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 Drive17. 不滅のシステム


  17-A-前

   (拠点にて)


   乱花
    なんだか
    とんでもないことになっちゃたね



   マナ
    確かに……
    なかなか衝撃的なお話でした

     ※ 全てを聞かされていたわけではない?



   桃
    この島を出たら
    兵器として売られる……か



   ヴァイオラ
    まったく、冗談じゃないわ

    病気が治るって話は
    どうなったのよ



   マナ
    すべてはV-ウイルスの感染者を
    集めるための方便だったんでしょう



   倫花
    そんなのってないよ……
    だったら私たちは
    何のためにこの島に来たの?

    みんな病気が治るって
    信じてたはずなのに……



   乱花
    お姉ちゃん……



   小春
    グンダリ先生の仰っていたことを
    信じるなら、私たちを――
    ヴァルキリーの未来を守るためでしょう

    四神の力でこの島を封印し
    外部からの干渉を断つ

    そして、ヴァルキリーを
    その身に取り込み時を止める……

    時間が止められている間は
    ウイルスの進行も止まるし
    暴走する心配はありません



   ヴァイオラ
    確かに、この島にいる限りは
    平和に暮らせるという言葉に
    ウソはないのかもね

    兵器として売られる心配もなければ
    病気で死ぬこともないんだもの

    そうやって治療法が開発されるのを
    待つのが正しい選択なのかも



   乱花
    そう、なのかな……



   桃
    少なくともヴァイオラの言うように
    命の危機に晒されることはないだろう



   満腹丸ちゃん
    んー、難しい話をしてるのだ

    あんまり難しい話をしてると
    カロリーを使いすぎて
    お腹が空いてしまうのだ



   乱花
    あんたね、この状況わかってるの?



   満腹丸ちゃん
    わかっていないのだ!



   乱花
    ハッキリ言うな!



   桃
    食べていれば幸せという価値観は
    ある意味羨ましいかも知れんな



   満腹丸ちゃん
    いえいえ、それほどでも



   桃
    褒めてはいない



   満腹丸ちゃん
    あれれー?



   倫花
    私は、こんなの間違ってると思う



   乱花
    お姉ちゃん?
    間違ってるってどういうこと?



   倫花
    治療法が見つかるまで
    四神の力で時間を止めて
    待ち続けるなんて……

    そんなの、いつ見つかるか
    わからないでしょう?

    何年……ううん、何十年も
    経った後に病気が治っても
    幸せなはずがないよ

    だってそこにはもう
    私たちのことを知っている人が
    誰もいないかもしれない

    私は、病気を治して家に帰りたいの
    家族や友達に会いたい……

    また、みんなの笑顔が見たいの……

     ※ 永遠の別れになるかもしれない以上、
       ホームシックなんて言葉では片付けられないだろう




   乱花
    お姉ちゃん……



   マナ
    やれやれ
    まるで子供のワガママですね

    そんなことを言っても
    私たちが置かれた状況が
    変わることはないんです



   倫花
    だからって
    みんなは本当に耐えられるの?

    私たちが生きているのは
    今なんだよ?



   小春
    今……ですか



   倫花
    そうだよ!

    かけがえのないこの一瞬一瞬を
    生きることに意味があるって私は思う

    どうすることもできないからって
    時間を止めて待ち続けるなんて
    やっぱり間違ってるよ



   小春
    だとすればどうします?

    この状況を打開する案が
    あるのなら提案してください

    そうでないというのなら
    あなたの言っていることは
    やはりただのワガママです

     ※ 倫花は時を止める事に同意した覚えはなく、従う義務は無いのだが、
       筆頭としての矜持やこれまでの人生が、小春を公的な存在としている




   倫花
    たとえ、そうだったとしてもいい
    私にはどうしても
    納得なんてできないよ



   マナ
    ……呆れた人ですね

     ※ 元より島の外に居場所の無いマナにとって、
       倫花に同調するわけにはいかないだろう




   満腹丸ちゃん
    んー、難しいことは
    よくわからないけど……

    まんぷくまるちゃんは
    りんちゃんに賛成なのだ



   倫花
    満腹丸ちゃん



   小春
    それは、どうしてです?



   満腹丸ちゃん
    だって時間が止まっている間は
    ご飯を食べられないわけでー

    それは生き死にに関わる問題なのだ



   マナ
    あのね、満腹丸さん
    時間が止まるということは
    おなかが減らないということなんです

    それどころか
    自分が食べていないという自覚さえ
    認識できなくなるんです



   満腹丸ちゃん
    それでも
    まんぷくまるちゃんが食べるのを
    邪魔してるのは同じなのだ

    美味しいものを食べること
    それがまんぷくまるちゃんの
    生きる意味なのだ!



   マナ
    くだらない
    聞いて損をしました
    話を続けましょう



   乱花
    納得できないって点では
    私もお姉ちゃんと同じだよ
    でも、どうするの?



   倫花
    それなんだけど
    私、決めたんだ



   桃
    決めたって、まさか……?



   倫花
    四神を全部倒して
    この島を解放する!

    それで先輩たちの
    大切な今っていう時間を取り戻すの!

    その上で、ビクニに残りたければ
    そうするのもいいし、出たければ
    自由にすればいい

     ※ 倫花は変革をもたらす者なのか、ある種の無政府主義者に過ぎないのか。
       AAAの実態や、ヴァルキリーを取り巻く社会情勢が明確に描かれない以上、
       推測の域を出る事は無く、判断を下すことは出来ない。
       注釈者個人としては、後の桃と同じく倫花を信じたい




   桃
    ずいぶんと簡単に言うが
    それがどれだけ困難なことか
    わかっているのか?



   ヴァイオラ
    それにこの島を出たらどうなるか
    越後屋が言っていたこと忘れたの?



   桃
    私たちは生体兵器として売られる
    そしてどこかの戦場に送られるんだ



   ヴァイオラ
    桃の言う通りよ

    人間としてじゃなく
    兵器として扱われて
    いつ死ぬかもわからない

    今までのほほんと生きてきた
    あんたには、わからないでしょうね
    戦場の地獄がどんなものか



   倫花
    ……ヴァイオラちゃんや
    桃ちゃんがどんな辛い目に
    あってきたか、わかるなんて言えない

    でも、私は――



   ヴァイオラ
    でももだってもないわ!
    とにかく倫花、あなたは甘い
    甘すぎるのよ

    私たちヴァルキリーの
    現状をまるで理解できていない

    いい?
    はっきりと言ってあげる

    倫花の考えは間違ってる

    桃、あなたもそう思うでしょう?



   桃
    私は……わからない……

    倫花の言っていることもわかる
    だけど、この島を出るのは怖い



   倫花
    桃ちゃん……



   小春
    確かに、ヴァルキリーの
    現状を鑑みればグンダリ先生の
    言っていたことが正しいでしょう

    ただ、他にやり方がないか
    可能性を確かめる必要があると思いますが



   マナ
    どういうことです?



   小春
    ビクニの司政官でもある
    理事長の口からは、何も話を聞けていません

    まず私はそれを
    確かめて来ようと思います



   マナ
    なるほど、確かにそれは
    必要なことですね
    私もご一緒します



   ヴァイオラ
    だったら私も行くわ

    倫花がやろうとしていることを
    報告しておく必要もあるでしょうし



   倫花
    協力してくれないんだ
    ヴァイオラちゃん



   ヴァイオラ
    当然でしょ
    あんたの考えに付き合って
    破滅するなんてごめんだわ



   倫花
    私は自分が間違ってるとは思わない

    だって間違っているのは
    この島の方だもの



   ヴァイオラ
    あなたね!



   小春
    ヴァイオラさん
    落ち着いて

    何が正しいのかは
    各々の目で確かめるしかありません



   ヴァイオラ
    ……小春の言う通りね
    頭にお花畑が咲き乱れている相手と
    いくら話しても無駄だわ



   倫花
    私、頭の中で
    チューリップとか栽培してないよ?



   桃
    ……そういうことじゃない



   小春
    とにかくお話はここまでです

    私たちは理事長に
    事の次第を確認しに行ってきます

    それでは



   乱花
    3人とも行っちゃったねー



   倫花
    ……うん



   乱花
    ねえ、お姉ちゃん

    ヴァイオラに
    あれだけ反対されても
    まだ四神を倒すつもりなの?



   倫花
    ……うん

    この島を出るために
    先生たちを倒さなくちゃ
    ならないなら、私は戦うよ



   乱花
    だけど……!



   倫花
    さっきヴァイオラちゃんに
    言ったとおり、私の考えは変わらない

    もし私が四神に取り込まれて
    時間を止められて……

    それで、いつか治療法が見つかっても
    その時には大切な人たちが、みんな
    いなくなってるかもしれない
    
    そんなの耐えられないよ



   乱花
    だけど四神の強さは
    お姉ちゃんだってよく知ってるはずだよ

    きっと先生たちは
    死にものぐるいで
    お姉ちゃんを止めようとする

    訓練で合格点をもらおうってのとは
    ワケが違うんだよ?



   倫花
    そんなのわかってる



   乱花
    だったら、どれだけ
    無茶なことかわかるでしょ?

    この島のことや
    5期生なんてどうだっていい

    私はお姉ちゃんが
    危ない目にあう方がイヤだよ……



   倫花
    乱花ちゃん
    そんなこと言わないで

    私は絶対に負けたりしないから

    ね? 今までだって
    そうだったでしょ?



   桃
    結構負けてたような……



   倫花
    うっ……
    こ、これからは絶対に負けないから!



   乱花
    お姉ちゃんのことは
    信じたいけど、やっぱり心配だよ!

    だってお姉ちゃんぽわぽわしてて
    どこか危なっかしいところが
    あるんだもん



   倫花
    うぅ、乱花ちゃん
    お姉ちゃんのこと
    そんな風に思ってたのね……



   乱花
    あと、結構天然だし
    ドジなところもあるし
    それから、それから……



   桃
    それぐらいにしておけ、乱花
    倫花が立ち直れなくなるぞ



   倫花
    はうぅ……

    乱花ちゃんに
    そんなこと言われるなんて
    お姉ちゃんショック……



   倫花
    ああっ、いじけないで
    お姉ちゃん!

    ごめんなさい
    私もちょっと言いすぎたよ



   倫花
    ううん、いいの
    私が頼りないのがいけないんだもん



   乱花
    そんなこと気にしないで!

    頼りないところも
    お姉ちゃんの魅力だよ!



   倫花
    うっ……
    やっぱり頼りないんだ……
    いじいじ



   桃
    まったくフォローになってないな



   乱花
    ああっ、ごめん、お姉ちゃん
    つい、うっかり本音が……



   倫花
    本音なんだ……
    私ってやっぱりダメなお姉ちゃんなんだ!



   乱花
    だ、大丈夫!
    どんなお姉ちゃんでも愛してるから!



   桃
    だからフォローになってない

    というか二人とも落ち着け

    何の話をしているのか
    まったくわからなくなっているぞ



   倫花
    た、確かにそうだね……



   乱花
    つい、お姉ちゃんへの
    愛が暴走しちゃった……



   倫花
    ええっと
    それで何の話だったっけ?



   桃
    倫花が四神を倒すという話だ



   倫花
    あ、そっか
    ありがとう、桃ちゃん

    とにかく、お姉ちゃんのことは
    心配しなくて大丈夫だから!



   乱花
    ううん、やっぱり心配だよ



   倫花
    ええっ、なんで?



   乱花
    前に、ヴァルキリードライヴのあと
    大怪我して倒れたこと、忘れたの?

    ずっと面会シャゼツだったし
    生きた心地がしなかった……

    もう二度と、あんな思いはしたくないよ



   倫花
    乱花ちゃん……

    ごめんね……
    それでも私は戦う

    戦わなくちゃいけないの

    だから、お姉ちゃんのこと
    信じて



   乱花
    信じたい……
    私だって信じたいよ
    でも、無理だよ……



   倫花
    どうしたら信じてもらえる?



   乱花
    ……どうしても四神と
    戦うって言うなら
    その前に私と戦って!



   倫花
    えっ?
    戦うって、乱花ちゃんと?
    どうして?



   乱花
    私に負けるようじゃ
    先生たちに勝てるはずないもの

    それならお姉ちゃんだって
    あきらめがつくでしょ

    それに……
    どちらも譲れないものがあるなら
    戦って決めるのがヴァルキリーでしょ



   倫花
    乱花ちゃん……
    うん、そうだね!

    それじゃ、勝負だよ!
    お姉ちゃんは強いってこと教えてあげる!

