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 Drive17. 決別、それぞれの岐路


  17-A-前(カオス)

   (拠点にて)


   乱花
    …………



   桃
    …………



   ヴァイオラ
    …………



   マナ
    …………



   小春
    …………



   満腹丸ちゃん
    あの、あのあの
    ごはん食べませんか?

    ……ごめんなさい
    なんでもないのだ……



   倫花
    ……みんな
    なんだかおとなしいね
    どうしちゃったのかな?

    ねぇ、乱花ちゃん?



   乱花
    …………



   倫花
    桃ちゃん
    どこか体が痛いの?



   桃
    ……いや



   倫花
    満腹丸ちゃんは――



   満腹丸ちゃん
    ……お腹空いたのだ……



   倫花
    満腹丸ちゃんはいつも通りだね……
    ねぇ、ヴァイオラちゃんもそう思わない?



   ヴァイオラ
    うるさいわね
    考えごとくらい静かにさせなさいよ

    倫花だって、今がどういう状況なのか
    わかってるでしょ!



   倫花
    え……状況って?



   マナ
    しらじらしいですよ、倫花さん
    この状況を作ったのは、他の誰でもない
    あなた自身じゃないですか



   倫花
    私が……?



   小春
    それは言い過ぎです、マナさん

    越後屋さんが語ったこの島の実情が
    真実だとすれば、遅かれ早かれ
    こうなるのは目に見えていました

    そもそもVR-ウイルスが発症したのは
    倫花さんのせいではないのですから



   マナ
    でも……!



   倫花
    あの~……さっきから、この状況とか
    こうなるのは目に見えていたとか……
    一体何のことかな



   乱花
    お、お姉ちゃん……?



   マナ
    倫花さん、あなた……
    まさか、本当にわかってないんですか!?



   小春
    ……倫花さんらしいです



   マナ
    みんなは今、必死に考えているんです
    今後の身の振り方を



   倫花
    身の振り方?



   小春
    四神を倒してこの島を出るか、
    それとも四神とともにこの島に留まるか……



   倫花
    そんなのもちろん――



   マナ
    もちろん私は残ります



   倫花
    マナちゃん……?



   マナ
    いずれ月影さんを追いぬいて
    五期生の筆頭になるつもりです



   小春
    …………



   マナ
    だいたい外に出たって行く場所なんて
    あるんですか?

    それに私たちはVR-ウイルス感染者
    という、この世界でも希有な選ばれた存在で

    私は、その中の
    さらに特別な存在になります

    倫花さんでも小春さんでもない……
    この私、猪名川マナが、五期生を
    導いてみせます

    リーダーとして五体目の神として……!



   倫花
    マナちゃん……



   桃
    ふん、すでに神気取りか
    お前程度がなれるものじゃない



   マナ
    私ならなれます
    あなたには無理でしょうけどね



   桃
    私はそんなものになるつもりはない
    なりたくもないしな



   マナ
    あら、だったらあなたも
    この島から出ていくのかしら?
    でもどこへ?



   桃
    それは……



   マナ
    倫花さんは、当然
    出て行くつもりですよね?

    なにしろグンダリ先生に対して
    あれだけの啖呵を切ったんですから



   倫花
    私は……
    私はただ、普通に暮らしたいだけだよ

    私は、いつか病気を治して
    また元の生活に戻れるって……
    そう信じてこの島にきたの

    乱花ちゃんと二人で一緒に
    また家に帰ろうって



   乱花
    お姉ちゃん……



   倫花
    だから私は……



   マナ
    島から出ていく、と?



   倫花
    ……うん!



   マナ
    四神の先生方を倒して島から出るなんて
    本当にそんなことが出来ると
    思ってるんですか?



   倫花
    そうしないと島から出られないって
    言うなら、やるしかないよ



   ヴァイオラ
    お気楽なものね



   倫花
    ヴァイオラちゃん……



   ヴァイオラ
    島を出て、また元の生活に戻れると
    本当に思ってるの?



   倫花
    もちろん思ってるよ



   ヴァイオラ
    はっ……わかってないわ
    まったくわかってないわね!

    ここを出た私たちに待っているのは
    生体兵器としての運命だけよ



   ヴァイオラ
    この島にいるからこそ
    私たちは平穏無事でいられるの

    島を一歩でも出れば
    私たちを待っているのは
    兵器としての過酷な運命

    平和とは無縁の戦いの日々
    訓練なんて緩い演習とは違う
    本当に血で血を洗う、そんな毎日

    もう二度と元の生活には戻れない
    たとえ島を出られたとしても……ね



   乱花
    で、でもグンダリ先生の話しでは
    この島を出ることができた人は
    誰もいないって……

    それってつまり、ヴァイオラの
    言ってることが、本当かどうか
    わからないってことなんじゃ……?



   越後屋
    本当だよ
    ヴァイオラちゃんの言ってることは
    残念ながらね



   倫花
    あっ、えっちゃん



   越後屋
    各国が平和の為に組織した世界政府――
    その治安維持機関として作られたのが
    AAAの始りなんだ

    AAAは平和の為なら
    なんだってやる

    世界の均衡を守るためだったら
    戦争だって起こす



   倫花
    平和のために戦争を起こす?
    そんなのっておかしいよ



   越後屋
    だけど、それが真実だよ
    この世界はどうしようもなく歪んでる

    放っておいても世界中のどこかで
    毎日戦争が起きて人が死んでいく

    どうせなくならない戦争なら
    それをコントロールしようってのが
    AAAのやり方なのさ



   桃
    …………



   越後屋
    話が逸れたね
    元に戻そう

    AAAにとってヴァルキリーは
    世界の安定を脅かす存在なんだ

    同時に、世界を安定させるための
    都合のいい道具でもあるわけだね

    この島に限らず、AAAが
    望んでいるのは、ヴァルキリーたちを
    兵器として完成させること

    島を出たヴァルキリーたちは、以降は
    AAAの管理下におかれ、兵器として
    それを望む国あるいは組織に売却される

    待っているのはヴァイオラちゃんが
    言ったとおり、血で血を洗う
    戦いの日々ってわけさ

    まったく……
    正気の沙汰とは思えないね
    けど哀しいかな、それが現実だ

    でも、その現実から逃れる方法はあるよ
    それが、この島に留まり、
    四神ちゃんたちに守られて暮らすことだ

    この島は……唯一このビクニだけは
    過去に誰一人として島の外へは
    出していない

    それは倫花ちゃんたちを
    拘束するためじゃない
    守るためだ

    どっちも同じだっていうんでしょ?
    島の真実を知った倫花ちゃんの気持ちは
    わからなくもない

    でもね……今はただ
    理事長ちゃんや四神ちゃんたちを
    信用してあげて欲しいんだよ



   倫花
    えっちゃん……
    私もえっちゃんの言いたいことは
    わかるよ……わかってるつもり

    でも何もせずにあきらめたくない

    だって、私は病気を治すつもりで
    ここに来たんだもん!

    みんなは違うの?
    みんなもこの病気を治して、元の生活に
    戻るためにこの島に来たんじゃないの?

    ヴァイオラちゃん!
    ヴァイオラちゃんはどうなの?
    また家に帰りたいって思わないの?



   ヴァイオラ
    まったく思わないわね



   倫花
    どうして?



   ヴァイオラ
    外の世界なんて
    別にいいものでもなんでもないわ

    戦争、暴力、貧困、差別、搾取……
    目を背けたくなる様な汚いものばかり
    思い出しただけで反吐が出るわ

    あなたたちみたいに平和を貪って
    生きてきた人間には
    わからないでしょうけどね

    そういう連中の足元こそ
    おびたたしい数の死体で
    埋め尽くされているわ

    私は今さらあそこには
    戻りたくない

    だって、この島での生活を
    知ってしまったから……!

    私はもう御免だわ
    あんな扱いをされるくらいなら
    この島に残った方がずっとマシよ

    桃、あなたならわかるでしょ?



   桃
    …………



   倫花
    桃ちゃんも島を出たいって思わないの?
    このままでいいって思ってるの?



   桃
    ……私は、倫花の希望を
    叶えてやりたいと思っている

    お前が望むなら四神とも戦おう

    でも、私自身がどうかと問われれば
    どう答えていいかわからない

    うっすら残る記憶は
    全て血に塗られている

    倫花が元の生活に戻りたいと
    思うのは構わない

    だが、お前が暮らしていた元の世界が
    以前の通り、お前を受け入れてくれるとは
    限らないだろう



   倫花
    どういうこと?



   桃
    ……お前が不幸になると
    分かっていて、手を貸すことは
    出来ないということだ



   倫花
    桃ちゃん……



   桃
    すまない倫花



   マナ
    どうやらそれぞれの立場が
    ハッキリしてきたみたいですね

    私とヴァイオラさん、それに桃さんは
    島に残る派

    島から出ようと主張しているのは
    今のところ倫花さんだけですか

    他の方々はどうですか?



   倫花
    満腹丸ちゃんはどうなの?
    この島を出たいとは思わない?



   満腹丸ちゃん
    ここにいれば、お腹いっぱい
    食べられるのだ
    だったら出て行く必要はないのだ



   倫花
    ……それだけの理由?



   マナ
    ふふっ、彼女には聞くまでも
    なかったわね



   満腹丸
    ねぇ、えっちゃん



   越後屋
    なんだい?



   満腹丸ちゃん
    どこかの国に売られたら
    その国の美味しいものを食べられる?



   越後屋
    えっと……ま、まぁ……
    そういうことになるかもしれないけど……



   満腹丸ちゃん
    だったら島から出て行ってものいいのだ



   マナ
    いくらなんでも
    適当すぎるんじゃないんですか?



   満腹丸ちゃん
    まんぷくまるちゃんは
    美味しいものの味方なのだ



   マナ
    それって何も考えてないだけじゃないですか



   越後屋
    満腹丸ちゃんらしいな



   倫花
    小春ちゃんはどう考えてるの?



   小春
    そう……ですね
    まず言えることは、島を出るメリットは
    ほとんどないということです

    越後屋さんの話が真実なら
    私たちは四神とこの島に守られていると
    言えます

    自らを庇護してくれる存在を倒し、
    私たちにとって唯一の安全地帯である
    この島を出て戦いの日々に身を投じる

    それは例えるなら、土砂降りの雨の中
    自ら傘を捨てて
    濡れにいくようなもの

    愚の骨頂と言わざるを得ません



   倫花
    あうぅ……



   小春
    それと、四神を倒すということは
    島に残る他の人間を
    危険に晒すということでもあります

    倫花さんは
    そのことを理解していますか?



   倫花
    そ、それは……



   小春
    四神がいるからこそAAAの干渉を
    防ぐことができているとするなら
    四神を倒すことがどういう事態を招くか

    容易に想像がつくはずです

    あなたは自分の欲求を満たすために
    他の人間を犠牲にしようと
    しているんです

    その自覚と覚悟がおありですか?



   倫花
    …………



   マナ
    つまり、月影さんも
    居残り派ということでいいかしら?



   小春
    ……今のところは



   マナ
    なんですか、それ?
    もったいぶった言い方ですね



   小春
    今はそれ以上言うことはありません
    お気になさらず



   マナ
    ……まぁ、私としては月影さんが
    残ってくれた方がうれしいです

    あなたを超えるという目標がなくなったら
    張り合いがありませんから



   小春
    …………



   マナ
    これで居残り派は四人
    中立……というか何も考えていない人が一人

    残るは乱花さんだけど……
    さすがに乱花さんは
    お姉様のお味方かしら?



   倫花
    乱花ちゃん……?



   乱花
    ……私、は……

    (独白開始)

    私たちは売られたんだ……

    私とお姉ちゃんは
    両親に売られた……
    少なくとも私はそう思っている

    元の生活に戻るということは
    あの家に帰ること……
    私たちを売った人たちが居るあの家に

    今さらあの家には戻れない
    戻るつもりもない
    戻りたくなんてない……!

    誰が戻ってなんかやるもんか

    (独白終了)

     ※ 島に来るにあたって、金銭の受け渡しはあったと以前に倫花が語っていた




   倫花
    ねぇ、乱花ちゃん
    私と一緒に四神と戦おう?
    戦って、二人して島を出ようよ

    おうちに……帰ろ?

    乱花ちゃんだって
    お母さんたちに会いたいでしょ?



   乱花
    お姉ちゃん……



   倫花
    私と一緒に戦ってくれるよね?



   乱花
    ……できないよお姉ちゃん



   倫花
    え?



   乱花
    私は……私は、お姉ちゃんを
    危険な目に遭わせたくない

    ヴァイオラたちが言うように
    この島を出たら、私たちは
    どういう扱いを受けるかわからない

    兵器として知らない国に売られて
    知らない人たちと無理やり戦わされる
    かもしれない

    ひどいケガをするかもしれない
    ううん、もしかしたら
    最悪の事態だって……

    私はお姉ちゃんをそんな目に遭わせたくない
    それならここに残った方がいい

    残ろう、お姉ちゃん
    私たちもずっとこの島で暮らそうよ
    それでいいじゃん、ね?



   倫花
    乱花ちゃん……



   乱花
    元の生活になんて戻らなくていい
    友達に会えなくても構わない
    お姉ちゃんと一緒ならそれでいいの!

    私は……私とお姉ちゃんを売った
    あの人たちのところになんか
    帰りたくない!

    あんなヤツらになんか
    二度と会いたくない!
    あんなヤツら、どうでもいい!



   倫花
    乱花ちゃん!
    それ以上は言わないで……
    お願い

    私の意見に反対するのはいいよ
    でも……でもね

    お母さんたちのことを
    あんなヤツらなんて言っちゃダメ



   乱花
    何よ……事実じゃない!
    私たちは売られたんだよ!
    あいつらに!



   倫花
    乱花ちゃん!



   越後屋
    はいはい、やめやめ!
    姉妹ゲンカならよそでやってよね

    ……と言いたいところだけど
    これじゃいくら話し合ったところで
    平行線だねえ

    だったら……
    戦って解決するしかないよね?



   倫花
    え……戦う?



   乱花
    お姉ちゃんと……?



   越後屋
    キミたちはヴァルキリーだ
    戦って、絆を深め、理解し合う
    これまでもそうやってきただろう?



   倫花
    でも……



   乱花
    私は戦えるよ
    お姉ちゃんのために
    お姉ちゃんをぶっ飛ばす



   倫花
    乱花ちゃん……



   乱花
    お姉ちゃんを守りたいから……
    だから、私はお姉ちゃんと戦う!

    戦ってわからせてあげる!
    お姉ちゃんの力では
    四神には勝てないことを!



   越後屋
    乱花ちゃんのほうはやる気満々だね
    倫花ちゃんは?



   倫花
    ……わかったよ乱花ちゃん
    乱花ちゃんがそこまで言うなら
    私も……乱花ちゃんと戦う!



