
    私の礼儀だから

    ヴァイオラ
    あんたに対してもね

     ※ その礼儀が、先の定期戦でマナに対して向けられることはなかった



   ヴァイオラ
    ……いい覚悟だわ

    私がてっぺんを取る
    手伝いをさせてあげる
    この先の人生で自慢なさい



   乱花
    はいはい
    わかってるって



   理事長
    はぁい
    ふたりとも準備は――
    できてるみたいね

    では第二回戦
    試合開始よ!




  10-B-後

   乱花
    はあ、はあっ
    危なかった……

    あれが本気を出した九頭竜の力?
    それとも月影の力なのかな……

    ギリギリだった
    ヴァイオラがパートナーじゃなかったら
    きっと勝てなかった

    くそ……強いな
    みんな強い



   ヴァイオラ
    小春に勝って見せたわ
    これが私の実力よ

    小春だけが特別なんて
    もう言わせない

    小春、これで私が同格と
    認めるわよね



   小春
    惜しかったですね
    桃さん



   桃
    試合には負けたが
    得がたい経験をした

    あれで全力ではないのか
    底が見えないな、月影



   小春
    即席のペアであれほど
    シンクロできたんです
    十分でしょう

    あとは間合いの取り方を――



   ヴァイオラ
    私の話を聞きなさいッ!

     ※ 桃に対するマナと、小春に対するヴァイオラは似ている



   小春
    ヴァイオラさん……



   ヴァイオラ
    バカにしないでよ!
    私一人を舞い上がらせて
    興味が無いだなんて!

    バカに……しないでよ
    私は……小春と……



   小春
    ご、ごめんなさい
    無視したつもりはなくて

    あなたのことは
    もうわかっているから
    だから――



   ヴァイオラ
    わかってるなら
    もっと私を見てよ……



   小春
    ヴァイオラさん?



   ヴァイオラ
    なんでもないわ
    少し頭を冷やしてくる



   小春
    あ……



   乱花
    よくわからないけど
    ヴァイオラも大変みたいだね



   桃
    でもそれは私たちも同じだ
    相手を気遣って手を抜く訳にはいかない



   乱花
    九頭竜の言う通りだね

    それに今回の戦いで
    痛感させられたよ
    もっと修行が必要だって



   桃
    同感だな



   乱花
    つーわけで
    これからも頼むよ
    相棒



   桃
    ああ……



   小春
    相棒……か



   (一般区画にて)

   マナ

    (独白開始)

    はぁ……どうすれば
    月影さんは私をパートナーとして
    認めてくれるんでしょう

    (独白終了)



   満腹丸ちゃん
    トンテキ!



   マナ
    ……どこの国の挨拶ですか?



   満腹丸ちゃん
    トンテキはトンテキなのだ

    今日のポイントは
    ぜ~んぶブタさんの料理に
    こしらえよ~っと!



   マナ

    早く信頼できるパートナーを
    見つけなくちゃ……

    (独白開始)

    ヘタしたらこのブタしか
    余らないなんてことも……

    (独白終了)



   満腹丸ちゃん
    余り物には福があると聞きますし

    というかー
    まんぷくまるちゃんから見れば
    そっちが余り物なのだ



   マナ
    ぐはっ!
    こ、こんなヤツに余り物と
    言われるなんて……!



   満腹丸ちゃん
    まーまー
    そんなに気を張ってたら
    すぐにおなかが空いてしまいます

    ピーちゃんもらんちゃんも
    勝ったり負けたり、楽しそうでなによりなのだ

    ポイントたくさん、ご飯たくさん
    まんぷくまるちゃんは具だくさん!

    あはははははははは!



   マナ
    余り物コンビだなんて
    呼ばれるのだけは絶対に避けなくては……



   理事長
    あらあら
    落ち込んでいるみたいね



   マナ
    理事長先生



   理事長
    ちょっといい?
    こっちこっち



   マナ
    なんですか?



   理事長
    あなたにだけ伝えておきたい事があるの

    ちょっと耳を貸してちょうだい



   マナ
    はあ、いいですけど……



   理事長
    あのね
    ごにょごにょごにょ……



   マナ
    それって……



   理事長
    あとはあなたの決断次第よ
    考えておいてね



   マナ
    …………

    へえ
    私にも運が向いてきたみたい……

    うふふふ…… 
    あはははははははは!!