    それじゃパートナーを
    決めなくちゃだよね

    えっと、桃ちゃんは……



   桃
    ……すまない
    私はこの島を出ることが
    まだ正しいとは思えない

    だから……今、組むのなら
    私は乱花と組みたい



   乱花
    いいの? 九頭竜



   桃
    ああ……

    もちろん、乱花が
    それでいいのなら、だが



   乱花
    いいに決まってるでしょ
    ありがと、九頭竜



   倫花
    そっか、しかたないね
    うーん、じゃあ、私は……

    満腹丸ちゃん
    お願いできるかな?



   満腹丸ちゃん
    承ったのだ
    まんぷくまるちゃんにお任せあれ



   倫花
    ありがとう!



   満腹丸ちゃん
    体を動かせば、お腹が空いて
    ご飯が美味しくなりますから!



   乱花
    そんな理由でオッケーしていいの?
    まあ、らしいといえばらしいけど



   桃
    ……多分こいつは何も考えてない



   倫花
    よし、これで決まりだね
    それじゃ始めようか

    絶対に負けないよ
    乱花ちゃん!




  17-A-後

   (屋内訓練場にて)


   乱花
    やっぱりお姉ちゃんは強いね



   倫花
    乱花ちゃんと桃ちゃんも
    すごく強かったよ

    だけど、みんなの今を
    取り戻すために、絶対に
    負けられなかったから

    そして、私たちの
    未来を守るためにも



   乱花
    ……はあ
    疲れたけど気分が晴れた
    何かスッキリしちゃった

    もし時間を凍結させられたら
    お姉ちゃんとケンカもできなく
    なっちゃうんだよね

    お姉ちゃんとドライヴすることも
    反対に戦うことも……

    これが今を生きるって
    ことなのかな、お姉ちゃん



   倫花
    たぶん、そうだよ



   乱花
    ……よっし、決めた!
    私、もう迷わない!
    お姉ちゃんと一緒に戦う



   倫花
    乱花ちゃん!



   乱花
    お姉ちゃんの笑顔のためなら
    四神とだって戦うよ



   倫花
    ありがとう、乱花ちゃん
    とっても心強いよ



   満腹丸ちゃん
    なんだか楽しそうなのだ
    ひょっとして美味しいものの話をしてるのだ?

    ずるい!
    まんぷくまるちゃんも食べたいのだ!



   乱花
    満腹丸にかかると
    なんでもご飯の話になっちゃうね
    ここまで来ると感心するよ



   満腹丸ちゃん
    よくわからないけど
    それほどでもありません!



   乱花
    褒めてないよ



   満腹丸ちゃん
    ……まんぷくまるちゃんに
    負けたくせに



   乱花
    なんだとーっ!



   桃
    …………



   倫花
    ねえ、桃ちゃんはどう?
    私たちに協力してくれると嬉しいんだけど



   桃
    ……倫花の意志は本物だと思う

    今の戦いで
    それを感じた

    だけどまだ、島を解放して
    無事で済むとは思えないんだ
    すまん



   倫花
    ううん、謝らないで
    桃ちゃんがどうするかは
    桃ちゃん自身が決めることだから

     ※ 倫花は強制はしない



   桃
    ……すまん



   倫花
    ただ、お願いがあるんだ
    私たちの戦いを見届けてほしいの



   桃
    それくらいなら……
    だがそれだけでいいのか?



   倫花
    うんっ
    友達が見ててくれると思うと
    いつもよりがんばれるもんね



   桃
    友達?
    私がか?



   倫花
    そうだよ
    友達でしょ?



   桃
    ……友達、か



   乱花
    あー、九頭竜は私たちのこと
    友達だと思ってくれてなかったんだ
    ちょっとショックだな~



   桃
    い、いやそんなことはない
    そうか、友達か……

    わかった
    友としてお前たちの戦いを
    最後まで見届けよう



   倫花
    ありがとう、桃ちゃん



   乱花
    それじゃ、お姉ちゃん
    そろそろ行こっか



   倫花
    え?
    行くって、どこに?



   乱花
    決まってるでしょ
    四神を倒しにだよ



   倫花
    倒すって、今から!?



   乱花
    今倒せないなら
    明日になったって倒せないよ

    こういうのは
    勢いが大事だと思うんだよね



   桃
    さっきまで止めようと
    していた人間の言葉とは思えないな



   乱花
    もう迷わないって言ったでしょ
    私は、お姉ちゃんを信じてる

    それにお姉ちゃんが
    危ない目にあいそうになったら
    私が守ってあげればいいんだもん



   桃
    なるほど……乱花らしい



   倫花
    ありがとう、乱花ちゃん

    私も、乱花ちゃんのこと
    守ってあげるね



   乱花
    うん!
    えへへ、やっぱり
    私たちって相思相愛だね



   桃
    そういう話ではないだろう



   乱花
    なんだよ
    文句でもあるの?



   桃
    別に……



   倫花
    うん、確かに
    乱花ちゃんの言うとおりかも



   乱花
    えっ!?



   桃
    なに?



   乱花
    お、お姉ちゃん
    それって、告白?
    プロポーズ!?

    わ、私はいつでもオッケーだよ
    結婚式ではどっちがウェディングドレスを着る?

    私はタキシードでもいいよ!
    お姉ちゃんのドレス姿、見たいし!

    ※ そこは是非二人ともドレスで




   桃
    正気か? 倫花?



   倫花
    えっと……?
    何の話?



   乱花
    何の話って、あの、その……



   倫花
    さっき乱花ちゃんが言ってたでしょ

    いまから四神を倒しに行こうって

    確かに乱花ちゃんの
    言うとおりだなって思ったんだけど



   乱花
    あー、なんだぁ……



   桃
    残念だったな



   乱花
    うっさい!



   倫花
    あの、お姉ちゃん
    何か間違えちゃった?



   桃
    気にするな
    間違えたのは妹の方だ
    それも盛大にな



   乱花
    くっそ……
    言い返せないや……



   倫花
    じゃあ、四神を
    倒しに行くってことでいいのかな?



   乱花
    もちろん!
    私が言い出したんだし



   桃
    本気でやるつもりなんだな



   倫花
    うん、私たちの戦いちゃんと見ててね
    桃ちゃん



   桃
    わかっている
    だが、くれぐれも無理はするなよ



   倫花
    大丈夫
    心配しないで

    う~、気合入ってきた!

    よーし、四神を倒しに行こー!



   乱花
    うん、お姉ちゃん!

   

   倫花
    先輩たちの大事な今を
    取り戻すために!



   乱花
    お姉ちゃんと私と
    あと、みんなの幸せのために!



   倫花
    頑張るぞー!



   乱花
    おー!




  17-B-前

   (訓練場にて)

   コンゴウ
    なるほど……
    それで我のところに来たと?



   倫花
    はい、コンゴウ先生は
    知っているんでしょう?
    自分の中に卒業生がいることを



   コンゴウ
    当然である
    約束のその日まで、ヴァルキリーを
    体内に封じ守ることが我の役目

    そう……いつかV-ウイルスの
    治療法が見つかる日まで



   倫花
    そんなのおかしいです!



   コンゴウ
    何がおかしいのだ
    すべては我らヴァルキリーの
    未来のためである



   倫花
    みんなこの島に希望を
    持ってやってきたはずです

    その中には私みたいに
    家に帰れることを――

    もう一度家族に会えることを
    信じていた子だっていたはずです!



   コンゴウ
    …………



   倫花
    コンゴウ先生は
    それでいいんですか?



   コンゴウ
    黙れ……



   倫花
    私は、そんなの納得できません

    いくらみんなを守るためでも
    大事な『今』を奪っていい理由には
    なりません!



   コンゴウ
    黙れい!
    愚か者が!

    ヴァルキリーがこれまで
    どのような扱いを受けてきたかも
    知らずに何を言う!

    お前の言っていることは
    地獄を知らない人間の
    甘っちょろい戯言である!



   乱花
    ちょっと待ってよ
    いくら先生でも、今のは聞き捨てならないな



   コンゴウ
    何がであるか?



   乱花
    お姉ちゃんは
    みんなのことを真剣に考えてるんだ

    なのに戯言なんて切り捨てることは
    絶対に許さないんだから!



   コンゴウ
    下らぬ
    一時の感情に惑わされ
    大局を見誤っているに過ぎぬ

    何度でも言ってやろう

    所詮は地獄を知らぬ者の
    戯言であると



   乱花
    このっ……!



   倫花
    乱花ちゃん
    落ち着いて!



   乱花
    でも……!



   倫花
    いいから、ここは
    お姉ちゃんに任せて
    ね?



   乱花
    ……わかった



   倫花
    コンゴウ先生



   コンゴウ
    む……まだ何か言うつもりか?



   倫花
    確かにヴァイオラちゃんにも
    同じようなことを言われました

    私と乱花ちゃんは幸運にも
    先生の言う地獄を体験したことがありません

    だけど桃ちゃんやヴァイオラちゃんの
    話を聞いて、それがどれだけ辛くて
    苦しいことかは想像できます

    2人がそんな目に合っていたかと思うと
    胸がすごく痛くなって……



   桃
    倫花……

    …………



   コンゴウ
    ならば、何故

    お前のしようとしていることは
    友を再び地獄に送り込むことに相違ならん



   倫花
    本当にそうでしょうか?



   コンゴウ
    なに?



   倫花
    未来がどうなるかなんて
    誰にもわからないと思うんです

    私だってみすみす
    兵器にされるつもりはありません

    今をどう生きるか
    それは私たち自身で答えを出します
    そのチャンスが欲しいんです

     ※ 五期生は特に優秀でもあるし、そこに四神たちの指導が加わった。
       未来が変えられるかもしれない。 グンダリは後にリーダーの座を
       キリンとなった小春に譲ろうとしていた。カオスルートでは司政官のそれを。
       島の結界を守りAAAの侵入を防ぐ事と、
       兵器として造り変えられる事から生徒を守ろうとしているだけでなく、
       島の内情を外部に漏らすわけにはいかないと四神は考えているのだろう。
       一つはウイルス保持者を集める為、治療の実績があるということ。
       二つ目は、四神の戦闘能力について。
       後者の根拠は、ゴウザンゼとの戦いを申し込んだ際における、理事長の言葉にある





   コンゴウ
    ……倫花よ
    お前の意志はよくわかった

    だがいくら言葉を並び立てたところで
    我が心には響かぬ



   倫花
    どうしてもわかって
    もらえないんですか?



   コンゴウ
    なれば、どうする?



   倫花
    コンゴウ先生を倒して
    先へ進むまでです……!



   コンゴウ
    よくぞ言った!
    もはや言葉は不要!
    拳で語り合うのみ!

    我が力をもって
    お前の間違いを正してくれよう!



   乱花
    来るよ、お姉ちゃん!



   倫花
    うん
    力を貸して、乱花ちゃん!




  17-B-後

   コンゴウ
    ば、馬鹿な……



   倫花
    か、勝った……
    私たち、勝ったよ!
    乱花ちゃん!



   乱花
    やったね、お姉ちゃん!!



   桃
    ……本当に四神に勝つとは



   満腹丸ちゃん
    裸の女の子だらけなのだ!
    絶景ですなあ~



   倫花
    コンゴウ先生の中に
    封じられていた先輩たちだよ



   桃
    かなりの数だな



   倫花
    とにかくこのままにしておけないよね

    ひとまず居住区まで運ぼう



   桃
    越後屋に手伝いのロボットを手配させよう

    私たちだけではとても手が足りん



   コンゴウ
    ぬうぅ……まだだ
    まだ終わっていないのである!

    この程度で我を
    倒したなどど思うなかれ!



   倫花
    そんな、確かに
    手応えがあったのに!



   乱花
    先生、そーゆーの
    往生際が悪いって言うんだよ



   コンゴウ
    我もヴァルキリーとして
    命を賭して戦ってきたのだ!

    その積み重ねてきた日々が、覚悟が!
    お前たちに、いや他の誰にも
    超えられるものだとは思えぬ!

    そう、我こそは
    この島を守護する
    四神が一柱コンゴウ!

    我が覚悟
    その目に刻み付けるがいい!



   乱花
    何かヤバいよ
    逃げよう、お姉ちゃん!



   倫花
    もうやめてください
    コンゴウ先生!!



   コンゴウ
    ヌウウウウウ!
    合力合神Overである!!



   倫花
    じ、地震?
    何が起きてるの?



   乱花
    見て! お姉ちゃん!



   桃
    島の機能が停止していく……?



   倫花
    コンゴウ先生、一体何を!?



   コンゴウ
    合力合神Overにより
    我ら四神は今、ビクニとひとつになったのである

    全てのヴァルキリーを捉え
    回収し、我らが体内に封じなければならぬ

    この島を完全に封印せねば……



   倫花
    卒業生だけじゃなくて、五期生の
    ヴァルキリーの時まで
    止めるつもりなの!?