   越後屋
    お互い、どんな結果になろうと
    恨みっこなしだよ、いいね?



   倫花
    私が勝ったら、お母さんたちのことも
    含めて、お尻ペンペンだよ!
    乱花ちゃん!



   乱花
    私が勝ったら、島を出ることは
    諦めてもらうから!
    お姉ちゃん!

    協力して、ヴァイオラ!
    お姉ちゃんの目を覚まさせるために!



   ヴァイオラ
    なんで私が、くだらない姉妹ゲンカに
    付き合わなくちゃならないわけ?

    と言おうと思ったけど
    いいわ

    倫花の甘っちょろい考えを
    叩き直す手伝いをしてあげる



   越後屋
    乱花ちゃんはヴァイオラちゃんと
    組むんだね

    倫花ちゃんは誰と組む?



   桃
    先に言っておくが
    今回私は降りる



   倫花
    ど、どうして?



   桃
    お前の幸せのために
    四神と戦うならともかく
    私が口を出すことじゃない

    それにどちらかと言えば
    私は乱花の意見に賛成なんだ



   倫花
    桃ちゃん……



   ヴァイオラ
    ということは
    頼れるのは一人だけね



   乱花
    …………



   倫花
    お願い、満腹丸ちゃん!
    私と組んで乱花ちゃんたちと戦って!



   満腹丸ちゃん
    面倒くさいことは嫌なのだ



   倫花
    満腹丸ちゃん……



   ヴァイオラ
    その一人もおよそ協力的とはいえない
    みたいだけど?
    これって戦うまでもないかもよ?



   乱花
    やらなくていいなら
    私だってやりたくないよ
    お姉ちゃんを殴るなんて……



   倫花
    満腹丸ちゃん
    この島を出たら、みんなで
    美味しいものを食べにいこう

    そのために乱花ちゃんたちと
    戦おうよ



   満腹丸ちゃん
    みんなで?
    宴会なのだ?



   倫花
    そう、宴会!
    すてきだね



   満腹丸ちゃん
    まんぷくまるちゃんは
    みんなとわいわい騒ぎながら
    ごはんを食べるのが好きなのだ

    そうすると、おいしいごはんが
    もっともーっとおいしくなるから

    でも、最近のみんなは砂を噛んでる
    みたいな顔でごはんを食べています

    ごはんは楽しくおいしく食べるべき!

    それをみんなに伝えたいのだ



   倫花
    うん、一緒に戦おう



   (一般区画にて)

   ヴァイオラ
    結局やるみたいね
    気晴らしくらいにはなるかしら



   乱花
    これまで、お姉ちゃんと二人で
    いろんなピンチを乗り切ってきた

    お姉ちゃんと一緒だと
    何とかなるんじゃないかって
    そんな気になるんだよね

    でも、今度ばかりはダメだ

    戦ってわからせるしかないんだ




  17-A-後(カオス)

   乱花
    これでわかった?
    お姉ちゃん?

    私にも勝てないのに
    四神に勝てると思ってるの?



   倫花
    乱花ちゃん……やっぱり強いね
    今の乱花ちゃんは
    私なんかよりずっと強いよ……

    その乱花ちゃんが言うんだから
    きっと……

    ううん、間違いなく私は
    四神の先生たちに
    勝てないのかもしれない……




   乱花
    じゃあ、島を出ることを
    あきらめてくれるよね?

    この島で、みんなで一緒に暮らすって
    約束してくれるね?



   倫花
    ……ごめん、乱花ちゃん
    それだけはあきらめきれない

    負けたって構わない
    勝つまで挑むだけのことだよ

    私は先生たちと戦って勝って
    ビクニを出るの

    島を出て、もう一度
    会いたい人たちに会う
    乱花ちゃんと一緒にね

    私は、絶対に諦めない!



   乱花
    お姉ちゃん!



   倫花
    聞いて、乱花ちゃん!

    四神の力で私たちの時間を止めて
    治療法が見つかるまで待つっていう
    ビクニの考え方は正しいと思う

    そうすることで、私たちは
    いろいろなことから守られる

    ううん、こうしている今も
    私たちは、理事長先生や先生たち
    この島全部に守られている

    バカな私だってそれくらいは
    わかってるよ

    でもね……治療法が
    いつ見つかるかなんて
    誰にもわからないんだよ?

    何年後、何十年後、何百年後
    かもしれない

    私たちはそれでもいいよ
    でも……他の人たちは?

    治療法が見つかった時には
    もう誰もいなくなっているかもしれない

    私たちの大好きな人たちが
    みんないなくなってるんだよ?
    乱花ちゃんはそれでもいいの?



   乱花
    …………



   倫花
    会いたくても
    会えないんだよ?

    今会わなきゃ
    もう二度と会えないんだよ!?
    お父さんやお母さんにも!

    乱花ちゃんは
    本当にそれでもいいのっ!?



   乱花
    …………

    (独白開始)

    お姉ちゃんの言いたいことはわかる
    とってもよくわかる

    でも、それでも
    私はあの人たちを許すことはできないんだ

    (独白終了)



   倫花
    乱花ちゃん……



   乱花
    私は、お姉ちゃんさえ無事なら
    それでいい!
    他の人のことなんてどうでも……!



   倫花
    乱花ちゃんのわからず屋!



   乱花
    わからず屋はお姉ちゃんだ!
    私にも勝てないくせに
    四神に勝てるわけなんかないっ!



   乱花
    どうしても四神と戦いたかったら
    勝手にすればいい!
    もう……もう私は知らないっ!



   倫花
    乱花ちゃん、待って!
    乱花ちゃん!




  17-B-前(カオス)

   ヴァイオラ
    勝ったのに気分が悪いわ
    茶番だって分かってたはずなのに



   倫花
    茶番?



   ヴァイオラ
    だってそうじゃない?

    倫花は島を出ることを諦めないし
    勝ったはずの乱花が、ヘソを曲げて
    どこかに行っちゃうなんて

    私は何のために協力したんだか……
    やってられないわ



   マナ
    あら、もしかしてヴァイオラさん
    倫花さんの身の安全を考えて
    乱花さんに協力したんですか?



   倫花
    え……



   ヴァイオラ
    ち、違うわよっ!
    私はただ、倫花の甘っちょろい考えを
    へし折ってやりたかっただけよ!

    あんたなんかが四神に
    勝てるわけないって
    現実を見せてやりたかっただけ!



   マナ
    じゃあ
    それでいいじゃないですか



   ヴァイオラ
    う、うるさいわねっ!
    私、もういくわっ!

    じゃあね、倫花!
    後はどうぞご自由に!



   マナ
    良かったですね、倫花さん



   倫花
    え……良かったって?



   マナ
    これで、あなたが先生方と戦うことを
    止める人はもう誰もいません



   倫花
    …………



   マナ
    存分に戦えばいいじゃないですか
    勝てる見込みのない戦いをね
    ふふっ



   倫花
    勝てる見込みのない戦い……か



   小春
    そうでしょうか?



   倫花
    小春ちゃん……



   小春
    私は倫花さんの方が
    乱花さんより劣っているとは思いません

    先ほどの戦いも
    どこか力を出し切れていないように
    見えましたが?



   倫花
    乱花ちゃんを相手に
    本当に本気で戦えるわけないよ
    大切な妹なんだもの



   小春
    その甘さには承服できかねますが……
    いずれにせよ、倫花さんが先生方に勝つ
    確率は、けして低くはないと思います



   倫花
    本当?
    じゃあ、小春ちゃん、私と――



   小春
    それはお断りします



   倫花
    あうう……



   小春
    先ほども申し上げたように
    私は今のところ、島を出るつもりは
    ありませんので



   倫花
    でも、それって、もし小春ちゃんが
    その気になったら協力してくれるって
    いうことだよね?



   小春
    そのもしは、あまり期待できない
    もしですけれど

    いずれにせよ、私は今後の倫花さんの
    行動に関与するつもりはありません

    先生方と戦うおつもりなら
    せいぜい悔いの無いよう
    全力でぶつかることをおすすめします

    先ほどのような甘い考えでは
    グンダリ先生はもちろん、本気になった
    コンゴウ先生にも勝てないでしょうから



   倫花
    全力で……か
    うん、わかった
    ありがとう、小春ちゃん!



   小春
    では、私はこれで



   倫花
    小春ちゃんのおかげで
    なんだかちょっと自信が湧いてきた……
    よーし、やるぞー!



   越後屋
    やる気があるのはいいんだけどさ
    パートナーは満腹丸ちゃんでいくの?



   倫花
    え?



   越後屋
    倫花ちゃんが一番力を出せる
    パートナーは、何だかんだいって
    やっぱり乱花ちゃんじゃない?



   倫花
    でも、乱花ちゃんは絶対に協力して
    くれそうにないし、それに……



   桃
    すまない、倫花
    私は……



   倫花
    ううん、いいんだよ、桃ちゃん
    桃ちゃんの気持ちはわかってるから

    桃ちゃんやヴァイオラちゃんは
    私の知らない世界で、嫌なものを
    たくさん見てきたんだもんね

    だから、二人が島の外に
    出たくないっていう気持ちは
    わかるよ……わかってるつもり



   満腹丸ちゃん
    二人はまんぷくまるちゃんの
    知らない世界で美味しいものを
    たくさん食べてきたのだ?



   桃
    何の話だ



   満腹丸ちゃん
    うらやましいのだ!
    いいなー、外の世界かー
    うっとり&じゅるり、なのだ



   倫花
    ……ぷっ、あははっ!
    満腹丸ちゃんってば
    あははは



   越後屋
    満腹丸ちゃんにかかったら
    全部食べ物の話になっちゃうねぇ



   桃
    相変わらず暢気だな、おまえは



   倫花
    でも、今は満腹丸ちゃんのその
    暢気さが頼もしいよ

    満腹丸ちゃん、あらためてお願い!
    四神の先生たちを倒すために
    私に協力して!

    そして……この島を出て
    美味しいものを食べにいこう!



   満腹丸ちゃん
    おー!

   (訓練場に移動)


    たのもー! なのだ!



   倫花
    出てきてください、コンゴウ先生!



   桃
    …………



   コンゴウ
    ……おまえたちか
    我に何の用だ?



   満腹丸ちゃん
    美味しいものを食べに行くのだ!



   コンゴウ
    むう……?



   桃
    話がややこしくなる
    おまえは黙ってろ



   満腹丸ちゃん
    はーい、なのだ



   コンゴウ
    どういうことだ、倫花?



   倫花
    私、コンゴウ先生に
    勝負を挑みにきました



   コンゴウ
    我と勝負?
    ならば定期戦まで待つがいい



   倫花
    そんな時間はありません
    今すぐ勝負してほしいんです



   コンゴウ
    慌てずともよかろう
    時間ならたっぷりとある



   倫花
    それは、先生たちが
    私たちの時間を止めるからですか?



   コンゴウ
    む……



   倫花
    先生たちの体の中で
    永遠の時を過ごさせる……
    だから、そんなふうに言えるんですか?



   コンゴウ
    ……グンダリから聞いたか
    いや……越後屋、おまえか?



   越後屋
    ねえ、コンゴウちゃん
    えっちゃんたちの決断が
    間違ってたとは思わないよ

    でもね
    選択肢くらいはあっても
    いいんじゃないかって



   コンゴウ
    お前は忘れたのか?
    我らが歩んできた道を



   越後屋
    忘れてなんてない
    一生忘れない

    でもね、みんな心のどこかに
    ひっかかっててる
    
    違う?
    コンゴウちゃん



   コンゴウ
    バカな!
    我らは正しい
    他に術はないのだ



   倫花
    じゃあどうして
    教えてくれなかったんですか?



   コンゴウ
    それは……おまえたちを守るためには
    どうしても語れぬこともあるのだ

    騙そうとしたのではない
    我らの行動はすべてヴァルキリーを守るため

    これだけは誓おう
    我ら四神は、おまえたちを守るために
    存在しているのだ



   倫花
    私たちを守るため……そのために
    私たちの時間を奪うというんですか?



   コンゴウ
    奪うのではない
    その時が来るのを待っているのだ

    おまえたちの治療法が確立し
    おまえたちが自由に生きられる
    その時が来るのをな



   倫花
    私は……私は、今っ!
    今を自由に生きたいんですっ!



   コンゴウ
    愚かな……
    おまえたちはこの島を一歩でも出れば――



   倫花
    AAAの管理下におかれ
    兵器として売買されることになる……
    ですか?



   コンゴウ
    それを知りながら、それでも
    自由に生きたいと?
    いや自由に生きられると?



   倫花
    私は兵器になんかならない!
    私は誰にも利用されたりなんかしない!



   コンゴウ
    おまえたちの意志はそうであっても
    人間たちがそれを許さぬのだ!

    だからこそ、そこにいる桃や
    ヴァイオラのように辛い目に
    遭う者が生まれる!

    なぜそれが理解できぬ



   倫花
    わかってないのは先生たちの方!



   コンゴウ
    ぬ……



   倫花
    私たちを……
    ヴァルキリーを子供扱いしないで!

    たしかに病気は治したいよ……
    そのために先生たちが守ってくれるのも
    わかる……

    でも……私たちは、今も生きてる!
    こうして、今の時間を生きているの!

    時間を止めちゃったら
    死んじゃってるのも同じじゃない!

    私たちは、そんな人生を送るために
    生まれてきたんじゃない!

    自分の生き方は自分で決める!
    自分の未来は、自分の力で
    手に入れたいのっ!



   桃
    倫花……



   満腹丸ちゃん
    りんちゃん……



   越後屋
    そーゆーことでさ
    コンゴウちゃん一つ頼むよ

    倫花ちゃんの思いを
    受け止めてあげて欲しいんだよね
    ヴァルキリードライヴでさ


   
   コンゴウ
    どうあっても退けぬのか?



   倫花
    はい!



   コンゴウ
    我と戦い、四神と戦い
    この島を解放するというのか?



   倫花
    もう決めたの……そうするって!



   コンゴウ
    ……よかろう
    その愚かな考えを、我が正してくれる
    この拳でもって!

    我は四神が一柱、コンゴウ!
    かかってくるがいい!
    神楽坂倫花!



   倫花
    いくよ、コンゴウ先生!
    満腹丸ちゃん、お願い!



   満腹丸ちゃん
    待ってましたなのだ!




  17-B-後(カオス)

   倫花
    私……勝った、の……?
    本当に?

    私が、コンゴウ先生に……?



   コンゴウ
    バ……バカな……
    我が……負けるのか?

    我が間違っていたのか……?



   満腹丸ちゃん
    やったのだー!
    これで美味しいものを食べに
    行けるのだ!