     ※ 五体目の神となることへの打診





 Drive11. 最強ペアの誕生



  11-A-前

   (教室にて)

   小春

    (独白開始)

    報告書も提出したし
    今回の定期戦も無事終了……

    個人的には、クラスメイトの
    実力を計ることができたのは
    大きな収穫でした

    (独白終了)



   マナ
    おはようございます
    月影さん



   小春
    あ、マナさん
    おはよう



   マナ
    最近は、よく授業に
    出席されるんですね



   小春
    ええ、定期戦だけでは
    パートナーを決めかねていて

    欠席者もいましたから



   マナ
    倫花さん……ですか



   小春
    そうです



   マナ
    ……



   小春
    ダイイトク先生に再戦を
    挑むためにも、VRクラスから
    パートナーを求めたいんです

    そのためにも、これまでより
    積極的に授業に出席して
    親睦を深めたいと思って



   マナ
    それなら、また私とも
    組んでくれますか?

    月影さんと組んだことで
    色々と学んだことも多いので
    ぜひお願いしたいのですが



   小春
    ええ、喜んで

    治療プログラムの上でしたら
    私は誰とでも組みますし
    誰とでも戦います



   マナ
    ほ、本当ですかっ!?

    で、で、ではさっそく
    この授業が終わったら――



   乱花
    おはよーっ



   小春
    おはようございます、乱花さん



   マナ
    ……ちっ
    せっかく月影さんと二人で
    お話ししてたのに



   乱花
    あれ、月影
    今日も授業に出てるんだ



   マナ
    パートナーが決まるまで
    積極的に授業に出て下さるんですって

    筆頭としてのお仕事も
    忙しいのに、素晴らしいです



   乱花
    そっかそっか
    月影が授業に出てくれると
    いい修行になって助かるよ



   マナ
    あら、別に月影さんが
    あなたたちの訓練に付き合うとは
    一言も――



   小春
    あの、それで乱花さん
    倫花さんはいつ頃戻れるか分かりましたか?



   マナ
    あらっ



   乱花
    それが、全然ハッキリしないんだよね



   小春
    そうですか



   桃
    朝から騒がしいな
    邪魔だ、通れないだろう



   乱花
    九頭竜、今日も月影が授業に参加するってさ



   小春
    よろしくお願いします
    桃さん



   桃
    そうか



   乱花
    あれっ
    あんまり興味ない?



   桃
    そんなことはない
    月影の実力は認めている

    だから月影と戦うことは
    大いに意義があると思う

    だがパートナーの件は
    興味がない



   マナ
    またまた
    何を言ってるんだが

    月影さんと組むことが出来れば
    パートナーの評価も爆上げ必至
    この島での地位は安泰なんですよ?



   桃
    私は評価や地位が欲しいんじゃない
    強くなりたいだけだ



   小春
    素晴らしい姿勢ですね
    私も桃さんを見習わなくちゃ
    一緒にがんばりましょう



   桃
    ……ふん
    お前を踏み台にするという話だ
    馴れ合う気はない



   乱花
    まあまあ、九頭竜
    そう言わずに胸を借りようよ
    あとでコンゴウ先生の所で――



   マナ
    月影さんは私とパートナーに
    なるって決まってるんです!



   乱花
    え、そうなの?



   ヴァイオラ
    そんな話きいてないわ!



   小春
    ヴァイオラさん



   乱花
    ヴァイオラだ



   桃
    また騒がしいのが増えたぞ



   マナ
    いつの間にいたのよ……



   ヴァイオラ
    小春、さっきの話は本当なの?
    マナをパートナーにするというのは!



   小春
    パートナーにするのではなく
    訓練の時にペアを組みましょうって
    話をしてただけです

    固定のパートナーの話とは
    また別です



   ヴァイオラ
    な、なんだ……
    そういうことだったの



   乱花
    ヴァイオラ嬉しそう



   桃
    物事を隠せないタイプだな
    全部顔に出る



   ヴァイオラ
    うるさいわね!
    私にとっては一大事なの!



   理事長
    うるさいのはあなたでしょ
    ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    理事長!?