   コンゴウ
    一度動き出したシステムは
    完了するまで止めることは不可能である……

    もはや、お前たちにどうすることもできぬ
    あきらめよ



   乱花
    あ、コンゴウ先生
    ちょっと待ってよ!



   桃
    まずいな
    五期生たちを取り込みに向かったんだろう



   倫花
    くっ……!



   乱花
    どこに行くの!?
    お姉ちゃん!



   倫花
    決まっているでしょ!
    みんなを助けに行くの!!



   乱花
    待って、私も行く!



   満腹丸ちゃん
    よくわからないけど
    置いていかないでなのだ!



   桃
    私も行こう
    勝ったのは倫花だ
    これでは話が違う



   倫花
    ありがとう、みんな
    急ごう!





 Drive18. ビクニ解放作戦


  18-A-前

   (一般区画にて)


   五期生A
    なんなの、これ!?
    どうして襲ってくるのよ!



   五期生B
    と、とにかく逃げなくちゃ!



   五期生C
    逃げるってどこに!?
    ここは島なのよ
    逃げ場なんてないじゃない!



   五期生A
    それはそうかもしれないけど……



   五期生B
    もう駄目、囲まれてる!



   五期生C
    きゃあぁぁーっ!



   倫花
    たああぁぁーっ!!

    みんな、大丈夫!?



   五期生A
    か、神楽坂さん?
    それに九頭竜さんに満腹丸さんも……



   倫花
    ここは危ないわ
    早く逃げて!



   五期生A
    逃げるって言われても
    どこに逃げればいいの?
    何が起こってるの?



   倫花
    説明したいのはやまやまだけど
    そんな時間はないの!



   桃
    どんどん島のロボットたちが
    集まってきているぞ

    このままだとまずい



   乱花
    九頭竜の言うとおりだね……
    まさか、こんな強硬手段に
    出るなんて思わなかった



   桃
    それだけ向こうも
    必死ということだろう



   倫花
    とにかく今はみんなを
    逃がさないと!

    でないと、みんな取り込まれちゃう!



   乱花
    でも逃がすってどこに?



   桃
    島にいる限り
    どこにも逃げ場はないぞ



   倫花
    うぅ、そうだよね……
    うーん、うーん



   セキュリティー
    ヴァルキリー、確保する……
    カクホ、カクホ……



   倫花
    きゃあっ!?



   乱花
    お姉ちゃん、危ないっ
    このっ、お姉ちゃんから離れろ!
    えーいっ!!



   倫花
    はぁ~
    ありがとう、助かったよ
    乱花ちゃん



   乱花
    どういたしまして

    お姉ちゃんのためなら
    これぐらいお安い御用だよ



   (別の場に移動)

   桃
    さっきよりも
    ロボットの数が増えてきたな

    ぐずぐずしている暇はなさそうだ

    これからどうするのか
    早く決めたほうがいい



   倫花
    あっ、そっか!



   乱花
    わっ、びっくりした
    どうしたの? お姉ちゃん



   桃
    何か閃いたのか?



   倫花
    うん、島にいるのがダメなら
    外に出ちゃえばいいんだよ!



   乱花
    なるほどね
    島の中で逃げ回る必要はないんだ

    島から逃げ出す方法を考えればいいのか



   桃
    ならば、この島への出入り口は
    ひとつしかない



   倫花&乱花
    港よ! (倫花)
    港だ! (乱花)



   倫花
    とりあえずみんなを
    港湾地区まで逃がそう!

    船があったら、それを乗っ取っちゃおう!



   桃
    船がなかったら?



   倫花
    そ、その時考える!



   桃
    今一つ不安だが
    どちらにせよ島から出るには
    港へ行くしかない



   満腹丸ちゃん
    うわーん!
    ロボットがどんどん増えてるのだ!

    これ以上おかわりがきたら
    どうにもならないのだ!



   桃
    よし、
    港湾エリアまで私が血路を開く

    お前たちは五期生を誘導して
    あとからついてこい



   倫花
    桃ちゃん一人に任せるわけにはいかないよ

    私も一緒に――



   桃
    ダメだ



   倫花
    えっどうして?



   桃
    こんなザコどもとの戦いで
    万が一にでも、お前を失うわけにはいかない

    私たちヴァルキリーをまとめるのは
    月影でも猪名川でもない
    倫花、お前だ



   倫花
    私が、五期生のみんなをまとめる……?



   桃
    さっきのコンゴウとの戦いを見て
    それがよくわかった

    倫花ならきっとみんなを未来に導ける
    お前はみんなを導くんだ

    行け、倫花、乱花!
    みんなを頼んだぞ!



   倫花
    わ、わかったよ
    無事でいてね、桃ちゃん



   乱花
    港で落ち合おう
    絶対だよ、九頭竜!



   満腹丸ちゃん
    ではまんぷくまるちゃんも
    避難を――



   桃
    待て、満腹丸
    お前は私に付き合ってもらう



   満腹丸
    む、どうしてなのだ?



   桃
    ロボットだけなら私一人で
    どうにでもなるんだがな

    しかし、ヴァルキリーを相手に
    するとなると、こっちも相棒が必要だろう



   満腹丸ちゃん
    ヴァルキリー?
    そんなのどこにいるのだ?



   マナ
    あら、気付いていたんですか



   桃
    殺気がだだ漏れだ
    1キロ先からだって気付く



   ヴァイオラ
    ほら言ったじゃないの
    ちっ、こんなのと組まなくちゃ
    ならないなんて、ついてないわ



   マナ
    一般的な女子高生は
    気配なんて消せないんです!

    あなたや桃さんと一緒にしないでください



   桃
    何の用だ?
    私は今、忙しい



   マナ
    白々しい
    わかっているくせに

    五期生全員を連れて大人しく投降なさい

    これは理事長命令です



   桃
    断る

    これで用は済んだな
    理事長のところでもどこでも
    さっさと帰れ



   マナ
    バっ、バカにして!



   桃
    バカにしてなどいない
    私たちのことを心配してくれているんだろう?



   マナ
    心配?
    笑わせないでくださいます?

    どうして私が、あなたたちのような反逆者の
    心配をしなくてはならないわけ?

     ※ カオスルート終盤で、外の地獄を味あわせるくらいなら
       いっそ葬ろうとグンダリは考えていた。やはりマナは皆を気遣っている



   ヴァイオラ
    あなたたち
    本気で四神を倒すつもり?

    いえ、四神全てを倒せたとして
    島から出るですって?

    桃、まさかあなたが
    倫花にほだされるとは思ってもいなかったわ



   桃
    ほだされたんじゃない
    信じたんだ



   ヴァイオラ
    どっちでも同じでしょう
    外の世界がどんな場所か
    知っているはずでしょうに



   桃
    承知の上だ
    私と倫花で何とかしてみせるさ



   ヴァイオラ
    ……ちっ、マナ
    港湾地区までの戦闘ロボットを
    全て下げなさい



   マナ
    そんなことをして
    どうするつもりですか?



   ヴァイオラ
    戦闘ロボットじゃ手ぬるいわ
    私が直々に現実ってものを教えてあげる



   マナ
    予定とは違いますが
    まあ、いいでしょう



   ヴァイオラ
    自分が正しいと思うのなら
    それを証明して見せなさい



   桃
    のぞむところだ



   ヴァイオラ
    港湾地区で待ってるわ



   マナ
    理事長先生が正しいということを
    存分に思い知らせて差し上げます



   桃
    港まで一気に駆け抜けるぞ
    満腹丸、遅れるなよ



   満腹丸ちゃん
    ……おんぶしてもらっても?



   桃
    却下だ、自分の足で走れ
    私より先に着いたらカツ丼をおこってやる



   満腹丸ちゃん
    俄然やる気が出てきたのだ!
    ピーちゃん、早く行くのだ!



   桃
    ああ
    行くぞ、満腹丸!



   満腹丸ちゃん
    あいあいさー!




  18-A-後

   ヴァイオラ
    くっ……
    なかなかやるわね……



   マナ
    ちっ、単にあなたが
    役立たずなだけでしょうが



   ヴァイオラ
    何か言った?



   マナ
   いいえ、なにも



   倫花
    桃ちゃん、満腹丸ちゃん!
    大丈夫だった?



   桃
    五期生たちは?



   倫花
    あとから港に来るよ
    何グループかにわけて
    えっちゃんが誘導してる



   桃
    そうか



   乱花
    あれっ
    猪名川とヴァイオラ
    まだいたの?

    とっくに逃げ帰ったと思ってた



   マナ
    自分が勝ったわけでもないのに
    偉そうにしないでくれます?
    シスコン妹さん



   乱花
    なっ、誰がシスコンよ!



   マナ
    あなたしかいないでしょう



   乱花
    私はシスコンなんかじゃないよ!
    ただお姉ちゃんが大好きって
    だけなんだから!



   マナ
    それがシスコンだって
    言ってるんです
    あなた、馬鹿なんですか?



   乱花
    なんだとーっ!!



   倫花
    まあまあ
    乱花ちゃん落ち着いて



   桃
    猪名川……



   マナ
    あら、何ですか?
    惨めな負け犬の姿をあざ笑うつもり?



   桃
    そんなことはしない



   マナ
    ふん、どうだか

    ええ、私は理事長先生の犬だわ

    踊らされていると分かっていて
    そのくせ逆らうこともできない
    哀れで滑稽な劣等生――

    笑いたければ笑えばいいでしょう!



   桃
    …………



   マナ
    何です?



   桃
    猪名川は、本当に
    理事長に従うつもりなのか?



   マナ
    当然でしょう

    V-ウイルスを治療したいなら
    あの人に従うのが最善の道です



   桃
    私はそうは思わない
    確かに島の外へ出れば
    色々な問題が発生するだろう



   マナ
    色々な問題……ですって?
    AAAに捕らわれて、兵器に改造されると
    はっきりおっしゃいなさいな



   桃
    だが私たちはそうはならない



   マナ
    何故、そう言い切れるんですか



   桃
    私たちの意志で
    未来を変えるからだ



   マナ
    ふん、なんですか、それは
    意味が分かりません



   ヴァイオラ
    未来なんてないわ
    あるのはただの地獄よ



   桃
    そんなことはない
    みんながいれば、きっと……



   倫花
    うん、私もそう思うよ



   マナ
    ふん、笑わせないでくれます?

    みんながいればだなんて
    よりにもよってあなたが口走るとは



   桃
    …………



   マナ
    この島で初めて会ったとき
    自分で言ったことを忘れたんですか?

    パートナーなんて必要ない
    自分以外はみんな死ぬって
    そう言っていたじゃありませんか!

    散々他人を拒絶していたあなたが
    今さら都合のいいことを
    口にしないでください!



   桃
    …………



   倫花
    マナちゃん、
    そこまで言わなくても



   桃
    そうだな
    猪名川の言う通りだ

    あの時、私は猪名川が
    差し出してくれた手を振り払ってしまった



   マナ
    その通りです
    本当に今さらですが



   桃
    …………



   マナ
    なんですか
    文句でもあるんですか?



   桃
    すまなかった



   マナ
    えっ?



   桃
    猪名川の優しさを
    私は素直に受け止められなかった
    謝る

    私は、ひどい人間だった



   マナ
    そ、そんな風に謝られたって
    今さらどうしようもないでしょう



   桃
    都合のいいことを
    言っているのはわかっている

    だが、できることなら
    最初からやり直したい

    そして今度こそ……
    猪名川と友達になりたい



   マナ
    はっ
    何を言ってるのか

    友達ごっこがしたいなら
    V-ウイルスを治療してからでも十分でしょう

     ※ 否定はしない様子



   乱花
    はぁ? なに言ってるのよ
    そんなことできるわけないじゃない



   マナ
    今のままではそうですね
    だけど四神に取りこまれ
    時間を止めればいつかは可能でしょう



   倫花
    そんなの絶対駄目だよ!



   マナ
    これは私と桃さんの問題です
    関係のない人は口を挟まないでください



   桃
    そうじゃない
    ウイルスを治す必要なんてない



   マナ
    それは私と友達になるつもりは
    ないということでいいですか?



   桃
    違う
    私たちはヴァルキリーだからこそ
    お互いに通じ合えるんだ

    生まれた場所も、育った環境も
    それぞれ違う

    だが、このウイルスを宿している
    から――ヴァルキリーだからお互いを
    分かり合える

    お前の優しさは
    刃を交えた私が知っている



   マナ
    何を……
    勝手なことを……



   満腹丸ちゃん
    そういえば?

    まんぷくまるちゃんが
    お腹が空いて動けないときとか
    おやつを買ってくれたのだ



   マナ
    そ、それはブタを
    餌付けしようとしただけです!