   桃
    気が早すぎだ
    だが……



   満腹丸ちゃん
    みんなで島を出られる様になったら
    でっかい先生も一緒に宴会するのだ!



   コンゴウ
    我も……一緒に、か?



   倫花
    先生たちに命を預けて
    自分だけ安穏と眠っているなんて
    私には耐えられません

    ビクニを、ヴァルキリーを脅かす
    敵がいるのなら、一緒に戦いたい



   コンゴウ
    なんと……



   倫花
    先生たちの苦しみや痛みを
    私たちにもわけて欲しいんです



   満腹丸ちゃん
    でもって、みんなで宴会なのだ!



   倫花
    それが一緒の時を生きるって
    ことだと思うんです



   コンゴウ
    我らのことまで考えて
    勝負を挑んだというのか

    勝てぬワケだ
    ガハハハハハハ!!



   越後屋
    うんうん
    一歩前進てやつだねぇ



   (エリート区画にて)

   小春
    ここにいたんですか
    ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    別にすることもないしね
    何か用?



   小春
    倫花さんがコンゴウ先生に
    勝ったそうです



   ヴァイオラ
    ホント!?

    じゃなかった
    何でそんなこというの?
    知りたくもないわ



   小春
    余計なことを言ったのなら
    謝ります



   ヴァイオラ
    あの子がどうなろうと
    私の知ったことじゃないわ

    知ったことじゃないけど
    そう、コンゴウ先生に勝ったの
    へえ……




   小春
    少し……
    付き合ってもらえませんか?



   ヴァイオラ
    いいけど、どこへ行くの?



   小春
    ええ……
    グンダリ先生のところまで



   ヴァイオラ
    あなた、まさか……
    グンダリ先生に挑戦する気じゃ



   小春
    私は確かめなければなりません
    今、自分がどうするべきかを
    自分がどうしたいかを



   ヴァイオラ
    もちろん付き合わせてもらうわ
    私はあなたのパートナーですもの



   小春
    ありがとう
    ヴァイオラさんなら、そう言ってくれると
    思ってました

    では、まいりましょう





 Drive18. 今を生きるために


  18-A-前(カオス)

   桃
    倫花!



   倫花
    あ、桃ちゃん
    おはよう



   桃
    おはよう
    昨日は大変だったな



   倫花
    コンゴウ先生の中に封じられてた
    先輩たちを居住区の空き家に運ぶのに
    一日がかりだったからねー



   桃
    彼女たちの様子はどうだ?



   倫花
    うん……まだみんな眠ってる
    えっちゃんの話だと、しばらくは
    目を覚まさないだろうって

    あ、でもみんな命に別条はないみたい
    コンゴウ先生の中にいる間は
    ウイルスも進行していなかったからね



   桃
    そうか……それはよかった



   倫花
    うん!
    あ、でも、なんだか意外



   桃
    何がだ?



   倫花
    桃ちゃんが、先輩たちのことを
    そんなに気にかけてるなんて



   桃
    あ、いや……
    そうじゃない



   倫花
    え?



   桃
    私が気にかけていたのは
    そっちではなく……
    倫花の方だ



   倫花
    私? どうして?



   桃
    コンゴウ先生を倒したことで
    先輩たちは解放されたわけだが……

    もしかしたら、先輩たちの中には
    自ら望んでコンゴウ先生に
    取り込まれた者もいるかもしれない

    そのことを考えて、倫花が自分の行為を
    思い悩んでいやしないかと思って……



   倫花
    …………



   桃
    倫花?
    どうかしたのか?



   倫花
    そっか……そうだよね
    中にはそういう先輩も
    いたかもしれないよね

    なるほどなー
    私ってば、そんなことちっとも
    考えてなかった

    あーもしかしたら私
    そういう人に悪いことしちゃったかなー?



   桃
    …………



   倫花
    でもまぁ、もうやっちゃったことは
    しょうがないよね

    もしそういう人がいたら
    後で謝ろう、うん!

     ※ いずれにせよ、封印を強要された者達を解放するには、
       自ら望んだものを含めてドライヴを解かせる必要がある。
       しかしながら、カオスルートでの倫花は思慮に欠けるように描かれる




   桃
    …………



   倫花
    あれ?
    どうしたの桃ちゃん?



   桃
    ぷっ……くっくっくっ……
    いや、いいんだ……

    なんだか心配していた私が
    バカみたいに思えてきてな



   倫花
    桃ちゃんはバカじゃないよ!
    私が気づかないことまで
    気づいてたじゃない!

    私なんかよりずっと頭良いよ!



   桃
    そうか……ありがとう



   倫花
    うん!



   満腹丸ちゃん
    おーい、ピーちゃーん!
    まんぷくまるちゃん参上なのだー!



   倫花
    あれ? 満腹丸ちゃん?



   満腹丸ちゃん
    おー、りんちゃんもいるのだ



   倫花
    どうしたの?



   桃
    呼んだのは私だ
    これから私の用事に
    つきあってもらおうと思ってな



   満腹丸ちゃん
    ピーちゃんが、美味しいごはんを
    食べさせてくれるのだ



   桃
    そんな約束してないだろう



   満腹丸ちゃん
    ええっ!
    まんぷくまるちゃんを呼んだのに
    ごはんの用意がないのだ?



   桃
    私がおかしいみたいな
    言い方をするな

    ……まあいい
    食事は用事のあとだぞ



   満腹丸ちゃん
    はーいなのだ!



   倫花
    いいなー
    どこ行くの?
    何しに行くの?

    私も一緒に行きたいなー



   桃
    倫花はダメだ



   倫花
    えー、どうしてー?



   桃
    おまえは先輩たちの世話があるだろう?



   倫花
    そっか、そうだね
    残念



   桃
    その代わり、土産を持ってきてやる



   倫花
    お土産?



   桃
    ああ……とびきりのやつをな
    期待していろ



   倫花
    うん、楽しみにしてるよ

    じゃあ先輩たちの様子を
    見に行ってこようかな



   桃
    ああ、行ってこい



   倫花
    それじゃまたあとでね



   桃

    (独白開始)

    待っていろ、倫花
    必ず乱花を連れて帰る

    (独白終了)

    私たちも行くぞ
    満腹丸



   満腹丸ちゃん
    ほいさー!



   (港湾地区にて)

   理事長
    そう、倫花さんはあくまでも四神を倒して
    島を出る道を選んだのね



   マナ
    ええ、そうみたいです



   乱花
    …………



   マナ
    でも倫花さんったら、乱花さんにも
    勝てなかったのに、どうやって四神の
    先生方に勝つつもりなのでしょう?

    ホント、諦めが悪いというか
    頭が悪いというか



   乱花
    ……調子に乗るなよ、猪名川



   マナ
    あら、なにか気に障りましたか?



   乱花
    おまえなんかが
    お姉ちゃんを語るな

    次にお姉ちゃんをバカにしたら
    私が許さない



   マナ
    あら、ごめんなさい
    次から気をつけますね



   乱花
    ふん……



   ヴァイオラ
    それより理事長
    グンダリ先生や越後屋の
    言ったことは本当なんですか?



   マナ
    今さらそれ?
    もう何度も聞いたじゃないですか



   乱花
    理事長の口から
    直接聞きたいんだ



   理事長
    ……すべて本当のことよ

    これまでに島にやってきた
    ヴァルキリーたちは、全員が四神の中に
    取り込まれて時を待っているの

    V-ウイルスを治療する方法が見つかる
    その時を……ね

    そして、それを企てたのは
    他の誰でもない、このわたし

    すべては、ヴァルキリーたちを
    守るために始めたことよ

    だから、言いたいことがあるのなら
    わたしに言ってちょうだい

    どんな恨み言でもすべて受け入れるわ
    わたしにはその覚悟がある



   乱花
    そんな……恨み言だなんて……



   マナ
    そうですよ
    感謝こそすれ恨み言なんて

    私たちは理事長先生のおかげで
    こうして平和に暮らしていられるんですから

    私、理事長先生には感謝しています
    自分が特別な存在だと教えてくれたのは
    あなたです



   理事長
    ……そう



   マナ
    でも、そうなると
    やっぱり倫花さんには困ったものですね

    私たちを守ってくださっている
    四神の先生方を倒そうだなんて

    ヴァイオラさんにも言われたのに
    倫花さんったら、そのことをまるで
    理解してないんです



   小春
    もし四神がいなければ
    この島はあっという間にAAAに
    制圧されてしまうでしょう



   マナ
    ま、その心配は杞憂に終わると思いますけど

    だって
    月影さんや私ならともかく
    あの倫花さんですよ?

    彼女にそんな力があると思いますか?



   乱花
    おい



   マナ
    はいはい、わかってます
    もう、いちいち目くじら立てて
    話の腰を折らないでください

    とにかく、四神全員が
    倒されるなんてことは
    まずありえないと思います

    定期戦で手を抜いている先生方なら
    ともかく、本気になった四神に勝てる
    ヴァルキリーなんて……



   桃
    いるぞ



   マナ
    あら、クズブタコンビ……
    いえ失礼、桃さんと満腹丸さん



   満腹丸ちゃん
    あー!
    今なにかよからぬことを言いかけたのだ!



   マナ
    何のことでしょう?
    空耳じゃないんですか?



   理事長
    それよりも桃さん
    あなた、今何て言ったの?



   桃
    コンゴウ先生は膝を屈したぞ
    情報が遅いんじゃないのか?



   マナ
    は?
    あなた何を言って――



   乱花
    まさか……



   桃
    そうだ
    倫花がコンゴウ先生を倒した



   マナ
    なっ……!?



   乱花
    お姉ちゃんがコンゴウ先生を……
    本当に?



   桃
    私は冗談が苦手なんだ
    知っていると思うが



   マナ
    り、理事長先生!?



   理事長
    ……今、確認したわ
    確かにコンゴウ先生と
    コンタクトが取れないわ



   桃
    わざわざ教えに来てやったんだ
    感謝しろ



   理事長
    く、九頭竜さん
    あの子たちはどうなったの?

    コンゴウの中にいた子たちは?



   桃
    私たちが保護している
    勝手に一般居住区の空き家を
    借りたが、文句はないな?

    今は、越後屋と倫花が
    面倒を見ている



   理事長
    そう、越後屋さんが……
    なら安心ね



   マナ
    あ、理事長先生……!?



   桃
    さすがの理事長も
    焦っているようだな

    わざわざ足を運んだ甲斐が
    あったというものだ



   マナ
    私は信じません!
    倫花さんが四神に勝ったなんて
    大嘘です!



   桃
    こいつに教えてやれ
    満腹丸



   満腹丸ちゃん
    ちゃんとこの目で見たのだ
    いっぱいがおっぱいだったのだ



   マナ
    くっ
    ブタがブーブーと
    わけのわからないことを……



   満腹丸ちゃん
    あー!
    今ハッキリ聞こえちゃったのだ!

    まんぷくまるちゃんのことを
    ブタって言ったのだ!



   マナ
    ハッ……さ、さぁ?
    何のことでしょうね?



   乱花
    お姉ちゃんが
    コンゴウ先生を倒したんだ
    お姉ちゃんが、四神を……

    四神がいなくなったら
    お姉ちゃんはこの島から
    出て行っちゃう……

    私を置いて……
    お姉ちゃんがいなくなっちゃう……



   マナ
    ちょっと、乱花さん!?
    大丈夫ですか?



   乱花
    え……?
    あ……うん……



   マナ
    それで、あなたたちは
    何しにここに来たんですか?

    まさか本当に善意で
    私たちにそれを伝えに?



   桃
    おまえに用はない



   マナ
    な……何ですって!?



   桃
    私が用があるのは乱花の方だ



   乱花
    ……私?



   桃
    おまえを連れ戻しにきた
    一緒に倫花のところに戻ろう



   乱花
    …………



   桃
    おまえたち姉妹は一緒にいるべきだ
    乱花だって、本当は戻りたいんじゃないか?



   乱花
    帰れないよ

    ……お姉ちゃんがコンゴウ先生を
    倒した以上、私は絶対にお姉ちゃんの
    ところに帰ることはできない



   桃
    どうしてだ?



   乱花
    もうお姉ちゃんとは
    相容れないから

    私はお姉ちゃんに、ずっと
    この島にいてほしいって言った
    なのにお姉ちゃんは……



   桃
    考え方が違う者同士は
    一緒にいられないというわけか?



   乱花
    だって、それが普通でしょ!?

    私はお姉ちゃんが
    やろうとしていることに
    協力なんてできない

    だったら一緒にいる意味なんかないよ



   桃
    そうやって、ずっと袂を分かったままで
    いるつもりか?



   乱花
    いつかは戻るよ
    お姉ちゃんが、四神に負けた時……

    お姉ちゃんがビクニを出ることを
    あきらめたら、その時に戻るよ



   桃
    それでいいのか?
    倫花は必ずすべての四神を倒す

    仲直りする機会が訪れないまま
    倫花はいなくなってしまうぞ?



   乱花
    ……そんなことはありえない



   桃
    ……まあいい
    しかし、私はここに来る前に
    倫花に約束した

    必ず土産を持って帰るとな



   乱花
    土産?



   桃
    おまえのことだ、乱花
    私はおまえを必ず倫花の下へ
    連れて帰る

    力ずくでもな



   乱花
    ……本気で言ってる?



   桃
    もちろん本気だ
    そのために、こいつを
    連れてきたんだからな



   満腹丸ちゃん
    はーい!
    今ご紹介に預かりました
    こいつなのだ!



   乱花
    わかった
    そこまで言うのなら勝負を受けるよ

    九頭竜が勝ったら
    お姉ちゃんのところに戻ってあげる

    つきあってもらうよ
    猪名川



   マナ
    ま、仕方ありませんね
    立場上、見過ごす訳にもいきませんし

    ひとつ貸しですよ
    乱花さん




  18-A-後(カオス)

   乱花
    残念だったね、九頭竜
    悪いけど、お土産はなし
    手ぶらで帰ってもらうよ



   桃
    乱花、お前は……くっ



   マナ
    ひとつ教えて差し上げましょう
    あなた、迷っているのがバレバレです

    あなた自身はこの島から
    出たくないという気持ちがあるのに
    どういうわけか倫花さんの側にいる

    そういうあなた自身の中の矛盾が
    迷いの原因です

    それがドライヴにまで影響を及ぼしている

    迷いながら勝てるほど
    ヴァルキリードライヴは甘くありませんよ?

    以上、猪名川マナによる
    クズブタコンビの敗因分析でした
    うふふっ



   満腹丸ちゃん
    またブタって言ったのだー!