   理事長
    朝からかしましいわね

    あなたたちを見ていると
    若い頃を思い出すわ

    ああ、よみがえる
    青春の一ページ……



   乱花
    理事長にも
    そんな時代があったんだ



   理事長
    そりゃあったわよ
    すっごく可愛かったのよ
    卒業アルバム見る?



   桃
    興味ない



   理事長
    あら残念



   ヴァイオラ
    理事長
    人の話の腰を折って何の用事です?



   理事長
    そうそう、定期戦の成績の
    速報が出たから教えてあげようと思って



   桃
    もしかしてヒマなのか?



   理事長
    メッチャ忙しい合間を縫って
    わざわざ来てあげたんじゃないの
    聞きたいでしょ?



   乱花
    はい!
    聞きたい聞きたい!



   理事長
    素直でよろしい
    では定期戦の順位を発表するわね



   理事長
    一位は月影小春さん!
    今回もトップを死守したわね
    素晴らしいわ



   小春
    ありがとうございます



   理事長
    それから二位ね
    ヴァイオラさん
    あなたよ



   乱花
    なんだ、前回と同じじゃん
    つまんないな



   理事長
    順位で言えばそうなんだけど
    今回ヴァイオラさんはかなり
    評価を上げているわ



   ヴァイオラ
    そうなの?



   理事長
    これまで月影さんがダントツで
    一位を独走って感じだったけど
    今回はかなりの接戦だったのよ



   ヴァイオラ
    接戦……
    私と小春が……



   理事長
    おめでとう、ヴァイオラさん
    よくがんばったわね



   ヴァイオラ
    あ、えっと……?

    そ、そうよね
    おほんっ

    おほほほほほほ!
    私はエリートですもの!
    当然の結果ですわ!



   桃
    面倒くさい女だ



   乱花
    褒められ慣れてないんだ
    そこそこ強いのに



   理事長
    乱花さん、九頭竜さんも
    冗談を言っている場合じゃないんじゃない?



   乱花
    えっ



   理事長
    皆さんが、それぞれヴァルキリーとして
    成長しているのは認めます

    けど、第二回の定期戦でわたしが
    パートナーを一戦ごとに交替させた
    意図はくみ取れなかったようだし



   小春
    意図ですか……



   乱花
    でも私、月影と組んで
    これまで以上の力を引き出せました!



   桃
    自分はもっと強くなれると
    いうことがわかった



   理事長
    自身が強くあることも
    大事だけれど、それだけでは足りないの

    ヴァルキリードライヴは
    一人では成し遂げられません

    パートナー同士が如何に互いを
    高め合うかが重要なのよ

    月影さんに力を与えられるばかりではダメ

    あなたたちも月影さんの実力を
    引き上げられるようにならなくちゃ

     ※ マナは互いを高め合おうとしていた



   乱花
    わ、私が月影の力を引き上げる……
    そんなことできるのかな



   理事長
    乱花さんも、九頭竜さんも
    二人が感じた、その先があるということね



   桃
    私たちはまだまだということか
    戦闘記録を見直す必要があるな



   乱花
    あ、私も自分の戦闘を確認したい
    善は急げだよ、これからやろう

    というわけで
    ちょっと二人で話してきます
    じゃねっ



   理事長
    あら、行っちゃった
    このへん、もっと熱弁したいのよね
    特にひどかったのが……



   満腹丸ちゃん
    わわわ~!
    遅刻なのです~!



   理事長
    はああぁぁ……



   小春

    (独白開始)

    特に酷かったのって……

    (独白終了)



   ヴァイオラ

    (独白開始)

    間違いなく……

    (独白終了)



   マナ
    このブタのことね……



   理事長
    遅刻ですよ、満腹丸さん
    今日は大事な話があると言ったでしょう?



   満腹丸ちゃん
    し、仕方がなかったのだ

    朝ごはんを食べて、それから
    食後のごはんを食べてたら遅くなったのだ



   理事長
    ちょうどいいわ
    満腹丸さん



   満腹丸ちゃん
    ほい?