   満腹丸ちゃん
    でも、おやつは美味しかったのだ
    まんぷくまるちゃんは進んで
    餌付けされますが、なにか?



   乱花
    へ~、そんなことしてたんだ



   倫花
    優しいね、マナちゃん



   マナ
    うぅっ……
    余計なことを……



   桃
    満腹丸だって分かってるんだ

    力を貸してくれとは言わない
    私に手を差し伸べた頃の気持ちを
    思い出してくれ



   マナ
    ……私のことをそんな風に
    思っていてくれたんですか

    裏切って理事長先生に手を貸そうとしていた
    この私を――

    友達だと――



   倫花
    もちろんだよ、マナちゃん
    この島に来て最初に会った
    大事な大事な友達だよ



   乱花
    正直、あの頃は猪名川頼み
    だったもんね

    私とお姉ちゃんだけだったら
    入島手続きもできなかったよ



   満腹丸ちゃん
    一度餌付けしたからには
    責任を取ってもらわないと
    こっちとしても困るのだ



   マナ
    …………



   ヴァイオラ
    ふん、くだらない

    これ以上は付き合ってられないわ
    行くわよ、マナ



   マナ
    …………



   ヴァイオラ
    どうしたの?
    さっさと行くわよ



   マナ
    私……私は……



   ヴァイオラ
    やれやれだわ
    どうやらあなたも、そこの
    甘ちゃん連中と同じみたいね

    あなたみたいなヘタレと組んだところで
    まともにドライヴできるはずもないわ



   マナ
    なんですって?



   ヴァイオラ
    興味が失せたわ
    さよなら、マナ

    友情ごっこでも
    おままごとでも
    好きにするといいわ



   マナ
    ふう……
    私ったら何をしているんだが

    せっかく理事長先生に
    取り入ったのに、これでは
    元の木阿弥じゃありませんか



   桃
    すまない、猪名川



   マナ
    謝らないでくれますか
    私は私の意志でここに残ったんです



   倫花
    それじゃマナちゃん!!



   ゴウザンゼ
    そこまでです!



   倫花
    ゴウザンゼ先生!



   ゴウザンゼ
    もう港まで来ていたなんて
    危ないところでしたわ

    悪い子たちには
    たっぷりとお仕置きして差し上げなくてはね




  18-B-前

   (港湾地区にて)


   ゴウザンゼ
    マナよ、よく足止めを
    しておいてくれましたね

    おかげで反逆者を
    逃がさずに済みました



   マナ
    …………



   ゴウザンゼ
    さあ、覚悟なさい
    勝手な振る舞いもここまでです

    その身を以って
    神の怒りを知りなさい!



   乱花
    きゃああぁっ!



   倫花
    乱花ちゃん!
    あうっ!!



   満腹丸ちゃん
    クリティカルヒットなのだ
    きゅう……



   ゴウザンゼ
    コンゴウさんの到着を
    待とうとも思いましたが
    その必要もなさそうですわね

    我が身に取り込み
    永遠の安らぎを与えてあげましょう

    すぐ済みます
    大人しくしていなさい



   桃
    このままではまずい……
    私一人ではみんなを守り切れない



   ゴウザンゼ
    無駄なあがきをしようなどと
    考えないことですよ

    さあ
    V-ウイルスの治療法が見つかる日まで
    仲良くお眠りなさい



   マナ
    ……どうやらあなたたちの
    悪運もここまでのようですね



   桃
    本当にそう思っているのか
    その言葉は本心なのか?



   マナ
    …………



   桃
    猪名川、私とドライヴしろ



   マナ
    なんですって?



   桃
    このまま四神に取りこまれて
    終わりだなんて、お前はそれで
    納得できるのか!

    私は、みんなを
    友達を守りたい!

    頼む!
    私と一緒に戦ってくれ!



   マナ
    …………



   ゴウザンゼ
    何を血迷ったことを
    マナは私たちについたのです



   桃
    そんなことない
    猪名川は私たちを助けてくれる

    ……私たちは友達なんだ



   ゴウザンゼ
    おしゃべりは終わりです
    さあ、覚悟をお決めなさい

    何のつもりですか?
    マナ

    邪魔ですわ
    そこをおどきなさい



   マナ
    申し訳ありませんが
    お断りします

    何せ、友達に助けてと
    お願いされてしまいましたから

     ※ ここを劇的に描くことがなかった為、マナの表面的な印象が
       好転し切ることは無かった。桃を守る為に瀕死になるくらいが妥当だったかもしれない




   桃
    猪名川……!



   マナ
    まったく手間がかかるんですから
    これは貸しにしておきますからね



   桃
    ありがとう
    信じていた



   マナ
    本当に調子がいいんですから

    お礼なら言うのは
    この場を切り抜けてからにしてください



   桃
    ああ



   ゴウザンゼ
    何と愚かな……
    ただでは済みませんわよ?



   マナ
    ただでは済まないのは
    そちらの方です



   ゴウザンゼ
    その言葉、後悔しないことです
    お出でませい、コンゴウさん!



   コンゴウ
    応である!



   ゴウザンゼ
    きついおしおきをしてあげますわ!




  18-B-後

   マナ
    ふぅ……
    口ほどにも……
    ありませんでしたね



   桃
    先生たちは逃がしたか
    とどめを刺せなかったのが
    悔やまれる……が

    一緒に戦ってくれと頼んだ
    私が言うのもおかしな話だが
    よかったのか?

    お前にもお前なりに
    積み重ねてきたものがあったんじゃないか?



   マナ
    ちょうど優等生でいるのにも
    飽きてきたところでしたしね
    ちょうどよかったんです

    これからは自分のために
    そして好きな人のために戦います



   桃
    猪名川……
    ありがとう



   マナ
    ええ、本当に
    どういたしまして



   倫花
    ううん……



   乱花
    う……どうなったの……?



   満腹丸ちゃん
    むにゃむにゃ……
    もう食べられないのだ~



   マナ
    ほら、満腹丸さん
    寝ぼけていないで起きて



   桃
    みんな
    無事だったようだな



   倫花
    桃ちゃん……
    あっ、四神は!?



   桃
    それなら心配ない
    私と猪名川で撃退した



   倫花
    えっ、マナちゃんと!?



   乱花
    どういうこと!?



   マナ
    どういうこともなにも
    そういうことです

    私も皆さんと一緒に戦います
    友達に頼まれたのならしかたが
    ありませんから



   倫花
    わぁ、やった!!
    よろしくね、マナちゃん!



   乱花
    ふーん
    まあ、いいんじゃないの?



   満腹丸ちゃん
    みんな一緒で嬉しいのだ
    早速宴会の用意を――



   マナ
    残念だけど、それは後です
    五期生の皆さんを収容する船を探しませんと



   倫花
    そうだね!
    みんなを船に乗せて
    この島から脱出させなくちゃ!



   越後屋
    まいど、越後屋でござい!



   倫花
    あれっ
    急にどうしたの?
    えっちゃん!



   乱花
    悪いけど私たち
    今ちょっと忙しいんだ



   越後屋
    その話だよ
    ビクニには現在、一艘の船も
    寄港してないんだ



   桃
    そっちでも手配できないのか?
    ポイントなら払う



   越後屋
    残念ながら、えっちゃんには
    その権利はないんだね

    島を出る船を動かせるのは
    城にいるダイイトクちゃんだけだ



   乱花
    つまりダイイトク先生を倒せば
    船を自由に使えるってこと?



   越後屋
    話は最後まで聞くもんだよ

    島の周囲には結界が張り巡らされてる

    この結界をどうにかしなくちゃ
    船があっても意味がないよ

    その結界を作り出しているのは
    グンダリちゃんの力なんだ



   桃
    結局のところ
    四神の先生たち全員倒さないと
    いけないということか



   倫花
    だったら私たちの
    やることは何も変わらない
    問題ないよ



   乱花
    考える手間が省けて嬉しいくらい
    次に戦いを挑むべきはダイイトク先生
    ってことだもんね



   マナ
    それなら、私が五期生の
    みなさんとここに残りましょう



   倫花
    へっ?
    どうして?



   マナ
    港を確保しておかねばなりませんし
    五期生たちに正確な状況を説明しておく
    必要もあるでしょう



   倫花
    じゃあマナちゃん
    お願いできるかな



   マナ
    任されました
    その代わり必ず四神を倒してきてくださいね



   倫花
    うん、約束!



   桃
    気をつけろよ
    借りを返す前に死なれては困る



   マナ
    桃さんのほうこそ
    戻ってこなかったら怒りますよ



   桃
    ああ
    四神を倒して全員で戻る
    絶対だ



   倫花
    それじゃ、みんな行こう
    ダイイトク先生とグンダリ先生を倒しに!



   乱花
    うん、お姉ちゃん!



   満腹丸ちゃん
    かしこまりなのだ!





 Drive19. 始りの思い出


  19-A-前

   (エリート区画にて)


   越後屋
    みんな、歩きながらでいい
    聞いて欲しいの



   倫花
    どうしたの? えっちゃん
    改まって



   越後屋
    やっぱりきちんと話して
    おいた方がいいと思ってね



   乱花
    話って、なんの?



   越後屋
    何故、四神が……
    そして理事長ちゃんがこの島を
    封印しようと思ったかさ



   倫花
    それはV-ウイルスの治療法が
    見つかるまで、ヴァルキリーたちの
    時間を止めておくためでしょう?



   乱花
    病気が治らないまま島から出れば
    AAAに兵器として改造されて
    売られちゃうからだって



   越後屋
    その通りだよ

    今から話すのは、この島に
    まだ名前も付いていなかった頃のお話……

    世界政府と、その施策を実行する
    治安維持組織として組織されたAAAは
    V-ウイルスの研究に乗り出した

    あの頃、ウイルスの治療を目的にして
    いくつかの人工島が造られたんだ

    もちろん治療なんてのは
    まるっきりのウソだったんだけど

    対外的には体のいい隔離施設さ
    でもねAAAにとってはそうですらなかった

    兵器の材料を仕舞っておく倉庫――
    ってところだろうね



   倫花
    兵器の材料……



   越後屋
    この島に来たヴァルキリーの能力を
    AAAは治療と称した実験を通して
    じっくり見定めた

    実験に利用できる能力者
    お金になりそうな能力者
    兵器に転用しやすい能力者

    そんな風に分類していったんだね

    そして最初に目をつけられたのが
    えっちゃんだったのさ



   乱花
    えっ?
    越後屋ってヴァルキリーだったの!?



   越後屋
    本来なら、実験材料にするにしても
    兵器に改造するにしても、卒業まで
    待つはずだったんだけどね

    あいつらはその前に、直接
    島に乗り込んできた



   倫花
    直接乗り込んできたって
    えっちゃんを捕まえるために……?



   越後屋
    ああ、よっぽど貴重な
    実験材料だと思われたんだねぇ

    有無を言わさず
    えっちゃんを連れていこうとしたんだ



   桃
    AAAに狙われてよく無事だったな?



   越後屋
    無事では済まなかったねぇ

    えっちゃんは、自分が生き物なのか
    機械なのか、もう自分でも分からないくらいさ



   桃
    越後屋、お前は……



   越後屋
    まあまあ、生きてこその物種だ
    死んだら商売は出来ないからね
    話を続けるよ

    当時、島にいたのは
    後にビクニの一期生となる
    ヴァルキリーたちだった

    倫花ちゃんたちみたいに
    病気が治ると信じて
    島にやってきていた子たちさ

    なのに病気が治るなんて嘘っぱち
    兵器として売られるとあっちゃ
    抵抗するに決まってるだろ?



   倫花
    うん、当たり前だよ



   越後屋
    先頭に立って反旗を翻したのが
    えっちゃんのパートナーさ



   乱花
    自分のパートナーを
    メチャクチャにされたんだもん
    当然だよ



   越後屋
    彼女は強かった
    まさに鬼神の如しってね

    ヴァルキリーを率いて
    敢然とAAAに立ち向かった
    我が相棒ながらシビれたねぇ



   倫花
    えっちゃんのパートナーの活躍で
    AAAを撃退できたんだね



   越後屋
    いいや?



   倫花
    え、じゃあ……



   越後屋
    AAAはあきらめなかった
    世界政府のメンツに懸けて
    お金と人員をこの島に注ぎ込んだ

    ヴァルキリー狩りの始まりだね



   倫花
    ……!!



   越後屋
    逆にこっちはジリ貧さ
    何せ食べるものすら
    満足に調達できないんだ



   満腹丸ちゃん
    食べ物がないなんて
    恐ろしい事態なのだ……



   越後屋
    満腹丸ちゃんの言う通りさ
    いくら無敵のヴァルキリーだって
    ごはんを食べなければ戦えない

    そこにあったのは地獄絵図だよ



   倫花
    あの……
    先輩たちはどうなったの?