   マナ
    あら、失礼
    つい口をついちゃいました
    ごめんなさいね、ふふっ



   乱花
    九頭竜、あんたやヴァイオラは
    ここにいる誰よりも外の世界の怖さを
    知っている人間のはずでしょ

    あんたからお姉ちゃんに
    この島に残ることが最善だって
    よく言っておいてほしいんだ

    島に残れば、四神が守ってくれる

    私もお姉ちゃんを守る
    今からでもまだ遅くはないって



   桃
    ……自分で伝えればいい



   乱花
    九頭竜に頼んでるの
    本心ではこっち側に来たいと思ってる
    あんたにね



   桃
    …………



   マナ
    あなたもいつまでも迷ってないで
    ハッキリと決めればいいんです

    いずれ筆頭となる私に従って
    五体目の神に取り込まれることを……

    ふふっ
    じゃあね、お二人さん



   桃
    くそっ
    猪名川にまで見透かされるとは

    (独白開始)

    たしかに私は迷っている
    倫花の気持ちを知りながら
    本心では島に残りたいと思っている

    倫花が四神を倒せば、この島は容易に
    AAAに侵略されるだろう

    そうなれば私は……

    だが倫花の行動に心を
    動かされているのも事実だ

    だから私は倫花の側にいる
    彼女を助けたいと思っている

    (独白終了)

    自分でも思うよ
    矛盾していると



   満腹丸ちゃん
    なにか言ったのだ?



   桃
    いや、なんでもない



   満腹丸ちゃん
    だったら早くごはんを
    食べに行くのだ!
    約束なのだ



   桃
    そうだったな



   満腹丸ちゃん
    あー!



   桃
    急に大きな声を出すな



   満腹丸ちゃん
    らんちゃんたちも
    誘えばよかったのだ



   桃
    ついさっき戦った相手と
    一緒に食事をしろと?
    どういう顔をして?



   満腹丸ちゃん
    笑えばいいのだ



   桃
    え……



   満腹丸ちゃん
    みんなでごはんを食べるのは
    楽しいって教えてあげたでしょ

    だから、笑って食べればいいのだ

    まんぷくまるちゃんだって
    りんちゃんとらんちゃんが
    ケンカしてることは知ってるのだ

    でも一緒にごはんを食べれば大丈夫
    きっとまた仲良しになれるのだ!



   桃
    ……なぜそう思う?



   満腹丸ちゃん
    美味しいものを食べている時は
    みんな幸せだからです

    幸せなのにケンカする人はいませんし



   桃
    …………



   満腹丸ちゃん
    どうしたのだ?



   桃
    一つ教えてくれ

    おまえは、この島に残るのと
    この島を出るの、どっちがいいんだ?



   満腹丸ちゃん
    ごはんが食べられるなら
    どっちでもいいのだ

    そこがどこであっても
    みんなで一緒にごはんを
    食べられるなら

    だって、みんなで一緒に
    食べるごはんが一番美味しくて
    一番幸せだから!



   桃
    みんなで一緒にごはんを
    食べられれば一番幸せ……

    ……そうだな
    たしかにその通りだ

    (独白開始)

    私は恐れていた……

    島を出たらまた元の生活が待っている……

    またあそこで、たった一人で
    戦わなければならない……
    それが……怖かった

    でも……それは違う
    私はあそこには戻らない

    私は変わった
    昔の私じゃない

    ヴァルキリードライヴを通して
    色んな思いと気持ちを知った

    倫花の願いも
    乱花の思いも
    私の心の中にある

    それがあれば何も怖れることはない
    私は立ち向かえる

    たとえこの島を出ることに
    なったとしても、私はもう
    一人じゃないんだ……!

    (独白終了)



   満腹丸ちゃん
    ピーちゃん
    早くごはんを食べに行くのだ

    まんぷくまるちゃんのお腹は
    もう限界なのだ……



   桃
    いいだろう
    約束通り、好きなだけ食わせてやる



   満腹丸ちゃん
    えー!?
    負けちゃったのにいいのだ?
    ホントに?



   桃
    ああ
    私からの礼だ



   満腹丸ちゃん
    ピーちゃん好き好き!
    大好きなのだー!




  18-B-前(カオス)

   (拠点にて)


   倫花
    あ、桃ちゃん
    お帰りなさい



   桃
    すまない、倫花
    土産は手に入れることができなかった



   倫花
    いいよいいよ
    そんなの気にしないで



   桃
    その代わりと言ってはなんだが
    次の戦いは、私がパートナーを務める



   倫花
    えっ
    パートナーって……



   桃
    ゴウザンゼ先生と戦うんだろう?



   倫花
    でも、桃ちゃんは
    島から出ない方がいいって
    考えてるんだよね?



   桃
    それはもういい
    気にするな



   倫花
    でも桃ちゃん……



   桃
    もう迷いはない
    私は倫花と共に四神を倒し
    ヴァルキリーたちを解き放つ

    そして、この島を解放する



   倫花
    本当にいいの?



   桃
    何度も言わせるな
    それが私の進むべき道だと気付いたんだ

    気付かせてもらったんだがな



   倫花
    そっか
    そうなんだ

    ありがとう、桃ちゃん
    心強いよ!
    とっても!



   桃
    話は決まったな



   倫花
    ゴウザンゼ先生に会いに行こう!



   桃
    ああ



   (自然区画にて)

   ゴウザンゼ
    話は聞いていますわ

    倫花ちゃん、あなた
    コンゴウさんを倒したそうですわね



   倫花
    はい



   ゴウザンゼ
    そして、次は私の番というわけですか?

    桃ちゃんまで一緒になって
    困った子たちです……



   倫花
    ごめんなさい、ゴウザンゼ先生
    でも私、もう決めたんです
    自分の信じる道を進むって



   桃
    倫花の掲げる希望を
    私も信じてみることにした



   ゴウザンゼ
    そうなのね……
    それがあなたたちの意志なのね

    ふふっ……うふふふふっ……
    あははははっ……
    あーっはっはっは!



   倫花
    …………



   桃
    …………



   ゴウザンゼ
    おだまりなさいっ
    小娘どもっ!



   倫花
    わわっ!?



   桃
    何も言ってないのに……



   ゴウザンゼ
    自分の勝手な行動が
    どういう事態を招くか
    本当にわかっていてっ!?



   倫花
    も、もちろん!



   桃
    その話ならもう何度もした



   ゴウザンゼ
    そう……わかっていながら
    それでも私たちを倒そうというのね……

    よくってよ

    あなたたちがそのつもりなら
    私もそれなりの覚悟を持って
    相手をいたしましょう

    四神が一柱、ゴウザンゼ
    倒せるものなら倒してごらんなさいっ!



   桃
    望むところだ
    やるぞ、倫花!



   倫花
    うん!
    いくよ、桃ちゃん!




  18-B-後(カオス)

   倫花
    やった、桃ちゃん!
    私たち、ゴウザンゼ先生に勝ったよ!



   桃
    ああ……



   ゴウザンゼ
    なんという……ことでしょう
    こんな……こんなはずでは……
    なかったのに……

    私が彼女たちの力を
    見誤っていたというの……?

    それとも……
    私の予想を超えるほどに
    彼女たちが強く……?

    いずれにせよ……
    私が負けたのは事実ですわ

    お見事です、倫花ちゃん
    それに、桃ちゃん



   倫花
    ゴウザンゼ先生……



   ゴウザンゼ
    私にはもうあなたたちを
    止める力はありません

    でも一つだけ
    お二人に聞いてほしいことがあるのです



   倫花
    聞いて欲しいこと?



   ゴウザンゼ
    もう知っていると思いますが
    この島の平和と秩序は
    私たち四神が守ってきました

    それは言い換えれば
    あなたたちの先輩……

    一期生から四期生までの、多くの
    ヴァルキリーたちが、この島を
    守ってきたのと同じこと

    あなたたちがやろうとしていることは
    先輩たちが作り、守ってきたものを
    すべてを無に帰そうとする行為です

    中にはあなたたちに同調する子も
    いるでしょう

    でも、すべてのヴァルキリーに
    あなたたちの考えが受け入れられるとは
    思わないことです

    あの子たちが目覚めれば
    あなたたちを島の破壊者として
    憎む者もでるでしょう

    特に一期生……
    グンダリさんと、この島の礎を
    作った者たちは……



   倫花
    グンダリ先生と……



   桃
    一期生か



   ゴウザンゼ
    まだこの島に四神が一体も
    いなかった頃……

    AAAの干渉を受け
    己の未来に不安と恐怖しか
    なかった彼女たち……

    彼女たちがどんな思いで
    最初の四神となったのか
    あなたたちにも想像がつくはずよ

    あなたたちはグンダリさんも
    倒すつもりなのでしょう?



   倫花
    それは……



   ゴウザンゼ
    あなたの抱く希望への道は
    その一方で彼女たちの思いを
    踏みにじる行為でもあるのです

    それが許されるのかどうか……

    まさに神のみぞ知る……ですわね
    うふふ……



   桃
    …………



   ゴウザンゼ
    覚えておきなさい
    あなたたちが進もうとしているのは
    茨の道だということを



   倫花
    ゴウザンゼ先生……



   ゴウザンゼ
    疲れたわ
    少し休みます



   倫花
    はい、あとは私たちと
    えっちゃんに任せてください



   ゴウザンゼ
    あの子たちをお願いね
    では失礼するわ



   倫花
    …………



   桃
    どうした、倫花?



   倫花
    桃ちゃん……
    私のしていることって
    ただのワガママなのかな?

    私のワガママで
    みんなを危険な目に遭わせてる
    だけなのかな……?



   桃
    倫花……



   倫花
    私はただ、会いたい人に
    会いたいだけなのに……

    それってやっぱり
    我慢しなくちゃいけないことなのかな……?

    どうしよう……
    私、よくわからなくなっちゃったよ……



   桃
    倫花は迷わなくていい



   倫花
    え……



   桃
    たとえゴウザンゼの言う通り、
    他のヴァルキリーたちがおまえを
    非難したとしても……

    私は、倫花の味方だ



   倫花
    桃ちゃん……



   桃
    迷う必要はない
    自分のやりたいようにすればいい

    それがわがままだとしても
    そういう倫花に救われた人間もいる
    私のように……

    だから、倫花はそれでいい
    私は、そんな倫花だからこそ
    ついていくと決めた



   倫花
    ……ありがとう、桃ちゃん



   桃
    礼を言うのは私の方だ
    倫花は私に勇気を与えてくれた
    それが今の私の力になっている

    倫花のおかげで
    私は変わることができた



   倫花
    うん……今の桃ちゃん
    以前のぶっきらぼうな時よりも
    ずっと可愛いよ



   桃
    は、話の腰を折るな
    そういうことを言ってるんじゃない



   倫花
    あははっ、照れてる!
    桃ちゃんが照れてるー!



   桃
    くっ……そ、そんなことよりも
    先輩たちをこのままにしておくつもりか?



   倫花
    あ……そ、そうだよね
    早く居住区に運ばなきゃ!



   桃
    越後屋に連絡を入れてくれ
    満腹丸にも手伝わせよう



   倫花
    わかった!
    えっちゃんを呼んでくる!



   桃

    (独白開始)

    倫花には味方が必要だ
    一人でも多くの味方が……

    そのためなら
    私は何度でも戦おう

    殺すためではない
    今を生きるという希望のために――

    (独白終了)





 Drive19. 渡されたバトン


  19-A-前(カオス)

   (浜辺にて)

   桃
    そう、もう少し右だ
    そのまま真っ直ぐ



   倫花
    まっすぐだね……



   満腹丸ちゃん
    もっと左なのだ
    そ、そのままではキケンなのだ



   倫花
    えー?
    どっちが正しいの?



   桃
    神経を集中しろ
    お前が信じるままに
    剣を振り下ろせばいい



   倫花
    わ、わかった
    行くよ?

    えーいっ!!



   倫花
    やった!
    まっぷたつ!



   満腹丸ちゃん
    危ない危ないのだ!
    何度も迷ってギリギリだったのだ!



   倫花
    こんなことがヴァルキリー
    ドライヴの訓練になるのかな



   満腹丸ちゃん
    ていうかこれ
    まんぷくまるちゃんとスイカを
    並べる必要あるのだ?



   倫花
    ごめんね、満腹丸ちゃん
    もう少し付き合って欲しいの



   満腹丸ちゃん
    付き合いたなくても
    もう身動きできないのだ
    とほほ……



   倫花
    桃ちゃん
    他にもこういう訓練の仕方が
    あったら教えてくれないかな



   桃
    小手先の技術を磨いたところで
    ダイイトク先生には勝てないと思うがな



   倫花
    ……分かってる
    でも何かしていないと落ち着かなくて



   桃
    そうだろうな
    よし、訓練を続けよう
    次は目隠しと耳栓だ



   倫花
    うんっ
    少しでもダイイトク先生との差を縮めなくちゃ



   (エリート区画にて)

   マナ
    悪い報せです

    倫花さんがコンゴウ先生に
    続いてゴウザンゼ先生まで倒したそうです



   ヴァイオラ
    それは本当なの?



   マナ
    ええ、本当です



   乱花
    それって、いつ?

    お姉ちゃん、ついこないだ
    コンゴウ先生を倒したばっかりだよね



   マナ
    昨日です
    桃さんがパートナーを務めたそうですよ



   乱花
    ……九頭竜が?



   ヴァイオラ
    それで、どうして
    あんたがそのことを知ってるわけ?



   マナ
    理事長先生から聞いたんです



   ヴァイオラ
    理事長から?
    どうして理事長は、筆頭でもない
    あなただけにそのことを話すの?  

     ※ 島への執着が、四神になる事の資質と言える



   マナ
    さぁ、それを私に聞かれても



   ヴァイオラ
    ふん……まぁいいわ
    でも、まさか桃がそこまで積極的に
    倫花に協力するなんてね

    あの子もどちらかと言えば
    島を出ることをためらっていたじゃない
    それなのに、どうして?



   マナ
    クズの考えることなんて
    私には理解できませんね

    大方、倫花さんに騙されて
    上手く丸め込まれてしまったんじゃ
    ないんですか?

    自分が利用されているだけとも知らずに……



   乱花
    おい……猪名川
    この前言ったことを忘れたの?
    お姉ちゃんの悪口は許さない

    お姉ちゃんは人を騙したりしない
    猪名川とは違うんだ



   マナ
    あら、私がいつ誰かを
    騙したというんです?



   乱花
    そうやって善人面して他人の
    悪口をさらっと言うところだよ

    笑顔の仮面を被って
    周りの人間全員を騙してる
    みたいなものじゃない



   マナ
    別に悪口を言っているつもりは
    ないんですけどね

    私はただ、思ったことを素直に
    口にしているだけです
    ふふっ



   乱花
    ふん……



   理事長
    騒がしいわね



   マナ
    こんにちは、理事長先生



   ヴァイオラ
    え……なぜ理事長が?