   理事長
    今から月影さんと戦いなさい



   満腹丸ちゃん
    え~やだ~
    しゃどうむーんちゃんと戦うと
    カロリーの消費が激しいのだ



   理事長
    ……どうしてあんなに
    食べてばかりで太らないのかしら
    ちょっと羨ましいわ

    じゃなかった

    これまでのデータを見る限り
    あなたは誰と組んでも
    一定の力しか出せていないわ

    ヴァイオラさんみたいに
    ムラがあり過ぎるのも困るから
    善し悪しでもあるんだけど――

    それでも、この成績が
    満腹丸さんの全力だとは到底思えません



   満腹丸ちゃん
    んぐぐ
    難しい話を聞いてたら
    おなかが減ってきたのだ……



   理事長
    パートナーとシンクロする事を
    考えながら、共に戦うという意識を
    持って月影さんに挑みなさい



   ヴァイオラ
    待って下さい



   理事長
    なにかしら?
    ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    小春が戦うなら
    私も参戦します



   理事長
    ええ、いいわよ



   マナ
    あ、それなら私も!



   ヴァイオラ
    マナ?



   マナ
    私もやります
    月影さんと組ませてください



   ヴァイオラ
    なっ! ちょっと
    先に手を挙げたのは私よ!?



   マナ
    そんなの知ったことではありません

    だって、次の訓練で私とペアを
    組むって約束しましたよね?
    月影さん



   小春
    ええ、そうですね
    確かに約束しました



   ヴァイオラ
    先約ありってことか
    小春が納得してるなら仕方がないわね……

    では、私が満腹と組みます
    でも、エクスターではなく
    リブレイターをやらせてください



   理事長
    それも構わないわ



   満腹丸ちゃん
    あの~
    まんぷくまるちゃんの意志は無視なのだ?



   理事長
    そちらは?



   小春
    では、私はエクスターに回ります



   ヴァイオラ
    えっ……?



   小春
    私がリブレイターをやっては
    満腹丸ちゃんさんが何かを掴む前に
    勝敗が決してしまいます

    いいですね?
    マナさん



   マナ
    もちろんです
    筆頭と副筆頭の実力
    見せつけて差し上げましょう



   ヴァイオラ
    なるほどね……
    あなたはその姿勢を崩さないってわけ

    いいわ

    もう、いい
    力を見せるしかないというのは
    十分に分かった



   乱花
    ヴァイオラ、すげー燃えてる



   理事長
    では、少し場所を変えましょう
    思い切りやれるように、ね



   (工場区画にて)

   マナ
    ヴァイオラさん、こんな流れで
    戦う事になってしまいましたけど

    良い機会です
    はっきりさせておきましょう



   ヴァイオラ
    はっきり?
    何を?



   マナ
    わたしとあなた――
    どちらが月影さんのパートナーにふさわしいか



   ヴァイオラ
    なんだ、そんな事……



   マナ
    そんな事?



   ヴァイオラ
    ええ、そんな事でしょう

    私がはっきりさせたいのは
    私が強いか強くないか――
    それだけよ



   マナ
    あなた、月影さんを倒したいの?
    それとも、月影さんと組みたいの?
    どっちなんです?



   ヴァイオラ
    さあ?
    どっちなのかしら



   マナ
    はあ?



   ヴァイオラ
    私が強くあるために
    倒すべきライバルなのか共に戦う仲間なのか

    それを見極めたい



   マナ
    どっちも困るんですよね
    私のパートナーは月影さん以外
    ありえないんです

    知らないくせに……

    月影さんにふさわしいと
    思ってもらえるように
    私がどれほど努力したのか

     ※ コンゴウの下に通い詰めた以降も、鍛錬を重ねてきたのだろう




   ヴァイオラ
    ではその努力とやらを
    見せてごらんなさい



   マナ
    言われなくたって!



   ヴァイオラ
    そろそろ時間ね
    私はスタート地点へ行くわ
    あとで会いましょ



   マナ
    何様だと思ってるのかしら
    何から何まで上から目線で
    ムカッ腹が立ちますわ



   小春
    マナさん、気をつけて



   マナ
    大丈夫です
    ヴァイオラさんのパートナーは
    あのブタ――

    ――のような体型をした
    満腹丸さんですし

    ヴァイオラさんの戦いは
    定期戦でも見ています

    あの人だけじゃない
    私だって強くなってるんです

    現時点の総合力では
    遥かにこちらが上でしょう



   小春

    (独白開始)

    言葉では伝わらないか……

    (独白終了)

    とにかく
    気を引き締めていきましょう




  11-A-後

   ヴァイオラ

    くっ……
    やはり届かなかったか……



   満腹丸
    はひ~
    おなかが空きすぎて
    目が回るのだ~



   小春
    素晴らしい戦いでしたね
    ヴァイオラさん
    満腹丸ちゃんさん



   ヴァイオラ
    ……そうね
    全力を出し切ったわ



   マナ
    や、やりました、月影さん!
    ヴァイオラさんを倒しました!