   越後屋
    この島に収容された
    ヴァルキリーは全員死亡
    記録は病死となっているね



   乱花
    病死?
    なんで?



   越後屋
    いくらAAAの連中の面の皮が
    厚くても、島に乗り込んで片っ端から
    殺戮しましたとは報告できないでしょ

    V-ウイルスは不治の病だよ
    病気で死んだってことにすれば
    誰も気にしない

    んで、島には新たな司政官を派遣して
    新たなヴァルキリーを迎え入れる――
    そういう寸法さ



   倫花
    そんな!
    酷過ぎるよ!!



   越後屋
    まあまあ落ち着いて
    話はもうちょーっと込み入っていてね

    全員殺されたはずのヴァルキリー
    でも実は生き残った者がいたんだね
    たった二人だけど……



   倫花
    えっちゃんと、パートナーの人?



   越後屋
    そゆこと

    彼女たちはそれまでの名前も経歴も
    捨て去って、長い時間を掛けて島の
    システムに潜り込んだ

    一人は島の流通を取り仕切る商人
    越後屋として

    もう一人は島を管理する司政官――
    そしてヴァルキリーたちを指導する
    学園の理事長として



   倫花
    それじゃ
    えっちゃんのパートナーって
    理事長先生だったんだ



   越後屋
    そういうわけさ
    そうして出来上がったのが
    ビクニなんだよ

    理事長ちゃんはね
    あの惨劇を二度と引き起こさないと
    心に決めてビクニを創り上げた

    絶対にAAAの思い通りには
    ならないという意思を込めて

    他の先生ちゃんたちも同じだよ
    理事長ちゃんの理念に賛同して
    自らすすんで神となった

    彼女たちの決意は
    並々ならぬものじゃない
    それは分かるよね?



   倫花
    もちろんだよ!
    それでも私は、先生たちが正しいとは思えない



   越後屋
    そうだね

    ウイルスの治療法が見つかるまで
    全てのヴァルキリーの時を止めて
    封印する

    えっちゃんたちだって
    このやり方が完全に正しいとは思っちゃいない

    ただ他に方法がなかった
    そして一度動き出したシステムを
    止めることはできない

    この島がビクニの名を
    冠してから五年が経とうとしてる

    たった五年と思うかい?

    えっちゃんたちにとっては
    血を吐く様な五年だったよ

    いつまでAAAを欺き続けて
    ヴァルキリーたちを守れるのかな

    自分たちがしてることは
    果たして正しいんだろうか

    V-ウイルスの治療法なんて
    永遠に見つからないんじゃ?

    自分で自分の心臓を握り潰す
    ような自問自答が永遠に続くんだよ

    えっちゃんたちは、それだって
    受け入れたつもりだった

    でもね、でもさ
    ここに来て他のやり方
    あるのかもしれない

    先生ちゃんたちを苦しめず
    ヴァルキリーが今を生きられる
    そんな違うやり方が

    そう思わせてくれたのは
    倫花ちゃんとキミたちなんだよ



   倫花
    ……えっちゃん



   越後屋
    その可能性を彼女たちにも
    見せてあげて欲しいのさ
    感じさせてあげて欲しいのさ

    とまあ、えっちゃんのお話は
    そんなところさ

    今の話を聞いて、四神を
    倒す気が失せたってんなら
    まだ引き返せるよ



   倫花
    私は……

    私は先生たちと戦うよ
    全ての四神を倒してみせる

    全てのヴァルキリーの今を
    取り戻すため

    先生たちや、えっちゃんの
    今もね



   越後屋
    倫花ちゃん……



   乱花
    先生たちは
    戦う相手を間違えてる

    戦うべき敵は、島を解放しようとしてる
    お姉ちゃんじゃない

    過去の自分の決断に苦しむ
    必要もない

    悪いのはAAAでしょ
    連中をぶっ飛ばせば済むよ



   桃
    私の戦いを他人に委ねるつもりはない
    AAAとも、V-ウイルスとも、私は
    自分の力で戦いたい



   満腹丸ちゃん
    そして世界中の美味しいものを
    片っ端から食べまくるのだ!



   越後屋
    おお、キレイにまとまったね



   乱花
    ……そう?



   越後屋
    そうさ
    美味しいものを食べる
    好きな人と話す

    好きなことをして
    笑うことこそが人の幸せだよ
    えっちゃんはそう思う

    満腹丸ちゃんの思いこそ
    幸せの本質を掴んでいるって
    えっちゃんはそう思うのさ



   桃
    そんなに難しいことを
    考えている様には見えないがな



   満腹丸ちゃん
    それはあんまり失礼では?
    ぷんぷんなのだ!

    まんぷくまるちゃんだって
    食べること以外のことを
    考えることだってあるのだ!



   桃
    ほう、例えば?



   まんぷくまるちゃん
    例えば? 例えば、ええっと……
    昨日はラーメンを食べたから
    今日はお肉系がいいかなぁ、とか



   乱花
    思いっきり食べることじゃん



   満腹丸ちゃん
    う~、まんぷくまるちゃんは
    難しいことを考えると
    お腹が空いてしまうのだ……

    でも、本当に食べることばかり
    考えているわけじゃないのだ



   倫花
    無理しなくていいよ
    まんぷくまるちゃん



   桃
    倫花の言うとおりだ



   満腹丸ちゃん
    本当なのです
    確かに食べることは大好きだけど
    いまはもっと好きなことを見つけたのだ



   越後屋
    ま、ままま、満腹丸ちゃんが
    食べることよりも好きなこと!?



   乱花
    驚きすぎでしょ
    まあ、気持ちはわかるけど



   桃
    なんだ?
    その好きなことって



   満腹丸ちゃん
    ふふふ、それは
    みんなと一緒にいることです!

     ※ 桃との宴会が前振りとなっている



   倫花
    えっ



   乱花
    私たちと



   桃
    一緒にいること、だと?



   満腹丸ちゃん
    まんぷくまるちゃんは
    昔、ここじゃない島で暮らしていたのだ

    気がついたら、そこにいて
    周りにはこわーい大人の人しか
    いませんでした



   倫花
    それって、どういうこと?



   満腹丸ちゃん
    んー、よくわかりません!



   乱花
    わかりませんって自分のことでしょ



   越後屋
    満腹丸ちゃんは
    小さいころにVR-ウイルスに
    感染したんだ……

    そしてすぐにAAAに捕らわれて
    島に送られてしまったんだよ

    えっちゃんたちが保護するまで
    ろくな教育も与えられず、ただ
    戦わされていたんだね



   倫花
    そんなことがあったの……



   満腹丸ちゃん
    あー、大体そんな感じ



   乱花
    ご、ごめん満腹丸
    私、そんなこと知らなかったから



   満腹丸ちゃん
    なんで謝るのだ
    りんちゃんもらんちゃんも
    悪いことは何も言ってないのだ



   乱花
    満腹丸……



   満腹丸ちゃん
    その島で楽しかったことといえば
    ご飯を食べることだけ

    戦えば、ご飯を
    食べさせてもらえるから
    いっぱいいっぱい戦ったのだ



   桃
    それで、ここまで食べることに
    固執するようになったのか……



   満腹丸ちゃん
    えへへ、それほどでも

    まんぷくまるちゃんは
    ご飯が食べられれば
    それだけで満足なのだ

    でも最近はちがうなーって
    思うようになったのです



   倫花
    違うって?



   満腹丸ちゃん
    みんなと一緒にいると
    すごく、うれしいたのしい

    いろんなことをおしゃべりして
    いっぱい笑って……

    ヴァルキリードライヴだってしちゃいます!

    それはご飯を食べるのとはちがう
    胸の中がすごく満ち足りた気持ちになるのだ

    だから、まんぷくまるちゃんは
    みんなと一緒にいることが
    ご飯を食べるよりも好きなのだ



   倫花
    満腹丸ちゃん!
    私もだよ!

    満腹丸ちゃんと
    一緒にいるとすごく楽しくて
    嬉しい!



   乱花
    まあ、私もそうかもね
    あ、でも勘違いしないでよ

    私はお姉ちゃんと一緒にいる方が
    嬉しくて楽しいんだから



   桃
    いちいち言わなくても
    みんな知ってる



   乱花
    そこは普通、素直じゃないなって
    微笑んだりするところじゃない?



   桃
    そうなのか?



   乱花
    も、もういいよ
    で、九頭竜はどう思うわけ?



   桃
    私は……私も
    みんなと一緒にいるのは
    嬉しくて楽しいと感じている

    友達――だからだろうか



   乱花
    九頭竜がそんなこと
    言うなんて、なんか悪いものでも食べたの?



   桃
    き、聞かれたから答えたまでだ



   満腹丸ちゃん
    えへへ、みんなも
    まんぷくまるちゃんと同じで
    すごく嬉しいのです!

    それでね、まんぷくまるちゃん
    もっともっともーーーーーっと
    友達がほしいのだ

    だから、島の外に出てみたい
    もちろん、みんなと一緒に!

    きっとそれって
    すごくうれしいたのしいと思うのだ!



   倫花
    満腹丸ちゃん……
    うん、そうだよ!

    島の外に出たら
    いっぱい友達を作ろう

    満腹丸ちゃんなら
    すぐにできるよ



   満腹丸ちゃん
    えへへ、メガ盛り牛丼を
    食べるより楽しみなのだ



   越後屋
    そっか、満腹丸ちゃん
    そんなことを考えていたんだ

    みんなと出会うことで
    成長したんだねぇ……



   倫花
    みんなの思いで私は強くなれる
    私は一人じゃないんだって感じる

    先生たちだって一人じゃない
    それに気付いて欲しい

    だから私は戦うよ
    先生たちに思いを届けよう



   乱花
    もちろん、私も一緒に戦う

    お姉ちゃんの進む道が
    私の進む道だもの



   桃
    私もだ
    もう恐れない
    迷わない

    例えこの先にどんな困難が
    待ち構えていようとな



   満腹丸ちゃん
    みんなと一緒なら
    どんな大盛りでも大丈夫なのだ!



   越後屋
    うん
    えっちゃんから言うことは
    もう何もないよ

    さあ、行こうか



   (別の場に移動)

   小春
    本当に来たんですね



   ヴァイオラ
    身の程知らずというのは怖いわね



   倫花
    小春ちゃん!
    ヴァイオラちゃん!



   乱花
    二人揃って何の用?

    まさか私たちの仲間になりに
    来たわけじゃないよね



   小春
    みなさんの結論次第では
    戦う必要もなくなると
    思っていたのですが――

    そうもいかなさそうですね



   ヴァイオラ
    考え直すなら今よ
    ラストチャンスってやつね



   倫花
    二人とも……
    やっぱり私たちを止めにきたんだね



   小春
    私は理事長のお話を聞き
    その考えに賛同しました

    皆の安全を守りながら
    ウイルスの治療法を見つける

    そのためにこれ以上の方策はないでしょう



   倫花
    でも治療法が見つかるのは
    いつになるかわからないんだよ?

    数年、数十年……ううん
    数百年後かもしれない!

    私たちのことを知っている人なんて
    誰も残ってない……

    そんな世界で病気が治って
    本当に嬉しいの?
    幸せになれるの!?



   ヴァイオラ
    それが幼稚な考えだって言ってるのよ!

    戦場でいつ死ぬかもしれない
    日々を過ごすよりは
    よっぽどマシだわ!



   小春
    例え治療法が見つかるのが
    百年後だとしても世界が
    滅ぶわけではありません

    VR-ウイルスを治せれば
    どのようにでも生きていけるでしょう

    そのために、私は決心しました
    新たな神となりビクニを守り続けていくことを



   倫花
    あ、新たな神!?



   乱花
    それって、どういう意味!?



   小春
    理事長は今回の皆さんの
    反乱を鑑みて決めたのです

    島の安全と理念を守るためには
    より強い力が必要であると……

    そのために私に新たな神
    『キリン』になれと



   桃
    その話を受けたのか



   小春
    断る理由などありません
    弱者を守ることは、力ある者の義務です



   乱花
    ずいぶんと上からだね
    私たちが弱者かどうか試してみろ!



   桃
    やめろ、乱花



   乱花
    なんで止めるの!?



   桃
    お前と倫花には
    四神と戦うという目的があるのを忘れたのか

    こんなところで
    余計な体力を使うな



   乱花
    う、それはそうだけど



   桃
    ここは私と満腹丸に任せて
    二人は先に行け



   倫花
    でも、桃ちゃん……!



   桃
    早く行け!
    四神を倒して封印を解いてしまえば
    私たちの勝ちだ!



   乱花
    行こう、お姉ちゃん
    九頭竜の言うとおりだよ!