   マナ
    私がお呼びしました

    ゴウザンゼ先生まで倒された以上
    島の今後について
    話し合う必要があると思いまして



   ヴァイオラ
    筆頭である小春をさしおいて
    どうしてあんたが仕切ろうとしてるのよッ

    何様のつもり!?



   理事長
    落ち着いて、ヴァイオラさん

    マナさんに言われなくても
    私の方からこういう場を
    設けるつもりだったの



   ヴァイオラ
    だからって……!



   理事長
    それよりも月影さんの姿が
    見えないようだけど?



   小春
    遅くなりました



   ヴァイオラ
    小春!



   マナ
    遅刻ですよ、月影さん

    島の今後について話し合うので
    速やかに集まるように言ったじゃないですか



   小春
    ごめんなさい
    ちょっと体調が悪くて



   マナ
    あら、それは困りましたね

    島の存亡がかかったこの大切な時期に
    筆頭ともあろう人が
    そんなことで大丈夫ですか?

    言っていただければ
    そのお役目、いつでも私が
    代わって差し上げますよ



   ヴァイオラ
    猪名川
    いい加減にしなさいよ……



   マナ
    なんですか、ヴァイオラさん?
    私は好意で言っているんですよ?

    月影さんは筆頭としての役目に
    少々お疲れのご様子ですし……

    ここは一時的にでも、私に筆頭の地位を
    譲り、月影さんにはしばしお休みして
    いただくというのはいかがでしょう?



   ヴァイオラ
    ペラペラペラペラ
    調子に乗るんじゃないわよ

    さっきから聞いていれば、
    なんなのその偉そうな態度は!
    イラつくのよ!

    だいたいあんたは――



   小春
    ヴァイオラさん、いいんです



   ヴァイオラ
    小春!?
    でもっ!



   小春
    マナさんの言うことにも一理あります

    そもそも私が筆頭として皆をしっかりと
    導けなかったために、今回のような
    事態になったとも言えます

    その責を取り、筆頭の座をマナさんに
    譲ったほうが良いのかもしれません



   ヴァイオラ
    なっ……!?



   小春
    無論、マナさんが望むのなら、ですが



   マナ
    え、ええ……もちろん、私から
    言い出したことですから

    あなたがそのつもりなら
    喜んで代わって差し上げます
    月影さん



   小春
    どう思いますか、理事長?



   理事長
    ……あなたはそれでいいの?
    月影さん?



   小春
    異存はありません



   ヴァイオラ
    小春っ!?



   小春
    もう一度自分自身を
    見つめ直したいんです



   ヴァイオラ
    それはグンダリ先生に
    私たちの刃が届かなかったから?
    私と組んで、負けたからなの?



   小春
    ……違います
    きっかけのひとつではありました

    けれどそれが理由ではないの
    ヴァイオラさん、お願い
    分かって



   ヴァイオラ
    分からないわ
    分かりたくない!
    小春、あなたは私の……!



   マナ
    ぎゃんぎゃんうるさいですね
    話はもう決まったんですよ



   ヴァイオラ
    黙りなさい!



   マナ
    仕方ありませんね
    月影さん、筆頭として命令します

    そのうるさい女を
    この場から叩き出しなさい

     ※ 手にした強権を早速振りかざすのも悪印象を強めた



   小春
    ……わかりました



   ヴァイオラ
    ……え?




   小春
    ヴァイオラさん
    お願い、でなければ私はあなたを


   乱花
    おい、月影!

    月影……おまえ……



   小春
    お願い、ヴァイオラさん
    分かってください



   ヴァイオラ
    そ……そん、な……!
    小春、私は、私は……ッ!



   (一般区画にて)

   ヴァイオラ
    はぁっ、はぁっ……

    (独白開始)

    どうして……
    どうしてなの……!?

    私は小春のパートナーよ……
    なのに、どうして小春は私を……
    どうしてっ!?

    (独白終了)

    あっ!?



   桃
    危ないな
    ちゃんと前を見て……
    ヴァイオラ?



   ヴァイオラ
    ……桃?



   桃
    ケガしているのか?
    だがお前ほどの使い手を
    誰が……

    まさか月影か?



   ヴァイオラ
    …………



   桃
    どういうことだ?
    なぜお前が月影と争う?



   ヴァイオラ
    う、うるさいわねっ!
    放っておいてちょうだい!

    あなたには……関係ないわ



   桃
    そう言う訳にも行かないだろう
    取りあえず応急処置をしよう
    来い



   ヴァイオラ
    え……

    ちょっ、ちょっと!
    手当てなんて必要ないわっ!
    こんなの掠り傷よっ!



   桃
    VR-ウイルスに全身を
    冒される前に、破傷風で死にたいのか?



   ヴァイオラ
    そ、そんなこと



   桃
    手当は早い方がいい
    せっかくのキレイな肌に傷を
    残したくないだろう



   ヴァイオラ
    え……



   桃
    ふむ、こんなものだろう
    あとでちゃんと医者に診せるんだぞ



   ヴァイオラ
    お、お礼なんて言わないわよ
    あなたが勝手にやったことなんだから



   桃
    それでいい
    私は医者ではないからな



   ヴァイオラ
    ……なんで
    私なんかの世話を焼くのよ

    あなたは倫花の仲間でしょ?
    私は……私は、あなたたちの
    敵なのよ!?

    なのにどうして……!?



   桃
    敵?
    私はそうは思っていない
    私たちは仲間だ



   ヴァイオラ
    仲間……?

    驚いたわね
    まさか、あなたの口から
    そんな言葉が飛び出すなんて



   桃
    変か?



   ヴァイオラ
    変よ!
    絶対変!



   桃
    だが事実だ

    私は倫花と同じように
    お前も乱花も、猪名川も
    仲間だと思っている

    心を重ね、刃を交わして
    お互いを高め合う――

    私たちヴァルキリー以上に
    仲間という言葉に相応しい
    関係などないと思うがな



   ヴァイオラ
    ……心を重ねて
    お互いを高め合う



   桃
    仲間がケガをすれば
    手当てするのは当然だ



   ヴァイオラ
    …………



   桃
    月影との間に何があった?



   ヴァイオラ
    それは……



   小春
    見つけましたよ
    ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    ちっ
    しつこいわね



   桃
    言ってる側から
    おでましか



   乱花
    どうして九頭竜が
    ヴァイオラと一緒にいるの?



   桃
    答える必要はないな
    お前たちこそ何の用だ



   小春
    ヴァイオラさんを
    こちらに渡しなさい
    粛清せねばなりません



   桃
    粛清?



   小春
    ヴァイオラさんは
    新たに筆頭となったマナさんに
    反抗的な行動を取りました

    秩序を乱す者には、厳罰が
    与えられなければなりません



   桃
    何があったかは知らないが
    猪名川が新しい筆頭とは驚きだな
    そんな器ではなかろう



   マナ
    ……なんですって?



   ヴァイオラ
    お願い、桃!
    私に力を貸してっ!

    こんな時だからこそ
    小春が筆頭であるべきよ

    小春、お願い
    自分を見失わないで

    あなたはそんなに
    弱い人ではなかったはずよ



   小春
    私の剣は、グンダリ先生に
    届きませんでした……

    私には自分の運命を自由に
    選ぶほどの力もないと気付いたんです



   ヴァイオラ
    そうやってあきらめて
    五体目の神に取り込まれて
    あなたは納得が行くの?

    筆頭の役目も、自分の理想も
    私のパートナーとしての立場も
    全て放り出すつもり?



   小春
    ……ヴァイオラさん



   ヴァイオラ
    桃、力を貸してちょうだい
    私を仲間だと思ってくれるなら



   桃
    いいだろう
    礼はいらん



   小春
    どうしても
    わかってもらえないんですか……



   乱花
    月影……
    本当にやるの?



   小春
    そうしなければ
    私の気持ちが伝わらないのであれば



   乱花
    ……わかった
    私はもう何も言わない



   小春
    ヴァイオラさん、桃さん
    覚悟はいいですか?



   ヴァイオラ
    小春……
    目を覚まさせてあげる!




  19-A-後(カオス)

   ヴァイオラ
    桃……?
    どうしたの、桃!!



   桃
    ……すまない、ヴァイオラ
    私の力が……及ばなかった
    がはっ……



   ヴァイオラ
    桃!!
    どうしたの!!

    桃っ、しっかりして!



   乱花
    直ぐに医療班に連絡を!
    九頭竜を病院に運んで!



   ヴァイオラ
    な、何が起きたの?



   乱花
    ……お姉ちゃんと同じだ

    最後の一撃を、九頭竜が限界以上の
    力を振り絞ってあんたを庇ったんだ



   ヴァイオラ
    え……?



   乱花
    ヴァイオラのケガを
    気遣ったんだろうけど……
    バカだ、九頭竜は



   ヴァイオラ
    桃、あなた本当に……?



   桃
    思ったよりも制止が
    利かないものだな
    ……げほっ



   乱花
    九頭竜、喋っちゃダメ
    すぐに救護班が来るから



   桃
    お前は、私がバカなマネをしたと
    思うのか?



   乱花
    他人のために自分が傷つくまで
    力を解放するなんてバカに決まってる



   桃
    私は、あの時の倫花と同じことをしただけだ

    私をバカにすることは
    倫花をバカにするのと同じだぞ……
    乱花



   乱花
    う、うるさいっ!
    あの時とは全然違うっ!
    私は……私は!

    私は……



   桃
    ヴァイオラ……



   ヴァイオラ
    な、何?



   桃
    これは一つ貸しだ



   ヴァイオラ
    え、ええ……わかってる
    もちろん借りは返すわ



   桃
    なら倫花の力になってくれないか



   ヴァイオラ
    わ、私が倫花の?
    でも、私は……



   桃
    倫花の仲間……だろう?



   ヴァイオラ
    え……



   桃
    しばらくの間、私は
    倫花の役に立てそうにない……

    私の代わりに……
    彼女を助けてほしい



   ヴァイオラ
    …………



   桃
    頼んだ……ぞ……



   ヴァイオラ
    桃っ!?



   小春
    気を失っただけです
    心配いりません



   ヴァイオラ
    小春……



   小春
    これで分かったでしょう
    徒に戦っても何も変わらない



   ヴァイオラ
    いいえ、私はそうは思わないわ



   小春
    マナさんが筆頭とは認められない?



   ヴァイオラ
    あなたが筆頭でないことが、よ



   小春
    ヴァイオラさん、それは



   ヴァイオラ
    それに仲間との約束を
    裏切る訳にもいかないし



   小春
    約束?



   ヴァイオラ
    ええ、桃の代わりに
    倫花の力になるって約束をね

    だから、あなたたちの下へは戻れない

    ごめんなさい……小春



   小春
    ……そうですか
    わかりました

    あなたがそう決めたのなら
    仕方ありません

    私は、あなたのそういう真っ直ぐな
    ところは嫌いではありませんでした

    では、これで……



   ヴァイオラ
    じゃあね……小春……




  19-B-前(カオス)

   (浜辺にて)

   倫花
    踏み込みが甘いのかな
    それともタイミングかな
    うーん……



   満腹丸ちゃん
    はう~、お腹空いたのだ……
    お弁当を買いに行ったピーちゃん
    まだ戻ってこないのだ……



   倫花
    そうだね、遅いね
    何かあったのかな



   ヴァイオラ
    桃ならしばらく戻ってこないわ



   倫花
    あれっ
    ヴァイオラちゃん?
    どうしたの?



   満腹丸ちゃん
    なーんだ
    お弁当じゃなかったのだ



   倫花
    桃ちゃんが戻ってこないって
    どういうことなの?



   ヴァイオラ
    さっき病院に連れていったわ
    しばらく入院する必要があるでしょうね



   倫花
    え……?
    ど、どうして桃ちゃんが
    入院なんて!?




   ヴァイオラ
    ……私と組んで小春と戦ったの
    彼女は私を庇ってケガをしたのよ



   倫花
    小春ちゃんたちと!?
    そ、それで桃ちゃんは!?
    桃ちゃんは無事なのっ!?



   ヴァイオラ
    命に関わるようなケガじゃないそうよ
    安心していいわ



   倫花
    そ、そうなんだ
    よかったぁ……

    それじゃ早速お見舞いに行かなきゃ!

    ヴァイオラちゃん
    桃ちゃんの病室って――



   ヴァイオラ
    そんな暇はないわ



   倫花
    え……



   ヴァイオラ
    あなたたちは
    ここで私と一緒に特訓を続けるの

    だから、お見舞いに行ってる暇なんかない

    感謝しなさい
    私が、桃に代わってあなたたちを
    鍛えてあげるんだから



   倫花
    ヴァイオラちゃんが
    桃ちゃんの代わりに?
    それって……



   ヴァイオラ
    鈍い子ね
    私があんたのパートナーに
    なってあげるって言ってるの!



   倫花
    あ……で、でも……
    ヴァイオラちゃんは……



   満腹丸ちゃん
    ばいおちゃんはりんちゃんと
    ケンカしてるのだ

    まんぷくまるちゃんたちの敵なのだ



   ヴァイオラ
    敵じゃないわ



   満腹丸ちゃん
    じゃあ何なのだ?



   ヴァイオラ
    私はあなたたちの……
    な……なか……
    なか、ま……よ



   満腹丸ちゃん
    なめ……こ?

    ブナやナラなどの枯れ木や
    切り株などに群生するヌメヌメした
    キノコのこと?



   ヴァイオラ
    ちがうわよっ!

    だ、だから……なか……まよ



   満腹丸ちゃん
    なま……こ?

    海にいる棘皮動物の一種で
    酢の物にしたり、干したりして
    食べる、あれのこと?



   ヴァイオラ
    違うって言ってるでしょ!
    ていうか、あれ食べられるの?
    マジで?



   満腹丸ちゃん
    おいしいのだ



   ヴァイオラ
    最初に食べた人を尊敬するわ……

    じゃなくてっ!
    もうナメコでもナマコでも
    何でもいいわ!

    とにかく特訓の続きよっ!

    私は桃みたいに甘くないわ
    覚悟しなさいっ!



   倫花
    う、うん!
    よろしくお願いしますっ!



   (夜の街にて)

   ダイイトク
    遅かったじゃねえか
    待ちくたびれたぜ



   満腹丸ちゃん
    りんちゃんが
    おかわりばっかりしたからなのだ



   ダイイトク
    おかわり?
    おまえら、のんびりメシを
    食ってやがったのか?



   倫花
    ち、違います!
    特訓です、特訓!



   満腹丸ちゃん
    特訓のおかわりなのだ



   ダイイトク
    ふん、特訓ねぇ……



   ヴァイオラ
    …………



   ダイイトク
    話は聞いている

    オレたち四神をぶっ倒して
    ビクニを解放するんだってな

    おもしれえ
    そういうのはキライじゃねえぜ



   倫花
    じゃあ島を解放することに
    賛成してくれるんですか!?