   小春
    そうですね



   マナ
    あ、あの……
    私、何か問題ありましたか?



   小春
    いいえ、特に何も



   マナ
    じゃあ私を固定の
    パートナーにしてください
    問題ないんでしょう?



   小春
    その話はまた今度にしましょう
    一度教室に戻って、今回の実戦の
    感想戦でもしましょうか?



   マナ
    つ、月影さん
    待って下さい!

    どうして……

     ※ エクスターの差があったにせよ、全力のヴァイオラを下す程の力を見せたマナ
       しかしその努力は、またも無視される。コンゴウの下で修練を積み、
       神楽坂姉妹に勝った後で祝勝会をあげようとした時にも、マナは桃に無視されている




  11-B-前

   (教室にて)

   理事長
    見事な戦いだったわ
    ヴァイオラさん

    満腹丸さんも
    よくついて行きましたね



   満腹丸ちゃん
    うう……
    お腹すいてもう力が出ないのだ



   マナ
    ちょっと待って下さい
    勝者は私――私たちなんですよ?

    どうしてヴァイオラさんを
    先に褒めるんですか?

     ※ 当初、パートナーの為にもマナは戦い続けた。桃とも乱花とも。
       桃は、負ければマナのせいにし、勝てば自分のおかげだとし、
       二人で掴んだ勝利を祝うことすらしなかった。
       過程を無視されたのなら、結果を求めるしかないというのに。
       もしかしたら、理事長はマナを追い詰めることで、
       島と地位への執着を高めさせ、絶望を味あわせ、神として仕上げる
       つもりだったのかも知れない。でなければ指導者として無能だったという事になる




   理事長
    別に成績で褒める順番を
    決めてる訳じゃないんだけど

    そうね、月影さん
    あなたは分かってるんじゃない?



   小春
    ……そうですね
    改めて感じることがたくさんありました



   ヴァイオラ
    ねえ小春、あなた
    ダイイトク先生と戦うための
    パートナーを探してるんでしょ?




   小春
    ええ、そうです



   ヴァイオラ
    私は本気で戦った
    実力を示して見せた
    気持ちは伝わったはずよ



   小春
    …………



   ヴァイオラ
    それでも一緒に組めとは
    言ってくれないのね……



   マナ
    ふん
    負けた分際でなにを……



   ヴァイオラ
    黙りなさい
    今は私が小春と話してるのよ



   マナ
    ひっ……



   ヴァイオラ
    これでも私の力を認めないというの?



   小春
    そうじゃないんです
    パートナーを選ばないのは
    私の方の事情です

    ヴァイオラさん
    あなたは強くなった
    とても



   ヴァイオラ
    私が聞きたいのは
    そんな言葉じゃないわ

    ヴァイオラさん
    お願いだから私のパートナーに
    なってください

    あなたにそう言わせたいのよ

    そのために私の強さを全て知って
    もらうまで、絶対にあきらめない



   小春
    そうですか……
    それであなたの気が済むなら
    そうしましょう

    理事長



   理事長
    なにかしら?



   小春
    もう一戦やらせてください

    パートナーを変えて戦います
    私がヴァイオラさんのエクスターになります



   マナ
    なっ!?



   ヴァイオラ
    ようやく私の方を向いたわね
    小春



   小春
    ごめんなさい、ヴァイオラさん
    もっと早くこうすればよかった



   マナ
    え……あの
    月影さんとヴァイオラさんの
    ペアですって?

    そんなの誰が戦うんですか?



   理事長
    …………



   マナ
    いやいやいやいや!
    序列一位と二位のコンビですよ!?
    ムリムリムリムリです!

    しかもパートナーが
    カロリー切れのブタだなんて!
    私、死んじゃいます!



   満腹丸ちゃん
    餓死してしまうのだ~



   理事長
    だって他にいないんだもの
    あきらめて死んでちょうだい
    ねっ?