   倫花
    ……わかった
    二人とも、気をつけてね!



   ヴァイオラ
    …………



   桃
    お前の相手は私たちだ



   ヴァイオラ
    私はね
    別にあなたたちを叩きのめしたい
    わけじゃないのよ

    あなたたちのこと
    キライじゃないし

    ただね
    あんまり頭が悪いと死ぬことになる



   桃
    何の話だ?



   ヴァイオラ
    自分がどの程度のものか
    思い知らせてあげるって言ってるのよ

    このヴァイオラ様が直々にね!



   小春
    確かにビクニのシステムは
    独断に満ちていると感じるかも知れませんね

    それが私たちヴァルキリーの
    ためとは言え、私たち自身に
    選択肢は与えられないのだから

    ただ、四神を下してこの島のシステムを
    変えるというあなたたちも、同じように
    傲慢であると知りなさい



   ヴァイオラ
    ここであきらめてもらうわ!




  19-A-後

   ヴァイオラ
    ちっ、思ったよりも手間取ったわね
    小春、倫花たちを追いましょう



   満腹丸ちゃん
    あの二人を追わせるわけには……
    いかない……のだ!



   ヴァイオラ
    ちょっと満腹!
    何をするの?
    離しなさい!



   満腹丸ちゃん
    り、りんちゃんたちのところには
    絶対行かせないのだ……



   桃
    二人の邪魔はさせない
    どうあっても……



   小春
    くっ、離してください
    もう勝敗は決しました



   ヴァイオラ
    桃、あんたまで!?
    なんでそこまでするのよ!

    第一、あの二人が四神に
    勝てる保証なんてないでしょう!



   桃
    わ、私は、倫花と乱花を信じてる
    あの二人なら、必ず勝つ……

    それに私は倫花の願いが
    叶うところを見届けたいんだ

    家に帰りたいというなら
    帰らせてやりたい

    家族に会いたいというなら
    会わせてやりたい……



   満腹丸ちゃん
    そうなのだ……それに
    まんぷくまるちゃんだって
    島の外に出たいのだ……

    それでいっぱい友達を
    作るのだ……

    まんぷくまるちゃんなら
    いっぱい友達ができるよって
    りんちゃんが言ってくれたから……



   桃
    ああ、私たちの未来は
    兵器として売られると
    決まったわけじゃない!

    みんなと一緒なら
    幸せな未来を生きられる
    可能性があるかもしれないじゃないか

    人は自分の力で夢を叶えられる
    それを自分の目で確かめたいんだ



   満腹丸ちゃん
    そうなのだ!
    だから、二人のところには
    ぜったいぜったい行かせないのだ!



   ヴァイオラ
    ちっ、すっかり倫花の甘い考えに
    染まっているわね

    現実はそう優しくはないわよ
    ねえ、小春



   小春
    …………

    お二人の言うことも
    一理あると思います

    未来がどうなるかなど
    誰にもわからないのですから



   ヴァイオラ
    はっ!?
    ちょっとなに言ってるのよ、小春

    まさかあんたまで
    血迷ったとか言うんじゃないでしょうね



   小春
    ご冗談を……ふっ!



   桃
    うっ!?



   満腹丸ちゃん
    あうっ!?



   ヴァイオラ
    な、何をしたの?



   小春
    当て身です
    二人には気を失ってもらいました

    これ以上争って
    傷つく必要はないでしょう

    二人を医務室へ運びます
    手伝って下さい、ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    は?
    なんで私が



   小春
    じゃあ、二人を
    このままにしておくんですか?



   ヴァイオラ
    それはそうだけど……



   小春
    ダイイトク先生なら
    心配ないでしょう



   ヴァイオラ
    どうして言い切れるの?
    相手は倫花と乱花のペアなのよ
    万一のことだってありえるわ



   小春
    ないんです
    万に一つの可能性も

     ※ 島から力の供給を受けているから



   ヴァイオラ
    ……?



   小春
    さ、二人を運びましょう




  19-B-前

   乱花
    お姉ちゃん
    あの二人、大丈夫かなあ?



   倫花
    信じよう、乱花ちゃん
    今は私たちがするべきことをするの



   ダイイトク
    そうだ
    他人の心配をしている余裕なぞ
    お前たちにはねぇはずだぜ



   乱花
    私は、私たちの思いを
    先生に伝えに来ました



   ダイイトク
    何も知らねぇガキが
    デカい口だけは叩きやがる
    気にく食わねぇ



   乱花
    先生、私たちは



   ダイイトク
    気に食わねぇぇぇえええええええ!



   乱花
    ひゃっ!!



   ダイイトク
    塔の上で待つ
    ゴウザンゼもそこにいる



   倫花
    え……
    ゴウザンゼ先生が?



   ダイイトク
    一段一段
    死ぬ気で昇ってこい
    オレたちは本気だぜ



   倫花
    臨むところです!
    いくよ、乱花ちゃん
    一緒に戦おう!



   乱花
    りょーかい!
    絶対勝つ! 意地でも勝つ!
    負けても勝つ!




  19-B-後

   倫花
    てえーいっ!!



   乱花
    どおだぁーっ!!

    ダイイトク先生と
    ゴウザンゼ先生に
    勝ったぞ!

    お姉ちゃん!
    これで船を動かせるんだよね



   小春
    残念ですが
    そう簡単にはいきません
    船は動かせないでしょう



   倫花
    どうして?
    船の管理システムを担ってる
    ダイイトク先生を倒したのに



   ダイイトク
    へっ、誰が倒されたって言うんだ?
    オレぁこの通りピンピンしてるがな



   ゴウザンゼ
    私もですわよ



   乱花
    なっ……!?



   倫花
    そ、そんな……!
    どうして!?



   乱花
    考えてみれば変だよ
    お姉ちゃん

    ダイイトク先生はともかく
    ゴウザンゼ先生は前にも
    倒したはずだもん



   ゴウザンゼ
    ふふふ
    気づくのが遅すぎますわ
    私たち四神は不死身にして不滅

    あなたたちに
    倒せるような存在ではないのです



   ダイイトク
    この島の封印を解くなんて
    そんなことはさせねぇ!



   乱花
    不死身の相手なんて
    倒せるわけないじゃん!



   倫花
    あきらめないで、乱花ちゃん
    絶対に倒す方法はあるはずだよ



   越後屋
    ダイイトクちゃん
    合力合神Overを発動しているね?



   倫花
    えっちゃん!?



   ダイイトク
    越後屋……
    何しに出てきた?



   越後屋
    抜かったよ
    ごめん、二人とも
    えっちゃんのミスだ



   乱花
    ど、どういうこと?
    話がちっとも見えないよ



   越後屋
    不死身のヴァルキリーなんているもんか

    あの二人を倒せなかったのには
    きちんと理由があるのさ



   ゴウザンゼ
    越後屋さん、あなた……
    まさか私たちを裏切るおつもり?



   ダイイトク
    越後屋、何故だ!?
    オレたちは仲間だろう!
    同士だろう!!



   越後屋
    同士だからこそさ
    仲間だからなんだよ

    もういい、もう十分だよ
    あの子は十分やったよ
    解放してやりたいんだ

    えっちゃんは
    倫花ちゃんたちが掲げる
    未来を信じた

    だから――



   ダイイトク
    や、やめろ、越後屋!



   ゴウザンゼ
    その秘密だけは
    話してはいけませんわ!



   越後屋
    さあさあ、今回限りの
    大出血サービス!

    越後屋えっちゃんの
    とっておきの情報だよ!

    耳の穴かっぽじって
    よーく聞きな!

    不滅のはずの四神を倒す
    その方法をね!





 Drive20. 大切で特別なお友達


  20-A-前

   (岬へ移動中)


   倫花
    はぁっ、はぁっ……!
    急いで、乱花ちゃん



   乱花
    うん、お姉ちゃん!



   越後屋
    さっき話した通り
    四神を倒す方法は一つ!

    合力合神Overモードの
    彼女たちに供給されている
    エネルギー源を断つこと!



   倫花
    そのエネルギーの集積場所が
    島の岬の先端にあるんだね!



   越後屋
    そゆこと!

    ゴウザンゼちゃんとダイイトクちゃんは
    装甲の修復中だ

    彼女たちが動けない
    今がチャンスだよ!



   乱花
    お姉ちゃん、待って!



   倫花
    どうしたの? 乱花ちゃん



   セキュリティー
    反逆者……
    先ヘハ行カセナイ

    ギギギギ!!



   ダークバサラ
    グオオォォォオ!



   越後屋
    うひゃあ!



   倫花
    そんな、ロボット!?
    どうして!



   越後屋
    えっちゃんは
    島のシステム側から確認してみる!

    二人もムリはしないでね!



   倫花
    ムリするな、か
    うーん



   乱花
    でもロボットが
    どんどん集まってきてるよ
    ちょっとヤバいかも

    こうなったら岬まで
    一気に突っ切ろう!



   倫花
    私が戦うね、行くよ!



   乱花
    オッケー、お姉ちゃん!



   倫花
    たああぁあぁぁああっ!!



   セキュリティ
    ギッ!

    行動不能
    コウドウ……フノウ



   倫花
    あうぅ、倒しても倒しても
    きりがないよ~

    一体どれだけいるの!?

    お願い、そこをどいて
    私たちの邪魔をしないでっ!



   ダークバサラ
    ぎゃんっ!!

    グアアァアッ!



   倫花
    はぁっ、はぁっ……!



   セキュリティー
    反逆者を確保スル……!!



   倫花
    きゃあぁぁあっ!!



   乱花
    お姉ちゃん!



   倫花
    しまった
    ドライヴが解けちゃった!



   乱花
    この数を相手にするのは
    やっぱり無理だよ



   乱花
    ここは一度退いたほうが……



   倫花
    ダメ!



   乱花
    お姉ちゃん?



   倫花
    これぐらいでへこたれてるようじゃ
    絶対に島を解放なんてできないよ!

    それじゃなんのために桃ちゃんや
    満腹丸ちゃんが私たちを
    先に行かせてくれたのかわからない
    
    だから絶対に
    私は諦めたりしないの!



   乱花
    お姉ちゃん……
    うん、そうだよね、私が間違ってた



   倫花
    うん、私たちならできるはずだよ!



   乱花
    まとめてかかってこい!
    ボコボコにしてやる!!



   マナ
    その意気です
    簡単に諦めてもらっては困ります!



   倫花
    えっ、マナちゃん?
    どうしてここに?



   マナ
    どうしてもこうしてもないでしょう
    助けに来てあげましたのに



   乱花
    ありがたいけどさ
    でも猪名川一人増えたって
    どうしようもないよ



   マナ
    一人?
    どこに目をつけているんですか



   五期生A
    神楽坂さん、助けにきたよ!



   五期生B
    私たちも一緒に戦わせて!



   倫花
    五期生のみんな……!!
    港にいたんじゃなかったの?



   マナ
    越後屋さんから連絡を受けたんです
    船は動かせないし、港に籠って
    いても退屈ですから

    それに皆さんが、どうしても
    倫花さんたちの力になりたいと
    言うものですから仕方なく

     ※ 以前にもあったが良く思われるのが恥ずかしいのだろう。
       本来は奥ゆかしい性格であるのが伺える




   五期生A
    えっ、神楽坂さんたちを助けに
    行こうって私たちを説得したのは
    猪名川さんだよね?



   五期生B
    しーっ!
    そういうことを言っちゃダメ!

    ほら、猪名川さんが耳まで
    真っ赤になっちゃってる



   倫花
    マナちゃん……



   乱花
    猪名川がみんなをまとめて
    連れてきてくれたんだ……



   マナ
    わ、私たちが置かれている事情を
    説明したら、勝手にまとまっただけです

    私は何も――



   五期生A
    猪名川さんから、この島の話を
    聞いた時はたしかに驚いたよ
    だけど落ち着いて考えてみたの



   五期生B
    いくら病気を治すためでも
    時間を止められるなんて冗談じゃないって



   五期生C
    うん、私たちの未来を
    勝手に決めないでほしいわ



   五期生A
    だから私たちも
    神楽坂さんたちと
    一緒に戦うことに決めたの



   五期生B
    あなたたちだけに
    任せっぱなしってわけにはいかないでしょ?



   五期生A
    これは私たちの問題でも
    あるんだから



   マナ
    と、こういうわけです

    ここにいるみんな
    倫花さんと同じ気持ちです



   倫花
    みんな……!
    本当に一緒に戦ってくれるの?



   五期生A
    そう言ってるでしょ!



   倫花
    えへへ、ありがとう!



   マナ
    それで、今はどんな状況なんですか?