   ダイイトク
    ああ?
    バカかおまえ?

    オレがおもしれえと言ったのは
    ひよっこヴァルキリーであるお前が
    このオレに勝つつもりでいることよ



   倫花
    勝てるとは思ってないけど
    負けるつもりもありません



   ダイイトク
    いいぜぇ、その表情
    つまり、お互いの誇りと存在意義を
    懸けた本物の戦いってワケだ



   倫花
    そ、そうです!
    その通りです!



   ダイイトク
    オレたちの決意と
    積み重ねてき苦労を知っているな?

    みすみす間違いだったと
    認められねえところまで来ちまったんだ



   倫花
    先生……



   ダイイトク
    さあ
    お前たちの本気を見せてみろ!
    どれほどの決意かを示せ!!

    オレこそ四神が一柱、ダイイトク!
    くだらねえお為ごかしごと
    すべてをかみ砕いてやるぜ!




  19-B-後(カオス)

   (工場区画にて)

   ダイイトク
    …………



   倫花
    あ、あの……ダイイトク先生?



   ダイイトク
    ……なんだ?



   倫花
    なんだって……その

    ね、ねぇ、ヴァイオラちゃん……
    私たち、勝ったんだよ……ね?



   ヴァイオラ
    勝ったわよ



   満腹丸ちゃん
    じゃあ、どうして
    ねこのせんせ~は
    立ったまま倒れないのだ?



   ダイイトク
    ……知りてぇか?
    その方が、ワイルドで
    カッコイイからだ

    それにオレはネコじゃねえ
    トラだ、覚えとけ



   ヴァイオラ
    そ、そんな理由!?



   ダイイトク
    ガキ相手に負けて
    無様に膝をつけるかよ

    己の美学ってのは
    負けた時こそ貫き通せ
    分かるか?

    これがオレからの最後の教えだ
    忘れるんじゃねえぞ



   倫花
    え……じゃあ……?



   ダイイトク
    ああ……この勝負……
    おまえらの勝ち……だ



   倫花
    やった……
    勝ったよ、ヴァイオラちゃん!
    満腹丸ちゃん!



   ヴァイオラ
    ふん……当然よ
    この私が協力してあげたのだから



   満腹丸ちゃん
    今日はごちそうなのだ!



   ヴァイオラ
    あんたって、本当に
    食べ物のことばかりね……



   満腹丸ちゃん
    『美味しい』食べ物のことばかりなのだ



   ダイイトク
    騒ぐんじゃねぇ、ガキども!
    戦いは終わったが、まだ話は
    終わっちゃいねぇ



   倫花
    え……



   ダイイトク
    ふん……
    今さらオレがくどくど言う
    必要もないだろうがな

    コンゴウやゴウザンゼからも
    聞かされているだろう
    この島を取り巻く現状を



   倫花
    四神の先生たちがいなくなったら
    ビクニはAAAに攻め込まれる……



   ヴァイオラ
    そして、私たちはAAAの管理下で
    あらためて鍛えられ、諸外国へ
    『出荷』される……兵器として



   ダイイトク
    ああ……
    それが現実ってやつだ……

    おまえたちを含め、これまでに
    封じてきた一期生から四期生までの
    連中も、皆同じ目に遭うことになる……

    おまえたちは……その現実を
    どう考えているんだ?

    それを聞くまでは
    オレも退くことは出来ねえ

    何度でもお前たちの前に
    立ちはだからなきゃならん

    聞かせてみろ
    このオレに



   ヴァイオラ
    そんなの決まってるわ



   倫花
    私たちの生きる権利を脅かす連中は
    ぜーんぶまとめて――



   満腹丸ちゃん
    食べちゃうのだ!



   ダイイトク
    なにっ!?



   倫花
    ま、満腹丸ちゃん、そこはせめて
    『倒す』とか『やっつける』とかじゃないかな



   ヴァイオラ
    あんたって本当、そればっかりね



   ダイイトク
    ふん……そうか……
    全部まとめて食っちまう……か……

    くっくっくっ……はっはっはっ……
    はーっはっはっはっ!

    面白れぇ……実に面白れぇっ……
    そういう考え方……
    オレは……好きだ、ぜ……



   倫花
    先生!!



   ダイイトク
    心配……するな
    少しばかり眠くなっただけよ

    少しだけ、眠らせてくれ
    いいだろう

    そいつらのこと……
    よろしく……
    たの……む……



   倫花
    ダイイトク先生……



   ヴァイオラ
    ふん……最後まで
    カッコつけちゃって……



   (エリート区画にて)

   マナ
    信じられません
    ダイイトク先生まで倒すなどと



   小春
    これで残る四神は
    グンダリ先生のみですか



   マナ
    どうして……どうして
    ヴァイオラさんは倫花さんに
    協力してるんですか!?

    役に立たないばかりか
    邪魔までするだなんて!



   小春
    桃さんとの約束を果たすためです
    彼女は、真っ直ぐな人ですから



   マナ
    なに他人事みたいに
    言ってるんですか!?

    あなたたちが、あの役立たずを
    ちゃんと始末しておかないから
    こうなったんでしょうっ!?



   乱花
    筆頭ともあろう人が
    私たちに責任をなすりつけようってわけ?



   理事長
    落ち着きなさい



   マナ
    失礼しました……
    理事長先生……



   理事長
    責任をなすりつけあっても
    どうにもならないわ

    グンダリが倒されれば
    これまでの努力も水の泡



   マナ
    理事長先生……
    この島は……私たちは
    大丈夫ですよね?



   理事長
    …………



   マナ
    答えてください!
    理事長先生!



   乱花
    見苦しいよ
    猪名川



   マナ
    何ですって!?



   乱花
    あんた、筆頭でしょ?
    今さらジタバタするなって言ってるの



   マナ
    くっ……



   乱花
    お姉ちゃんならやると
    思ってた……

    ヴァイオラが協力したのは
    意外だったけどね

    お姉ちゃんは
    必ずグンダリ先生にも挑む
    挑んで、そして……

    (独白開始)

    グンダリ先生に殺される……

    (独白終了)



   マナ
    乱花さん
    あなたどっちの味方なの!?



   乱花
    …………



   理事長
    乱花さんはいつだって
    倫花さんの味方だったでしょう
    今だってそう



   乱花
    私は、お姉ちゃんを危険な目に
    遭わせたくない……それだけ



   マナ
    あの子の方が、私たちを危険な目に
    遭わせようとしているんですよ!?

    島が解放されたら、私たちはAAAに
    囚われて、兵器として売られることに
    なるんですからねっ!



   理事長
    そんなことはさせないわ
    この私が……それだけはさせない
    絶対に……!



   小春
    理事長……?



   乱花
    わわわっ!
    グ、グンダリ先生!?
    どうして!!



   マナ
    理事長先生!
    どこですか、理事長先生!!

    グンダリ先生が!
    グンダリ先生が暴走しています!!



   グンダリ
    暴走などしていません
    ただ闘気が抑えられない……
    それだけのことです



   小春
    グンダリ……先生



   越後屋
    もうなりふり構って
    られないってことかい
    グンダリちゃん



   グンダリ
    お黙りなさい、越後屋
    あの日、私たちが交わした誓いを
    忘れたというのですか?



   越後屋
    忘れちゃいないさ!
    でも、えっちゃんたちは正しかったのかな?



   グンダリ
    ヴァルキリーではない誰に
    私たちの選択を責められるというのですか



   越後屋
    けど、倫花ちゃんたちは
    ヴァルキリーだ



   グンダリ
    理事長としてヴァルキリーが
    どう生きるべきか、諭してきた
    つもりだったのですが……



   乱花
    理事長が……
    グンダリ先生だったの?



   越後屋
    そうさ

    ビクニの一期生の筆頭にして
    この島のシステムを作り上げた人物……
    それが彼女だよ



   グンダリ
    私は最初の神として、自ら
    ヴァルキリーたちを取り込みました

    それ以来ずっと、この島を守るために
    自らが管理し、自らが闘ってきたのです

    これからもずっとそうするでしょう
    V-ウイルスの治療法が発見される
    その日まで

    ヴァルキリーたちの命の時を止め
    新しい神の体内に封じ、我々を狙う
    外の世界の者共を殺し続けるのです

    永遠に、そうすると決めたのです



   小春
    先生……



   グンダリ
    煉獄の炎に身を焼かれながらでも
    ヴァルキリーはヴァルキリーのために
    生きるべきなのです

    それが私が伝えなければならない
    ヴァルキリーとして一番大切なこと

    外の世界に満ちている絶望は
    倫花さんを死ぬよりも辛い目に
    あわせるでしょう



   乱花
    …………



   グンダリ
    私が倫花さんを救わねば
    そのために、彼女を殺すことになっても……





 Drive20. 一番大切なこと


  20-A-前(カオス)

   (一般区画にて)

   倫花
    風が……止まった?



   ヴァイオラ
    なに……?
    この大気を満たす波動は……

    怒り?
    それとも悲しみ?



   満腹丸ちゃん
    訓練も終わったし
    死ぬほど食べるのだ!

    おーい、おばちゃーん!
    牛丼ギガ盛りなのだー!

    ……あれ?
    誰もいないのだ?



   倫花
    なんだろうこの感じ
    胸騒ぎがする……



   ヴァイオラ
    何かが始りつつあるわね
    ヤバい感じがビリビリするわ



   満腹丸ちゃん
    島の人たちがみんな
    動かなくなっちゃたのだ



   ヴァイオラ
    サービスに従事している
    ロボットの一斉停止か……



   満腹丸ちゃん
    これじゃごはんが食べられないのだ



   桃
    食事なんか気にしてる場合か



   倫花
    桃ちゃん!
    ケガは? もういいの?



   桃
    ああ、十分休ませてもらった
    ケガする前より調子がいいくらいだ



   倫花
    良かった!



   桃
    で、何が起きている?
    説明してくれ



   倫花
    なんだか突然、お店にいた
    ロボットの人たちが動かなくなっちゃって



   ヴァイオラ
    理事長の差し金かしら

    正面から戦っても倫花を
    止められそうにないから
    兵糧攻めにするつもりとか



   越後屋
    半分当たりで
    半分ハズレだねぇ



   倫花
    わ……えっちゃん!?



   越後屋
    ロボットを停止したのは
    理事長ちゃんだ

    というよりも、全てのロボットを
    管理していた理事長ちゃんが
    コントロールを手放したのさ



   桃
    何故だ?



   越後屋
    残る四神はグンダリちゃんだけだからね

    本気にならざるを得ないだろう?



   桃
    答えになっていない
    グンダリ先生が本気になるのは分かる

    だが、何故そのために
    理事長が島の管理を放棄する
    必要があるんだ?



   越後屋
    いい?
    よく聞いてね

    理事長ちゃんの正体は
    グンダリちゃんなんだ



   倫花
    えっ!?
    理事長先生がグンダリ?
    どういうことなの?



   越後屋
    理事長なんて人物は
    モニタの中にしか存在しなかったってことだよ

    ビクニを管理し統制していたのは
    グンダリちゃんさ



   ヴァイオラ
    なるほど
    どこを探しても理事長を
    見つけられなかったはずだわ



   越後屋
    残った四神はグンダリちゃん一体
    彼女はついにヴァルキリーたちを
    守るための直接行動に踏み切った



   桃
    それは……?



   越後屋
    この島にいるヴァルキリーたちを
    自分の体に封印し始めたんだ

    五期生はもちろん、倫花ちゃんたちが
    他の四神から助け出した卒業生たちも
    まとめて取り込もうとしてる



   倫花
    そんな!
    せっかく助け出したのに!



   越後屋
    ロボットが活動を停止したのは
    グンダリちゃんがそっちに能力を
    注ぎ始めたせいさ

    グンダリちゃんは、あくまでも
    自分の信念に従って行動するつもりだ



   倫花
    そんな……
    私たちはどうすればいいの?



   桃
    落ち着け、倫花
    私たちのやるべきことは変わらない

    グンダリ先生が自分の信念に
    基づいて行動するように
    私たちも同じことをするだけだ



   倫花
    グンダリ先生を倒して……
    ビクニを解放する……



   桃
    そうだ
    お前はお前の信念を貫き通せばいい



   倫花
    うん……わかったよ、桃ちゃん
    私……グンダリ先生と戦う!



   越後屋
    あくまで自分の信じる道を
    突き進む……か

    (独白開始)

    あの頃のグンダリちゃんも
    同じだったよね

    後世のヴァルキリーたち全員から
    誹りを受けようとも、今生き残る
    ために全ての罪を一人でかぶる……

    えっちゃんは、グンダリちゃんの
    その覚悟に殉じようと思った
    せめて一緒に罪を背負おうと思った

    でもねぇ
    グンダリちゃん……

    (独白終了)



   倫花
    島から出たいっていうのが
    ただの私のワガママな思いなのは分かってる

    自分の時を止めたまま
    先生たちの体内で眠り続ければ
    何も考えずに済むのかも知れない

    でも、そんな生き方はイヤなの

    先生たちにだけ運命の重荷を
    背負わせるのは間違ってる

    他に方法があるはずだよ



   桃
    私たちがこの時代に生まれて
    この島で出会ったこと――

    きっと意味があるはずだ
    何かできるはずなんだ



   ヴァイオラ
    闘わずに負けを認めるわけには
    いかないものね



   満腹丸ちゃん
    食べたい時に食べる!
    それが人の正しい姿なのだ!



   越後屋
    えっちゃんは、ちょっとだけ
    倫花ちゃんたちに可能性を
    感じちゃったんだなあ

    グンダリちゃんだけが苦しみを
    背負わなくていいやり方が
    あるんじゃないかって……



   倫花
    えっちゃん、安心して
    私は――ううん、私たちは
    必ず先生に勝ってみせる

    魂を込めた刃を交わせば
    きっとグンダリ先生もわかってくれるって
    信じてるから



   越後屋
    ありがとう
    倫花ちゃん



   ヴァイオラ
    さて、あまり時間は
    残されていないわね

    この一手が重要だわ
    さて……



   (自然区画にて)

   小春
    あくまでグンダリ先生と
    戦うつもりなんですね
    倫花さん……



   マナ
    月影さん!



   小春
    どうしたんですか?
    そんなに慌てて



   マナ
    この状況でどうしてそんなに
    落ち着いていられるんですか!

    グンダリ先生は、私たちを
    体内に封印するつもりです
    私たち五期生も!

    どうしてですかっ!?
    なぜ、五体目の神のリーダーに
    なるはずの私まで!?



   乱花
    五体目はない……
    そういうことじゃないの?



   マナ
    それでは話が違いますっ!
    それなら、私は何のために筆頭に
    なったというんですか!