   マナ
    ううう……
    花の命は短いと言いますけれど
    私の野望もここで潰えるのね……



   理事長
    まーまー、冗談はさておき

    あの二人が相手じゃ
    さすがにモチベーションが上がらないわよね

    ならこうしましょう
    ボーナスポイントを出すわ



   マナ
    ……ボーナス?



   理事長
    あの二人に一撃入れるたびに
    ポイントを加算します



   マナ
    ……もう一声



   理事長
    じゃあ、もし二人に勝てたら
    猪名川さんは筆頭で序列一位
    満腹丸さんが副筆頭で第二位

    これでどう?



   マナ
    やりますっ!!
    やらせてくださいっ!



   満腹丸ちゃん
    序列二位というのは
    中国四大料理で言うと
    どこの料理なのだ?



   マナ
    二人で筆頭と副筆頭となれば
    満漢全席だって食べられますよ



   満腹丸ちゃん
    わお!
    まんかんぜんせき!!



   マナ
    ほら、砂糖水でも飲んで
    カロリーを補給しなさい!
    早く早く!



   満腹丸ちゃん
    わ、わかったのだ!



   ヴァイオラ
    私たちは先にフィールドへ
    向かいましょうか

   (工場区画にて)


    私が言うのもアレだけど
    あの二人が気の毒だわ
    自信を喪失しなければいいけど



   小春
    それでへこたれる様な人たちじゃ
    ないでしょう



   理事長
    老婆心ながら忠告しておくわ
    くれぐれも油断しないことね

    あの二人、次は本気以上の力を
    出してくるわよ



   ヴァイオラ
    ふん、望むところだわ
    少しは手応えがなくちゃ
    楽しくないものね



   小春
    相手が誰であっても
    手を抜くつもりはありません



   満腹丸ちゃん
    ぷはーっ!
    準備完了なのだ!!



   マナ
    筆頭と副筆頭の座
    まとめて頂きます!



   満腹丸ちゃん
    満漢全席いただきます!



   ヴァイオラ
    いつでもいいわ
    始めましょう



   理事長
    手っ取り早く直接対決といきましょうか

    では試合、はじめっ!!




  11-B-後

   マナ
    しくしくしく……
    短い夢でした

    勝てる訳ないじゃないですか
    あんなのに



   満腹丸ちゃん
    うぇぇぇえ
    飲んだ砂糖水を全部戻してしまったのだ

    もったいない
    もったいないのだ……
    おええぇぇぇ



   ヴァイオラ
    はぁ……はぁ……
    これが、小春の力……

    予想を遥かに超える力だわ
    他の誰と組んだ時よりも
    攻撃力があまりにも違う

    エクスターの違いだけで
    こんなにも差が出る事があるなんて……



   小春
    私の力じゃありません
    私とヴァイオラさんの力です



   ヴァイオラ
    ふん……
    分かればいいのよ

    それでも私とは
    組まないんでしょう?



   小春
    ごめんなさい



   ヴァイオラ
    もういいわ

    小春に追いつくために
    必至で努力をしたけど
    全部無駄だったってことね



   小春
    違うんです
    話を聞いて、ヴァイオラさん

    あなたの気持ちは十分伝わりました
    あなたの本当の強さも
    だけど……



   ヴァイオラ
    ありがとう
    でも慰めならいらない
    同情もね



   小春
    ヴァイオラさん……



   ヴァイオラ
    そんな顔しないでよ
    私がいじめてるみたいでしょう



   小春
    …………



   ヴァイオラ
    そうね、だったら
    チャンスが欲しいわ



   小春
    チャンス?



   ヴァイオラ
    私と組んでダイイトク先生と戦ってちょうだい



   小春
    それは……



   ヴァイオラ
    一度でいい
    私が強さを認めたあなたと
    極限の戦いをしてみたい

    それですっぱりあきらめるわ

    お願いします
    小春



   乱花
    あれ、ヴァイオラと月影だ
    こんなところで何して――

    うわわわっ!
    ヴァイオラが月影に頭を下げてる!!



   桃
    ほう
    これはいいものを見た



   乱花
    何がどうなって
    こうなってんの?



   ヴァイオラ
    うるさいわね
    外野は黙ってなさい
    私は真剣なのよ



   乱花
    す、すみません……



   ヴァイオラ
    小春、これで足りなければ
    土下座でも何でもするわ
    だからお願い……っ



   小春
    わかりました
    顔を上げてください

    一緒にダイイトク先生に
    挑みましょう



   ヴァイオラ
    小春……!!