   倫花
    あ、うん、四神を倒すためには
    島の先端にある岬に行かなくちゃいけないの



   マナ
    なるほど、それで相手も
    これだけの数のロボットを使って
    止めようとしているわけですか

    わかりました
    倫花さん、乱花さん
    ここは私たちに任せてください



   倫花
    えっ、任せるって?



   マナ
    岬までの道は私たちが切り開きます

    あなたたちはその道を
    まっすぐ突き進んでください



   倫花
    そんな、私たちも
    一緒に戦うよ



   マナ
    いいですか、倫花さん
    人にはそれぞれ
    役割というものがあります

    あなたたちの役割は
    四神を打ち倒し
    この島を解放すること

    私たちは全力でそれをサポートします



   五期生A
    そういうこと
    ほら、早く行って!



   五期生B
    ロボットくらいなら
    私たちでもなんとかしてみせるから!



   倫花
    マナちゃん、みんな……



   乱花
    行こう、お姉ちゃん!

    猪名川も、みんなも
    お姉ちゃんを信じて来てくれたんだよ!



   倫花
    乱花ちゃん……うん、そうだね!
    私たちは、立ち止まったりしちゃいけないんだ!

    みんなの気持ちに答えるためにも
    前へ進もう!



   マナ
    それでこそ、倫花さんです
    さあ、行ってください!



   倫花
    うん、ありがとう、マナちゃん!

    私のことを信じてくれた
    みんなのためにも、必ず
    島を解放してみせるよ!

    必ず!



   (別の場にて)

   桃
    うぅん……



   満腹丸ちゃん
    むにゃむにゃ……
    もう食べられない?
    そんなぁ……



   小春
    これでしばらく安静にしていれば
    大丈夫でしょう



   ヴァイオラ
    わざわざ医務室まで
    運んでやるなんて
    ずいぶんと優しいのね



   小春
    混乱を抑えたいだけであって
    彼女たちを倒したいわけではないんです

    彼女たちは敵ではありません
    クラスメイトなんですから



   ダイイトク
    こんなところに
    いやがったのか、小春!



   小春
    あら、ダイイトク先生
    私になにかご用ですか?



   ダイイトク
    ご用ですかじゃねえ

    お前には、倫花たちを
    止めるように命じたはずだろうが!

    何故あいつらを通した?



   小春
    すみません
    この二人に邪魔を
    されてしまったものですから

    それに先生方なら、あの二人に
    遅れを取ることなど無いと思ったんです

    が、その様子では私の予想は
    正しくなかったようですね



   ダイイトク
    くっ……情けねえ話だが
    あの二人があそこまで強いとは
    予想外だったぜ



   ヴァイオラ
    まさか倫花たちに
    負けたっていうの?



   ダイイトク
    ……そうだ

    しかもオレたちの不滅の体の
    秘密を知られちまった



   小春
    まあ、それは大変ですね



   ダイイトク
    何を悠長なこと言ってやがる!

    倫花を調子づかせたせいで
    五期生のガキどもが蜂起した



   ヴァイオラ
    蜂起?



   ダイイトク
    島を解放するために
    倫花と共に戦うとよ



   小春
    そうなんですか



   ダイイトク
    それもこれも小春!
    筆頭としての、お前の
    指導不足なんじゃねえのか!



   小春
    …………



   ダイイトク
    とにかくこれ以上
    あいつらの好きにさせるわけにはいかねえ

    五期生のガキどもは
    オレとゴウザンゼでなんとかしよう

    お前たちは倫花と乱花を
    どうにかして――



   小春
    従えませんね



   ダイイトク
    なに?
    何と言った?



   小春
    従えないと言いました



   ヴァイオラ
    ち、ちょっと小春!
    なに言ってるのよ!



   ダイイトク
    冗談ならあとにしろ
    今は緊急事態なんだ



   小春
    冗談などではありません
    私は本気です

    だって、そうでしょう?
    倫花さんに負けるような
    四神に従う必要があるでしょうか



   ダイイトク
    小春、てめえ……



   小春
    私たちヴァルキリーの未来を
    守ってくださると言うから
    これまで先生方に従ってきたんです

    あなたたちでは、もうこの島の
    守護者として相応しくない……



   ダイイトク
    なんだと……?
    まさかお前まで裏切るつもりなのか?



   小春
    まさか

    そうですね
    では私が新たな神『キリン』となり
    この島を守ることにしましょうか

    ですから先生方は
    私に従えばいいのです



   ダイイトク
    …………



   小春
    なんてね
    本気にしました?



   ダイイトク
    ……小春よォ
    ずいぶんとふざけたことを
    抜かしてくれるじゃねぇか



   小春
    先生が本気にしなくても
    私は本気ですよ?



   ダイイトク
    ヌウッ……



   小春
    私はこれまでの先生方の決断と
    努力に、心から感謝しています

    ですが、私たちの未来が
    先生方の手に余るというのなら

    自分自身でどうにかするしかないでしょう?



   ダイイトク
    ……グルルルル



   ヴァイオラ
    ぷっ……あっははははははは!
    あなたらしいわ、小春

    小春の言う通りね
    誰も守ってくれないなら
    自分でやるしかないわ



   小春
    手伝ってくれますか?
    ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    いいわ、
    その話、乗った

    四神を従えるなんて
    最高に面白いじゃない



   ダイイトク
    ガキども!
    あとで後悔しても知らないぜ!

    来い、ゴウザンゼ!
    聞き分けの悪い生徒に
    お仕置きの時間だ!




  20-A-後

   小春
    ご指導、ありがとう
    ございました



   ダイイトク
    ウソだろう……?
    五期生のやつらはどうなってやがるんだ……

    オレたちは四神だ
    神なんだぜ……?



   小春
    気になさらないでください

    私のほうが強かった
    ただ、それだけなのですから



   ヴァイオラ
    わざわざトドメを刺さなくても
    いいでしょうに



   小春
    私は事実を述べただけですが



   ヴァイオラ
    自覚がないってんだから
    怖いわね、本当に



   理事長
    まったくだわ
    本当に恐ろしい子……



   ヴァイオラ
    あら、理事長
    どこに隠れてたんです?



   理事長
    こっちも色々と忙しくてね
    ふう……

    さて月影さん
    あなたが新しい神になるという
    お話ですが、本気なの?



   小春
    私の提案に何か問題が?



   理事長
    いいえ、確かにあなたの実力なら
    四神を従えるのに相応しいでしょう



   ダイイトク
    おいおい、本気か理事長?
    ガキに従えって言うのか?



   理事長
    ええ、彼女の実力は本物よ
    それは戦ったあなたたちが
    よくわかっているでしょう?



   ダイイトク
    ……確かに
    オレたちが負けたのは事実だ



   理事長
    この島では、勝者こそが全て

    というわけで月影さんには
    新たな神となって四神を従えてもらいます

    ただ、そのためには
    岬まで来てもらう必要があるわ



   小春
    岬ですか?



   理事長
    そこにVRエネルギーの
    集積施設があります

    その施設こそ、新たな神を
    生み出すための儀式の場なの



   小春
    わかりました
    岬に向かいます



   理事長
    そこに寝ている、九頭竜さんと
    満腹丸さんも連れて行ってね



   ヴァイオラ
    ちょっと、なんでこの二人まで
    連れて行く必要があるのよ?



   理事長
    もちろん、月影さん……
    いいえ、五体目の神である
    キリンの中に取り込むためです



   ヴァイオラ
    なるほど……



   理事長
    では、岬に向かってください
    私もすぐに行きます

    倫花さんや五期生たちも
    岬に集結しているようです

    月影さんには早速
    新たな神として仕事をしてもらいましょう



   小春
    仕事、ですか?



   理事長
    ええ、この島を守るという仕事をね



   (岬にて)

   倫花
    はぁっ、はぁっ……
    ここが目的の場所?



   乱花
    間違いないよ!



   倫花
    早くVRエネルギーを
    集めている装置を壊さないと!



   グンダリ
    待ちなさい



   倫花
    グンダリ先生!!



   グンダリ
    とうとう来てしまったのですね
    この場所まで……



   倫花
    私がここに辿り着けたのは
    みんなが力を貸してくれたからです!

    私、この島を――
    私たちの未来を解放しなきゃ



   グンダリ
    そんなことをさせると
    思っているのですか?

    この島を出た先に待つのは地獄
    何故、それがわからないのです

    研究材料として細胞の一遍まで
    切り刻まれ、試験管の中で培養
    されながら生きたいのですか?

    それとも兵器として改造され
    戦場で誰とも分からない相手を
    殺し続けたいのですか?

    あなたたちは、そんな未来を
    望むのですか?

    私たちと一つになって
    時を止めればそんな未来を
    避けることができるのです

    いつかはV-ウイルスの治療法が
    見つかるでしょう

    その時こそ、私たちは未来を
    勝ち取ったと言えるのです

    これが最後の忠告です
    私はあなたたちを
    傷つけたくはありません

    大人しく、私たちと一つになりなさい



   倫花
    私……
    色んな人の話を聞いていっぱい考えました

    みんなの幸せのために
    どうすることが正しいのか……



   グンダリ
    …………



   倫花
    もう、私の答えは
    決まっているんです

    いくら病気が治ったって
    それが百年後の世界じゃ
    意味なんてない!

    家族も友達も
    誰もいない世界に幸せなんてないんです

    こんなの、私たちの未来と
    先生たちの今を奪っているだけです!



   グンダリ
    私たちの今――?



   倫花
    これが一番いい方法だなんて
    先生たちも思っていないんでしょう?

    自分が正しかったかどうか
    迷いながら、苦しみながら
    永遠の時を生きるなんて……



   グンダリ
    越後屋から……
    聞いたのですね



   倫花
    そんなシステムは間違ってる!

    私は、自分の未来を先生たちに
    押しつけるつもりなんてないの

    だから私は――私たちは
    自分の望む未来をこの手に
    掴むために戦います!



   グンダリ
    どうしても
    わかってもらえないようですね



   倫花
    もう私は迷わないって
    決めたんです



   グンダリ
    ならば、私の……
    私たちの全力を以って
    止めて見せましょう!!



   倫花
    私たち……?



   ダイイトク
    どうやら間に合ったようだな



   ゴウザンゼ
    ここからは私たち
    四神全てがお相手させていただきますわ



   コンゴウ
    我らはこの島の守護神
    敗北は許されないのである



   グンダリ
    月影さんにヴァイオラさん
    あなたたちはそこで見ていなさい
    私たちの決意の程を



   乱花
    月影、ヴァイオラ……!



   ヴァイオラ
    なんだ、結局自分たちで
    戦うんじゃない



   小春
    見せてもらいましょう
    四神の守護神としての意地というものを



   倫花
    二人がここにいるってことは
    桃ちゃんと満腹丸ちゃんは!?



   ヴァイオラ
    一緒に連れてきたわ
    まだ眠ってるけどね



   倫花
    桃ちゃん、満腹丸ちゃん!



   乱花
    二人に何をした!?



   小春
    ご心配なく
    ただ、眠っているだけです

    彼女たちにも、この戦いの
    結末を見届ける権利があるはず



   グンダリ
    そのエネルギー収束装置は
    神を生み出すために作られた祭壇なのです

    新たなる神であるキリンを
    生み出すためにも、破壊される
    わけにはいきません



   倫花
    新たなる神……まさか



   小春
    ……倫花さん、あなたが未来を
    変えられなければ、今のシステムを
    引き継ぐものが必要です



   倫花
    小春ちゃん!
    そんなの、そんなのって!



   小春
    戦いなさい
    負けてもいいんです

    ヴァルキリーの未来も
    先生方の苦しみも、全部まとめて
    私が引き受けます

    新しい神、キリンとして――



   倫花
    ……負けるもんか
    私は絶対に負けない!



   乱花
    月影、そこで待ってなさいよ!
    先生たちを倒したら一発殴る!

    やるよ、お姉ちゃん
    私たちの未来のために

    見せてやろうよ
    神楽坂姉妹の――ううん
    ヴァルキリーの絆の強さを!



   グンダリ
    ヴァルキリーの未来を守るために
    ヴァルキリーと戦わなければならないとは
    なんという皮肉な運命

    天が私たちの決意を
    試しているのでしょうか……

    ですが、あの日以来流し続けた
    血の涙も、すでに枯れてしまった

    迷いも苦しみも許されないのです

    覚悟はいいですか?

    では、身を以って我々の決意を
    思い知りなさい




  20-B (※前無し)
   
   倫花
    グンダリ先生……
    私たちの、勝ちです



   グンダリ
    こんな……こんなはずは……
    まだです、まだ私は負けてはいない

    私には、この島を……
    みんなを守る義務があるのです……!



   越後屋
    もういい!
    もうやめよう、グンダリちゃん!



   グンダリ
    越後屋……?
    あなた、何をしに……



   越後屋
    グンダリちゃんを止めに来たに
    決まってるでしょ!