   ヴァイオラ
    そう言ってさえおけば
    あなたが喜んでお尻を振って
    言うことを聞いたからでしょ



   乱花
    ヴァイオラ!



   ヴァイオラ
    探したわ
    こんなところに逃げ込んでいたのね



   マナ
    い、今さら何をしに
    戻ってきたんですか?



   ヴァイオラ
    選択肢を提示しにきたの



   マナ
    選択肢?



   ヴァイオラ
    最初の選択肢で
    私たちは理事長派と
    倫花派に別れたわ

    そして今こそ新たな選択を
    すべき時よ

    即ち、このままグンダリ先生に
    取り込まれるか、それとも倫花と
    共にグンダリを倒すか



   マナ
    はっ、バカバカしい!
    ノコノコ戻ってきて
    何を言い出すかと思えば……

    グンダリ先生を倒すですって!?
    そんなことできるわけないでしょう!



   ヴァイオラ
    できるかできないかは
    やってみないとわからないし
    できなければ何度でも挑む

    倫花はそう言っていたけど
    間違っているかしら



   小春
    間違っていないと思います
    倫花さんは正しかった
    これまでずっと



   マナ
    あ、あなたもグンダリ先生を倒して
    この島を解放するというの?



   小春
    いいえ
    私は三つ目の選択肢を選びます



   ヴァイオラ
    ……三つ目の選択肢?
    聞かせてもらえるかしら



   小春
    私は、理事長の意志を受け継ぎ
    この島の新たな司政官になるつもりです



   マナ
    なっ……!?



   小春
    理事長自身から
    直接打診を受けました



   ヴァイオラ
    私たちがグンダリ先生に
    戦いを挑んで負けた日ね
    そうか、そんな話を……



   小春
    ええ、理事長を始め四神自身が
    VR-ウイルスの保有者なんです

    永遠にこの島を守り続けることはできません

    そこで彼女は自分の意志を
    私に託そうとしていたのです

    次の理事長……
    ビクニの司政官になって
    この島を守ってほしいと



   マナ
    待ってくださいっ!
    じゃあ、私はっ!?
    私は何なのっ!?



   小春
    マナさんには当初の予定通り
    五体目の神になってもらうつもりでした

    マナさんは五体目の神――
    キリンとなって、他の四神とともに
    この島の守り神になってもらい……

    私は理事長の意志を受け継ぎ
    司政官としてあなたたちを管理し
    この島を守るつもりだったんです



   マナ
    そ、そんな……
    それではあなたの操り人形と
    変わらないじゃないの!



   乱花
    だから、あっさりと筆頭の座を
    猪名川に譲ったわけか



   小春
    マナさんの望みはすべて叶います
    なにか問題でも?



   マナ
    あっ、あなたねぇっ!



   小春
    ヴァイオラさん、あの時は辛い思いを
    させてしまってごめんなさい

    でも、あの場はああするしかなかったんです

    理事長の信頼を得続けるためには
    ああするしか……



   ヴァイオラ
    小春……



   小春
    私は、ただ理事長の意志を
    受け継ぐつもりはありません



   ヴァイオラ
    どうするつもりだったの?



   小春
    V-ウイルスに感染した人たちのために
    この島を本当の楽園にしたいんです

    そのために、四神の力を使って
    島の外の人たちと交渉をするつもりです
    例えばそう……

    AAAの脅威に晒されることなく
    私たちの意志で自由に島外を行き来
    できるようにします



   乱花
    え……



   ヴァイオラ
    それって、倫花が考えていることと
    同じなんじゃ……?



   小春
    結果的にはそうかも知れませんが
    大事なのはプロセスです

    倫花さんのやり方では、徒に
    自分や仲間たちの身を脅威に
    晒すだけでしょう

    私は、もっと安全で確実な方法で
    それを実現するつもりです

    もちろん今すぐには無理でしょう
    それに、私一人の力では実現不可能です
    あなたたちの協力が必要です

    ヴァイオラさん、もう一度私を信じて
    私に協力していただけませんか?



   ヴァイオラ
    小春……
    言ったでしょう?
    私は、あなたのパートナーだって

    あなたの身は私が守る
    そう約束したはずよ



   小春
    ありがとうございます
    マナさんは――



   マナ
    ……けないで……ざけ、ない、で……



   小春
    マナさん?



   マナ
    ふざけないでっ!
    私が協力なんて
    するわけないじゃないっ!

    私は五期生の筆頭ですっ!
    私が実力ナンバーワンなんですっ!

    その私が、裏切り者に協力なんてっ!
    あなたの手足になるなんてっ!
    そんなの許せるわけないじゃないっ!

    乱花さん
    あなたもそうでしょう?

    私たち、騙されていたんです!
    理事長先生にも、月影小春にも!



   乱花
    私は――

    私は、お姉ちゃんと一緒に
    この島で静かに暮らしたいだけ
    それだけだよ



   マナ
    なら、私と組みなさい
    あなたの思い通りにしてさしあげます



   小春
    マナさん……



   マナ
    私は許しません……
    私を利用しようとした連中を許さないっ!

    あなたも理事長先生も
    絶対に許さないっ!

    絶対に絶対に絶対にっ!
    許さないわっ!



   ヴァイオラ
    許さないならどうするっていうの?
    あんたが小春に勝てるとでも?



   マナ
    私は五期生筆頭ですっ!
    私は誰にも負けないっ!

    月影小春!
    あなたを倒して、改めて
    私の価値を証明してみせます!



   小春
    ……いいでしょう
    お相手、務めさせていただきます



   マナ
    協力しなさい、神楽坂乱花!



   乱花
    お姉ちゃんを止めるのを
    手伝ってくれるんだよね?



   マナ
    ええ、この連中を倒したあとで
    私が倫花さんよりも強いことを
    証明しなくてはなりませんから……



   乱花
    じゃあいいよ
    手伝ってあげる

    約束、忘れないでよね



   小春
    やるしかないようですね

    ヴァイオラさん
    お願いします……!



   ヴァイオラ
    ええ、望むところよっ!




  20-A-後(カオス)

   マナ
    そんな……
    私は五期生筆頭なんです……

    五体目の神になるはずなのに
    その私が……どうして……



   ヴァイオラ
    これで分かったかしら?
    あんたなんか小春や倫花の
    足もとにも及ばないってことが

    散々偉そうなことを言っておきながら
    ざまぁないわね



   マナ
    うっ……ううっ……ぐすっ……
    ひっ……ひっぐ……



   ヴァイオラ
    え……



   マナ
    うえ……うええええええええええんっ!



   ヴァイオラ
    ちょっ……な、泣くの!?



   マナ
    びえええええええええええええええっ!



   ヴァイオラ
    あのっ、マナ?
    何も泣くことはないでしょう?
    わあ、困ったな……



   マナ
    ふぇぇぇえええええん!
    ぐすっ、わぁぁぁあああ……



   小春
    もういいんです
    誰もあなたを責めたりしません……

    力を手に入れて周囲の
    人間を見返したい――

    それは他人のための価値を
    自分に見出したいという
    気持ちの裏返しだったんでしょう?

    私にはマナさんの
    気持ちがわかります

    私も、島の外に居た時は
    同じでしたらから……



   マナ
    だって、だって……
    ううっ、ぐすっ……
    うえええぇぇん



   ヴァイオラ
    うう、困ったわね……



   倫花
    いつまでもメソメソしてても
    何も変わらないよ、マナちゃん



   マナ
    ぐすっ……ひっく……
    倫花……さん?



   倫花
    ヴァイオラちゃんに待機してろって
    言われたんだけど、心配になって
    追い掛けて来ちゃった



   ヴァイオラ
    マナのあの様子じゃ
    倫花がいたら、まとまる話も
    まとまらなくなるわ



   桃
    攻撃的な思考は、VR-ウイルスが
    精神に及ぼす典型的な作用だ

    ある程度は仕方がないことだ
    私でも、戦闘的な衝動を抑えるのに
    苦労することがある



   マナ
    VR-ウイルスの作用……



   倫花
    マナちゃんは、ただ
    不安だったんだよね?



   マナ
    ……そうなのかも知れません

    不安を埋めるために力を求めて
    その力を失うことを恐れて
    また力を求める……



   倫花
    マナちゃんだけが
    強くならなくてもいいんだよ

    辛いことも楽しいことも
    仲間のみんなで分け合おうよ



   マナ
    仲間……?
    私が?



   桃
    仲間だって意見くらい
    食い違う時もあるだろう

    そのたびに相手を殺していたんじゃ
    あっという間に世界の人口は半減だ

    そうならないために
    仲直りという方法が存在するんだ
    そんなことも知らないのか?

    どうした?
    どこか痛めたのか?



   マナ
    なん、で……
    どうして私のことを
    助けるんですか……?

    私はあなたにひどいことを
    言ったのに……
    なのに……どうして!?



   桃
    さっきも言っただろう?
    私たちは仲間だからだ
    友達を助けるのに理由はいらん



   マナ
    桃さん……

    その……
    ごめんなさい

    それと、ありがとう



   桃
    ああ

    そういえば、私の方も
    猪名川に礼を言うのを忘れていた



   マナ
    え……
    で、でも私、桃さんにお礼を
    言われるようなことなんて何も



   桃
    私がこの島に来た当初
    私の面倒を何かと見てくれただろう



   マナ
    それはだって
    当たり前のことですし



   桃
    そうかも知れないな
    だが私はお前の優しさに
    感謝しているんだ

    ありがとう、猪名川



   マナ
    桃……さん……
    私……ぐすっ……私ぃぃぃ……
    うえええええええええんっ!



   桃
    やれやれ……




  20-B-前(カオス)

   倫花
    でも、みんな無事で良かったよ



   小春
    倫花さん、他の五期生の子たちは?



   倫花
    それが……
    ここに来る途中
    探してきたんだけど……



   満腹丸ちゃん
    みんな、トリのせんせ~に
    食べられちゃったのだ



   ヴァイオラ
    まさか私たち以外、全員!?



   桃
    まだ何人かは残っているかもしれないが
    それも時間の問題



   小春
    どうやら理事長は本気で私たちを
    封印するつもりみたいですね



   ヴァイオラ
    でも、そうしたら小春が
    次の司政官なるという話は?



   小春
    保留……もしくは、次の六期生の子に
    託すつもりになったのかもしれません



   ヴァイオラ
    そんなっ!
    それじゃあ、いずれにしよ
    私たちは封印されるしかないわけ?



   倫花
    そんなことはさせない!



   ヴァイオラ
    倫花……



   倫花
    いくら理事長先生でも
    勝手に私たちの時間を
    奪ったりしていいはずがないよ



   桃
    まして
    このようなやり方では許せないな



   倫花
    私が何とかする!



   ヴァイオラ
    何とかって、どうするつもりなの?



   倫花
    グンダリ先生と戦って勝つよ!
    そうしたら、みんなで島から
    出られるようになるもん!

    島を出て、みんなで楽しく
    暮らせる方法を探そうよ
    ね?



   ヴァイオラ
    そんな能天気な考えで
    本気で勝てると思ってるの?



   倫花
    みんなで力を合わせれば大丈夫!



   ヴァイオラ
    あんたねぇ……



   倫花
    ねぇ、乱花ちゃん?
    乱花ちゃんもそう思うでしょ?



   乱花
    お姉ちゃん……私は……
    私は、島を出ることには反対だよ



   倫花
    乱花ちゃん……



   乱花
    島を出て、お姉ちゃんが危険な目に
    遭うくらいなら、グンダリ先生に
    封印される方がマシだもん



   倫花
    乱花ちゃん、本気で言ってるの?



   乱花
    本気に決まってるでしょ!
    私は、それがお姉ちゃんの
    ためだと思ってる



   倫花
    乱花ちゃんのわからず屋!



   乱花
    お姉ちゃんこそ!



   ヴァイオラ
    はぁっ……結局またふりだしに
    戻るわけね……



   満腹丸ちゃん
    りんちゃんもらんちゃんも
    どっちもガンコ者なのだ



   ヴァイオラ
    だからって、このままボヤボヤ
    していたら、私たちもグンダリ先生に
    取り込まれてしまうわよ?



   乱花
    お姉ちゃんがどうしても
    グンダリ先生と戦うって言うなら――

    私がここでお姉ちゃんを叩きのめす!



   倫花
    乱花ちゃん!!
    どうしてそんなことを言うの!?



   小春
    乱花さんの言う通りですね



   倫花
    小春ちゃんまで……



   小春
    ヴァルキリーらしく
    決着をつけましょう

    私は乱花さんと組みます

    現時点で、無条件で島を
    開放するのは危険です
    あなたを止めなければなりません



   倫花
    ……わかったよ
    刃を交わせば、きっと私の気持ちが
    二人にも伝わるはずだもの



   桃
    ならば、倫花とは私が組む
    私は倫花の掲げる希望を信じたい



   乱花
    …………

    (独白開始)

    お姉ちゃんとは一度戦って
    その時は私が勝ってるんだ

    私が負けるわけがない……
    今度も勝って、お姉ちゃんに
    言うことを聞いてもらう

    (独白終了)

    いくよ、お姉ちゃん
    お姉ちゃんが間違ってるってことを
    教えてあげる!!




  20-B-後(カオス)

   乱花
    これで最後だ!



   倫花
    ……かはっ!



   乱花
    はぁっ……はぁっ……
    どうだ、お姉ちゃん!
    参ったって言え!



   倫花
    言う……もんですか



   乱花
    私が間違ってた
    島から出ようとは思いませんって言ってよ!



   倫花
    まだ私は負けてないもの……



   乱花
    オラァァァ!



   倫花
    げふっ!



   乱花
    ごめんなさい乱花ちゃんって
    そう言えば許してあげるって
    言ってるんだよ!



   倫花
    間違ってるのは……
    乱花ちゃんのほう……だよ



   乱花
    私に勝てないクセに!
    私より弱いクセに!
    どうして認めないの!?

    もう刀を持ち上げる力もないクセに!



   倫花
    まだ……だよ
    まだまだ



   乱花
    このっ!
    分からず屋っ!



   倫花
    あがっ……!!
    ぐ……うっ!



   乱花
    もう倒れてよ!
    私の勝ちだって言ってるでしょ!
    お姉ちゃん、死んじゃうよ!!



   倫花
    倒れるわけには……いかないよ
    私は……乱花ちゃんの……げほっ!
    お姉ちゃんだから



   乱花
    なんでこうなるの
    もういやだよ

    私はお姉ちゃんを
    守りたいだけ……

    お姉ちゃんを助けたかった
    だけなのに……

    なのに……どうして……
    どうしてこうなるのっ!?

    どうして私の拳で
    お姉ちゃんが倒れてるのっ!?
    ねぇ、どうしてっ!?