   小春
    ただし一度きり、です



   ヴァイオラ
    わかってるわ



   小春
    あなたと私なら
    一度で十分でしょう?
    ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    あ……

    もちろんよ!
    私と小春が組めば、四神に
    だって負けるわけがないわ!



   小春
    いきましょう
    私も、ようやく前に進める気がします



   乱花
    月影とヴァイオラが組んで
    ダイイトク先生に挑戦するとか言ってた?



   桃
    私にもそう聞こえた



   乱花
    大事件じゃん!!
    そんなの見逃せないよ!



   桃
    同感だ
    この目で見なければな



   乱花
    九頭竜!
    二人を追い掛けよう!



   桃
    ああ!




  11-C-前

   小春
    ダイイトク先生の下へ
    乗り込む前に、役割分担を決めましょう

    前回、私は一般クラスの子を
    エクスターにしたせいで
    全力を出し切れなかった

    だから今回も
    リブレイターとして……



   ヴァイオラ
    いいわ



   小春
    え?

    それ以上は言わなくて
    いいって言ったの

    役割がどうとか
    そんなことは気にしない

    私は小春、あなたと
    ドライヴしたいの

    命を燃やして戦いたい
    それだけなのよ



   小春
    実は私、倫花さんをパートナーに
    選ぼうと思っていたの



   ヴァイオラ
    は?
    何の話?



   小春
    あの子には秘めた力がある
    それをこの目で確かめるまでは
    決断を先延ばしにするつもりだった

    私の能力を最大限に発揮するには
    それしか方法がないと思って……



   ヴァイオラ
    つまり私の強さと、小春が私を
    パートナーとして選ばなかったことは
    関係なかったわけ?



   小春
    その通りです



   ヴァイオラ
    ふうん……
    ま、どうでもいいけど

    それを今
    私に言ってどうするのよ



   小春
    別に何も
    ただ……ヴァイオラさんにだけは
    言っておきたいと思って

    それだけです



   ヴァイオラ
    ……そう



   小春
    いきましょう

    ダイイトク先生
    再戦に参りました



   ダイイトク
    ほう、お前らが組んで来るとはな



   小春
    こんなところでいつまでも
    立ち止まっているわけには
    いきませんので



   ダイイトク
    ガハハハ!
    こんなところだぁ
    言うじゃねーか

    相方を変えたから勝てる
    だなんて、安直に考えてねーだろうな?



   小春
    あれがダイイトク先生の実力
    だったというなら、誰と組んでも
    勝てる自信はありました

    でもダイイトク先生はまだ
    本当の力を隠しています



   ヴァイオラ
    そうなの?



   ダイイトク
    本当に恐ろしい奴だ
    だがな、そう言われちゃ
    本気を出さない訳にはいかねぇ

    いいのか?
    死ぬぞ?
    お前たち



   小春
    もちろん
    その代わり、私も本気でやらせて頂きます



   ダイイトク
    グッ……ハハハハハ!
    よし、オレの本気を見せてやる

    冥土の土産には、ちとデカいが
    文句を言うんじゃないぜ



   小春
    ヴァイオラさん
    よろしくお願いしますね



   ヴァイオラ
    ええ、任せて



   小春
    月影小春、参ります!




  11-C-後

   ダイイトク
    まさかこれ程とはな……
    ただごとじゃねぇぜ



   小春
    やった……



   ヴァイオラ
    小春、あなたやっぱりすごいわ



   小春
    ううん、ヴァイオラさんと一緒だったからです

    とても安心して戦えました
    ありがとうヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    小春……



   乱花
    月影、ヴァイオラ!



   小春
    乱花さん、みなさん



   乱花
    見てたよ!
    すごかった!



   桃
    悔しいが認めざるを得ん
    先を越されっぱなしだな



   マナ
    お、おめでとうございます!
    さすがは月影さん
    私はきっと月影さんならと――



   小春
    ヴァイオラさんがいなければ
    今回の勝利はありませんでした



   マナ
    え――



   小春
    以前私と戦った時
    ダイイトク先生は本気を
    出していませんでした



   ヴァイオラ
    それを言うなら小春もでしょう
    一般クラスの生徒がパートナーでは
    全力を出し切れなかった



   小春
    そうですね
    この戦いで、生まれて初めて
    全力を出せた気がします



   乱花
    すごかったもんね
    先生と月影たちの本気が
    ぶつかり合って火花を散らしてた



   桃
    四神の装甲をも貫くとは



   ヴァイオラ
    当たり前でしょう
    私たちを誰と誰だと思ってるの?