    もうこれ以上
    グンダリちゃんが苦しむ姿を
    見ていられないよ……



   グンダリ
    何を言っているのですか
    この島をヴァルキリーを
    守らなくてはなりません

    それは、あなたが一番よく
    知っているはずでしょう

    あなたが一番苦しんだのですから



   越後屋
    今でも責任を感じてるんでしょ?

    あれはグンダリちゃんのせいじゃないよ

    たまたま、えっちゃんの能力が
    AAAに目をつけられただけさ

    グンダリちゃんのせいじゃない

    ねえ
    島の外に出たって、兵器として
    売られない方法を考えよう

    そのためにAAAの目を欺いて
    この島の理事長になったんでしょ?



   倫花
    えっ?



   乱花
    グンダリ先生が理事長?
    ど、どういうこと?



   グンダリ
    …………



   越後屋
    話したでしょ

    えっちゃんとパートナーは
    AAAの目を欺くために
    顔も経歴も変えたって

    彼女は――グンダリちゃんは
    最初の四神として自らの身を捧げたんだ

    モニタの理事長ちゃんは
    ただの合成映像に過ぎない

    理事長なんていなかったんだよ



   倫花
    そうだったんだ
    だから理事長先生を探しても
    見つからなかったんだね



   グンダリ
    私はえっちゃんを守れなかった
    パートナーであるあなたを……

    あんな……死ぬより辛い思いを
    他のヴァルキリーにさせたくない
    させてはならないのです



   越後屋
    グンダリちゃんの
    気持ちは理解できるさ
    痛いほどね

    だけどさ、ふと思ったんだ

    えっちゃんたちがヴァルキリーに
    してきたことは、AAAと変わら
    ないんじゃないかって



   グンダリ
    なん……ですって?



   越後屋
    必要な措置だったのは分かってる
    他にやりようがなかったのも知ってる

    でもさ
    でもだよ

    彼女たちの、ヴァルキリーの
    気持ち
なんざお構いなしってのは
    正しかったのかな?

    もしかして、人には命よりも
    大事なことがあるかも知れない

    誰かに与えられる未来よりも
    自分の足で今を生きることを
    選ぶ子がいるかも知れない



   グンダリ
    …………



   越後屋
    ねえ、倫花ちゃんたちが
    こうして立ち上がったのが
    なによりの証拠じゃないのかな

    だからグンダリちゃん
    こんなことはもうやめよう



   グンダリ
    ……私は負けたのですね



   越後屋
    そうだよ
    私たちは負けたんだ

    未来へ続く永遠の絶望より
    今をどうにかしようっていう
    希望にさ




  20-C-前

   乱花

    これでビクニは解放
    めでたしめでたしってことなのかな?



   マナ
    まだ終わってはいないでしょう



   倫花
    マナちゃん!
    終わってないってどういうことなの?



   マナ
    あなたたち、この場所へ
    何をしに来たか忘れたんですか?



   乱花
    ……何しにきたんだっけ?



   マナ
    四神が動けない今の内に
    VRエネルギーの集積装置を
    破壊しなくては

    それでビクニを封じている
    結界が解かれるはずです



   倫花
    でも、グンダリ先生も負けを
    認めてくれたし、壊す必要は
    ないんじゃないかな



   マナ
    甘い甘い、甘いです
    スウィーツ過ぎます

    そして四神が復活したあとで
    やっぱり解放はなしにしますと
    言われたらどうするんですか

    もう一度戦って勝てる保証は
    どこにもないんです



   倫花
    そんなこと
    グンダリ先生は言わないよ!



   マナ
    本当に?
    100%言い切れます?



   桃
    私もそう信じているが
    それとこれとは話が別だ



   乱花
    話が別ってどういうこと?



   桃
    お前たちは四神と戦った
    通じ合う心もあっただろう

    倫花が信じるというのなら
    私もグンダリ先生を信じよう



   倫花
    ほら、やっぱり集積装置を
    壊す必要なんてないんだよ



   桃
    だが、ここへ辿り着くために
    戦った五期生たちはどうだ?

    彼女たちは、お前やグンダリ先生の
    気持ちのために戦ったんじゃない

    自分自身の未来のために
    立ち上がったんだ

    彼女たちが勝ち取ったはずの
    自由をお前はどう保証するんだ?
    ただ信じろと?



   倫花
    そ、それは~
    うぅ……



   マナ
    方法はひとつしかありません
    結界を作り出しているあの装置を
    破壊することです



   倫花
    しょうがないか……
    乱花ちゃん、装置を壊そう



   乱花
    オッケー!
    さくっとやっちゃおうか



   小春
    それは困るんです
    倫花さん



   乱花
    なんだよ、月影
    急にしゃしゃりでてきて



   小春
    結界を解くということを
    軽く考えすぎでしょう

    私たちが島の外に出られる
    ということは、外からも島へ
    入ることができるという意味です



   乱花
    まあ、そうなるね
    それがなに?



   小春
    ビクニの外での身の安全と
    ビクニそのものについて
    外敵からどう守るつもりです?



   倫花
    それはこれから
    みんなで考えようよ



   小春
    考えが甘すぎますよ
    それでは遅いんです

    結界を解いた瞬間
    AAAの軍隊がなだれ込んでくる
    かも知れません



   乱花
    そ、そんなの可能性の話でしょ



   小春
    島を出たところで
    私たちヴァルキリーの立場を
    容易に変えることもできないでしょう

    私たちが外の世界にとって
    警戒すべき脅威であるという事実はね



   倫花
    そんなこと――



   小春
    無いとは言い切れないでしょう

    万が一にも、いいえ億が一にも
    そんな可能性はあってはならないんです

    さりとて、私や倫花さんに
    破れるような四神では
    ビクニを守れるとは思えません

    遅かれ早かれ
    島の封印は破られていたでしょう



   倫花
    小春ちゃん、何が言いたいの……?



   小春
    これからは私がビクニを守ります
    新たな秩序の下に

    四神の皆さん!
    全ての力を私に渡してください!
    ヴァルキリーの未来のために!



   乱花
    月影、おまえ……



   コンゴウ
    確かに我らの願いはただ一つ
    ヴァルキリーを守ること……



   ダイイトク
    そのために力が必要ってんなら
    喜んで貸すぜ



   ゴウザンゼ
    私たちを倒したあなたになら
    その資格がありますわ



   グンダリ
    ビクニの命運は、もはや
    私たちの手から離れました……

    私の意志を継ぐというのなら
    月影さん、私たちの力の全てを渡しましょう

    しかし、それは永遠に続くかも知れぬ
    苦しみをも心に抱くことになります

    それでもあなたは戦うのですか?
    ヴァルキリーの未来のために



   小春
    承知の上です



   グンダリ
    いいでしょう……



   乱花
    ひゃっ!?
    な、なに?
    何が起きたの?



   小春
    これが……四神の力……
    おもしろい



   ヴァイオラ
    そろそろ出番かしら?
    前置きが長くていけないわ



   小春
    いいんですか?
    私が勝てば、あなたの時も
    止めなくてはなりません



   ヴァイオラ
    いつかウイルスの治療法が見つかった時
    小春がいてくれるならそれでいいわ

    その時まで、私と小春が
    最強のヴァルキリーだって
    ことになるんでしょう?



   小春
    ……ありがとう
    ヴァイオラさん

    力を持つ者が弱き者を守る
    それが節理です

    これからは私がこの島を封印し
    守っていきます

    いつかV-ウイルスの治療法が開発されて
    みんなが普通の女の子にもどれるまで――

    それまでは、私一人だけが
    特別なヴァルキリーであればいい



   倫花
    違う
    違うよ、小春ちゃん

    普通の女の子なんて
    この世界に一人もいない
    誰だって特別な女の子だよ



   乱花
    月影だけが特別だって?
    ふざけんな、思い上がるなよ

    私は、月影に比べれば
    全然大したことないのかも知れない

    でも、お姉ちゃんのためなら
    私は無敵になれる

    私にとって
    お姉ちゃんが特別だからだ!



   倫花
    みんな、同じはずだよ
    大事な人のためなら強くなれる

    だから小春ちゃんは間違ってる

    だから私は負けない



   小春
    ならば証明して見せなさい!
    あなたの強さを!
    あなたの思いを!



   倫花
    私のありったけを
    小春ちゃんに届けてみせる!




  20-C-後

   小春
    誰もが特別な女の子……ですか



   倫花
    そうだよ
    私にとって、小春ちゃんは
    大切で特別なお友達だもの



   小春
    四神の力を借りて
    なお届かない想いの強さ

    しかと受け取りました

    私の負けです



   乱花
    や、やった、やったよ、お姉ちゃん!

    私たち、勝てたんだ!



   桃
    お前たちの戦いを
    見ていて胸が高鳴った



   マナ
    感動しました!
    私たちヴァルキリーは
    ああも美しく戦えるんですね



   満腹丸ちゃん
    やったぁ!
    大勝利なのだ!
    宴会なのだ!



   倫花
    みんなが力を
    貸してくれたおかげだよ

    みんなと心が一つになって
    体の奥底から力が溢れてくるのが
    感じられたんだ



   乱花
    うん、私も感じた



   倫花
    本当にすごくて
    さいっこうに気持ちよかった!



   乱花
    みて、 お姉ちゃん……
    これ……



   マナ
    桜が満開に……



   倫花
    キレイだね。
    まるで私たちの未来を祝福してくれてるみたい



   マナ
    でもどうして突然?
    そんな季節じゃないでしょうに



   桃
    倫花と月影の戦いで生じた
    膨大なまでのVRエネルギーの余波の影響か



   満腹丸ちゃん
    理由なんてどうでもいいのだ!
    みんなでお花見しよう!



   マナ
    おっと、その前に
    VRエネルギーの集積装置を
    破壊しておきましょう



   小春
    手伝いましょうか?



   マナ
    あら、泣いてすがるかと思いきや
    意外とあきらめるのが早いんですね



   ヴァイオラ
    はん、あんたじゃあるまいし



   マナ
    何ですか?



   小春
    二人ともやめてください

    自分でも意外なんです
    もっと悔しがるべきだとも思う

    でも、この桜を眺めていたら
    どうでもよくなっちゃいました



   理事長
    あなたたちの未来よ
    あなたたちの好きになさい



   倫花
    理事長先生!
    大丈夫なんですか?



   理事長
    体の方は、さすがにムリね
    他の先生たちもしばらくは
    目を覚まさないと思うわ



   乱花
    月影に力を全部
    あげちゃったんだもんね
    でも命に別条はないんでしょ?



   理事長
    ええ、それは大丈夫
    合力合神システムが稼働している
    限り、四神は不滅だから



   倫花
    そっか、それならよかった



   理事長
    これからどうするの?

    いずれ、ビクニが解放されたことは
    AAAにも知られるわ――いえ
    もう気付いているかも知れない

    それだけが心配だわ



   小春
    では対策を取りましょう



   理事長
    対策?
    どうやって?



   小春
    他の人工島のヴァルキリーたちと
    連携を取ります



   理事長
    マーメイドのこと?
    何の話をしているの?



   小春
    マーメイドだけでなく、他の人工島の
    ヴァルキリーたちにも動きがあります



   倫花
    それって……



   小春
    この動きは広がっていくでしょう
    いえ、拡げていかなくちゃならない

    私たちヴァルキリーの手で



   理事
    そんな話……知らなかった



   小春
    黙っていてごめんなさい
    でも彼女たちのためにも
    成功するまで話せなかったんです



   倫花
    私たちの力で世界を変えることが
    できるんだね



   小春
    そうですね
    図らずも倫花さん、あなたが言った
    通りになりそうです

    もちろん、この動きを受けて
    AAAがどう出るかはまだわかりませんが



   乱花
    問題ないでしょ

    ビクニには千人の特別な
    ヴァルキリーがいるんだから

    売られたケンカは
    片っ端から買ってやるよ



   倫花
    そうだよ
    私たちの未来は誰のものでもない
    ってことを世界に知らせよう



   乱花
    うん、みんながいれば
    なんだってできるよ



   桃
    ああ、そうだな



   マナ
    これから忙しくなりますね



   小春
    退屈はせずに済みそうです



   ヴァイオラ
    やるならとことん
    やってやろうじゃないの



   満腹丸ちゃん
    みんなで一緒に頑張るのだ
    それで、美味しいご飯をお腹いっぱい食べるのだ!



   倫花
    ここからが、新しい始まりだね



   乱花
    ヴァルキリーの楽園を作ろうよ
    私たちの力で、このビクニに!



   倫花
    もっと強くなろう
    守りたい大切な人のために

    戦い続けよう
    私たちの幸せを手に入れるその日まで――





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