   小春
    乱花さん……



   乱花
    こんなの私は望んでいない……
    こんなの……やだよ……
    もういやだ……いやぁ……っ!

    ごめん、お姉ちゃん……ぐすっ……
    ごめんなさい……ううっ……ひっ……
    うああああぁぁぁぁぁっ……!



   倫花
    乱花ちゃん……
    いつまでも……
    メソメソしないの……



   乱花
    ひっ……ひっく……
    お姉、ちゃん……?



   倫花
    言ったでしょ
    泣いてばかりいても……
    何も変わらないんだよ

    何かを変えたいなら
    誰かに気持ちを伝えたいなら
    自分から行動しなくちゃ



   乱花
    ……お姉ちゃん



   倫花
    さあ、もう一戦やろっか



   乱花
    え……もう一回って……?



   倫花
    もちろん
    ヴァルキリードライヴだよ



   小春
    倫花さん
    もう勝負は……



   倫花
    まだついてないよ



   小春
    いや、でも……



   倫花
    私が負けてないって言う以上
    負けじゃない



   桃
    なら、いつまで続けるつもり?



   倫花
    乱花ちゃんに私の思いが伝わるまで



   ヴァイオラ
    あ、そうくるわけ……?



   マナ
    まさかの駄々っ子ですか……



   倫花
    さ、やろう、乱花ちゃん!
    次は、私が勝つよ!

    といっても、今の勝負も
    私は負けてないけどね!



   乱花
    お姉ちゃん……



   満腹丸ちゃん
    ……りんちゃんは、金剛石なのだ



   ヴァイオラ
    え、金剛石?
    それって?



   マナ
    ダイヤモンドのことです



   満腹丸ちゃん
    りんちゃんの心は金剛石で
    できているのだ

    いくら体が傷ついても
    心は絶対に傷つかないのだ

    それがりんちゃんの強さの
    秘密だと思う……



   倫花
    ほら、どうしたの乱花ちゃん?
    かかってこないなら、お姉ちゃんから
    いっちゃうよ?



   乱花
    …………



   倫花
    よーし、いくよ桃ちゃん!



   乱花
    降参する……



   倫花
    へ?



   乱花
    私の負け
    お姉ちゃんには勝てないよ



   倫花
    乱花ちゃん……



   乱花
    ズルイよ、お姉ちゃん……
    勝つまでやるなんて……
    そんなの絶対に勝てっこないじゃん

    お姉ちゃんは昔からそう
    ズルイよ



   倫花
    あははっ
    そういえばそうだったね
    ごめんね、乱花ちゃん



   乱花
    ふんだ……



   ヴァイオラ
    えーと……つまりこれ
    どういうことになるの?



   桃
    乱花が降参したんだ
    当然、倫花の勝利だろう



   マナ
    じゃあ、乱花さんは
    倫花さんに従うということ?



   桃
    そういうことになるだろうな



   ヴァイオラ
    小春……あなたはどうするの
    あなたも倫花に従うのかしら?



   小春
    …………



   桃
    納得がいかないのなら
    月影も倫花と戦えばいい

    だが、たぶん……
    いや絶対に倫花は負けない
    だって……



   小春
    勝つまでやるから……
    ですか

    そんなゾンビみたいな相手とは
    私だって戦いたくありません



   マナ
    じゃあ……?



   小春
    いいでしょう
    私も倫花さんに従います



   ヴァイオラ
    い、いいの?
    本当に?



   小春
    いずれにしろ、もしグンダリ先生が
    倫花さんに負けるようなら
    それまでです

    私の計画を実現するには
    たとえ一体でも四神の力が必要です
    他を圧倒する強大な力が

    ここは素直に見守りましょう
    島の命運を賭けた、倫花さんと
    グンダリ先生の戦いを



   ヴァイオラ
    ……そうね
    そうするしかないわね



   マナ
    このビクニと、私たちヴァルキリーの
    命運を賭けた戦い……



   桃
    私たちは最後まで見守ろう



   満腹丸ちゃん
    りんちゃんが勝ったら、
    みんなで島の外へ美味しいものを
    食べに行くのだ!



   小春
    ……そういうわけです
    越後屋さん?



   越後屋
    決めたんだね
    グンダリちゃんと戦うことを



   小春
    ええ……彼女たちが
    グンダリ先生と戦います



   越後屋
    倫花ちゃんと乱花ちゃんか
    そうなるんだろうねぇ



   小春
    あの2人が、私たち五期生の代表です

    もしあの子たちが負ければ
    ここにいる私たち全員
    グンダリ先生に従います



   越後屋
    それでいいんだね?
    あとでナシって言っても遅いよ?



   小春
    倫花さんなら大丈夫です
    何しろ、あの子のハートは――



   満腹丸ちゃん
    金剛石でできているのだ!



   越後屋
    ほう、金剛石ときたか

   (洞窟にて)

    倫花ちゃん、乱花ちゃん……
    この島の先端にある、立ち入り
    禁止区域に行くんだ

    グンダリちゃんは
    そこで待っている



   乱花
    わかった
    行こう、お姉ちゃん!



   倫花
    うん、ありがとう、えっちゃん!
    またね!



   越後屋
    ああ……
    またね、倫花ちゃん……

    グンダリちゃんを
    よろしく頼んだよ……



   (雪山にて)

   倫花
    ちょっと肌寒いね
    雪がこんなに残ってる



   乱花
    滑って転んだりしないでね
    お姉ちゃん



   倫花
    わかってるってば……わわっ!?

    いったぁーいっ!?



   乱花
    も~
    言ってる側から……

    わっ!
    私の足を引っ張らないでよ!!
    滑る滑る! 滑るってば!



   ヴァイオラ
    ……本当にあの子たちに
    私たちの命運を賭けてもいいのかしら?



   マナ
    そう思うなら、ヴァイオラさんが
    代わりに戦ったらどうですか?



   ヴァイオラ
    戦ってもいいけど
    たぶん負けるわ



   マナ
    ……グンダリ先生は
    そんなに強いんですか?



   ヴァイオラ
    拳を重ねた瞬間に
    理解できると思うわ

    彼女がこれまで
    背負ってきたものが

    あの人の心の中にあるのは
    ただひたすら深い絶望よ



   マナ
    絶望?



   小春
    私たちヴァルキリーに課せられた
    運命の残酷さ

    全てのヴァルキリーを騙し
    時を止める事への呵責と後悔

    そうまでしても、V-ウイルスの
    治療法が見つかるとは限らないという
    事実……



   マナ
    なるほど、絶望としか
    表現しようがありませんね



   小春
    それに立ち向かえるのは
    未来を変えたいという強い思い
    なんじゃないでしょうか



   ヴァイオラ
    勝てると思う?
    あの二人



   小春
    わかりません
    ですが……

    私たちはこれから、いまだかつて
    見たことのない戦いを
    目にすることになるでしょう



   マナ
    いまだかつて見たことのない戦い……



   (岬にて)

   倫花
    ここがえっちゃんの
    言ってた場所だよね?



   乱花
    誰もいないね



   倫花
    でも、えっちゃんは
    ここでグンダリ先生が待ってるって……



   乱花
    お姉ちゃん、上!



   倫花
    あ……グンダリ先生!



   グンダリ
    ついにここまで来ましたね



   倫花
    約束通り、先生に
    勝つために来ました



   グンダリ
    私に勝つ、ですか
    あなたの心の強さは認めます
    よいヴァルキリーに育ちました

    ですが――

    死ねば全て終わりなのです
    いえ、死ぬことができれば
    それはそれで幸運です

    この世には、死ぬより
    ずっと辛い煉獄もあるのです
    それは分かりますね?



   倫花
    どんなに辛いことがあっても
    仲間と一緒なら乗り越えられます

    好きな人と一緒にいたい
    仲間と共に生きたいと感じるために
    私たちはこの世界に生まれたはずです

    でも、命の時間を止められて
    しまったらそれもできません
    泣くことも、笑うことも

    私は今を生きたいんです!

    私たちの未来を取り上げる
    権利は誰にもない!



   グンダリ
    優しい乙女よ
    何も知らない可哀想な子……

    今さらあなたたちに
    選択肢は与えません

    お決まりの最後の
    チャンスも無しです

    ヴァルキリーならば
    戦いで勝ち取りなさい!



   倫花
    言われるまでもなく
    そのつもりで来ました!



   乱花
    最後のチャンスなんて
    こっちから願い下げよ!



   乱花
    私たちは、勝つつもりで
    ここまで来たんだから!



   グンダリ
    いいでしょう……
    その覚悟に、私も全力をもって
    応えます!

    最初の神にして四神が一柱
    グンダリ! 参ります!

    我が心を覆う絶望に屈しなさい!



   倫花
    乱花ちゃん!
    みんな!

    私に力を貸して!



   乱花
    やろう、お姉ちゃん!



   倫花
    うん、乱花ちゃん!




  20-C(カオス)

   グンダリ
    誤っていたというのですか
    私の決断が……
    私たちの歩んできた道が……

    私は……負けるのですか……?



   倫花
    ねえ、先生
    私たちはヴァルキリーでしょう?

    私は先生とも一緒に歩みたいんです
    同じ時間を



   ???
    オレたちだっているんだぜ
    どうにでもなるだろう



   グンダリ
    あ、あなたたち!
    どうしてここに!?

    倫花さんに倒されたのでは
    なかったのですか?



   ゴウザンゼ
    死んだとは誰も言っていませんわ
    越後屋さんの下で
    修復を行っていただけのこと



   コンゴウ
    倫花の希望の刃は、我らの命を
    断つものではなかったのだ



   ダイイトク
    ヴァルキリーはぶちまいちまったが
    おかげで心が軽くなった

    見ろよ、グンダリ先輩

    オレたちにも劣らねえ
    ヴァルキリーがこれだけ揃ったんだ



   マナ
    四神に劣らないヴァルキリーって
    私たちのことでしょうか……?



   桃
    少し買いかぶりすぎな気もするがな



   ダイイトク
    不安にさせるんじゃねぇぜ
    お前たちは世界を相手取って
    戦うんだろう、これからよォ



   倫花
    私だけじゃありません
    この島には1000人もの
    ヴァルキリーがいるんです

    私たちが力を合わせれば
    不可能なことなんてないって
    そう思えるんです!



   グンダリ
    倫花さん……



   乱花
    ビクニを狙う奴らがいるなら
    私がボコボコにしてやるよ

    私たちはどこまでだって強く
    なれるって教えてくれたのは
    理事長――グンダリ先生だよ



   グンダリ
    乱花さん……



   コンゴウ
    天晴れだった
    真のヴァルキリードライヴ
    見せてもらったぞ



   ダイイトク
    だがお前たちは
    まだまだ上を目指せそうだな



   コンゴウ
    我らが稽古をつけてやる
    今までのようにな



   満腹丸ちゃん
    これで島の外で美味しいものが
    食べられるのだ!

    お祝いなのだ!
    牛丼メガ盛り、ううん、ギガ盛り
    いやいや、テラ盛りなのだ!



   ヴァイオラ
    あんたホントそればっかね……



   小春
    この島から出るヴァルキリーもいるでしょう

    でも多くの者は残留を選ぶはずです
    ここは希望の島、ビクニなんですから



   倫花
    もちろん、私と乱花ちゃんも
    お父さんとお母さんに会ったら
    すぐに戻ってきます



   乱花
    あ……う、うん……
    でも……私は……



   倫花
    やっぱり会いたくないの?



   乱花
    うん……でも……
    お姉ちゃんが一緒なら……
    私も会ってみる……

    会って、話を聞きたい……
    本当のことを知りたい……

    お父さんやお母さんが
    どういうつもりで私たちをビクニに
    送りだしたのか……

    お父さんたちのことを
    キライになるのは、それからでも
    遅くないもんね……



   倫花
    うん、その通りだよ
    そうしよう、乱花ちゃん!



   乱花
    ……うん!



   小春
    AAAが攻めてくるのであれば
    私が打って出ます



   ヴァイオラ
    戦闘なら任せておいて
    私と小春で、ビクニのヴァルキリーの
    実力をAAAに見せつけてあげるわ



   小春
    その間に、ヴァルキリーの中から
    実戦部隊を選出します

    戦力を誇示した上で、V-ウイルスの
    研究結果を交渉材料にできるのであれば
    不干渉条約くらいは結べるでしょう



   グンダリ
    可能でしょうか
    AAAは甘くはないわ



   小春
    やってみない内から
    あきらめますか?



   ヴァイオラ
    失敗しても、成功するまで
    挑み続けるだけのことよ



   グンダリ
    あなたたち……



   倫花
    先輩たちや五期生の仲間たち
    それに理事長先生の希望が詰まった
    ビクニは私たちが守ります!



   倫花&乱花
    私たちヴァルキリーが必ず!



   コンゴウ
    グンダリ先輩
    我らは間違ってはいなかった

    ヴァルキリーがどう生きるべきか
    それを指し示す者が、このビクニに
    舞い降りたのだ



   ゴウザンゼ
    あなたの教育が
    思いが正しかったということでしょう



   ダイイトク
    生徒に生き様を教えられるなんざ
    これほど教師冥利に尽きることはねえ
    だろう? グンダリ先輩



   グンダリ
    そうですね
    今一度、生き方を考えるべきなのでしょう

    私たちヴァルキリーは
    心を重ねて体を響き合わせて
    強くなれるのですから……



   越後屋
    よかったねぇ
    グンダリちゃん

    もうグンダリちゃんだけが
    辛い思いをすることはないんだ
    よかった……



   グンダリ
    ビクニのシステムすべてを
    今一度見直さねばなりません

    皆さん
    力を貸していただけますね?



   全員
    はいっ、理事長先生!



   グンダリ
    ありがとう、皆さん
    このビクニを、本当の楽園にする
    日まで、共にがんばりましょう



   倫花
    私は信じてます
    きっとできるって

    私たちの未来は、私たち力で
    切り開いていけるって!

    ほら、今から始めようよ
    乱花ちゃん、みんな!



   乱花
    わわっ
    待ってよ、お姉ちゃん!

    始めるって何を?
    どこに行くの?



   倫花
    んー、わからないけど島の中には
    まだまだ秘密があると思うの



   乱花
    そんな行き当たりばったりで
    大丈夫かなぁ



   倫花
    行き当たりばったりじゃなくて
    ポジティブシンキングって言ってよね

    (独白開始)

    根拠はないけどきっと、大丈夫
    乱花ちゃんやみんながいる
    私たちは、ひとつになっていけるから!

    (独白終了)



   (以下、黒バックで乱花の独白)

           お姉ちゃん、ごめんなさい
    ぶつかってしまったこと、あれからずっと後悔してる。

      ・・・今度はもっと上手く戦うから、戦えるから。
           だからもう一度一緒に





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