    ビクニの序列第一位と二位
    月影小春とヴァイオラ様よ

    これ以上のペアはあり得ないわ

    と、言いたいところだけど
    二度と実現することのない幻のペアよ



   ダイイトク
    ああ?
    そうなのか?



   ヴァイオラ
    組むのは一度きりという
    約束でしたから



   桃
    そうなのか?
    もったいないな



   小春
    先生
    ちょっとお願いしてもよろしいですか?



   ダイイトク
    なんだ?
    ……おう、かまわねぇぜ
    お前たちはその資格がある

    ほら、乗りな!



   ヴァイオラ
    きゃあっ!?



   小春
    みなさん、聞いて下さい

    私は、ヴァイオラさんと
    パートナーになる事を
    ここに宣言します

    お願いしてもいいですか?



   ヴァイオラ
    へっ……

    い、いきなり何を
    言い出すのあなたは……ッ!

    一度きりという約束の
    はずでしょう?



   小春
    私、今ドキドキしています
    もっと戦いたい

    ダイイトク先生を倒した時
    私は緊張と興奮と、そして
    安らかな心に包まれていました

    ヴァルキリードライヴとは
    何なのか

    なぜヴァルキリーは二人いなければ
    戦えないのか、心で理解できました

    これこそ私が求めていた境地です
    やっと辿り着いたその場所の先には
    広くて長い道が続いていた

    ねえ、ヴァイオラさん
    私と一緒に歩いてくれませんか?
    ずっとずっと先まで



   ヴァイオラ
    わ、私だってその、小春と一緒に……



   ダイイトク
    しっかりせんか!
    背筋を伸ばせ、ヴァイオラ!



   ヴァイオラ
    はいっ!



   ダイイトク
    何を迷うことがある
    何を恐れることがある

    お前が強くあるべく求めた道だ
    これまでも、そしてこの先も
    厳しく険しい道になるだろう

    だが一人じゃねぇんだぜ
    お前たちはヴァルキリーなんだ



   ヴァイオラ
    わ、わかりました
    ちょっと深呼吸しますね
    すう……はぁぁああ

    では――

    私、ヴァイオラは
    月影小春さんとパートナーになることを
    宣言します

    最強のヴァルキリーとして
    あなた方を導いて差し上げます

    つべこべ言わずに
    ついてきなさい!



   乱花
    おお~、いいぞー!
    二人とも~!



   桃
    おもしろい
    戦う相手は強ければ強いほど
    乗り越え甲斐がある



   マナ
    くっ、くやしいけれど
    お似合いです



   ダイイトク
    精進を怠るんじゃねぇぜ
    道に迷ったら、いつでも
    ここへ戻ってくればいい

    オレだけじゃねぇ
    コンゴウもゴウザンゼも
    いつでも待ってる

    それを忘れるんじゃねぇぞ



   小春
    はいっ!



   ヴァイオラ
    はいっ!



   乱花
    月影とヴァイオラか
    意外な組み合わせだったなぁ



   桃
    あの二人を乗り越えるには
    ちょっとやそっとの苦労では
    足りなさそうだ



   乱花
    そうだね

    あの二人をブッ倒せるくらい
    強くなって、私がお姉ちゃんを守るんだ!



   マナ

    (独白開始)

    序列一位と二位のターゲットを
    同時に失うとは……

    このままでは残り物コンビが
    現実のものとなってしまいます

    まずい、それはまずいんです……

    このままでは手詰まりです
    一刻も早く手を打たなくては

    どうにかしなくちゃ
    どうにか……

    (独白終了)

     ※ 桃を切った手前、もはや向上心のかけらも無い満腹丸しか
       パートナーは残っていない。肉体的にも精神的にも向上心の無い
       満腹丸は、人というより動物に近い。なるほど、弛んだ体は確かに
       ブタと言いたくなるのも分かる。可愛いらしいけれど





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